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昨日の露店商がタレ味の串焼きを売り出して大人気になっていた。
「あっ、ユータ様。おかげさまで大繁盛です」
「さすがユータね」
「まあまあだな」
「タレはまだ手に入るのでしょうか?」
「入手は可能だ」
だが面倒だ。
店でも開いて誰かに店番をさせるか?
「ちなみにおいくらで?」
俺は高くつくからな。
俺の能力を考えればそうだな…。
「金貨100枚だな」
「それは…」
「仕方ないな。金貨200枚にしてやる」
せっかく安くしてやったのに不満があるなら普通の値段にするだけだ。
「別にここに売らなくてもいいんじゃないの?」
「そうだな」
リンの意見はもっともだ。
俺の金額に文句があるなら売ってやる必要はない。
「他にタレが欲しい奴はいるか!」
俺が呼びかければ欲しがる奴の10人や20人は軽く集まる。
「金貨300枚を払う気概のある奴はいないのか!」
「俺が払う!」
「いいだろう」
「いや、勢いで言ってみただけだ」
おい?
何ふざけたこと言ってんだ?
俺をバカにしているのか?
お前みたいな奴がいるから世の中腐ってるんだ。
「払うと言ったなら払え。払えないなら奴隷にでもなって金を作れ。約束を守るのが人間だろう?約束すら守れないお前は人間ではないということになる」
「すみません、許してください!」
「払うものを払えば許してやる」
「そんな!お願いします!助けてください!」
謝って済むのは小学生までだ。
大人なら自分が何をしたのか責任を取ってもらわないとな。
「だが俺は寛大だ。チャンスを与えてやる」
俺は男に転移魔法をかけた。
転移先はいつも魔物を狩っている狩場だ。
そこで魔物を狩って肉を手に入れて売って金を作ればいい。
移動時間が0になった分、狩りに集中できるぞ。
「さすがユータね」
「まあまあだな」
わざわざ個人相手に売ろうとしたから面倒なことになった。
やはり店を構えるか。
俺の冒険者ギルドで売るのもいいな。
そうだ、そうしよう。
そろそろカレンも何か言ってきてもいい頃だよな。
「帰るか」
「そうね、帰りましょう」
リンが俺の腕に抱きついてきたのでそのまま歩く。
そうだ、この世界の娼館がどうなっているのか調べてみたい。
「ちょっと寄るところがあるからリンは先に帰っていてくれ」
「わかったわ。変な病気はもらわないでね」
「そうだな」
変な病気を貰っても魔法で治せるはずだから問題ないだろう。
俺はこの世界を救わなくてはならない。
まずは性病の実態を調査しなくてはならない。
俺は世界を救うために娼館を目指した。
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