転移無法の育成者 〜勇者パーティーを追放された転移能力者、異世界人を元の世界に戻すことで力を奪い、魔王軍を育てながら最強に至る〜

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第2章 始めての育成を経て、危険人物として知れ渡る

46話 オークの村防衛戦3

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 魔法によって生じた煙が晴れると、結界に亀裂が入っているのが確認できた。

「よし。魔法の一斉攻撃、第ニ射用意だ!」

 その事を冒険者たちも分かっているのだろう、後衛の魔法使いに向けた指示の声が俺の耳にも届く。
 それからすぐに、木々の間から大量の魔法陣が現れ始める。

「見張りと思われる雑魚のオークは放っておいて、俺たち前衛も結界を攻撃だ!」

 同時に前衛の冒険者たちも、結界を壊そうと村を目指して駆け寄ってくる。

 そうして冒険者がゴウガとブレブの脇をかなりの速度でもって、素通りしようとした時だった。
 突如、一番先頭を進んできていた冒険者パーティーの体が一斉に森の方向へと吹き飛び、押し戻される。

「うおっ、何が!?」

「攻撃された……のか?」

「なんだあいつ、腕が……」

 俺は見ていたが、ゴウガが冒険者の腹部にそっと触れた次の瞬間、腕を巨大化させていた。
 その腕の膨張による衝撃をもって、冒険者を弾き飛ばしていたのだ。

「おい、こっちはガキだったオークが急にでかくなったぞ……」

「こんなオーク見たこと無いぞ? どうなってやがる」

 それに対して、ブレブはさっきまで子供サイズだった体が成人のオークの姿に変化していた。
 体に対して大きめだった棍棒も、今では体に対してちょうどいい感じの物になっている。

「楽に通れると思うなよ冒険者ども」

「僕たぢがみんなを守るんだ!」

 ゴウガとブレブのそんな様子に、前衛の冒険者の足が止まり、吹き飛ばされた冒険者の1人が叫ぶ。

「あのオーク共、勇者である俺の速度に反応しやがった! 予定変更だ。結界は後衛に任せて前衛はオークから叩くぞ!」

「「「おおー!」」」

 その指示に、前衛がブレブとゴウガに目標を変えて動き出そうとした時だった。
 後衛の方からざわめきが聞こえてくる。

 タイミング的に考えても、そろそろ魔法の第ニ射が飛んできてもおかしくはないが、既に騒がしくなり始めたせいなのか、後衛側からの指示が聞こえてこない。

 そのせいでざわめきの理由は分からなかったが、その異変に前衛の冒険者も気づいたらしく、俺の背後に剣を向けることで指し示して声を上げた。

「お、おい、あれ……!」

 それに釣られて背後を見ると、魔法使いの冒険者による攻撃魔法で作られた結界の亀裂の一部がきれいに無くなっていた。

 何が起こったのか見損なってしまったが、続けて行われた事によって、すぐに何が起きたのか理解した。

 その理由は他にもある結界の損傷場所に向かって、青い光の矢が飛んできたからだ。
 そうして青い光の矢が亀裂に当たって溶けるように消えると、結界が元の綺麗な状態に修復される様子を見せた。

「な……結界が元の状態に戻っただと?」

 それに遅れて魔法の第ニ射が放たれたが、今度は結界に魔法攻撃が届く前に右方から太い光の柱が一瞬で伸びてくると、その多くの攻撃魔法をまとめて飲み込んで消してしまった。

 一方で撃ち漏らした魔法攻撃に関しては、不思議と左方を守っているオークのそばへと引き寄せられていく。
 するとその魔法はそれを行っただろう2人のオークの近くに来た所で、爆発すること無く消えてしまった。

 それらを見た自称勇者の冒険者が、後衛に向かって声を飛ばす。

「おい後ろの奴ら! このままだとイタチごっこだし、お前らもこのおかしなオークたちを優先だ!」

 異様な状況の連続に動きを止めていた前衛冒険者たちだったが、その声を皮切りにオークたちとの乱戦に入った。

 さてと、ここからは個人の能力を見るのと、アギトさんたちに見せるために、それぞれのオークたちを見ていかないとな。
 まずはゴウガからだ。

「バハァ、これは素晴らしい!」

 ゴウガはまさに肉弾戦と言った様子で、向かってくる冒険者を太くした腕や足で薙ぎ払っている。
 飛んでくるようになった魔法も、その巨大な腕を振り回す事で腕が当たった先から爆発していくが、傷を負う様子は見られない。

「攻撃が軽いぞ冒険者ども!」

 そのあとも受ける冒険者の攻撃に余裕があったからか、振り回した元の大きさの腕を膨張させずにフェイントとして使ったりしているようで、次に繰り出した足を巨大化させながら冒険者を蹴り飛ばした。
 そうやって、後ろにいた他の冒険者もろとも吹き飛ばすという芸当を見せていた。

 ゴウガは確か『筋力強化』のスキルを持っていたよな。
 あの自在な肉体変化はそのせいだと思うが、一部に特化したものみたいだな。

「あいつはまずい。一斉に仕留めるぞ!」

 勢いに乗ったゴウガを止めるために、ゴウガを相手していた冒険者が一斉に飛びかかる。

 それに対してゴウガは体をひねると、そのまま横に回転をし始めた。
 同時に回転の開始時に両腕を肥大化。
 膨れ上がった両腕の質量と回転の勢いを利用して、飛びかかってきた全ての冒険者を放射状に吹き飛ばした。

「痛ってぇ! ……っておい、何やってんだお前。ボケっとしてないでお前も攻撃しろよ!」

 そうして吹き飛ばされた自称勇者が、震えて剣を構える冒険者に怒鳴り散らす。

「だって、あんなの無理だろ……」

 どうやら、あの冒険者は無双とも言っていいゴウガの戦いを見て、戦意を喪失してしまったようだ。

「なら、あっちだ。あっちのオークに行けよ!」

「た、確かに。あっちのやつならまだ行けそうだ」

 冒険者は自称勇者に指示されるまま、あっちのオークと言われたブレブへと向かっていった。
 次はブレブか。
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