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第1章 育成準備につき、裏で密かに動いていく
24話 魔王城侵攻4
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それからしばらく進んでいき、これで5度目の戦闘。
相手は石像の魔物ガーゴイル。
今、翼が破壊されてしまい、もう間もなくの決着というところ。
「よし、次で終わ……またか」
直後にガーゴイルが合図を出したところで、転移を発動させて救護部屋に送り飛ばす。
「だー! どうなってやがるんだ!」
それを見送ることになったマサトが地団駄を踏み、ユウトがため息をつく。
「さすがに魔王城ともなると、一筋縄じゃ行かないって事かな?」
「ここまで1体も倒せてないよね」
「こちらに成果を上げさせずに、一方的に体力の消費をさせる。そんなところでしょうか……」
スノーの言葉通りそれもあるが、実際は可能であるならば全員生き残るというのが魔王軍の目標だからだな。
まあ、ミノタウロスみたいな戦闘狂はそのあたりの優先順位がおかしかったりもするのだが。
魔王軍は悪と教えられてきた俺たちや、そういうものと理解している異世界人では、人よりも仲間意識が強いなんて、まず気づけないだろうな。
「だけど、ようやく何かありそうな場所にたどり着いたね」
「ガーゴイルといえば門番だからな。他にも結界があるみたいだし、扉の先はそれを守る中ボスか?」
ガーゴイルが守っていた背後には金属製の巨大な扉があり、この先にはマサトの言う通りで、結界を解くための試練が存在している。
「扉、大きいねー」
「どうやって開けるのでしょうか……」
「ここは、俺に任せとけ!」
マサトが武器をしまうと、腕を数回ほど回してから扉に手のひらを付けて押し出す形で踏ん張りだした。
その見た目からは信じられないが、巨大な扉がゆっくりとだが音を立てて開き出す。
これはおそらくマサトの所持している『剛力』のスキルのおかげだろう。
力に特化してかなりの補正が入るもので、武器が鈍器なのもそれを活かすためと、前にマサトが話していたな。
「おー、開いた開いた」
「ふー。ま、俺にかかればこんなもんよ!」
「マサトくんは力持ちなんだねー」
「なになに。チサトちゃん、俺に惚れちゃった?」
そんな事を言って、腕の筋肉を見せびらかすマサトに、チサトさんは困惑した様子だ。
正直言ってスキルの補正が大きいせいか、他の冒険者ほど大して体は出来ていないように見えるが。
「えーと」
「早く行きましょう」
それを見かねたからか、スノーが助け舟を出して、一行は扉の奥へと進んでいく。
「ちっ、邪魔しやがって。全部終わった後のお楽しみで絶対泣かせてやる」
近くに居たから聞こえたが、マサトがそう小さくつぶやいてスノーを凝視していた。
さて、最後に泣くのは果たして誰になるんだろうな?
扉をくぐった先は、通路の数倍ほどの幅がある巨大な部屋があり、その奥には4つに別れた扉が存在している。
部屋の中心には石版があり、そこまで移動したところでユウトが石版に書かれた内容を読み上げた。
「えっと、『魔王の玉座にたどり着きたければ、この先にある試練の間にて、4つの扉の奥で待つ強者と戦い勝利し、仕掛けを解除せよ』か、強者って書いてあるし、やっぱりボスかな」
「四天王とかだったりしてな」
「普通に出てくる敵も結構強めだし、ちょっと心配かも」
「頑張りましょうね」
そしてこの先の戦い次第で、俺もようやく動き出すことが出来るようになる。
俺にとっても、彼らにとっても、ここが勝負所になるだろう。
「それに『扉は一度通ると、全ての戦いが終わらない限り開くことはない』か。昔の勇者が攻略したまんまってことかな」
「そのための4パーティーだしな」
それから各々のパーティー同士で話し合いを行って、それぞれどこの扉を通るか決めた様子だ。
各パーティーはすぐに動き出し、補給や装備の確認をした後、扉へと入っていく。
ユウトたちは右から2番目か。
全ての冒険者が扉の奥に消えたのを見届けた後、俺は3度の転移を行う。
そうしてユウトたちの行き先である部屋に、先回りする形でユウトたちが相手をする人物と共に、到着を待っていた。
「ふむ、アイテム無しで飛べるというのもなかなかに便利であるな」
そう言った人物は黒い立派な尻尾を左右に1往復だけ振って、俺の転移で移動した感想をそう述べた。
「一度自分で足を運ばないと行くことができない、という条件がありますけどね」
「そうか。ところで、今度は本当に腕輪をクロエに贈ったそうだな?」
「お土産に欲しいと頼まれたので。スノー……幼馴染の状況について、教えてもらったということもあったので、そのお礼にプレゼントしましたね」
それを聞いて、少し考える素振りを見せた後に、口を開く。
「とどのつまり、一方通行というわけであるな」
「え?」
「いや、こちらの話だ。どちらにしてもリア殿が我の認める強さになれば、の話であるからな。今話しても仕方のないことよ」
「そう、ですか」
前も腕輪の話が出てたが、魔王軍にあるしきたりか何かだろうか。
まあ今は教えてくれる気がないみたいだから訊き返すことはしないが、強さに関係がある話か?
「とりあえずは、これから始まる我と彼奴の戦いに巻き込まれて死ぬ、なんてことが無いようにな。我はともかく、あちらの攻撃には特に注意せよ」
すると、どうやら心配してくれているらしく、そんな言葉をかけてくれた。
ユウトの攻撃はほとんど知っているし、俺を狙って直接攻撃されるとかでもない限りは大丈夫だろう。
「いざとなったら転移で避けますよ」
「それがよいだろう。さて、ようやく到着したようだな」
言われて、扉を見るが変化はない。
俺には分からなかったが、それからすぐに扉が動き出した。
何かのスキルで気配とか存在あたりを感知したというところだろうか。
俺は扉が動いた時点で、即座に『隠遁』のスキルで姿をくらませる。
そうして扉が開ききると、奥から4人の姿が現れた。
ユウトにマサト、チサトさんに、スノーの勇者パーティーだ。
相手は石像の魔物ガーゴイル。
今、翼が破壊されてしまい、もう間もなくの決着というところ。
「よし、次で終わ……またか」
直後にガーゴイルが合図を出したところで、転移を発動させて救護部屋に送り飛ばす。
「だー! どうなってやがるんだ!」
それを見送ることになったマサトが地団駄を踏み、ユウトがため息をつく。
「さすがに魔王城ともなると、一筋縄じゃ行かないって事かな?」
「ここまで1体も倒せてないよね」
「こちらに成果を上げさせずに、一方的に体力の消費をさせる。そんなところでしょうか……」
スノーの言葉通りそれもあるが、実際は可能であるならば全員生き残るというのが魔王軍の目標だからだな。
まあ、ミノタウロスみたいな戦闘狂はそのあたりの優先順位がおかしかったりもするのだが。
魔王軍は悪と教えられてきた俺たちや、そういうものと理解している異世界人では、人よりも仲間意識が強いなんて、まず気づけないだろうな。
「だけど、ようやく何かありそうな場所にたどり着いたね」
「ガーゴイルといえば門番だからな。他にも結界があるみたいだし、扉の先はそれを守る中ボスか?」
ガーゴイルが守っていた背後には金属製の巨大な扉があり、この先にはマサトの言う通りで、結界を解くための試練が存在している。
「扉、大きいねー」
「どうやって開けるのでしょうか……」
「ここは、俺に任せとけ!」
マサトが武器をしまうと、腕を数回ほど回してから扉に手のひらを付けて押し出す形で踏ん張りだした。
その見た目からは信じられないが、巨大な扉がゆっくりとだが音を立てて開き出す。
これはおそらくマサトの所持している『剛力』のスキルのおかげだろう。
力に特化してかなりの補正が入るもので、武器が鈍器なのもそれを活かすためと、前にマサトが話していたな。
「おー、開いた開いた」
「ふー。ま、俺にかかればこんなもんよ!」
「マサトくんは力持ちなんだねー」
「なになに。チサトちゃん、俺に惚れちゃった?」
そんな事を言って、腕の筋肉を見せびらかすマサトに、チサトさんは困惑した様子だ。
正直言ってスキルの補正が大きいせいか、他の冒険者ほど大して体は出来ていないように見えるが。
「えーと」
「早く行きましょう」
それを見かねたからか、スノーが助け舟を出して、一行は扉の奥へと進んでいく。
「ちっ、邪魔しやがって。全部終わった後のお楽しみで絶対泣かせてやる」
近くに居たから聞こえたが、マサトがそう小さくつぶやいてスノーを凝視していた。
さて、最後に泣くのは果たして誰になるんだろうな?
扉をくぐった先は、通路の数倍ほどの幅がある巨大な部屋があり、その奥には4つに別れた扉が存在している。
部屋の中心には石版があり、そこまで移動したところでユウトが石版に書かれた内容を読み上げた。
「えっと、『魔王の玉座にたどり着きたければ、この先にある試練の間にて、4つの扉の奥で待つ強者と戦い勝利し、仕掛けを解除せよ』か、強者って書いてあるし、やっぱりボスかな」
「四天王とかだったりしてな」
「普通に出てくる敵も結構強めだし、ちょっと心配かも」
「頑張りましょうね」
そしてこの先の戦い次第で、俺もようやく動き出すことが出来るようになる。
俺にとっても、彼らにとっても、ここが勝負所になるだろう。
「それに『扉は一度通ると、全ての戦いが終わらない限り開くことはない』か。昔の勇者が攻略したまんまってことかな」
「そのための4パーティーだしな」
それから各々のパーティー同士で話し合いを行って、それぞれどこの扉を通るか決めた様子だ。
各パーティーはすぐに動き出し、補給や装備の確認をした後、扉へと入っていく。
ユウトたちは右から2番目か。
全ての冒険者が扉の奥に消えたのを見届けた後、俺は3度の転移を行う。
そうしてユウトたちの行き先である部屋に、先回りする形でユウトたちが相手をする人物と共に、到着を待っていた。
「ふむ、アイテム無しで飛べるというのもなかなかに便利であるな」
そう言った人物は黒い立派な尻尾を左右に1往復だけ振って、俺の転移で移動した感想をそう述べた。
「一度自分で足を運ばないと行くことができない、という条件がありますけどね」
「そうか。ところで、今度は本当に腕輪をクロエに贈ったそうだな?」
「お土産に欲しいと頼まれたので。スノー……幼馴染の状況について、教えてもらったということもあったので、そのお礼にプレゼントしましたね」
それを聞いて、少し考える素振りを見せた後に、口を開く。
「とどのつまり、一方通行というわけであるな」
「え?」
「いや、こちらの話だ。どちらにしてもリア殿が我の認める強さになれば、の話であるからな。今話しても仕方のないことよ」
「そう、ですか」
前も腕輪の話が出てたが、魔王軍にあるしきたりか何かだろうか。
まあ今は教えてくれる気がないみたいだから訊き返すことはしないが、強さに関係がある話か?
「とりあえずは、これから始まる我と彼奴の戦いに巻き込まれて死ぬ、なんてことが無いようにな。我はともかく、あちらの攻撃には特に注意せよ」
すると、どうやら心配してくれているらしく、そんな言葉をかけてくれた。
ユウトの攻撃はほとんど知っているし、俺を狙って直接攻撃されるとかでもない限りは大丈夫だろう。
「いざとなったら転移で避けますよ」
「それがよいだろう。さて、ようやく到着したようだな」
言われて、扉を見るが変化はない。
俺には分からなかったが、それからすぐに扉が動き出した。
何かのスキルで気配とか存在あたりを感知したというところだろうか。
俺は扉が動いた時点で、即座に『隠遁』のスキルで姿をくらませる。
そうして扉が開ききると、奥から4人の姿が現れた。
ユウトにマサト、チサトさんに、スノーの勇者パーティーだ。
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