1122ver.R

アオイソラ

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 夫と私はレスだ。
 もう二年以上ずっと、身体の繋がりはない。
 結婚する前はすごく求めあった。
 空っぽの身体に満たされる、溢れる程の愛を感じた。
 だから結婚しないか、と私から提案プロポーズした。
 彼は優しく微笑わらった。
 それが返事だった。
 
 結婚直後は溺れるように身体を重ねた。
 いつからだろう。
 夫は私を求めなくなった。
 いや、違う、私の身体・・・・を求めなくなった、が正しい。
 夫、依人よりひとが私を求めたことはきっと一度もない。
 
「急に冷えたね」
 
 依人はそう呟いて、重ねた私の右手ごと、左手を自分のコートのポケットに入れた。
 暖かい。
 私は依人のポケットの中で、そっと指を絡めて握り直す。
 依人を見上げた私の目線と、私を見る依人の目線が絡み合う。
 そして、何事もなかったように、絡み合っていた目線は離れる。
 彼と私を隔てる風が、冷たく頬を撫でた。
 
 依人と初めて会ったのは、高校三年生の時だった。
 卒業前に、と告白されて初めて付き合った彼氏、広起ひろきの親友だった。
 明るい太陽みたいな広起と対照的で、でも、だからなのか、十年以上の付き合いで何でも話し合える仲というのが納得できた。
 依人は、月みたいな、静かに寄り添ってくれるひとだ。
 彼は広起をとても大切にしていたから、こんなことになるなんて思ってなかっただろう。
 元、とはいえ、親友がプロポーズした婚約者と結婚することになるなんて。
 きっと、依人は苦しんだ。
 悪いのは全部私だ。
 
 依人が私に触れる手は、結婚当初と変わらず優しい。
 愛おしそうに、まるで壊れやすい大事なもののように、私に触れる。
 気づくと、依人はいつも私を見ている。
 慈しむような、切ないようなが私を見つめている。
 ニセモノの愛でも、悲劇を忘れるに十分な多幸感に浸れた。
 それでいい、それ以上は望まない、そう思って結婚したはずだった。それなのに。
「依人が見ているのが、本当に私なら良いのに」
 いつからか、そう思っていた自分に気がついて吐きそうになった。
 弱く、狡い自分が、ただただ気持ち悪い。
 広起のことをあんなにも愛していたのに、今でもこの胸の中から広起を消せないのに、今の私は依人の愛を欲しがっている。
 私の身体を通して、妹杏希あきの面影を偲んでいる依人の愛を。
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