転移無法の育成者 〜勇者パーティーを追放された転移能力者、異世界人を元の世界に戻すことで力を奪い、魔王軍を育てながら最強に至る〜

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第1章 育成準備につき、裏で密かに動いていく

5話 追放と新たな出会い3

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 異世界人を元の世界に戻す……?
 確かに出来なくはないが、どうしてこいつがそれを知っているんだ?

 今まで一度も試したことはない上に、『異世界送還』ついてはスノーを含めて誰にも話した事はないというのに。

「どうして俺にそれが出来ると思ったんだ?」

「んー、今はまだ教えられないかな」

「そうか」

 一応疑問を口に出してはみたが、やはりというか、それを俺に教えるつもりはないらしい。
 しかし、今はまだとは。
 まるでこの先があるような話しぶりだが。

 まあ十中八九スキルによるものなんだろうけどな。
 そう思考を巡らしながら、フードを取った男に視線を移す。

「それで、そこの異世界人を元の世界に戻せ、だっけか」

「ああ。お願いだ、俺を元の世界に戻してくれ! 金なら俺の所持している物を全部出す!」

 額を聞けば、多くはないがしばらくは生活に困らなそうなだけの金額ではあった。

 だが、どういうことだろうか。
 異世界人といえば、好き放題出来るからこっちの世界は最高、などと言ってのけるやつらばかりだというのに。

 まあ多数がそうというだけで、全員が全員そういう人間というわけではないのは分かってはいるが。
 あまりにもそういうのが目立ちすぎるせいで、異世界人と言えばそんなイメージばかりが浮かんでしまうのは否めない。

「俺の知ってる異世界人なら、そういうことは言わないと思うんだが」

 そうして男からその理由を聞く事になる。

「実は俺のスキルは『育成』で、戦闘にはまるで向かないスキルなんだ。最初は経験値を分け与えられるおかげで皆からちやほやされてたんだが。しばらくして力が付いてきたら、もう足手まといだからいらないって言われてな」

 過程は違うけど、最後は俺と似た感じで追い出されたって事か。
 ちょっと親近感を覚えるな。

「それでもう何度も同じ事があって、今じゃ指定召喚のせいで第一世代呼ばわり。勇者や戦士みたいな戦闘職ならいくらいてもいいんだろうけど、俺はそうじゃないし、もう嫌になったんだ」

 共感できる部分が多すぎて、何とも言えなくなった。
 俺はともかくとしても、この人には元の異世界という帰る場所があるだろうからな。

「それで元の世界に帰りたいと」

「そうなんだ!」

 そうして男は頭を下げた。
 ……まあ金は入るし、こちらとしては構わないか。

「わかった、やってみよう」

「本当か! ありがとう!」

「おい、まだこっちに来るな!」

 男が近付こうとしてきたので、声を上げて静止を促す。
 すると、男は足を止めると慌てて元の位置へと戻った。

「え、えっと、何かまずかっただろうか」

 この暗がりで何がまずくないというのだろうか。
 暗い路地には他に人の気配はなく、何かが起きても誰も気づかないだろう。
 だから警戒は怠らない。

「少し、そこで待っているんだ」

 俺は2度転移を行い、元の場所へ帰ってくる。
 それから3度目の転移で男女の2人組も含めて転移を行った。

「わわっ!?」

「うわっ、眩しい!」

 準備をして飛んだ先。
 それは俺がお世話になっている宿屋にある、借りている自分の部屋の中だ。

 部屋は事前に明かりを点けておき、相手から十分距離がある状態で転移を行った。
 急に飛ばされた2人は景色が一瞬で変わったことに驚いたようだが。

「ここなら人目も気にならないだろう? 外套を脱いでくれ。ちなみに周りには他の冒険者がいるからな。下手に騒ぎを起こすのはおすすめしないぞ」

 あの暗闇で近づかれて、外套の下に隠した武器でやられるなんてのはごめんだからな。

 それにここで騒ぎでも起こそうものなら、周辺にいる冒険者たちがすぐに集まってくる。
 これなら多少は安全だろう。

 すると、男が俺の言葉に従って外套を脱ぎ出す。
 ……特に武器になりそうなものはなし、か。
 だが、女は動く気配がない。

「どうした? そっちのあんたも脱いでくれ。じゃないと俺はあんたを警戒しながらやるハメになる。下手をすると、そっちの異世界人がとんでもない場所に飛ぶことになるかもしれないぞ?」

 それを聞いて異世界人が慌てだす。

「頼む、言う通りに早く脱いでくれ!」

 それでも動く気配のない女が、気乗りし無さそうに声を出す。

「えーと、どうしても脱がないとダメ?」

「ダメだ。脱がないのならこの話はなしだ」

 姿を見せないような相手は信用できないからな。
 脱がないのであれば、お帰り願おう。

 女は俺の言葉を聞くと少し考える素振りを見せ、

「んー、わかった。でも、絶対に声は上げないでね?」

 そう念を押してから外套を脱ぎ始めた。
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