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第44話 ダンジョン制覇
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「ここがダンジョン最深部、ボスの間か……」
セバスのおかげで最深部まで来れたオレとケルちゃんはだだっ広いホールのような場所に降り立つ。
「ご主人様、気をつけて。何かが現れます」
ケルちゃんが警戒すると同時であったホールの中心に黒い煙が立ち込めると、そこから人影のようなものが徐々に現れ始める。
「くっくっく、よくぞこの最深部まで来たな。人間達よ。だが、それもここまでだ。我こそはこのダンジョンに配置された最深部を守るダンジョンボスにして冥界の番犬の異名を持つ者。そう!」
バサリとマントのようなものを翻すとその人物――軍服を身にまとった小柄な少女がオレ達の前に姿を現す。
「我こそは冥界の双犬とあだ名されるオルトロスなり! さあ、人間達よ。恐怖に震えおののく……」
と、そこで何やらカッコイイポーズを取って名乗りを上げていたオルトロスという少女が固まる。
正確にはオレの隣にいるケルちゃんを見てからだが。
やがて、固まったままのオルトロスにケルちゃんが近づき一言呟く。
「アンタ、何してんの?」
「け、けけけけ、ケルベロスお姉様ー!?」
ケルちゃんが声を掛けるや否や怯えたようにオルトロスは尻尾を膨らませながら、後ずさりする。
「って、ケルちゃん。その子と知り合いなの?」
オレが問いかけるとケルちゃんは何やら考えるような仕草をし、口を開く。
「あー、えーと、私の妹……という設定です」
設定? どゆこと? 思わず突っ込むようにそう問いかけると、再び悩むような仕草でケルちゃんは答える。
「あー、その、私ってご主人様に作られた魔物じゃないですか。それって一応この世界のベースに存在する魔物のリスト? のようなものから生み出されたのですが、その魔物リストにおける設定で私とこのオルトロスは姉妹という設定なのです。ですから、会うのは初めてなのですが、何故かこう、この子のことは昔からよく知っているというか、見ているといじめたくなるというか、そんな気持ちになるのです」
なるほど。なんとなく理解した。
確かにケルベロスとオルトロスと言えば、他のファンタジー作品でも姉妹とかそういった関係のものはよく見る。
この世界もそうした基準に当てはめて魔物の優劣や上下関係なんかが魂に刷り込まれているわけか。
そんなことを思いながら、一方のオルトロスを見ると、彼女はすっかり怯え切ったような目で目の前のケルちゃんを見ていた。
「そ、そのとおりです。か、かくいうあっしもケルベロスお姉さまを見てるだけで何故だか本能的な震えが……」
ガクガクブルブルと震えだすオルトロス。
というか、この姉妹の設定ってこの世界的にどんなことになってたんだ。
「それでアンタがここのボスって言うならアンタを倒せばこのダンジョンの所有権が私達が手にできるのよね? なら、さっさと始めましょうか」
そう言って早速構えを取るケルちゃんであったが、それを見た瞬間、オルトロスがすかさず両手を上げる。
「めめめめ、滅相もございませんー!! あ、あっし如きがケルベロスお姉さまに勝てるわけありませんよー!! と、というか普通の状態でもケルベロス姉さま私よりも強いのに、なんか私の知らないほど強くなってますし……! む、無条件降伏しますんで、どうか命だけはー!!」
「……と言っていますが、どうしますか? ご主人様」
「ええと、そうだね。無条件降伏してくれるなら、それでいいんじゃないかな?」
ケルちゃんからの問いにそう答えると、オルトロスはブンブンと首を降る。
うーん、やっぱりケルちゃんを作る際、千円分の創生になったから、その分本来のケルベロスよりも遥かに強くなってるんだろうな。
そんなことを思っている内に、何やらヘコヘコとした様子でオルトロスがこちらに近づいてくる。
「え、ええと、それじゃあ、このダンジョンの踏破者として証を与えたいのですが……こちらの男性に与えたほうがいいですかね? ケルベロスお姉さま」
「そうね。私よりもご主人様の方が都合がいいと思うからお願いするわ、オルトロス」
「へへー!」
まるで三下のように頷くオルトロス。というか、さっきから口調も完全に三下のそれである。最初に登場した時のボスっぽさは何処に。
「では――」
そう言ってオルトロスがオレに近づくと両手を突き出し、そこから眩い光が放たれると目の前に金色に輝く腕輪が現れる。
その腕輪はそのままオレの右手に装着すると輝きを収める。
「これは?」
「それは制覇武具と呼ばれるものです。それがあればこのダンジョンに存在する特性を外でも自由に使うことができます」
ほう、特性とな? それは一体どんなものですか?
「そうですねー。たとえば、ダンジョンに存在する魔物の力を宿すとか。この場合、ダンジョンのボスの能力を得るとかですね。主に戦闘の際はこの能力を使えます。他にも外のあるゆる場所とこのダンジョンを繋げて仮宿としての使用も可能ですし、ダンジョン内に存在する宝やそこにあるマジックアイテムを一時的に取り出したりと色々なことが可能です。あ、勿論、このダンジョンの使用許可なども自由に権限できます」
なるほど。それはかなり便利だ。
というかダンジョンという一つのエリアを自由自在に使えるというメリットはかなり大きい。
なるほど。これなら確かに帝国や王国が欲しがるわけだ。
事実上、国一つを個人が手に出来るようなものだ。
オルトロスからの説明に頷くとオレはすぐさま右腕に装着された腕輪――制覇武具の能力を使用する。
「それじゃあ、早速この十階層にいる全ての人間、冒険者達をダンジョンの外まで移動させてくれ」
オレがそう宣言すると腕輪が輝き、オレの視界は真っ白に染まった。
セバスのおかげで最深部まで来れたオレとケルちゃんはだだっ広いホールのような場所に降り立つ。
「ご主人様、気をつけて。何かが現れます」
ケルちゃんが警戒すると同時であったホールの中心に黒い煙が立ち込めると、そこから人影のようなものが徐々に現れ始める。
「くっくっく、よくぞこの最深部まで来たな。人間達よ。だが、それもここまでだ。我こそはこのダンジョンに配置された最深部を守るダンジョンボスにして冥界の番犬の異名を持つ者。そう!」
バサリとマントのようなものを翻すとその人物――軍服を身にまとった小柄な少女がオレ達の前に姿を現す。
「我こそは冥界の双犬とあだ名されるオルトロスなり! さあ、人間達よ。恐怖に震えおののく……」
と、そこで何やらカッコイイポーズを取って名乗りを上げていたオルトロスという少女が固まる。
正確にはオレの隣にいるケルちゃんを見てからだが。
やがて、固まったままのオルトロスにケルちゃんが近づき一言呟く。
「アンタ、何してんの?」
「け、けけけけ、ケルベロスお姉様ー!?」
ケルちゃんが声を掛けるや否や怯えたようにオルトロスは尻尾を膨らませながら、後ずさりする。
「って、ケルちゃん。その子と知り合いなの?」
オレが問いかけるとケルちゃんは何やら考えるような仕草をし、口を開く。
「あー、えーと、私の妹……という設定です」
設定? どゆこと? 思わず突っ込むようにそう問いかけると、再び悩むような仕草でケルちゃんは答える。
「あー、その、私ってご主人様に作られた魔物じゃないですか。それって一応この世界のベースに存在する魔物のリスト? のようなものから生み出されたのですが、その魔物リストにおける設定で私とこのオルトロスは姉妹という設定なのです。ですから、会うのは初めてなのですが、何故かこう、この子のことは昔からよく知っているというか、見ているといじめたくなるというか、そんな気持ちになるのです」
なるほど。なんとなく理解した。
確かにケルベロスとオルトロスと言えば、他のファンタジー作品でも姉妹とかそういった関係のものはよく見る。
この世界もそうした基準に当てはめて魔物の優劣や上下関係なんかが魂に刷り込まれているわけか。
そんなことを思いながら、一方のオルトロスを見ると、彼女はすっかり怯え切ったような目で目の前のケルちゃんを見ていた。
「そ、そのとおりです。か、かくいうあっしもケルベロスお姉さまを見てるだけで何故だか本能的な震えが……」
ガクガクブルブルと震えだすオルトロス。
というか、この姉妹の設定ってこの世界的にどんなことになってたんだ。
「それでアンタがここのボスって言うならアンタを倒せばこのダンジョンの所有権が私達が手にできるのよね? なら、さっさと始めましょうか」
そう言って早速構えを取るケルちゃんであったが、それを見た瞬間、オルトロスがすかさず両手を上げる。
「めめめめ、滅相もございませんー!! あ、あっし如きがケルベロスお姉さまに勝てるわけありませんよー!! と、というか普通の状態でもケルベロス姉さま私よりも強いのに、なんか私の知らないほど強くなってますし……! む、無条件降伏しますんで、どうか命だけはー!!」
「……と言っていますが、どうしますか? ご主人様」
「ええと、そうだね。無条件降伏してくれるなら、それでいいんじゃないかな?」
ケルちゃんからの問いにそう答えると、オルトロスはブンブンと首を降る。
うーん、やっぱりケルちゃんを作る際、千円分の創生になったから、その分本来のケルベロスよりも遥かに強くなってるんだろうな。
そんなことを思っている内に、何やらヘコヘコとした様子でオルトロスがこちらに近づいてくる。
「え、ええと、それじゃあ、このダンジョンの踏破者として証を与えたいのですが……こちらの男性に与えたほうがいいですかね? ケルベロスお姉さま」
「そうね。私よりもご主人様の方が都合がいいと思うからお願いするわ、オルトロス」
「へへー!」
まるで三下のように頷くオルトロス。というか、さっきから口調も完全に三下のそれである。最初に登場した時のボスっぽさは何処に。
「では――」
そう言ってオルトロスがオレに近づくと両手を突き出し、そこから眩い光が放たれると目の前に金色に輝く腕輪が現れる。
その腕輪はそのままオレの右手に装着すると輝きを収める。
「これは?」
「それは制覇武具と呼ばれるものです。それがあればこのダンジョンに存在する特性を外でも自由に使うことができます」
ほう、特性とな? それは一体どんなものですか?
「そうですねー。たとえば、ダンジョンに存在する魔物の力を宿すとか。この場合、ダンジョンのボスの能力を得るとかですね。主に戦闘の際はこの能力を使えます。他にも外のあるゆる場所とこのダンジョンを繋げて仮宿としての使用も可能ですし、ダンジョン内に存在する宝やそこにあるマジックアイテムを一時的に取り出したりと色々なことが可能です。あ、勿論、このダンジョンの使用許可なども自由に権限できます」
なるほど。それはかなり便利だ。
というかダンジョンという一つのエリアを自由自在に使えるというメリットはかなり大きい。
なるほど。これなら確かに帝国や王国が欲しがるわけだ。
事実上、国一つを個人が手に出来るようなものだ。
オルトロスからの説明に頷くとオレはすぐさま右腕に装着された腕輪――制覇武具の能力を使用する。
「それじゃあ、早速この十階層にいる全ての人間、冒険者達をダンジョンの外まで移動させてくれ」
オレがそう宣言すると腕輪が輝き、オレの視界は真っ白に染まった。
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