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はじめまして 1
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それから俺たちは見たかった軽音部の演奏を見ることができ、他に回りたいと思っていた場所も行くことが出来た。
存分に楽しんだ頃、文化祭終了15分前の放送が流れ出し、遊びに来ていた人達は次々に帰り始める。
昇降口に向かう人達の流れに乗って、俺達も教室に戻ることにした。
雅也も裕貴も文化祭をそれなりに楽しんだようで、とても満足そうだった。
俺ももちろん楽しんだ。
でも頭の片隅ではずっと別のことを考えていて……
昇降口で俺はそれの正体を見つけ、気が付けば走り出していた。
「お、おいっ、幸介!?」
「ごめん、少し頼んだ!」
焦る雅也に一瞬だけ目をやり、短く返事をする。
雅也なら多分察して何とかしてくれるだろう。
俺は諸々のことを雅也に任せ、もう靴に履き替えて帰り始めている彼女を追いかける。
手間だが俺も靴に履き替え、1人で帰ろうとしている彼女に声をかける。
「待って!」
眼下の踝まである長いスカートがふわりと揺れ、やがて止まる。
ほんの数秒。
彼女はゆっくりと俺の方を見た。
少し息を切らした俺と、戸惑いを隠せない彼女の目が合う。
一瞬、人違いだったらどうしようと、冷静な俺が顔を出したが、彼女は間違いなく俺のことをこうちゃんと呼んだ子だった。
俺がほんの少し会っただけの子を覚えていて、なおかつそれを後ろ姿だけで認識するなんて。
自分でもわからない気持ちを呼吸と一緒に落ち着かせる。
「ごめん、あの時は素っ気なくなって。でも、俺のこと、こうちゃんって呼んでくれたのが気になって。
俺とどこかで会ったことあるの?」
自分が言葉にできる、かつ彼女にも答えてもらえそうな質問をできるだけ素早く考えて選んだつもりだったのだが、目の前の彼女の顔はどんどん曇っていく。
「ごめんなさい、人違いでした」
校門に向かって歩く人々が俺たちを避けていく。
真ん中に取り残された2人。
一見ロマンチックな告白シーンにも見えそうだが、現実はそうもいかず、まるで悲しく引き裂かれていくように──
彼女の頬に涙が伝った。
「え、いや、その違うの。ご、ごめ──」
自分の涙に驚き、慌てて謝る彼女。
これでは俺が彼女を泣かせているようにしか見えない。
いや、実際に泣いている原因は俺なのだが。
帰ろうと通り過ぎていく人々も泣いている彼女をちらちらと気にしていく。
いくら知らない子とはいえ、これは申し訳ない……
「こっち、きて」
静かに泣きながらその場に立ち続けている彼女をこのまま放っておくわけにもいかず、俺は彼女の手を取り足早に歩き出した。
荒く掴んだ彼女の腕は思った以上に細くて、俺は自分の手の力を少しだけ緩めた。
俺が足を止めた場所は体育館と部室棟の間にあるベンチ。
存分に楽しんだ頃、文化祭終了15分前の放送が流れ出し、遊びに来ていた人達は次々に帰り始める。
昇降口に向かう人達の流れに乗って、俺達も教室に戻ることにした。
雅也も裕貴も文化祭をそれなりに楽しんだようで、とても満足そうだった。
俺ももちろん楽しんだ。
でも頭の片隅ではずっと別のことを考えていて……
昇降口で俺はそれの正体を見つけ、気が付けば走り出していた。
「お、おいっ、幸介!?」
「ごめん、少し頼んだ!」
焦る雅也に一瞬だけ目をやり、短く返事をする。
雅也なら多分察して何とかしてくれるだろう。
俺は諸々のことを雅也に任せ、もう靴に履き替えて帰り始めている彼女を追いかける。
手間だが俺も靴に履き替え、1人で帰ろうとしている彼女に声をかける。
「待って!」
眼下の踝まである長いスカートがふわりと揺れ、やがて止まる。
ほんの数秒。
彼女はゆっくりと俺の方を見た。
少し息を切らした俺と、戸惑いを隠せない彼女の目が合う。
一瞬、人違いだったらどうしようと、冷静な俺が顔を出したが、彼女は間違いなく俺のことをこうちゃんと呼んだ子だった。
俺がほんの少し会っただけの子を覚えていて、なおかつそれを後ろ姿だけで認識するなんて。
自分でもわからない気持ちを呼吸と一緒に落ち着かせる。
「ごめん、あの時は素っ気なくなって。でも、俺のこと、こうちゃんって呼んでくれたのが気になって。
俺とどこかで会ったことあるの?」
自分が言葉にできる、かつ彼女にも答えてもらえそうな質問をできるだけ素早く考えて選んだつもりだったのだが、目の前の彼女の顔はどんどん曇っていく。
「ごめんなさい、人違いでした」
校門に向かって歩く人々が俺たちを避けていく。
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荒く掴んだ彼女の腕は思った以上に細くて、俺は自分の手の力を少しだけ緩めた。
俺が足を止めた場所は体育館と部室棟の間にあるベンチ。
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