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こうちゃんの選んだ道 3
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鍵を忘れて私の家に来た時のこと。
『今日は久々に会えて嬉しかった。
帰る時、本当はもう少し一緒にいたかったけどこれ以上迷惑かけるわけにもいかなくて帰った。
また、会えたら嬉しい』
そしてそれは私が引っ越してしまった日も──
『今日、部活が早く終わったからことねを驚かしに家に行ってみた。
でもインターホンを押しても誰も出なかった。
どうやら引っ越したようだった。
一言、何か言って欲しかった』
チクリと胸の痛みを感じながらまた1ページ、1ページとめくる。
そこから先は白紙が続いた。
最後のページ、たった1文。
それを見た瞬間、私の目から大粒の涙が溢れた。
『俺は琴音のことが好き』
丁寧に書かれたこうちゃんの字が私の涙で滲んでいく。
『いつか必ず琴音と再会して、この気持ちを伝えたい』
楽しいことを書き留めていたはずのノートに記された、たった1つの願い。
「こうちゃん……」
こうちゃんは昔から私のことを好きでいてくれた。
離れてしまっても、私のことを想っていてくれた。
「彼は生きてキミに会いたくてボクと契約した。
ボクからの契約条件は彼の大切な人の記憶を奪うこと。
そして残念な事にボクが奪った記憶はキミとのもの。
彼はボクと契約した理由すらも忘れてしまったんだよ」
こうちゃんは大切なものを失くしたとしても、それでも私に会おうとしてくれていた……
「彼はキミのことをこんなにも想っていたのに、その全てを、今度はキミが忘れてしまうのかい?」
こうちゃんはもう居ない。
それは辛くて、いっそ忘れられるなら忘れてしまいたいこと。
でも、彼が私のことを好きでいてくれたことすらなくなってしまうのは嫌だ。
「死神さん、お願い。
彼との記憶を、消さないで……」
昔、会えなくなる前に気持ちを伝えられなかったことを、ずっと後悔していた。
もし記憶を消してしまったらこれから先もまた後悔し続けることになるだろう。
「彼に気持ちを伝えられたこと、彼に好きって言って貰えたこと、全部大切な思い出なの。
忘れたくないよ……」
青のノートをそっと抱きしめる。
これは、こうちゃんが生きた証だから。
こうちゃんの大切なものが全部書かれているものだから。
たとえみんなが忘れても、私だけは忘れちゃいけない。
「契約、しましょう」
どこにいるのかわからない死神に向けて、はっきりとそう告げる。
「おっけー」
死神は相変わらずの軽い口調で話を進める。
これから先、私だけがこうちゃんが生きていたこの1年間を知っていることになる。
それを誰かに言った場合、私は死ぬ。
そういう契約だ。
改めて契約の内容について確認する。
「それじゃあ、ボクはこれで」
その声を最後になんの声も聞こえなくなった。
どうやら死神はいなくなったようだ。
『今日は久々に会えて嬉しかった。
帰る時、本当はもう少し一緒にいたかったけどこれ以上迷惑かけるわけにもいかなくて帰った。
また、会えたら嬉しい』
そしてそれは私が引っ越してしまった日も──
『今日、部活が早く終わったからことねを驚かしに家に行ってみた。
でもインターホンを押しても誰も出なかった。
どうやら引っ越したようだった。
一言、何か言って欲しかった』
チクリと胸の痛みを感じながらまた1ページ、1ページとめくる。
そこから先は白紙が続いた。
最後のページ、たった1文。
それを見た瞬間、私の目から大粒の涙が溢れた。
『俺は琴音のことが好き』
丁寧に書かれたこうちゃんの字が私の涙で滲んでいく。
『いつか必ず琴音と再会して、この気持ちを伝えたい』
楽しいことを書き留めていたはずのノートに記された、たった1つの願い。
「こうちゃん……」
こうちゃんは昔から私のことを好きでいてくれた。
離れてしまっても、私のことを想っていてくれた。
「彼は生きてキミに会いたくてボクと契約した。
ボクからの契約条件は彼の大切な人の記憶を奪うこと。
そして残念な事にボクが奪った記憶はキミとのもの。
彼はボクと契約した理由すらも忘れてしまったんだよ」
こうちゃんは大切なものを失くしたとしても、それでも私に会おうとしてくれていた……
「彼はキミのことをこんなにも想っていたのに、その全てを、今度はキミが忘れてしまうのかい?」
こうちゃんはもう居ない。
それは辛くて、いっそ忘れられるなら忘れてしまいたいこと。
でも、彼が私のことを好きでいてくれたことすらなくなってしまうのは嫌だ。
「死神さん、お願い。
彼との記憶を、消さないで……」
昔、会えなくなる前に気持ちを伝えられなかったことを、ずっと後悔していた。
もし記憶を消してしまったらこれから先もまた後悔し続けることになるだろう。
「彼に気持ちを伝えられたこと、彼に好きって言って貰えたこと、全部大切な思い出なの。
忘れたくないよ……」
青のノートをそっと抱きしめる。
これは、こうちゃんが生きた証だから。
こうちゃんの大切なものが全部書かれているものだから。
たとえみんなが忘れても、私だけは忘れちゃいけない。
「契約、しましょう」
どこにいるのかわからない死神に向けて、はっきりとそう告げる。
「おっけー」
死神は相変わらずの軽い口調で話を進める。
これから先、私だけがこうちゃんが生きていたこの1年間を知っていることになる。
それを誰かに言った場合、私は死ぬ。
そういう契約だ。
改めて契約の内容について確認する。
「それじゃあ、ボクはこれで」
その声を最後になんの声も聞こえなくなった。
どうやら死神はいなくなったようだ。
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