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第5章 地下都市編
第68話 警護依頼
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宿から酒場までの道すがら。
ほとんどの建物は地下世界の天井部のかなりの高さまで構成されているが、商店などはおそらく利便性の影響だろうがほとんどが地上部にあり、大きな道路には商店や屋台形式の露天などが軒を連ねている。
何かの得体の知れない生き物のペットに食べ物や食材を売っている所から、魔術書や魔術道具、何かのガラクタにしか見えないような何らかの素材を売っている所など、多種多様の店が建ち並んでいる。
その商店の種類や数に活気と商魂逞しさは、地上世界と比べても勝るとも劣らないものがあった。
商店などとは別に如何わしい店もちらほらと見受けられる。
地下世界では昼でも地上世界の夜より少し明るい程度の明るさであるからからか、そういった如何わしい店も日中の時間帯でも盛況のようだ。
客引きたちを適当にあしらいながら宿から少し歩いた所に目的の酒場はあった。
時間的には昼間のはずだが、外から店内を確認する限りは客の数は多く、かなりの盛況のようであった。
店のドアを開けるとカラン、という音がして店内の一部の客たちの目がこちらに向く。
一瞬時間が止まったように客たちは少し俺たちを値踏みするように確認した後にそれぞれ目をそらしていった。
店内は酒を提供をするカウンターがあり、その他に丸テーブルと丸椅子が並んでいる。
その中の空いているテーブル席に適当に座る。
長髪にポニーテールで眉を剃り上げた男がメニューを片手に俺たちのテーブルを訪れる。
「メニューだ。注文が決まったらまた呼んでくれ」
「ちょっと」
メニューをテーブルに置いて離れていく男を呼び止める。
「……なんだ?」
「情報収集がしたいんだが……」
「…………」
男は俺達を値踏みするように剣呑な目つきで舐め回すように確認した後――
「いいだろう、繋いでやる。但し注文した後だ」
「ああ、了解」
今度こそ男は俺達のテーブルから離れていき、メニューを開いて俺たちはそれぞれ内容を確認する。
「ふーー」
満腹になり、一息つく。
外観、及び、店内の雰囲気から食事の美味しさには期待していなかったが、予想に反して中々の美味しさだった。
もちろん高級感のある料理を提供された訳ではなく、出されたのはジャンクフードに属するような物だ。
少し油っぽいがいくらでも食べられる中毒性のあるような、いい味付けがされていた。
美味なるものを食した快感の余韻に浸りながら、頭から本来の目的が忘れかかっていた頃、一人の女性が俺達のテーブルを訪れた。
その女性は白髪で顔にも多少のシワを刻んでいる所からそれなりの年齢と思われた。
男にも見えるような短髪で、はっきりとした目鼻立ちをしており、おそらく若い頃はもてたであろうなあという顔立ちだ。
俺の隣に他のテーブルから引っ張ってきた椅子を滑らせてドカっと足組をして座る。
両手ともに小手にしては重量感が有りすぎるような金属製の装備をしており、同じような素材を使用したであろう装備を下半身にもしている。
かと言って重装兵のようかと言えばそうではなく、その装備は不思議と彼女の細身の体のスマートに感じられるイメージを毀損している事はなかった。
「情報が欲しいって?」
「ああ」
と俺が答えた瞬間、老女は目にも止まらぬスピードでその重そうに見えた右手から拳を俺の顔面に向って繰り出してきた。
無意識の後、瞬神が発動された直後、俺の中ではその彼女の動きはスローモーションとなる。
極限まで圧縮された時間軸のなかで俺はゆっくりと迫ってくるその拳を鼻先でかわせるように少しだけ仰け反った。
ピタリっとその拳は俺の顔面にヒットする直前で寸止めされた。
その凄まじいスピードで繰り出された拳から発生した風圧のみが俺の顔面まで到達する。
どうやら初めから直撃させるつもりはなさそうだったようだ。
「……なんのつもりだ?」
「くっくっく」
老女はそう笑っただけで、俺の問いにすぐに答えない。
「久しぶりに咎人でないものが地上から降り立ち、そして、何人かのソドムの住人をぶちのめしたと聞いていたけどねえ。その実力の程は噂に違わないみたいだね」
俺の目の前にあったその拳はテーブルへと置かれる。
その動きは、拳を繰り出された時もそうだが何か違和感を覚える動きだった。
滑らかでなく、どこかしら直線的な動きとでもいうべきだろうか。
俺が怪訝そうにその手と腕を眺めている事に気づいた老女は、その両手を自身の目の前に持ってきて、開いて、閉じてという動作を行う。
その動作を行っている最中に微かな機械音が聞こえた。
「これは地下世界の魔導技術の粋を結集して作られた私専用のオーダーメイド品だよ。いいだろう? 人を有に超えたスピードとパワーを発揮する。まあ、あんたは今のスピードには反応できたみたいだけどね」
「オーダーメイドって普通には買えないって事?」
興味を持ったミミからのその問い掛けに――
「ああ、買えない。地下……いや、世界最高の魔導技師セーラムしかこの逸品は作れないだろうし、あいつは滅多な事ではオーダーメイド品なんか作らないからね」
そういうと老女は懐から葉巻を取り出し、その人差し指からボッと炎を噴出して葉巻に火をつけて、一息に大きくそれを吸うと目を細めながら白煙をゆっくりと吐き出した。
「魔導……技師……?」
「ああ、そう言えば地上では魔導技術自体がまだほとんど普及してなかったね。くそったれの神聖教徒教会のせいで」
老女はその顔を歪めてあからさまに嫌な顔をしたその後で気を取り直すしたように――
「とりあえず、私はシドだよ。ソドムの顔役の一人をやってる」
俺たちも軽く名乗りを上げて、お互いに自己紹介を行う。
「それで、何の情報が欲しいんだい?」
「邪神に関する情報が欲しい」
「なるほどねえ……それでわざわざ地上からこんな地獄の底まで? 邪神を信仰しているアサシン教団がいるのは間違いなけどねえ。邪神が人の形をとって潜伏してるってのはほんとに噂程度でしか聞いた事がないよ」
「じゃあアサシン教団の情報を教えて欲しい」
「ランス、世の中、ギブアンドテイクだよ。あんたらの力を貸してもらえるかい?」
シドは俺の目を射抜くように真っ直ぐに見据える。
俺は周囲のメンバーを目線によって意義がないか確認した後にそのお願いにコクリと同意した。
シドからの依頼内容は物品の搬送の警護をするというものだった。
最近、襲撃によく会っているらしく危険度はそれなりに高いとの事。
地上の冒険者の低ランク依頼でも普通にあるような依頼内容だ。
俺たちは特に深く考える事はなくその依頼を受ける事に同意する。
こうして俺達のソドムでの生活が始まったのだった。
ほとんどの建物は地下世界の天井部のかなりの高さまで構成されているが、商店などはおそらく利便性の影響だろうがほとんどが地上部にあり、大きな道路には商店や屋台形式の露天などが軒を連ねている。
何かの得体の知れない生き物のペットに食べ物や食材を売っている所から、魔術書や魔術道具、何かのガラクタにしか見えないような何らかの素材を売っている所など、多種多様の店が建ち並んでいる。
その商店の種類や数に活気と商魂逞しさは、地上世界と比べても勝るとも劣らないものがあった。
商店などとは別に如何わしい店もちらほらと見受けられる。
地下世界では昼でも地上世界の夜より少し明るい程度の明るさであるからからか、そういった如何わしい店も日中の時間帯でも盛況のようだ。
客引きたちを適当にあしらいながら宿から少し歩いた所に目的の酒場はあった。
時間的には昼間のはずだが、外から店内を確認する限りは客の数は多く、かなりの盛況のようであった。
店のドアを開けるとカラン、という音がして店内の一部の客たちの目がこちらに向く。
一瞬時間が止まったように客たちは少し俺たちを値踏みするように確認した後にそれぞれ目をそらしていった。
店内は酒を提供をするカウンターがあり、その他に丸テーブルと丸椅子が並んでいる。
その中の空いているテーブル席に適当に座る。
長髪にポニーテールで眉を剃り上げた男がメニューを片手に俺たちのテーブルを訪れる。
「メニューだ。注文が決まったらまた呼んでくれ」
「ちょっと」
メニューをテーブルに置いて離れていく男を呼び止める。
「……なんだ?」
「情報収集がしたいんだが……」
「…………」
男は俺達を値踏みするように剣呑な目つきで舐め回すように確認した後――
「いいだろう、繋いでやる。但し注文した後だ」
「ああ、了解」
今度こそ男は俺達のテーブルから離れていき、メニューを開いて俺たちはそれぞれ内容を確認する。
「ふーー」
満腹になり、一息つく。
外観、及び、店内の雰囲気から食事の美味しさには期待していなかったが、予想に反して中々の美味しさだった。
もちろん高級感のある料理を提供された訳ではなく、出されたのはジャンクフードに属するような物だ。
少し油っぽいがいくらでも食べられる中毒性のあるような、いい味付けがされていた。
美味なるものを食した快感の余韻に浸りながら、頭から本来の目的が忘れかかっていた頃、一人の女性が俺達のテーブルを訪れた。
その女性は白髪で顔にも多少のシワを刻んでいる所からそれなりの年齢と思われた。
男にも見えるような短髪で、はっきりとした目鼻立ちをしており、おそらく若い頃はもてたであろうなあという顔立ちだ。
俺の隣に他のテーブルから引っ張ってきた椅子を滑らせてドカっと足組をして座る。
両手ともに小手にしては重量感が有りすぎるような金属製の装備をしており、同じような素材を使用したであろう装備を下半身にもしている。
かと言って重装兵のようかと言えばそうではなく、その装備は不思議と彼女の細身の体のスマートに感じられるイメージを毀損している事はなかった。
「情報が欲しいって?」
「ああ」
と俺が答えた瞬間、老女は目にも止まらぬスピードでその重そうに見えた右手から拳を俺の顔面に向って繰り出してきた。
無意識の後、瞬神が発動された直後、俺の中ではその彼女の動きはスローモーションとなる。
極限まで圧縮された時間軸のなかで俺はゆっくりと迫ってくるその拳を鼻先でかわせるように少しだけ仰け反った。
ピタリっとその拳は俺の顔面にヒットする直前で寸止めされた。
その凄まじいスピードで繰り出された拳から発生した風圧のみが俺の顔面まで到達する。
どうやら初めから直撃させるつもりはなさそうだったようだ。
「……なんのつもりだ?」
「くっくっく」
老女はそう笑っただけで、俺の問いにすぐに答えない。
「久しぶりに咎人でないものが地上から降り立ち、そして、何人かのソドムの住人をぶちのめしたと聞いていたけどねえ。その実力の程は噂に違わないみたいだね」
俺の目の前にあったその拳はテーブルへと置かれる。
その動きは、拳を繰り出された時もそうだが何か違和感を覚える動きだった。
滑らかでなく、どこかしら直線的な動きとでもいうべきだろうか。
俺が怪訝そうにその手と腕を眺めている事に気づいた老女は、その両手を自身の目の前に持ってきて、開いて、閉じてという動作を行う。
その動作を行っている最中に微かな機械音が聞こえた。
「これは地下世界の魔導技術の粋を結集して作られた私専用のオーダーメイド品だよ。いいだろう? 人を有に超えたスピードとパワーを発揮する。まあ、あんたは今のスピードには反応できたみたいだけどね」
「オーダーメイドって普通には買えないって事?」
興味を持ったミミからのその問い掛けに――
「ああ、買えない。地下……いや、世界最高の魔導技師セーラムしかこの逸品は作れないだろうし、あいつは滅多な事ではオーダーメイド品なんか作らないからね」
そういうと老女は懐から葉巻を取り出し、その人差し指からボッと炎を噴出して葉巻に火をつけて、一息に大きくそれを吸うと目を細めながら白煙をゆっくりと吐き出した。
「魔導……技師……?」
「ああ、そう言えば地上では魔導技術自体がまだほとんど普及してなかったね。くそったれの神聖教徒教会のせいで」
老女はその顔を歪めてあからさまに嫌な顔をしたその後で気を取り直すしたように――
「とりあえず、私はシドだよ。ソドムの顔役の一人をやってる」
俺たちも軽く名乗りを上げて、お互いに自己紹介を行う。
「それで、何の情報が欲しいんだい?」
「邪神に関する情報が欲しい」
「なるほどねえ……それでわざわざ地上からこんな地獄の底まで? 邪神を信仰しているアサシン教団がいるのは間違いなけどねえ。邪神が人の形をとって潜伏してるってのはほんとに噂程度でしか聞いた事がないよ」
「じゃあアサシン教団の情報を教えて欲しい」
「ランス、世の中、ギブアンドテイクだよ。あんたらの力を貸してもらえるかい?」
シドは俺の目を射抜くように真っ直ぐに見据える。
俺は周囲のメンバーを目線によって意義がないか確認した後にそのお願いにコクリと同意した。
シドからの依頼内容は物品の搬送の警護をするというものだった。
最近、襲撃によく会っているらしく危険度はそれなりに高いとの事。
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