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「相変わらず犯罪が減らないな」
誰かが何か企んでいるのだろう。
「ギルドに依頼した調査の結果はどうだ?」
まだ何も情報を得られていないようだ。
まったく無能が役に立たないのは当たり前だけど腹が立つな。
「最近屋外でプレイするのが流行しているみたいね」
「そうらしいな」
まったく近所迷惑を考えてほしい。
場所も時間も構わずに盛るなんて動物かよ。
「動物みたいにする?」
リンがそう望むのだからバックで突いてやった。
「公然猥褻はどう処罰するかな」
この世界の人間たちは性に大らかだからあまり厳しく取り締まるのは良くないだろう。
「スリーアウトでチェンジさせるか」
警告をして改善しなければ処刑でいいだろう。
「さすがユータね」
「まあそれくらいの慈悲は与えてやらないとな」
俺だって無駄に国民を処刑したいとは思わない。
だが無能で改善できない奴に情けをかけても無駄だ。
まともな人が不利益を被るような国にはしたくないからな。
「俺に厳罰に処させるような罪深い人間は死ねばいいからな」
「さすがユータね」
「まあな」
俺は寛大だから少しくらいは許してやろう。
だが無能を生かすだけ無駄だ。
無能が他の善良な人間に迷惑をかけるから真面目な人間がバカを見る。
「だから無能は死刑だ」
「さすがユータね」
「当然のことだ」
「さすがユータね」
「まあな」
それが王の役目だ。
上に立つ人間が甘く対処すると状況は改善せず悪い方向へと進んでしまう。
俺は王として厳正に対処しなくてはならない。
まあ俺にとっては普通に対処すれば問題ないけどな。
「薬物の依存症でところかまわず性行為しまくるようになるらしいな」
「そうだったの」
「だが薬物を使うのは自由だ。容量・用法を守って正しく使うべきなのにな」
「それができるような人たちじゃないのだから期待するだけ無駄でしょ」
「そうなんだよな…」
「でもそういった死んで当然の人にも優しいのがユータの魅力じゃない」
「まあな」
「さすがユータね」
「まあな」
よし、改善する余地のない人間は処刑だ。
見せしめに処刑すれば少しは被害も減るだろう。
「でもそう上手くはいかなかったみたいね」
薬物依存症を甘く見ていた。
見せしめよりも自分の快楽を優先するような人間どもだ。
相変わらず薬物を使っているようだ。
「ユータほど上手くないなら薬の力に頼るのも仕方ないじゃない。ユータのテクニックを知らないなんて可哀そう」
そう言われても他の女の相手をしたら何万人の相手をしなくてはならないのやら。
「下手糞な男どもにも責任があるな」
まあ男女平等に処刑すればいい。
どうせ薬物中毒になれば死んだも同然だ。
「働かない奴は死ねばいい」
衣食住無料で税金も無料は人々を甘やかすだけかもしれない。
「でも本当に困っているひとは助かっていると思うの」
「それだよな…」
どこかのバカのせいで本当に困っている人に救いの手が差し伸べられないのは困る。
「仕方ないから衣食住無料はそのままだ。その分犯罪者には厳しくしよう」
「さすがユータね」
「まあな」
情けをかけても無駄な人間はさっさと処刑しよう。
それが王の義務なのだから。
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