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10人くらい冒険者登録希望者がいた。
「だが俺の目にかなう奴がいるのかな?」
まあ模擬戦で実力をみればいいだけだ。
「誰からでもいい。模擬戦だ。実力を見極めてやる」
「うおおおお!」
さっそく男が殴り掛かってきた。
思い切りの良さは認めるが実力の違いを見極められない奴は死ぬぞ。
「ぐへぇ」
適当な蹴り一発で吹っ飛んでいった。
「さあ、かかってこい」
だが他の男たちは見合って俺に向かってこない。
腰抜けどもが。
「いないのか?なら全員不合格になるぞ?」
「俺が!」
「いいだろう、来い」
一番若そうな男が果敢に挑みかかってくるが実力が全然だ。
「へごぉ」
パンチの一発で倒れた。
やれやれ、また口だけの無能か。
「まだ、だ。まだ、負けて、は…」
驚いたことに男は立ち上がってきた。
根性を見せたな。
ならば。
「見事な根性だ」
手加減して蹴った。
これならまた立ち上がってくるだろう。
男は予想通り立ち上がり、再び挑んできた。
「なかなかの気構えだ。無能にしてはまともだな」
誰も最初は未熟だ。
その後伸びるかどうかは努力次第。
こいつは採用してやろう。
他の男どもは腰抜けだからいらないな。
「他の奴はどうするんだ?冒険者になりたかったんじゃないのか?」
「こんな強いなんて聞いてないぞ!俺はやめる!勝てない相手に挑むほどバカじゃないからな!」
「お、俺だってやめる!」
逃げ出すようにして男どもが逃げていった。
おいおい、別に殺そうとしているわけじゃないんだからな。
勝てない敵から逃げるのは悪くない。
だが今は実力を判断するためのテストだ。
それを理解できないような無能は不要だから逃げた奴らは賢いな。
残ったのは一番若くて根性のある無能だ。
根性を見せたところは評価するけど頭が悪そうなので後々苦労しそうだな。
まあ俺に迷惑をかけなければ許してやろう。
「名前は?」
「マーシオです」
「マーシオ、お前は合格だ。ユータ様ギルドの冒険者として登録することを認めてやる」
「あ、ありがとうございます」
そう言ってマーシオは力尽きた。
これだけ手間をかけて結局マーシオだけしか採用できなかったか。
まあ一人でも冒険者を確保できたので良しとしよう。
「お疲れ様、ユータ」
「それほどでもない」
「さすがユータね」
「まあな」
「汗を流す?」
「そうだな」
つまりリンは俺が欲しいということだ。
仕方ないから相手をしてやろう。
風呂で気持ち良くなった後、リンは俺によって気持ち良くなった。
俺ももちろん気持ち良かった。
でも飽きてきたな。
仕方ないのでギルド職員の新入りの研修相手になってやった。
俺のギルドならこういった役得もあるのでがんばってほしい。
気が向いたら相手にしてやってもいい。
でも貧乳だからあまり相手をしたくはない。
まあそこは福利厚生のため俺が我慢するしかないか。
こうして俺が犠牲になりつつ、少しずつギルドの体制が整ってきた。
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