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第1章 貴族興亡編
第35話 強制執行!!!
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マジックアローの迎撃による爆発音が連続したのち、ルディが発動していた氷剣はすべて消え去った。土煙と水蒸気爆発の煙幕の後に無傷の俺の姿がルディたちの目に入る。
「なんであのスピードの氷剣を一瞬ですべて迎撃できんだよ……」
「やっぱり化け物だ、こんなの勝てる訳ねえよ……」
領兵たちに動揺がひろがる。
「今度弱音吐いたやつは殺すぞ」
ルディのその言葉により領兵たちは静まり返る。
「俺の氷剣乱舞を防ぎやがるとはな……」
ルディは不敵に笑う。
「ゴミクズの弓師如きに使うのはしゃくだが、俺のとっておきを見せてやる。冥土の土産にな」
ルディが詠唱をはじめると氷剣が空中に出現しはじめる。なんだまた氷剣魔法かと思っていると、出現する氷剣は限りを知らずその数は数個から数十、そして数百と数え切れない数の氷剣が出現していく。ついには空一面を氷剣が覆い尽くす。
「無限氷剣だ。これはなぶり殺せないのが欠点でな。防御不能の絶対攻撃だ。なにか言い残すことはあるかゴミクズ?」
「…………さっさとこい」
「じゃあ死ねぇ!!」
ルディが杖を俺に向けると数え切れない数の氷剣が一斉に俺に射出される。全方位から一斉に氷剣は次々と俺に突き刺さってくる。
「いやぁーーーー! レオン!!」
ニーナたちから悲鳴が上がる。
次々と突き刺さってくる氷剣はいつしか俺の姿を覆い隠した。最終的には氷剣でできた巨大な氷のオブジェのようになっていた。
「ひゃははははははははっ!! ゴミクズが勘違いするからだよ! 弓師如きが魔術師様に勝てるわけがねえだろうがカスがよぉ!」
ルディは喜悦の笑い声を上げた後、ニーナたちの方へと視線を向けてニヤリと邪悪な笑みを浮かべる。
「じゃあ後はお前たちを蹂躙して楽しむかぁ」
「誰がお前たちなんかに!」
「命の限り戦うっす!」
「なのです!」
「きゅぅうううう!!」
ニーナたち、治癒魔法によって回復したライラも戦う気だ。ジリジリとルディと領兵たちは笑みを浮かべながらニーナたちとの間合いを詰める。とその時――――
作成されていた巨大な氷のオブジェから氷がひび割れる音が聞こえる。そして何発か内部から放たれたマジックアローによって巨大な氷塊は粉々となった。
「ったく、攻撃受け止めるのはいいけど氷が圧縮されちゃって出るのに難儀したよ」
ルディたちの目に無傷の俺の姿がうつる。
「な、な、な、なんでお前…………」
「実は前の氷剣乱舞の攻撃の時に、俺にダメージを与えられないことは攻撃をわざとくらって確かめてたんだよね。お前は気づかなかったみたいだけど」
「そんな馬鹿な…………そんな馬鹿な…………」
ルディは俺の声が届いていないのかそう繰り返し呟いている。
「ぎゃぁ!!」
俺はルディの片足にマジックアローによる攻撃を加える。彼の足は変な方向へと曲がりその場に跪く。
「ひぃっ!!」
俺は今度、ルディの右腕を撃ち抜く。右腕も変な方向へ曲がり持っていた杖を落とす。
俺はルディにゆっくりと歩み寄る。そして彼の目の前に来るとしゃがみこむ。ルディは苦痛と屈辱、そして恐怖に顔を歪めている。
「ぐ……た、頼む命は助けてくれ。このままいけば俺は公爵だからお前にもいい思いをさせてやれるぞ! それに公爵の息子を殺せばお前もただではすまない!」
「お前に貸した経験値、今一体いくらの経験値になっているか知ってるか?」
ルディはキョトンとした顔をする。これは俺から経験値を借りていたこと自体も忘れていた顔だ。
「さ、さあトイチだったっけ? お前に借りたのが1000万だったから……ちょっと想像ができねえな……」
「そうだ想像を絶する経験値になっている。それでお前に言ってなかったことなんだが……」
ルディは眉間に皺を寄せ眉をひそめる。これから告げられることがよくないことだと直感で気づいたようだった。
「俺には強制執行っていう能力があってな。貸した経験値は強制的に返済させられるんだよ」
「………………」
ルディは理解が追いつかないのか固まる。
「きょ、強制的に返済?」
「そう、今のお前に強制執行したらお前のレベルは0、経験値はマイナスになって二度と浮き上がれなくなる」
「………………」
ルディはまったく予想すらしていなかったのだろう、また固まる。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ。や、やっとプラチナ級になったから……次期公爵の後継候補になれたんだ。プラチナ級になったから……」
「うん、だから後継候補の話もなくなるだろう。元々お前の素行は悪くて最悪なんだから」
「……頼む、レオン。俺は公爵になることが! 兄たちを見返すことが夢だったんだ! 頼む、見逃してくれ、いや、見逃してください! なんでもします、レオン様! 俺が今までレオン様にしたことは謝りますから!!」
ルディは俺の足元にすがりつき懇願する。こいつはどの面下げてそれをいってるんだ?
「レオン商会の商会員もそうやってお前に懇願したものもいたんじゃないのか? 一体何人の非戦闘員の人間を殺した。一体彼らがお前に何をしたんだ?」
またもルディはキョトンとした顔をする。自分のしたことの重大さ、邪悪さをまるで理解していない。
「もういいお前は。自分がしたことを悔い、お前は強制執行で死ね。お前を殺すのには剣も魔法もいらない」
「いやだぁあああああああああああああッ!! やめてくれぇええええええええええええええええッ!!!!!!」
ルディは目を涙を浮かべ必死に叫ぶように懇願するが、
『強制執行!!』
ルディが金色に輝いた後、その光が塊となって俺にもたらされる。俺はそれを全身で受け止める。返済させた経験値を確かめるとその値は100億を超えていた。ここまでの値があれば経験値の譲渡事業も余裕で回せる。
一方ルディは青い顔をして自身の経験値を確認している。
「俺の、俺の経験値が………マイナス……一、十、百、千、万、十万、百万、一千万…………うわあああああああああああああっ!!!!」
ルディはブルブルと震えはじめる。そして何事かを呪文を唱えるように呟きはじめた。
「後、お前の実家の公爵家もすぐに潰してやるから待ってろ。バッサーノ家は存在する価値がないようなクズ公爵だ。お前の所のクズ当主とクズ家は俺が潰す」
「そ、そんなことできるわけ……」
「公爵家まで潰したあとには今回の件に加担した領兵たちも全員さばいてやる。じゃあな」
俺は青い顔して泣きながら地面にへたり込んでいるルディと、畏怖の眼差しをこちらに向けている領兵たちから踵を返して笑顔のニーナたちと向き直る。
こうして俺たちとバッサーノ家との生き残りをかけた戦いが始まる。しかしこの時の俺にはバッサーノ家に俺たちをも巻き込む予想だにしない秘密があることは知る由もなかった。
「なんであのスピードの氷剣を一瞬ですべて迎撃できんだよ……」
「やっぱり化け物だ、こんなの勝てる訳ねえよ……」
領兵たちに動揺がひろがる。
「今度弱音吐いたやつは殺すぞ」
ルディのその言葉により領兵たちは静まり返る。
「俺の氷剣乱舞を防ぎやがるとはな……」
ルディは不敵に笑う。
「ゴミクズの弓師如きに使うのはしゃくだが、俺のとっておきを見せてやる。冥土の土産にな」
ルディが詠唱をはじめると氷剣が空中に出現しはじめる。なんだまた氷剣魔法かと思っていると、出現する氷剣は限りを知らずその数は数個から数十、そして数百と数え切れない数の氷剣が出現していく。ついには空一面を氷剣が覆い尽くす。
「無限氷剣だ。これはなぶり殺せないのが欠点でな。防御不能の絶対攻撃だ。なにか言い残すことはあるかゴミクズ?」
「…………さっさとこい」
「じゃあ死ねぇ!!」
ルディが杖を俺に向けると数え切れない数の氷剣が一斉に俺に射出される。全方位から一斉に氷剣は次々と俺に突き刺さってくる。
「いやぁーーーー! レオン!!」
ニーナたちから悲鳴が上がる。
次々と突き刺さってくる氷剣はいつしか俺の姿を覆い隠した。最終的には氷剣でできた巨大な氷のオブジェのようになっていた。
「ひゃははははははははっ!! ゴミクズが勘違いするからだよ! 弓師如きが魔術師様に勝てるわけがねえだろうがカスがよぉ!」
ルディは喜悦の笑い声を上げた後、ニーナたちの方へと視線を向けてニヤリと邪悪な笑みを浮かべる。
「じゃあ後はお前たちを蹂躙して楽しむかぁ」
「誰がお前たちなんかに!」
「命の限り戦うっす!」
「なのです!」
「きゅぅうううう!!」
ニーナたち、治癒魔法によって回復したライラも戦う気だ。ジリジリとルディと領兵たちは笑みを浮かべながらニーナたちとの間合いを詰める。とその時――――
作成されていた巨大な氷のオブジェから氷がひび割れる音が聞こえる。そして何発か内部から放たれたマジックアローによって巨大な氷塊は粉々となった。
「ったく、攻撃受け止めるのはいいけど氷が圧縮されちゃって出るのに難儀したよ」
ルディたちの目に無傷の俺の姿がうつる。
「な、な、な、なんでお前…………」
「実は前の氷剣乱舞の攻撃の時に、俺にダメージを与えられないことは攻撃をわざとくらって確かめてたんだよね。お前は気づかなかったみたいだけど」
「そんな馬鹿な…………そんな馬鹿な…………」
ルディは俺の声が届いていないのかそう繰り返し呟いている。
「ぎゃぁ!!」
俺はルディの片足にマジックアローによる攻撃を加える。彼の足は変な方向へと曲がりその場に跪く。
「ひぃっ!!」
俺は今度、ルディの右腕を撃ち抜く。右腕も変な方向へ曲がり持っていた杖を落とす。
俺はルディにゆっくりと歩み寄る。そして彼の目の前に来るとしゃがみこむ。ルディは苦痛と屈辱、そして恐怖に顔を歪めている。
「ぐ……た、頼む命は助けてくれ。このままいけば俺は公爵だからお前にもいい思いをさせてやれるぞ! それに公爵の息子を殺せばお前もただではすまない!」
「お前に貸した経験値、今一体いくらの経験値になっているか知ってるか?」
ルディはキョトンとした顔をする。これは俺から経験値を借りていたこと自体も忘れていた顔だ。
「さ、さあトイチだったっけ? お前に借りたのが1000万だったから……ちょっと想像ができねえな……」
「そうだ想像を絶する経験値になっている。それでお前に言ってなかったことなんだが……」
ルディは眉間に皺を寄せ眉をひそめる。これから告げられることがよくないことだと直感で気づいたようだった。
「俺には強制執行っていう能力があってな。貸した経験値は強制的に返済させられるんだよ」
「………………」
ルディは理解が追いつかないのか固まる。
「きょ、強制的に返済?」
「そう、今のお前に強制執行したらお前のレベルは0、経験値はマイナスになって二度と浮き上がれなくなる」
「………………」
ルディはまったく予想すらしていなかったのだろう、また固まる。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ。や、やっとプラチナ級になったから……次期公爵の後継候補になれたんだ。プラチナ級になったから……」
「うん、だから後継候補の話もなくなるだろう。元々お前の素行は悪くて最悪なんだから」
「……頼む、レオン。俺は公爵になることが! 兄たちを見返すことが夢だったんだ! 頼む、見逃してくれ、いや、見逃してください! なんでもします、レオン様! 俺が今までレオン様にしたことは謝りますから!!」
ルディは俺の足元にすがりつき懇願する。こいつはどの面下げてそれをいってるんだ?
「レオン商会の商会員もそうやってお前に懇願したものもいたんじゃないのか? 一体何人の非戦闘員の人間を殺した。一体彼らがお前に何をしたんだ?」
またもルディはキョトンとした顔をする。自分のしたことの重大さ、邪悪さをまるで理解していない。
「もういいお前は。自分がしたことを悔い、お前は強制執行で死ね。お前を殺すのには剣も魔法もいらない」
「いやだぁあああああああああああああッ!! やめてくれぇええええええええええええええええッ!!!!!!」
ルディは目を涙を浮かべ必死に叫ぶように懇願するが、
『強制執行!!』
ルディが金色に輝いた後、その光が塊となって俺にもたらされる。俺はそれを全身で受け止める。返済させた経験値を確かめるとその値は100億を超えていた。ここまでの値があれば経験値の譲渡事業も余裕で回せる。
一方ルディは青い顔をして自身の経験値を確認している。
「俺の、俺の経験値が………マイナス……一、十、百、千、万、十万、百万、一千万…………うわあああああああああああああっ!!!!」
ルディはブルブルと震えはじめる。そして何事かを呪文を唱えるように呟きはじめた。
「後、お前の実家の公爵家もすぐに潰してやるから待ってろ。バッサーノ家は存在する価値がないようなクズ公爵だ。お前の所のクズ当主とクズ家は俺が潰す」
「そ、そんなことできるわけ……」
「公爵家まで潰したあとには今回の件に加担した領兵たちも全員さばいてやる。じゃあな」
俺は青い顔して泣きながら地面にへたり込んでいるルディと、畏怖の眼差しをこちらに向けている領兵たちから踵を返して笑顔のニーナたちと向き直る。
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