きぃちゃんと明石さん

うりれお

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番外編Ⅱ

三回勝負する話

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「柊真さーんっ、オセロしません?」

彼女が下の名前で呼んでくれるようになってから数ヶ月が経って、相変わらず同棲は叶わぬまま、お互い隣同士の家を行ったり来たりしている。

「ん?オセロ?いいよ。」

結局、『柊真』と呼び捨てにしてくれたのはあの日だけで、『明石さん』に戻りそうな所を、お互いが譲歩して『柊真さん』に落ち着いたのである。
でも俺はまだ諦めてないよ、きぃちゃん。

「んで、それ勝ったらなんかあるの?」

一重なのにぱっちりとした目の瞳をキラキラと輝かせて、配達されたピザのような平べったい箱をガシャガシャと振っているのを見るに、ただゲームがしたいだけではないだろう。
何かして欲しい事があってのおねだりか、罰ゲームか。

「んふっ、『勝った人のお願いを何でも聞く』
  っていう条件で、三回勝負。
  勝った回数分お願いできます。」

顔の横で三本の指を立てて、自分が勝つことが決まっているかのような顔をするものだから、ついついからかいたくなってしまう。

「へぇー、三回もお願いできるの?
  えぇ~、何してもらおっかなぁ。」

「あっ、ちょっとっ、
  なんできぃが負ける前提なんっ。」

あはは、可愛い。
今みたいにタメ口になる事がたまにある彼女だが、それが無意識なのかワザとなのかは、柊真には判断出来ない。
いずれは常にタメ口で話して欲しいけれど、彼女は自分との年の差に萌えを感じている節があるようで、それを柊真のわがままで取り上げるのもどうかと思って、なかなか言えずにいる。

「まぁまぁ、
  こういうのは先に決めといた方がやる気出るでしょ?
  きぃちゃんは何にするか決めた?」

「う~ん、まだ悩んでます。
  あ、でも勝つまで内緒ですよ。
  じゃないと面白くないですからね。」

まだお願い決まってないのに、そんなに張り切ってんの?
なにそれ可愛い。

「わかった。
  ……よしっ、じゃあ真剣勝負といきますか。」

かくして、柊真と季衣は、相手にお願いする権利をかけて、オセロ勝負をすることとなった。
 













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