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4.暴かれた中の人
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応接室にはしばらく誰も入るな。
そう言い置いて、黒部は若頭が帰ったあと、部屋を内側から施錠した。
ローテーブルの上には彼がおいていった薄い本が一冊。黒部はソファに腰を据え、ぱらぱらっとめくる。
初手からユメミちゃんが自慰行為に浸っていた。
「え? ユメミちゃんって男の娘なのかよ」
どうやらこの本の世界観はSFで、仮想空間とやらの中でユメミは自分を作ってくれたご主人様、すなわち40代のサイバー極道に熱烈な片思いをしている。リアルに彼に触れることはできないので、脳をハックして仮想空間にご主人様を連れ込み、そこで想いを遂げるという展開らしい。
ユメミの股間についたソレの形に見覚えがある。
長さも太さもカリの形も、染谷のソレにそっくりだった。黒部の入れ墨をなんらかの情報として取り込んだのだとしたら、たぶんこのナニも染谷自身のモノを取り込んだに違いない。
「それにしても……若頭のやつ……これを読んだってのか?」
男の娘自体は今時の風俗界隈では珍しくないから驚きはしないが、ユメミのテクニックの巧みさに黒部は驚愕する。これはリアルな女衒の手管だ。それも黒部には覚えがあった。彼が染谷に叩き込んだものだ。そのえげつない性技でユメミちゃんが黒部に似た40歳ヤクザをオンナノコにしている。
あいつ、俺を……こんな風に?
黒部は複雑な気分に胸の内がもやもやして、下半身がそわそわした。
さっさとページを飛ばして本の奥付を見る。住所やSNSなどの連絡先はない。その代わり配信サイトへつながるQRコードがあった。
黒部はスマートフォンを取り出して読み取る。アクセスしてみた先は毎晩定期的に覗いているチャンネルのページがでてきた。
「はぁ……」
大きくため息をつく。
ユメミがこの本を描いているのはこれで間違いない。
その描写には黒部や染谷でなければ知り得ない情報が描かれている。
若頭の言うようにこの本の作者が染谷だというのであれば、そこから導かれる答えは染谷がユメミであるということだ。
「…………あいつの稼ぎ、俺の金ぇ~?!!」
頭を抱える。管理下にある引きこもりのガリガリ男が、黒部が熱狂しているカリスマVTuberだとは夢にも思わなかった。
「まじか~」
信じたくはなかった。
だからといってこの件から逃げるわけにはいかない。今後のことも考えて白黒はっきりつけておく必要があった。
そう言い置いて、黒部は若頭が帰ったあと、部屋を内側から施錠した。
ローテーブルの上には彼がおいていった薄い本が一冊。黒部はソファに腰を据え、ぱらぱらっとめくる。
初手からユメミちゃんが自慰行為に浸っていた。
「え? ユメミちゃんって男の娘なのかよ」
どうやらこの本の世界観はSFで、仮想空間とやらの中でユメミは自分を作ってくれたご主人様、すなわち40代のサイバー極道に熱烈な片思いをしている。リアルに彼に触れることはできないので、脳をハックして仮想空間にご主人様を連れ込み、そこで想いを遂げるという展開らしい。
ユメミの股間についたソレの形に見覚えがある。
長さも太さもカリの形も、染谷のソレにそっくりだった。黒部の入れ墨をなんらかの情報として取り込んだのだとしたら、たぶんこのナニも染谷自身のモノを取り込んだに違いない。
「それにしても……若頭のやつ……これを読んだってのか?」
男の娘自体は今時の風俗界隈では珍しくないから驚きはしないが、ユメミのテクニックの巧みさに黒部は驚愕する。これはリアルな女衒の手管だ。それも黒部には覚えがあった。彼が染谷に叩き込んだものだ。そのえげつない性技でユメミちゃんが黒部に似た40歳ヤクザをオンナノコにしている。
あいつ、俺を……こんな風に?
黒部は複雑な気分に胸の内がもやもやして、下半身がそわそわした。
さっさとページを飛ばして本の奥付を見る。住所やSNSなどの連絡先はない。その代わり配信サイトへつながるQRコードがあった。
黒部はスマートフォンを取り出して読み取る。アクセスしてみた先は毎晩定期的に覗いているチャンネルのページがでてきた。
「はぁ……」
大きくため息をつく。
ユメミがこの本を描いているのはこれで間違いない。
その描写には黒部や染谷でなければ知り得ない情報が描かれている。
若頭の言うようにこの本の作者が染谷だというのであれば、そこから導かれる答えは染谷がユメミであるということだ。
「…………あいつの稼ぎ、俺の金ぇ~?!!」
頭を抱える。管理下にある引きこもりのガリガリ男が、黒部が熱狂しているカリスマVTuberだとは夢にも思わなかった。
「まじか~」
信じたくはなかった。
だからといってこの件から逃げるわけにはいかない。今後のことも考えて白黒はっきりつけておく必要があった。
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