ひねくれぼっちが異世界転生したら雑兵でした。~時には独りで瞑想したい俺が美少女とイケメンと魔物を滅すらしい壮大冒険譚~

アオイソラ

文字の大きさ
4 / 123
序章

約束の代わりに、サヨナラを②

しおりを挟む
 
 人は死ぬ時、死ぬくらい危険な時、世界がスローモーションで見えるっていう。
 あれは、本当だ。
 知ってた? 結構経験してる人いるよね。俺は二回経験してる。
 一回目は前世を終わらせた時。コマ送りの電車が今でもはっきり思い出せる。
 二回目は今、コマ送りの球体スフィアと、それに近づいていく剣先。
 球体スフィアの底に手を伸ばすアセウスも見えた。
 
 剣が届いたところで、どうなる保証もなかった。
 球体スフィアの魔力にはじかれて、俺が消滅するだけかもしれない。
 ――それでも、その何等分にもされた一瞬の間、何か満ち足りた心地がした。
 剣
 先
 は、
 球体スフィア
 に
 届いた!
 
 バリ バリバリィィッッ バチ  バチッバチ バチッッ――
  バリッ  バリッ    バチバチィ  バチッッ
 
 激しい雷鳴と稲妻が闇を切り裂き、物凄い勢いでその眩しい裂け目に身体が吸い込まれていくっ
 一面の白光から別の次元っ!! やはり漆黒の闇!!
 俺は闇の中に一人漂っていた。辺り一面ひたすらの闇。
 アセウスの入った球体スフィアとイーヴル・アイが、画面映像のように、遠くに映し出されていた。
 
なんじの願いに偽りはないか』
 
 声が頭の中にとどろいた。
 さっきの世界とを繋ぐ裂け目から、青白い光が流れ込み、俺の前で形を造っていく。
 
 『絶対に助ける、命を懸けてもという言葉、たがえぬと誓えるか』
 
 たなびく長い巻き毛
 目鼻から顎にかけての美しい輪郭
 
 ……これってっっ女の子っ?! ……しかも超っ絶っ可愛い!!!!
 
 細くなまめかしい曲線を描く首から肩
 触ってといわんばかりの鎖骨
 柔らかそうな形で弾む豊満な胸
 
 うぉおななななななななんで裸ぁァァ!!!!
 えぇっっ?! これ俺見ていいやつ?!?! ダメと言われても見るっっ
 ここまで来たら見るけどォォ!!
 
『…… …… ……………… ……えよ』
 わずかに筋肉がのぞく腹から腰へと続くくびれ
 色が無いのは惜しいが脳内着色すればいい話だっ
 なんで「雪国」が出てきたか謎だったけど、この予兆だったんだな
 エロいって聞いて読んだけど、リア厨には生々し過ぎて一頁でリタイアした本。
 今なら、……俺も指の匂いを嗅げる!! かもってこと?!
 ぁあ!! ダメだ!!
 肝心なところはガスっててモヤモヤしてて、見えねぇェェェエ!!!!
 
 『如何に。……答えよ!!』
 
「……あっっ! はいっっ!!」
 
 
 大音量で轟かれて、俺はとっさに返事をした。
 すんませんっ、全然聞いてなかったわ(汗)
 てゆーか可愛いんだから、可愛いはずの声で聞きたい。
 頭に響くやつは声というより音で、思念派で、どっちかというと恐い……
 
『ならば、ここに契約を成そう。形代かたしろに預けし我が力、汝のものと成す。汝、形代の生命いのち忠僕しもべと成らん!! 我が名はゴンドゥル!』
 
 轟音が響くと共に、青白い光で出来た人形ひとがたはまばゆい閃光となった。
 そのまま閃光は空間を瓦解させ、次元そのものが大きく爆発する!!
 
 カッッッ!!!!
 
 その一瞬で、俺は初めの・・・異空間、オンボロ家具とイーヴル・アイの目の前に戻って来ていた。
 ビリビリとイーヴル・アイの魔力が身体を押し潰してくる。すごい圧だ……。
 だが、少し前とは決定的に違っていた。
 俺の身体は異空間の闇の中に浮いていて・・・・・
 剣を構える腕に、
 
 ……!!!! 色が付いてる!! てゆーか実体があるっ!!
 めっちゃふわふわしてる~っつか、胸っっ当たってるから!!! もっと来てぇえェェ!!
 
 俺はすぐ隣で腕にしがみついている可愛い彼女ゴンドゥルをマジ見しました。
 黄色人種にほんじんの色白とは全然違う、透けるような白い肌。
 くるんくるんと長くたなびく髪はプラチナブロンド。
 うっすらピンクに見える乳白色の衣に、
 アイスシルバーの鎧兜よろいかぶとをまとっている。
 
 ……これは……いわゆるワルキューレたんですか!!
 美少女はデフォで風をまとうんですね!
 衣や髪がひらひら舞って垣間見えるいろんなところがエロいですっっ。
 
 そんなことを思いながら、ゴンドゥルと名乗った彼女を、
 というか主に鎧の胸当てからあふれでて腕に当たっている胸を見ていると、
 大きな群青色の瞳がすぐ近くで俺を見ていた。
 きらきら光るプラチナブロンドの睫毛まつげが可愛すぎるっっ
 
 
「やらぬのか?」
 
 
 絡める腕の力を強めて彼女ゴンドゥルが言った。
 
 
「やりますっっ、て、え?! いいんですか?! いきなり?! 」
 
 
 思っていたより高く軽やかな声に、俺は身体全体でびっくりする。あかん、DT弱すぎ!
 そして、漫画みたいな積極的に迫られる展開ぃィ?! DTには難易度高い!!
 
 
「契約は成された。われのすべては汝の思うがままだ」
 
 
 きょどってる俺に冷ややかな目つきになりながら、下半身に刺さるパワーワードを吐く可愛い唇。
 
 
「……分かりました。俺も男です、やらせていただきます……。えっと……初めてなので、上手く出来ないかもですけど……」
 
 
 精一杯のイケ顔(のつもり)を作って彼女ゴンドゥルに告げると、
 
 
「では我が教えよう、あれ・・に向かって剣をふるえ」
 
 
 彼女ゴンドゥルは顎で示しながら顔を「あれ・・」に向けた。
 
 ――イーヴル・アイ
 目の前に現れた雑魚おれに今の今まで忘れ去られてた
 手持ち無沙汰感がにじみ出ちゃってる魔物モンスター
 一応、伝説レジェンドクラス……ゴメン……
 
 …………そうだった……修羅場だったんだっけ……
 ……………………………………………………………………
「やる」ってそのことですね。そうですよねー。
 
 
「転生者ナメんなぁあァァァッ!!」
 
 
 俺はやりきれない想いをぶつけて剣をふるった。
 剣から蒼白い稲妻がほとばしる!!!!
 と、思ったが早いか、稲妻に呑み込まれたイーヴル・アイは瞬滅した。
 イーヴル・アイが場を作っていたらしく、異空間も闇も瞬時に消え去り、浮力を失ったオンボロ家具がオンボロ部屋にゴトゴトと落ちた。
 
 
 
 
 
 ―――――――――――――――――――
 【倒した魔物モンスター
 イーヴル・アイ
 【獲得したアイテム】
 未確認
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。 ※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。

処理中です...