両親が勇者と魔王だなんて知らない〜平民だからと理不尽に追放されましたが当然ざまぁします〜

コレゼン

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追放する側の物語

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「姉さんほんとに魔王倒しにいくんですか?」

 冒険者パーティーメンバーのゴーギャンがミミに疑問を呈する。いかつい顔をしてごつくて大きい体をしている割には気の小さい男だった。

「当然。わたしたちがやらなきゃだれがやる?」

「北の方に勇者がいるって話じゃ……」

「その勇者がここまで来るのに一体何日かかる? 魔王軍は電光石火ですでに都市中心部まで攻め込んできている状況。一刻も早い魔王の討伐が必要」

 ゴーギャンはミミのその言葉に不満そうではあるが不承不承という感じで頷き、了承する。

 パーティーには斧戦士のゴーギャンの他には老魔術師のローエン。そして聖女で治癒師のレティという構成だった。

 ゴーギャンはミミが率いる侠客組織の一員だ。冒険者として見ればそこまで強くはないが、ミミの組織の中では一番使えそうな為に連れてきたという経緯がある。

 こうしてミミたち冒険者パーティーは魔王城を目指して進攻を続けていくがそれは突然のことであった。


 
「ゴーギャン! お前をこのパーティーから追放する!」

「ええ!? 姉さん突然どうして?」

 ミミの突然のゴーギャンへの追放宣言。ゴーギャン他、ローエンもレティも驚きの表情をしている。

「うるさい! お前攻撃力は高いが防御は全然じゃないか! 毎回の戦闘で攻撃を食らってどこまでレティの手を煩わせる! お前のような無能はこのパーティーから追放だ!」

「そんな! 姉さんに頼まれたからここまで同行してきたのに、あんまりだ!」

「黙れ! 文句があるというなら相手になるぞ? 私に勝てるならかかってこい。かかってこれないだろう? じゃあ、さっさと立ち去れ!!」

 ゴーギャンは怒りよりも、信頼していた人間に裏切られたという悲しみの方が勝ったのだろう。さみしげな表情をして、ペコリとミミに一礼したのちにパーティーを後にする。

「ミミさん、何も追放することはなかったのでは?」

「そうじゃ、ゴーギャンは荒削りではあったが成長はしてたぞ。この魔王討伐の旅で大化けする可能性のあったのにのう」

 レティに続いてローエンもミミに疑問を投げかける。ローエンはその顎によく伸びた白ひげを触りながら述べる。

「…………さっさと先に進む。私たちに後ろを振り返ってる余裕ない」

 ミミはメンバーたちの言葉を取り合わず、魔王城の方角へと向かって歩き出してしまう。レティとローエンはお互い顔を見合わせて、ヤレヤレといった感じでミミの後に続いていった。

 そうして魔王城への進撃を続けた翌日のことであった。

「痛っ!」

 ミミが取りこぼしたスケルトンにローエンは手傷を負う。

「ちぃっ!」

 ミミがすぐさまカバーに入り、その鉄拳によってスケルトンをバラバラに破壊する。その戦闘後のこと。

 
 
「危ないところじゃったのう」

 ローエンがそう言いながら道端に腰掛けてレティから治癒魔法を受けている時に突然、

「ローエン、お前をこのパーティーから追放する!」

「なっ!? なんじゃ、突然?」

 ローエンとレティは驚愕の表情でミミを仰ぎ見る。

「魔王城が近づいて敵のレベルが高くなって、前衛の私が少しでも取りこぼした敵がいても老いぼれのお前はそれを回避できない。そんな役たたずの無能はこのパーティーにはいらない!」

「役たたずの無能じゃと? 言うことにかいてこの小娘があ。大方ここまでになって、わしに報酬の約束をしていた超級魔法のスクロールを渡すのが惜しくなったのじゃろう?」
 
「………………」

 ミミはそれに返答しない。

「答えられないということは同意ととるぞ!」

「うるさい、さっさと失せろ!」

 ミミは腕組みをしてそう言い放つ。

 ローエンはすぐさま荷物をまとめて、

「おい、レティ。お前はこんなクズにいつまで付いていくつもりじゃ?」

「………………」

 下を俯き答えられないレティ。

「ふん、じゃあ短い間じゃったがお世話になったの。さらばじゃ!」

 こうして遂にパーティーはミミとレティ二人になってしまう。

 そしてようやくミミとレティが魔王城直前までたどり着いた所で、
 
「レティ! お前をこのパーティーから追放する!」

 ミミのその言葉が荒野に響き渡る。



「参考に追放の理由を伺ってもよろしいですか?」

 レティは冷静にミミにそう問いかける。

「ふん、追放の理由? それは魔王討伐をミミ一人の手柄にするため。その為には仲間は不要。こんなこともあろうかとミミは魔王城直前に腕の立つ冒険者の一団を手配しておいた。その一団とミミで魔王を討伐すれば、その名誉も報酬もすべてミミのもの。最初からこうするつもりでお前らには一銭だろうが報酬を与えるつもりはなかった!」

 ミミは不敵に邪悪な笑みを浮かべながらそう言い放つ。その言葉を受け止めるレティ。だがレティはミミの予想外の言葉を放つ。

「それは嘘ですね」

「は!? 何が嘘だ。お前、ミミの言うことをちゃんと聞いてたか? 耳がちゃんとついてるのか?」

 ミミは煽るようにレティに尋ねる。しかし、こんな扱いを受けたレティの顔に浮かんでいるのは怒りではなくどこか悲しげな表情だった。

「私見たんです…………見てしまったんです。ミミさんが、ゴーギャンさんを追放する前日の夜に、ゴーギャンさんのリュックに金貨を忍ばせているのを。それと同時になにか手紙を差し入れているのを」

「………………」

 ミミはそれについて何も答えない。レティは続けて、

「ローエンさんについても同様です。あなたローエンさんを追放する前日の深夜にも彼のバックにスクロールと金貨、そして手紙を忍ばせていましたよね。あのスクロールって魔王討伐ができたら報酬で渡す約束をしていたものですよね」

「………………」

 ミミは無言で下を俯いている。

「どうしてミミさんがそんなことをしたのか当ててみましょうか? おそらくミミさんは魔王軍がここまでレベルだと想定していなかったのではありませんか? 想像より強い魔王軍。成長を期待して連れてきたゴーギャンさんでしたが、このままでは彼は敵の強さについていけずに途中で命を落とす可能性があった。それを憂慮してミミさんは方針を変えてゴーギャンさんを思いやって彼を追放した。彼のメンツが立つような形で」

 ミミはまだ一言も言い返さない。レティは畳み掛けるように続ける。

「ローエンさんについても同様でしょう。想定より魔王軍が強かった。老齢のローエンはこの魔王討伐の旅でそこまでの成長は見込めません。彼が敵に対応しきれてない所を見て潮時だと判断したのでしょう。そして、最後は私。魔王城が近くになってきて私でも対応を誤れば、命を落としそうな魔物、魔族のレベルになってきました。腕の立つ冒険者の一団を手配しておいた? 嘘ですね。もしものときの為の撤退用の救援部隊でしょ! ミミさん、あなたこれから先、一人でどうするつもりなのですか!!」

「すまないな」

「えっ!?」

 ミミはそういうと一瞬のうちにレティとの間合いを詰めて、その下腹部に一撃を入れてレティを昏倒させる。

「だ、だめ…………」

 気を失う前にレティそう言い残す。

 風が吹きすさぶ音が荒野に響く。どこから飛ばされてきたか枯れ葉が宙に何枚か舞っていた。ミミはその場でしばらく待った。

「ミミさんでよろしかったですか?」

 そこに現れたのは明らかに高レベルの冒険者の一団だった。身につけている装備とその佇まいから強さは図られ、レティを任せても安心であることが推測できた。だが魔王城に立ち入れるほどではない。

「うん、私がミミ。依頼していた通り、この娘、レティを連れてどこか安全な所まで頼む」

「了解しました。しかし、ミミさんはこれから……?」

「私は一人でもなんとか大丈夫。魔王城の近くにお宝があったからそれを頂いて帰るつもり」

 冒険者たちはミミのその言葉に顔を曇らせる。彼らにミミは金に目がくらんだ愚かな冒険者だと写っていた。

「いいんですか? 本当にお一人で」

「大丈夫、早く、レティを連れてどっかに行け」

 ミミのその言葉も冒険者たちには浅ましく写ったのだろう。何が起こっても自業自得と判断して冒険者たちは昏倒したレティを連れてその場を離れていく。


 
 ミミの冒険者パーティーは全員を追放して誰もいなくなった。目の前には荒野にそびえ立つ魔王城がその威容を誇っている。

 ミミはこのまま進めばまず間違いなく死ぬであろうことはわかっている。

 ミミもランスについて邪神討伐まで見届けた人間だ。自らの限界と敵の強さを図る眼力は持っている。魔王軍の強さはミミの想像の何倍もいった。このまま進めば下手すると魔王にたどり着く前に殺される恐れすらあった。だからといってここで引き下がるわけにはいかない。魔王軍の進軍により多くの人命が失われている。彼らの力を少しでも削がなければならない。

 だが、死ぬのは自分一人でよかった。

「それじゃあ行こう」

 誰に伝えるでもなく、ミミはそうつぶやいて魔王城へと歩を進める。死の行軍だ。死ぬことが分かっている、戦いだ。強がってはいるが恐怖で手足は震えている。戦闘がはじまればアドレナリンによって震えはおさまるだろうが、今まで冒険の旅を続けて今ほど心細く不安だったことはない。

 魔王城の門をくぐり抜けた時、ミミの瞳に門番たちが目に入る。漆黒の甲冑にその身を包み、成人男性の1.5倍ほどの筋肉質な巨体を誇る。全身の肌の色は真っ黒でその口からは牙を覗かせ、頭には二本の角を生やしている。高位のデーモン族で明らかな強敵であった。それが3体もいる。

 ミミの額を冷や汗が流れる。

「なんだこの小娘は? エルフか貴様。どうやって迷い込んだか知らんがここは魔王城。生きて帰れると思うなよ!」

 3体のデーモン族は一斉にミミに襲いかかる。早い! 咄嗟に闘気を身にまとうが間に合わず、一瞬で間を詰められたミミはその攻撃すべてに反応しきれない。ここまでか……という思いがミミの脳裏に一瞬走った、その時――

瞬神しゅんしん

 聞き覚えのある声が聞こえたと思ったら――

 ミミに襲いかかってきてたデーモン族は一瞬のうちですべて細切れとなってその場に崩れおちる。あの声、そしてこんな芸当ができる人物は一人しかいない。ミミは周囲を確認するとそこには、

「あれ? ミミ、なんでこんな所にいるの?」

 昔と変わらない姿のランスがいた。年を重ねて成熟してはいる。しかしミミの目に映るランスは昔のままのランスであった。

「もちろん、魔王の討伐に! ランスこそどうして?」

「いや、俺も魔王の討伐だよ。ちょっと竜王国にいってて魔王軍が進軍してきたって知るの遅れちゃったんだけど。じゃあ、ミミが魔王倒すんだったら、俺別にいらなかったかなあ」

「べ、別にミミはランスと一緒に討伐してもいい! ランス! ミミと一緒に魔王討伐する!」

「うん、わかっ…………」

「あら、皆さんこんなところでどうして?」

 ランスとミミは声がした方を振り向く。そこにはソーニャの姿があった。

「あれ? ソーニャも来たの?」

「ミミも今、ランスと偶然会ったところ」

「あらあら。みんな考えることは一緒ですねー」

 ミミと同様に長命のソーニャは前にランスと別れたままの若さと美しさを保持していた。

「それじゃ、ソーニャも一緒に討伐するか」

「久しぶりのパーティ!」

「腕がなりますわね!」

 こうしてミミはランスたちとともに魔王を討伐することになる。先ほどまでの不安はどこへやら。ランスが一緒にいるというだけでミミの不安は吹き飛んでいった。実は絶体絶命の窮地からのランスという救い。久しぶりの再会ということも相まって、ミミのその瞳からはキラリと光る雫が一滴したたり落ちる。

「どうしたミミ?」

 ランスから心配されるが、ミミは素早くその涙をふき取り、

「久しぶりの嬉し涙! 魔王ぶっ飛ばす!」

「そうだな」 

 ランスは笑ってそういう。その笑顔の眩しさにミミはまた胸を打たれるのであった。
 


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 【NEW】2022/6/10 
 新たに連載を開始しました。
 こちらもよければよろしくお願いします!

 不遇ジョブで追放されたが俺のスキル経験値貸与がチート過ぎる。トイチの利息で不労所得して最強最富に成り上がり、追放した奴らに当然ざまぁします!
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/980968044/314637197
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