4 / 27
レインとラビアン
しおりを挟むカーテンが閉められた部屋のベッドに寝かされていたレインは目を覚ました。
とたんに背中に強烈な痛みが走った。おかげで息がしづらくて苦しい。ハァハァと浅い呼吸を繰り返していると痛みは落ち着き、ゆっくり深呼吸することができた。
上着が脱がされていて、代わりに胸から背中に白い包帯がぐるぐると巻かれている。ああそうか・・・背中にクロスボウの矢が命中したんだっけ。
だんだん思い出してきた。あの夜は確か、討伐隊に待ち伏せされて撃たれて、森まで逃げてきたところで・・・どうなった?
それから呆然と見回すと、どこだか分からない部屋にいる。陽はまだ落ちていない時間だが、幸いカーテンが閉められているおかげで薄暗い。助かった・・・。
そうか・・・吸血鬼と気づかずに、きっと誰かが助けてくれたんだ。気を失ったおかげで能力がきれて、変身もとかれていたのか?
ドアの向こうから足音が聞こえた。それは部屋の前で止まり、ゆっくりとドアが開いて、知らない女性が顔をのぞかせた。
「あ・・・ごめんなさい。起きてるとは思わなくて。」
レインは思わず息をのみこんだ。目の前に現れた彼女は、理想的な年の頃で、容姿も好きなタイプだ。彼女の周りがキラキラと輝いて見えるほど。
可愛い人だな・・・それに、優しそうだ。きっと、血も美味いだろう。ああ・・・傷も痛むし、今すぐにでも欲しい・・・けど・・・。
レインが見惚れながらそんな葛藤をしていると、彼女はスタスタと入室してきて、窓と向かい合い、カーテンに手を伸ばした。
「待って!」レインはあわてて言った。「カーテンを開けてくれようとしてるなら、お願い、そのままで。えっと・・・実は皮膚の病気で・・・太陽の光がダメなんだ。」
「体が弱い・・・ってこと?」
「そうなるかな・・・。」
「・・・・・・。」
「え・・・なに?」
疑われてる・・・? もしかして、吸血鬼って分かって・・・。
「あなたの背中の傷ね、とても深かったの。子供たちも心配して、一人が背中に突き刺さっていたものを勝手に抜いちゃったんだけど、出血が思ったより大したことなかったっていうか・・・。だから、意外と丈夫なんだって思ってたから。」
人間なら出血多量でショック死する重傷だろう。この子・・・かなり暢気で鈍いのか? 天然?
「えっと、私はラビアン。ここではラヴィって呼ばれているわ。」
「俺はレイン。助けてくれて、ありがとう。で、ここは・・・?」
「孤児院よ。私が管理人。」
ということは、大人はいないのか・・・? そう推測したレインの頭は一瞬で計画を立てていた。生まれつきの性と習慣のせいだ。
もしそうなら、都合がいい。美味しそうな彼女の血と、それに、新鮮な子供の血も手に入る。そうすればこんな傷、すぐに癒えるだろう。
今夜・・・。
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
助けた騎士団になつかれました。
藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。
しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。
一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。
☆本編完結しました。ありがとうございました!☆
番外編①~2020.03.11 終了
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。
たまこ
恋愛
公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。
ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。
※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる