117 / 161
わたしがわたしになるまで
【第33話:いっぱいいっぱいです】
しおりを挟む
ドォン!
丁度出口から続く橋の終わり、街道との接続口に土煙が高々と上がる。
橋に落ちたなら穴が開いていた勢いだった。
スタっとスヴァイレクが土煙と反対側の斜面に着地。
汗だらけになった顔が落下したユアを見る。
空中で突然真下に落ちたのだ。
外れたユアの剣先は橋の基部にある塔を、丸ごと消し去っていた。
黒い粒子が舞っている。
「無事かしら?スヴァイレク」
背後に気配。
セルミアの声だった。
振り向くスヴァイレクの横にセルミアが立つ。
「仕留めてはいない。すぐ逃げなさい」
表情は無く、有無を言わせぬ迫力があった。
静かな声に。
「‥はっ」
一騎打ち中の横槍に不満は大いにあったが、ここは従い闇に消えるスヴァイレク。
じっと土煙を見るセルミア。
一筋汗が滑り降りる。
土煙の中から輝く赤光が二つ、セルミアを捉えているのだ。
「こわいこわい」
呟いた瞬間に煙のように消えたセルミア。
土煙が納まってくるとそこには、赤い輝きを両目に宿すユアが黄金の剣を持ち仁王立ちに立っていた。
一列に並び互いを隠しながら突撃してくるメイド。
3人で惑わした上、手数で圧しようとの動きだ。
止む無く右回りに後退するカーニャ。
(上手く距離を開けられた)
後方から迫る飛び道具をレイピアで払い、つむじ風のように横回転のカーニャ。
レイピアからはカーニャの身長ほどの金の光。
3人のメイドが縦に並んだまま横に薙ぎ払われる。
胴から真っ二つであった。
力技はカーニャの体力をどんどん削っていく。
回転の勢いはそのまま後方から迫った別のメイドに向き、これをレイピアの突きが貫く。
正確に左胸に大穴を開けた。
ゾクっと悪寒がカーニャをなでる。
予感に従い真横に倒れた頭上を、何かが横切りカーニャの髪が数本飛んだ。
ドンッ!!
カーニャの横に降り立つ影。
細身の姿がだが、今までのメイドとは圧が違う。
(な!?)
キン!!
カーニャの金色のレイピアが際どく受けたのは黒いレイピア。
正当剣術の流れを組む滑らかな動き。
老いてなお覇気みなぎるメイド長であった。
剣先を向けてくる構えには、一部の隙も無い。
「これ以上はやらせん」
メイド長は部下達の死を目の当たりにして、静かに怒りを纏っていた。
キキィン!
左右にしなりながら放たれた連続突きを、綺麗に受け流すカーニャ。
二人の視線が同時に上を向く。
尋常ではない鋭い魔力の高まりを感じたのだ。
隙ととらえたカーニャが前蹴りで距離を取り、同時に詠唱を開始する。
右手城壁の上に白銀の輝き。
(アミュアの魔力!?なんて強度?)
少し距離があるのに、カーニャの髪が揺れるほどの衝撃波がくる。
一瞬気を取られたが、メイド長から目は放さなかった。
突き出した右手の先に緑に輝く槍が4本。
「スパイライルゲイル!!」
メイド長の前に4人のメイドが守るように飛び出してくる。
ドドドド!
あやまたず、メイドを貫く風の槍。
致命傷ではないが、戦闘不能だろう。
これで半分以上たおしたはずと、左右に油断なくカーニャの目線が飛ぶ。
瞬間カーニャの左肩に激痛。
メイド4人に意識が行った隙に回り込まれたのだ。
メイド長のお手本のような姿勢で突き出したレイピアが、カーニャの肩を軽く貫いた。
(まずいしびれが、毒か?!)
左に回転しながら黒いレイピアを抜き、血の糸を引きながら防御姿勢。
追撃はなかった。
上空から10本以上の氷の矢が複雑な軌道で落ちてくる。
回避しながら下がったメイド長と距離が開く。
「無事ですか?カーニャ」
カーニャの右横にレビテーションで降下してきたアミュアだ。
「ユアの方は終わったみたいだった。動きが無くなっていた」
「ごめん毒もらったかも。左手が動かない」
「わたしも魔力切れになりそう。援護して」
言葉と共に、すいっと前に出るアミュア。
全身にうっすら赤い炎が纏われるラウマの異能だ。
風のようにアミュアをよけ、カーニャにとどめを刺したいメイド長のレイピアが蹴り上げられた。
アミュアの左後ろ回し蹴り。
綺麗に斜め上に抜け、くるりとメイド長と正対する。
右手を引き、左手の手刀がメイド長を指し示す。
美しいとさえいえる構えだった。
メイド長も油断なく間合いをせめぎ合っていた。
その時ミーナのいる馬車の周りで爆発が起きる。
ドーンとなり土煙が上がる。
ドンっとアミュアが魔力を纏い飛行魔法。
残った魔力を振り絞る。
(あれはユアを狙ったやつだ!上から撃っている)
ドォン!
二つ目の爆発。
正確に先の着弾と馬車の中間に落ちた。
(つぎは馬車にあてるぞと、脅している?間に合って)
馬車の扉に激しくぶつかったアミュアが上に向かい小さな結界を張る。
傘の様な円錐形の結界。
この短時間で残った魔力でできるベストな結界だ。
ドォォン!
土煙が馬車を覆った。
カーニャが何とか片膝で立ちあがった時には周囲に敵はもういなかった。
まるで目的はかなった、と言うように。
その時土煙の中から叫びがあがった。
「いやあぁぁあぁ!」
煙が晴れると、そこには壊れた馬車とミーナを抱きしめるアミュア。
「ミーナ!!こたえて!!」
カーニャの顔からも血の気が引いた。
そのカーニャを抱き上げる腕。
「カーニャ?無事だった??」
ユアの厳しい顔がそこにはあった。
一瞬で馬車まで走り、そっとカーニャを地に降ろす。
「アミュア落ち着いて!ちゃんと見ないとわからないよ!」
ユアに肩をゆすられ、われに返るアミュア。
「ミーナが!ミーナがぁ!」
ミーナのお腹には、割けて飛び出した木材が深々と刺さっていた。
動かせば出血でショック死しかねない。
それらはアミュアにも沢山の傷を負わせているのだった。
すっとアミュアの右手にユアの左手が重なる。
「落ち着いてアミュア、ラウマ様にお祈りしてみよう。きっとまたミーナを救ってくれるはず」
取り乱して涙を流していたアミュアの目にも、意思の光が宿る。
ミーナを抱えたまま左手をユアにさしだした。
二人の左手から互いの右手に黄金の輝きが染み渡って行き、やがて二人の腕が作り出す黄金の輪と、二人をミーナごと包み込む大きな黄金の輪が二重に輝き、辺りを激しく照らす。
間近に座るカーニャは、眩しくて目を開けていられなかった。
丁度出口から続く橋の終わり、街道との接続口に土煙が高々と上がる。
橋に落ちたなら穴が開いていた勢いだった。
スタっとスヴァイレクが土煙と反対側の斜面に着地。
汗だらけになった顔が落下したユアを見る。
空中で突然真下に落ちたのだ。
外れたユアの剣先は橋の基部にある塔を、丸ごと消し去っていた。
黒い粒子が舞っている。
「無事かしら?スヴァイレク」
背後に気配。
セルミアの声だった。
振り向くスヴァイレクの横にセルミアが立つ。
「仕留めてはいない。すぐ逃げなさい」
表情は無く、有無を言わせぬ迫力があった。
静かな声に。
「‥はっ」
一騎打ち中の横槍に不満は大いにあったが、ここは従い闇に消えるスヴァイレク。
じっと土煙を見るセルミア。
一筋汗が滑り降りる。
土煙の中から輝く赤光が二つ、セルミアを捉えているのだ。
「こわいこわい」
呟いた瞬間に煙のように消えたセルミア。
土煙が納まってくるとそこには、赤い輝きを両目に宿すユアが黄金の剣を持ち仁王立ちに立っていた。
一列に並び互いを隠しながら突撃してくるメイド。
3人で惑わした上、手数で圧しようとの動きだ。
止む無く右回りに後退するカーニャ。
(上手く距離を開けられた)
後方から迫る飛び道具をレイピアで払い、つむじ風のように横回転のカーニャ。
レイピアからはカーニャの身長ほどの金の光。
3人のメイドが縦に並んだまま横に薙ぎ払われる。
胴から真っ二つであった。
力技はカーニャの体力をどんどん削っていく。
回転の勢いはそのまま後方から迫った別のメイドに向き、これをレイピアの突きが貫く。
正確に左胸に大穴を開けた。
ゾクっと悪寒がカーニャをなでる。
予感に従い真横に倒れた頭上を、何かが横切りカーニャの髪が数本飛んだ。
ドンッ!!
カーニャの横に降り立つ影。
細身の姿がだが、今までのメイドとは圧が違う。
(な!?)
キン!!
カーニャの金色のレイピアが際どく受けたのは黒いレイピア。
正当剣術の流れを組む滑らかな動き。
老いてなお覇気みなぎるメイド長であった。
剣先を向けてくる構えには、一部の隙も無い。
「これ以上はやらせん」
メイド長は部下達の死を目の当たりにして、静かに怒りを纏っていた。
キキィン!
左右にしなりながら放たれた連続突きを、綺麗に受け流すカーニャ。
二人の視線が同時に上を向く。
尋常ではない鋭い魔力の高まりを感じたのだ。
隙ととらえたカーニャが前蹴りで距離を取り、同時に詠唱を開始する。
右手城壁の上に白銀の輝き。
(アミュアの魔力!?なんて強度?)
少し距離があるのに、カーニャの髪が揺れるほどの衝撃波がくる。
一瞬気を取られたが、メイド長から目は放さなかった。
突き出した右手の先に緑に輝く槍が4本。
「スパイライルゲイル!!」
メイド長の前に4人のメイドが守るように飛び出してくる。
ドドドド!
あやまたず、メイドを貫く風の槍。
致命傷ではないが、戦闘不能だろう。
これで半分以上たおしたはずと、左右に油断なくカーニャの目線が飛ぶ。
瞬間カーニャの左肩に激痛。
メイド4人に意識が行った隙に回り込まれたのだ。
メイド長のお手本のような姿勢で突き出したレイピアが、カーニャの肩を軽く貫いた。
(まずいしびれが、毒か?!)
左に回転しながら黒いレイピアを抜き、血の糸を引きながら防御姿勢。
追撃はなかった。
上空から10本以上の氷の矢が複雑な軌道で落ちてくる。
回避しながら下がったメイド長と距離が開く。
「無事ですか?カーニャ」
カーニャの右横にレビテーションで降下してきたアミュアだ。
「ユアの方は終わったみたいだった。動きが無くなっていた」
「ごめん毒もらったかも。左手が動かない」
「わたしも魔力切れになりそう。援護して」
言葉と共に、すいっと前に出るアミュア。
全身にうっすら赤い炎が纏われるラウマの異能だ。
風のようにアミュアをよけ、カーニャにとどめを刺したいメイド長のレイピアが蹴り上げられた。
アミュアの左後ろ回し蹴り。
綺麗に斜め上に抜け、くるりとメイド長と正対する。
右手を引き、左手の手刀がメイド長を指し示す。
美しいとさえいえる構えだった。
メイド長も油断なく間合いをせめぎ合っていた。
その時ミーナのいる馬車の周りで爆発が起きる。
ドーンとなり土煙が上がる。
ドンっとアミュアが魔力を纏い飛行魔法。
残った魔力を振り絞る。
(あれはユアを狙ったやつだ!上から撃っている)
ドォン!
二つ目の爆発。
正確に先の着弾と馬車の中間に落ちた。
(つぎは馬車にあてるぞと、脅している?間に合って)
馬車の扉に激しくぶつかったアミュアが上に向かい小さな結界を張る。
傘の様な円錐形の結界。
この短時間で残った魔力でできるベストな結界だ。
ドォォン!
土煙が馬車を覆った。
カーニャが何とか片膝で立ちあがった時には周囲に敵はもういなかった。
まるで目的はかなった、と言うように。
その時土煙の中から叫びがあがった。
「いやあぁぁあぁ!」
煙が晴れると、そこには壊れた馬車とミーナを抱きしめるアミュア。
「ミーナ!!こたえて!!」
カーニャの顔からも血の気が引いた。
そのカーニャを抱き上げる腕。
「カーニャ?無事だった??」
ユアの厳しい顔がそこにはあった。
一瞬で馬車まで走り、そっとカーニャを地に降ろす。
「アミュア落ち着いて!ちゃんと見ないとわからないよ!」
ユアに肩をゆすられ、われに返るアミュア。
「ミーナが!ミーナがぁ!」
ミーナのお腹には、割けて飛び出した木材が深々と刺さっていた。
動かせば出血でショック死しかねない。
それらはアミュアにも沢山の傷を負わせているのだった。
すっとアミュアの右手にユアの左手が重なる。
「落ち着いてアミュア、ラウマ様にお祈りしてみよう。きっとまたミーナを救ってくれるはず」
取り乱して涙を流していたアミュアの目にも、意思の光が宿る。
ミーナを抱えたまま左手をユアにさしだした。
二人の左手から互いの右手に黄金の輝きが染み渡って行き、やがて二人の腕が作り出す黄金の輪と、二人をミーナごと包み込む大きな黄金の輪が二重に輝き、辺りを激しく照らす。
間近に座るカーニャは、眩しくて目を開けていられなかった。
0
あなたにおすすめの小説
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
これでもう、『恥ずかしくない』だろう?
月白ヤトヒコ
恋愛
俺には、婚約者がいた。
俺の家は傍系ではあるが、王族の流れを汲むもの。相手は、現王室の決めた家の娘だそうだ。一人娘だというのに、俺の家に嫁入りするという。
婚約者は一人娘なのに後継に選ばれない不出来な娘なのだと解釈した。そして、そんな不出来な娘を俺の婚約者にした王室に腹が立った。
顔を見る度に、なぜこんな女が俺の婚約者なんだ……と思いつつ、一応婚約者なのだからとそれなりの対応をしてやっていた。
学園に入学して、俺はそこで彼女と出逢った。つい最近、貴族に引き取られたばかりの元平民の令嬢。
婚約者とは全然違う無邪気な笑顔。気安い態度、優しい言葉。そんな彼女に好意を抱いたのは、俺だけではなかったようで……今は友人だが、いずれ俺の側近になる予定の二人も彼女に好意を抱いているらしい。そして、婚約者の義弟も。
ある日、婚約者が彼女に絡んで来たので少し言い合いになった。
「こんな女が、義理とは言え姉だなんて僕は恥ずかしいですよっ! いい加減にしてくださいっ!!」
婚約者の義弟の言葉に同意した。
「全くだ。こんな女が婚約者だなんて、わたしも恥ずかしい。できるものなら、今すぐに婚約破棄してやりたい程に忌々しい」
それが、こんなことになるとは思わなかったんだ。俺達が、周囲からどう思われていたか……
それを思い知らされたとき、絶望した。
【だって、『恥ずかしい』のでしょう?】と、
【なにを言う。『恥ずかしい』のだろう?】の続編。元婚約者視点の話。
一応前の話を読んでなくても大丈夫……に、したつもりです。
設定はふわっと。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる