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予定調和

始まり

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多分、今までもこれからも僕は至って普通の人生を過ごすと思っていただろう。何故なら僕の性格上目立ちたい、褒められてたい。そんな事を思ったことが少ないからだろう。日常生活では、クラスメイトに冷めていると言われたり、面白がられていない事もよくあった。
僕的には、程々の人生で程々の生活を、そこそこで死にたいと思う。
しかし、現実はそう甘くなかった。クラスメイトに冷めていると思われたことが原因でそれをよく思わない連中にいじめを受ける始末である。面倒くさがりの担任は、見て見ぬ振りをし、あまりクラスメイトと交流がないのだから、助けてくれる人物は世の中にいなかった。
やがて、面倒くさくなった僕は学校に行くのをやめ、自殺する事を考えた。どこですることが派手に目立つのか、どうすればすぐさまさよならできるのか、僕の人生で最も努力したと言って良いだろう。
その結果、高いビルから飛び降りることが最も楽にそして、ド派手に死ねることが分かった。
それが分かったのなら話は早かった。
家族には、学校に行くと言って家を出て、電車やバスを乗り継いで街中に行くだけだ。これから僕は死ぬ。それなのに心は今までで一番輝いていた。

街中についた僕は、人のいなさそうなビルを選んで登って行った。階段を一段登るたびに走馬灯のように思い出が込み上げてくる。次の段に足をかける頃には次の思い出がよみがえってくる。まるで、一段一段に思い出を捨てて行っているようだ。
屋上に着く頃には思い出がよみがえってくる事もなく、僕の頭の中はすっからかんになっていた。
頭の中がすっからかんになったせいか、僕の足取りに迷いはなく、スタスタとビルの淵に向かって歩いて行った。
ビルの淵に立つと壮大な景色が見えた。忙しなく歩く人、ゆったりとしている人、真下にも同じような光景が広がっていた。
僕がこれから、真っ赤な花を咲かせる場所にはいつもと変わらない日常を過ごしている人たちがわんさかといた。
最後に面倒くさいクラスメイトの顔を思い出して、感傷に浸っていた僕の心に嫌気がさした。
もう、悩むことなんてない。
さよなら、僕の世界。
目をつぶり、足を踏み出したその瞬間、後ろから物凄い力で引っ張られた。
後ろに飛んだ僕は、尻をアスファルトの地面に擦りながら、僕を引っ張った人物像を見ていた。
そいつは、人というには何処となく普通の人間とは違っていた。もちろん、服装ではなく、オーラが。
そしてそいつは、僕の目の前に来て、こういった。
「どうせ死ぬんだったら、有効活用しない?」
……はぁ?
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