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序章
第5話 討伐証明
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「おっ、もう逃げ帰って来やがったのか? 手ぶらで戻ってきやがって」
ニヤニヤと酒瓶片手にヒョードルたちは冒険者ギルドに戻ってきた俺たちを揶揄する。ってここは酒場じゃないし、こいつら真っ昼間からずっと何やってんだ? 俺たちはその声を無視してギルドのカウンターに進む。
「すいません、討伐証明いいですか?」
「えっと、何もお持ちじゃないようですが……」
俺はマジックバッグから次々とワイルドウルフの魔石から毛皮、牙を取り出す。
「えっ!? マジックバッグ? それに一体じゃなくてこんなに? 銀級の魔物をこんなに…………凄い!」
あの後、更に何頭かワイルドウルフが襲ってきて結局討伐数は10体となった。傍らではハントたちがドヤ顔をし、鼻を高くしている。
「ちょ、ちょっとお待ちくださいね。こんな高ランクの討伐数は私がこのギルドに来てはじめてかもしれません。素材の状態もすごくいいですし!」
ちょっとこれ見て、とギルドの受付員は他のギルドの受付員にも俺たちが討伐してきた魔物の素材を見せる。そんな俺たちの様子からざわざわとするギルド内。ニヤニヤとした笑みを浮かべていたヒョードルたちからその笑みは消え、苦虫をかみつぶしたような表情へと変わっている。
「そ、それではワイルドウルフの討伐数10体で報酬は合計で金貨10枚と銀貨50枚となります」
おおーーーというどよめきがギルド内でわきおこる。金貨が3枚あれば成人男性一人が1ヶ月は楽に食べていける金額だ。澄ましていた少年たちは我慢できずにその場に飛び上がって喜んでいる。
「ありがとうございます。……じゃあ、分けるか。5等分だから一人辺り金貨2枚と銀貨10枚だな」
ちなみに銀貨100枚で金貨1枚の換算となる。少年たちは恐る恐るといった調子で俺から金貨と銀貨を受け取る。そして金貨を手に取るといろんな角度から眺めていた。もしかして金貨を手にするのはじめてかな?
「やったーー!! これで半年はひもじい思いをしなくてすむぞ!」
「兄ちゃんありがとう! 俺たちほとんど役たたずだったのに!」
「けっ! クズジョブの弓師のまぐれ当たりでもでたか? それとも同士討ちでもしたワイルドウルフをたまたま運良く拾っただけじゃねえのか?」
気に入らないといった様子でヒョードルたちのメンバーが吐き捨てる。
「なんだよ、酔っぱらいが絡んでくんなよ。依頼も受けずに昼間っから酒場でもないギルドで酒飲みやがって。そんなこと言って俺たちが羨ましいんだろ?」
「ほらほらこれが金貨だぜ! 見たことあるか? ほらほらーー」
「ぐっ、調子に乗るなよ。このクソガキどもが!」
ヒョードルたちは額に青筋を立てる。
「真っ昼間から酒。こういう奴らを社会不適合者っていうんだろうな」
「まったくレオン兄ちゃんの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいぜ。こういうどうしようもない大人に、俺たちは絶対にならないようにしような」
ぎりぎりと歯ぎしりをたてながらプルプルとヒョードルは震えている。これはそろそろ爆発しそうでまずいな。
「おい、今日の所はもう帰るぞ。腹いっぱいご飯食べるんだろ?」
「うん! 何買って帰ろうか!? 肉団子ははずせないだろ。それにパン買って、ソーセージ買って、それに、」
「ララは甘い物が食べたい! ラフィーネのお菓子食べてみたい!」
「ば、お前、あそこ高い…………まあ、今日は買えるから買ってみるか!」
「やったあ!」
弾けるような笑顔を浮かべながらハントたちは思い思いの願望を述べる。どれもささやかなものだ。全部叶えればいい。俺たちは剣呑な視線を向けるヒョードルたちの横を通り過ぎてギルドの外へと出ていった。
ニヤニヤと酒瓶片手にヒョードルたちは冒険者ギルドに戻ってきた俺たちを揶揄する。ってここは酒場じゃないし、こいつら真っ昼間からずっと何やってんだ? 俺たちはその声を無視してギルドのカウンターに進む。
「すいません、討伐証明いいですか?」
「えっと、何もお持ちじゃないようですが……」
俺はマジックバッグから次々とワイルドウルフの魔石から毛皮、牙を取り出す。
「えっ!? マジックバッグ? それに一体じゃなくてこんなに? 銀級の魔物をこんなに…………凄い!」
あの後、更に何頭かワイルドウルフが襲ってきて結局討伐数は10体となった。傍らではハントたちがドヤ顔をし、鼻を高くしている。
「ちょ、ちょっとお待ちくださいね。こんな高ランクの討伐数は私がこのギルドに来てはじめてかもしれません。素材の状態もすごくいいですし!」
ちょっとこれ見て、とギルドの受付員は他のギルドの受付員にも俺たちが討伐してきた魔物の素材を見せる。そんな俺たちの様子からざわざわとするギルド内。ニヤニヤとした笑みを浮かべていたヒョードルたちからその笑みは消え、苦虫をかみつぶしたような表情へと変わっている。
「そ、それではワイルドウルフの討伐数10体で報酬は合計で金貨10枚と銀貨50枚となります」
おおーーーというどよめきがギルド内でわきおこる。金貨が3枚あれば成人男性一人が1ヶ月は楽に食べていける金額だ。澄ましていた少年たちは我慢できずにその場に飛び上がって喜んでいる。
「ありがとうございます。……じゃあ、分けるか。5等分だから一人辺り金貨2枚と銀貨10枚だな」
ちなみに銀貨100枚で金貨1枚の換算となる。少年たちは恐る恐るといった調子で俺から金貨と銀貨を受け取る。そして金貨を手に取るといろんな角度から眺めていた。もしかして金貨を手にするのはじめてかな?
「やったーー!! これで半年はひもじい思いをしなくてすむぞ!」
「兄ちゃんありがとう! 俺たちほとんど役たたずだったのに!」
「けっ! クズジョブの弓師のまぐれ当たりでもでたか? それとも同士討ちでもしたワイルドウルフをたまたま運良く拾っただけじゃねえのか?」
気に入らないといった様子でヒョードルたちのメンバーが吐き捨てる。
「なんだよ、酔っぱらいが絡んでくんなよ。依頼も受けずに昼間っから酒場でもないギルドで酒飲みやがって。そんなこと言って俺たちが羨ましいんだろ?」
「ほらほらこれが金貨だぜ! 見たことあるか? ほらほらーー」
「ぐっ、調子に乗るなよ。このクソガキどもが!」
ヒョードルたちは額に青筋を立てる。
「真っ昼間から酒。こういう奴らを社会不適合者っていうんだろうな」
「まったくレオン兄ちゃんの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいぜ。こういうどうしようもない大人に、俺たちは絶対にならないようにしような」
ぎりぎりと歯ぎしりをたてながらプルプルとヒョードルは震えている。これはそろそろ爆発しそうでまずいな。
「おい、今日の所はもう帰るぞ。腹いっぱいご飯食べるんだろ?」
「うん! 何買って帰ろうか!? 肉団子ははずせないだろ。それにパン買って、ソーセージ買って、それに、」
「ララは甘い物が食べたい! ラフィーネのお菓子食べてみたい!」
「ば、お前、あそこ高い…………まあ、今日は買えるから買ってみるか!」
「やったあ!」
弾けるような笑顔を浮かべながらハントたちは思い思いの願望を述べる。どれもささやかなものだ。全部叶えればいい。俺たちは剣呑な視線を向けるヒョードルたちの横を通り過ぎてギルドの外へと出ていった。
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