試練

Yamaoka

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資質

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 光りはしたんだが。あなたではないらしいです。どういう理屈っすか?稀木にならんと。稀木?そう。まるで一本の木のような。稀木?
 まっ、まぁもう一回行っても?変わりません。なんで、「マイヤー」さんは通れるんですか。あくまで、管理するのであって所有者ではないからです。行っても?無意味でしょう。
 じゃまったく無意味。いえ少なくとも資質のある者が居なければ門は開きません。あぁ……。どうする?どうするも……。えっともし資質を備えたければ10年はかかります。10年って。どうにも?ならないです。
 開かないものは開かない。諦めて下さい。なんだと。おい、「今田」。どうすんだ。
 もしもーし。誰か居ますか?はい。こっちが「尾上」です。こんにちは。
 おい、開かねぇんだって。あれはあやだ。開いてたまるかっていう管理人の意地。次こそ。あぁ、行ってしまった。なんですか?試練です。
 試練って?四枝石の試練です。四枝石です。ケルトの至宝。はぁ……で?その試練です。おい、聞いたか?「尾上」、あぁ。行く?観光がてらで臨むもんじゃないだろ。?なんかさ嘘をついたら噛まれるみたいなものなかったか?あぁ。
 やっぱ開(あ)かないんだな。もう壊すしかねぇ。いや俺、これ一生涯は開かんと思う。あっ、他意でしか開かないんだな。らしい。御名前は?私は、マイヤーと申します。「マイヤー」さんですね。あなた方は?関心が持てません。だって、己の生活が成り立ちさえすればいいんですから。私、行きます。こういってますが。なんか違う気がする……。
 ――10分
 無理だろ。開く気配がない。立っても寝ても叫んでも。あぁ。はぁ?僕が。
 だって、御前は行く気がなかっただろ。名は?尾上です。なんつうか真っ白なカンバスみたいですね。その意気だ。開いた。御前、開いたよ。役に立てて。
 暗い――。よし。灯りが。これが覚悟だな。一体、なんの効力か知らんが。
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