1 / 1
黄昏時にピーッちゃんがやってきた
しおりを挟む
登喜子は時々思う。(ワタシもう、終わりだな、女としても、人間としても)
そう思うには訳がある。登喜子は今年63歳なのだが、夫は76歳。後期高齢者なのである。昔は一回りも年上で何をするにも頼りになった夫だが、最近は車の免許証も返すといっているし、いつも家にいて物もすぐ忘れる。れっきとした後期高齢者になったのである。
ついでに登喜子の家族を説明すると、娘二人は家を出てアルバイト生活をしている。下の娘はどうやら男と暮らしているらしい。かわいがってくれた父はずっと昔に他界し、頼りの母は半ボケで、ほとんどホーム暮らしである。兄弟はいない。子供の頃は一人っ娘だから、回り中からちやほやされたが、今は生来の押しの強さが災いして付き合っている友達も2,3人しかいない。登喜子の家の婿である夫の実家は日本の果てみたいなところにあるが、ここのところ何年も付き合っていない。
結婚したての頃、夫の実家の近くのアパートに何年か住んだのだが、義姉がきては
「あんたは我儘だ、調子が良すぎる、自分では気がつかず、人の気持ちを逆なでする所がある。ここを直せ、あそこも直せ」
と言ったのでアッチの人間は皆大嫌いになったのだ。
ある朝、いつものように登喜子が、庭を掃いていたら、葉っぱの下がかすかに動いた。
葉をどけるとピンクがかった小さな個体がいる。登喜子は初め、ネズミの赤ちゃんがいるのかと思った。
「あなたー、ちょっと来てー、ネズミの赤ちゃんがいるの」
「本当か、見せてみろ」
久しぶりに夫は威勢の良い声をだして家から飛び出してきた。夫は植物や動物は得意なほうである。
「おい、これ、ネズミじゃないよ、羽らしき物があるじゃないか」
「ということは何、これ鳥なの」
「野鳥のヒナかな?そういえばお隣りの家に燕の巣があっただろ、ヒナが落ちちゃったんじゃないかな」
つづく
そう思うには訳がある。登喜子は今年63歳なのだが、夫は76歳。後期高齢者なのである。昔は一回りも年上で何をするにも頼りになった夫だが、最近は車の免許証も返すといっているし、いつも家にいて物もすぐ忘れる。れっきとした後期高齢者になったのである。
ついでに登喜子の家族を説明すると、娘二人は家を出てアルバイト生活をしている。下の娘はどうやら男と暮らしているらしい。かわいがってくれた父はずっと昔に他界し、頼りの母は半ボケで、ほとんどホーム暮らしである。兄弟はいない。子供の頃は一人っ娘だから、回り中からちやほやされたが、今は生来の押しの強さが災いして付き合っている友達も2,3人しかいない。登喜子の家の婿である夫の実家は日本の果てみたいなところにあるが、ここのところ何年も付き合っていない。
結婚したての頃、夫の実家の近くのアパートに何年か住んだのだが、義姉がきては
「あんたは我儘だ、調子が良すぎる、自分では気がつかず、人の気持ちを逆なでする所がある。ここを直せ、あそこも直せ」
と言ったのでアッチの人間は皆大嫌いになったのだ。
ある朝、いつものように登喜子が、庭を掃いていたら、葉っぱの下がかすかに動いた。
葉をどけるとピンクがかった小さな個体がいる。登喜子は初め、ネズミの赤ちゃんがいるのかと思った。
「あなたー、ちょっと来てー、ネズミの赤ちゃんがいるの」
「本当か、見せてみろ」
久しぶりに夫は威勢の良い声をだして家から飛び出してきた。夫は植物や動物は得意なほうである。
「おい、これ、ネズミじゃないよ、羽らしき物があるじゃないか」
「ということは何、これ鳥なの」
「野鳥のヒナかな?そういえばお隣りの家に燕の巣があっただろ、ヒナが落ちちゃったんじゃないかな」
つづく
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる