きぃちゃんと明石さん

うりれお

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本編

①そんな才能秘めてたなんて聞いてません!※

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田所たどころ季衣きいは混乱していた。

「……明石…さん?」

「おはよ、きぃちゃん。
  ってまだ夜中なんだけど。」

名前を呼ばれ意識は取り戻したものの、全く状況が飲み込めていない季衣に明石さんこと明石柊真がへらっと笑いかけてくるが、笑い事ではない。

会社の飲み会に誘われたが、課長に無理を言って見逃してもらって、いつものように彼と居酒屋で飲んで、セカンドについて心ゆくまで語り合ったのは覚えているのだが。

「私…………なんで明石さんと……シてる ん?」

そう。膝頭を合わせられないということは何かに脚を開かれているということで、視線を下に向けると、やはり彼の身体で膝が割られて、私の腟内に彼のものが収まり、私の腹部を圧迫している。
紛れもないセックスである。
だとすれば、ここはホテルか彼の家か。
どちらにせよ、お持ち帰りされた事実に違いはない。
どうしよ、全然記憶ない。

焼かれるような熱さの原因はコレだったのか。
それも今や、痛みも熱さもほとんど疼きに変換されており、入口がヒリヒリする程度だが、消えた記憶の間にどれほど慣らされたかなんて、恥ずかしすぎて想像したくもない。

視線を上に戻すと、再び目が合った彼が形の良い眉を下げて

「えっ、もしかして記憶ない?嘘ッ、
  いやっ、なんていうか、そのっ、
  お酒の勢いっていうか、あのっ、ね。
  一応同意の上ではあったんだよっ。
  …………やっぱ誘惑に負けた俺が悪いよなぁ。」

とか何とか言っている。
話を聞くに、二人して酒に夢中になり私が終電を逃した結果、酔っ払ったノリでベッドにインという感じらしい。
ちなみにここは明石さんのお家だという。

思い出したくもないが、アルコールの入った私の事だから、処女のくせして

『えへへっ、明石さんにならいいですよぅ。』

とか言って誘いに乗ってしまったのだろう。
言っていなくてもここにいる時点で、確実に私にも非がある。

酔っ払って処女喪失とか、何やってんの私。
記憶ないし、明らか明石さんちょっと困ってるし、恥ずかしすぎる……。
しばらくお酒飲むのやめよぅかなぁと真剣に考え始めて、

「もしかして怒ってる?うわっごめんッ。
  なんなら、殴ってくれてもいいから
  嫌いにならないでっ。」

黙り込んだ私が怒っていると勘違いしたのか、彼が顔を真っ青にして謝ってきた。
こんなに必死な明石さんも珍しいなぁと思いながら彼の言葉を否定する。

「怒ってないし、嫌いになんてなりませんよ。
  ……めちゃくちゃ恥ずかしいですけど。」

きっと彼は据え膳を食っただけなのだから。 

「でも、初めて奪っちゃったし。
  俺、きぃちゃんの恋人でも彼氏でもないし。
  ホントにいいの?」

「別にいいですよ。彼氏も、初めてをあげたい、
  んっっ、人もおらんし。んっッ」

今現在というか、彼氏いない歴=年齢の私には関係ないので別にいい。
別にいいのだが、ぐじぐじ言いながら、前のめりになるのはやめてもらえないだろうか。
膣内が擦られるおかげで変な声が出ちゃったじゃないか、恥ずかしい。

「えっ。きぃちゃん彼氏いないの?」

やけに食い気味やなぁ。

「いませんってばぁ…ぅんんっっ。そもそも、
  んっひぅッ…彼氏おったら週末に一人で居酒屋
  になんていないですって。」

彼氏おんのに男の人とサシ飲みはどう考えてもアウトやろ。
くだらん話してる間に、私の身体ちゃんが律儀に快感を拾いはじめちゃったよ。
どうしてくれる。

「たしかに、それもそうか。
  ……そっかぁ、きぃちゃん彼氏いないんだぁ。
  へぇ…そっか、そっか。」

そっか、そっかってなんやねん。
馬鹿にしてるん?自分も彼女おらんくせに。
ジロリと睨むような目を向けると、クスッと笑われて頭を撫でられる。

 「じゃあ、遠慮しなくていいんだね?」

あれ、なんか顔っていうか、目が変わった……?
あっ、今、腰揺らさんとってッ。
明石さんが今まで見た事がないような顔をしていて、頭が混乱する。
さっきまでらあんなに顔を真っ青にして謝ってきたのも、罪悪感でいっぱいですみたいな感じでいじいじしていたのも、演技やったんかってレベルの人の変わりようやけど、こっちが本性ですか?

「で、どうする?やっぱやめとく?」

何故かいつも惹き付けられるその顔に、彼は酷く意地悪な笑みを浮かべて問いかけてくる。
どうやら私は、起こしてはいけない獣を起こしてしまったようだ。
瞳の奥にほんの少しの加虐心が潜むその顔にどきりとしてしまう私は案外Mなのだろうか。
それとも、こういう顔がドストライクなのだろうか。

問いかけるような格好を取っているが、恐らく彼の中では私を抱く(苛める)ことは決定事項なのだろう。顔がそう言っている。
ギャップにときめいてる自分大丈夫か。

とちゅっ、とちゅ、とんとんっ、とちゅんっ、

「そんな、こと言ってっ、
  やめるつもりないっ、くせにぃッ。」

「あはっバレた?」

とちゅっ、とんとんとん、とちゅっッ、
とちゅっ、とちゅんっとちゅ、ぐちゅっッ、

「バレた?じゃ、んなぃっやろッ!
  しゃべってるんっ、のにぃ、ぅんっはっ。」

「しゃべってるのに?」

くちゃくちゅ、とちゅんッ!
ぐりっ、とんとんっ、

「とんとんっ、するからぁっ!
  はぁっ、はぁーっんんっ。」

隠す気もさらさらないというような彼の態度を詰るにも、いつの間にか先端でとんとんと小突かれているせいで、まともにしゃべれなくなってしまった。
そもそも初めてなのに、痛みもなく声が我慢出来なくなるほど感じてしまうのは普通のことなのだろうか。もしかして私の身体がとんでもなく淫乱とか?
うーん、やっぱり明石さんのせいにしーとこっ。

「うん、ごめんね。我慢出来なくて。
 でもこればっかりはきぃちゃんが可愛いすぎる
 のが悪い。
 トロトロの笑顔で『明石さんにならいいですよぅ』
 とか言われて我慢出来るわけないじゃん。
 腟内ほぐすときも、必死に俺のシャツにしがみ
 ついて、涙流して喘いでるとか可愛すぎて鼻血
 出そうなくらいだったよ。
 反則だろこんなの。
 理性戻っても、逃げようとも抵抗しようともし 
 ないし。」 

言ってた。やっぱり言ってた。
一言一句大正解。そんで私のせいやった。 

酔っている間の記憶はないのに、トロトロになって明石さんに甘える自分の姿が目に見えるように頭に浮かんできて、今すぐ穴があったら入りたい、いや逃げたい。

そして、あろうことか目覚めてから、諦めて抱かれるという選択肢しか頭になかった事に、彼に指摘されてから初めて気が付いた。 

やっぱり私はえっちな子なんかなぁ。
ふわふわしてきた頭で必死に思考を巡らせ、自らの痴態に悶える私を見て、彼が心底楽しそうに笑う。











 

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