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叶えたかったこと 1
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「私の事、思い出してくれないんだね……」
もう何度も見てきた女の子。
泣きそうな、子供の声。
俺は跪き、少女の小さな手をそっと両手で包んだ。
「ごめんね」
少女が顔を上げた。
ああ、知っている。
大好きな、彼女の顔だ。
「辛い思いをして欲しくない想いは誰よりもある。でも、好きな人にはワガママになるみたい」
少女が大人っぽく笑う。
その刹那、少女はふわりと消えた。
曖昧に俺の記憶をチラついていた少女はもう、完全に消え去った。
初めて見た少女の笑顔が俺の心に温かさだけを残した。
朝、いつものアラームの音に無理やり起こされる。
夜中まで死神と話し込んだせいで眠い。
でもいつもよりも気分が良かった。
なんだかとてもいい夢を見ていたような、そんな気がした。
今さっきまで見ていたはずの全く思い出せない夢の温かさを感じながら、俺はしっかりと目を覚ます。
いつもよりも遅い時間。
俺は今日、初めて自分の勝手で部活を休んだ。
罪悪感はあるが、それも今日切り。
そう思うと一瞬の寂しさを感じた。
気持ちを切り替えようと、遅めの朝兼昼ごはんを食べ、午後まで部屋でゆっくりとすごした。
その数時間の中で携帯の同じ画面を繰り返し見る。
昨日の夜、死神と話し込む前に送った俺の決心の連絡に、返信は来ていない。
それでも仕方がない。
俺は約束の時間より5分以上前に着くようにと家を出た。
その場所へと、携帯だけを持って行く。
斜め右に、マンション。
それを少しすぎた左側に公園。
ここが今日の待ち合わせ場所。
「まぁ、さすがにこんな早くは来ないか……」
約束の14時から15分前。
それだけ確認し、俺は子供たちが遊んでいる間を通ってベンチに座った。
隣に1人分空いた、中途半端な位置。
俺はその虚空を見つめながら両手を握った。
祈る。
数分間、俺の瞳はまぶたの裏側だけを捉えた。
「おまたせ」
ぎゅっと閉じた瞼が開くのと、顔が上がるタイミングが一致した。
「こ、とね」
確かめるように、ぎこちなく名前を呼んだ。
「こうちゃん……」
その声を聞いて、小さく笑う俺の口から安堵のため息が漏れる。
「もしかしたら来てくれないかと思っててさ、安心した」
そう言うと鈴木さんはバツの悪そうな表情をした。
「あ、そんな顔しないで。来てくれてありがとう。
立ってるの疲れるでしょ、座って」
自分の隣の空いたスペースに手を置き合図すると、その場所に座ってくれる。
二人の間にある、まだ大きな隙間。
しばらく見つめてからも、勇気のない俺は視線を前へと向けた。
「俺たちも、あんな風に遊んでた?」
「そうだね、遊んでたよ」
何も、思い出せない。
もう何度も見てきた女の子。
泣きそうな、子供の声。
俺は跪き、少女の小さな手をそっと両手で包んだ。
「ごめんね」
少女が顔を上げた。
ああ、知っている。
大好きな、彼女の顔だ。
「辛い思いをして欲しくない想いは誰よりもある。でも、好きな人にはワガママになるみたい」
少女が大人っぽく笑う。
その刹那、少女はふわりと消えた。
曖昧に俺の記憶をチラついていた少女はもう、完全に消え去った。
初めて見た少女の笑顔が俺の心に温かさだけを残した。
朝、いつものアラームの音に無理やり起こされる。
夜中まで死神と話し込んだせいで眠い。
でもいつもよりも気分が良かった。
なんだかとてもいい夢を見ていたような、そんな気がした。
今さっきまで見ていたはずの全く思い出せない夢の温かさを感じながら、俺はしっかりと目を覚ます。
いつもよりも遅い時間。
俺は今日、初めて自分の勝手で部活を休んだ。
罪悪感はあるが、それも今日切り。
そう思うと一瞬の寂しさを感じた。
気持ちを切り替えようと、遅めの朝兼昼ごはんを食べ、午後まで部屋でゆっくりとすごした。
その数時間の中で携帯の同じ画面を繰り返し見る。
昨日の夜、死神と話し込む前に送った俺の決心の連絡に、返信は来ていない。
それでも仕方がない。
俺は約束の時間より5分以上前に着くようにと家を出た。
その場所へと、携帯だけを持って行く。
斜め右に、マンション。
それを少しすぎた左側に公園。
ここが今日の待ち合わせ場所。
「まぁ、さすがにこんな早くは来ないか……」
約束の14時から15分前。
それだけ確認し、俺は子供たちが遊んでいる間を通ってベンチに座った。
隣に1人分空いた、中途半端な位置。
俺はその虚空を見つめながら両手を握った。
祈る。
数分間、俺の瞳はまぶたの裏側だけを捉えた。
「おまたせ」
ぎゅっと閉じた瞼が開くのと、顔が上がるタイミングが一致した。
「こ、とね」
確かめるように、ぎこちなく名前を呼んだ。
「こうちゃん……」
その声を聞いて、小さく笑う俺の口から安堵のため息が漏れる。
「もしかしたら来てくれないかと思っててさ、安心した」
そう言うと鈴木さんはバツの悪そうな表情をした。
「あ、そんな顔しないで。来てくれてありがとう。
立ってるの疲れるでしょ、座って」
自分の隣の空いたスペースに手を置き合図すると、その場所に座ってくれる。
二人の間にある、まだ大きな隙間。
しばらく見つめてからも、勇気のない俺は視線を前へと向けた。
「俺たちも、あんな風に遊んでた?」
「そうだね、遊んでたよ」
何も、思い出せない。
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