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第2章 始めての育成を経て、危険人物として知れ渡る
52話 裏・オークの村防衛戦1
転移によって視界が切り替わると、すでに前方上空には魔法攻撃による無数の魔法陣が出来上がっていて、数秒後には村の結界へと発射される。
そんなタイミングで俺たちは村の反対側へとやってきたらしいが、なんとかギリギリ間に合ったようだな。
「んっ!」
すると、連れてきた冒険者がそう声を漏らしてきたので、睨んで黙らせた後で俺は魔法を発動させる。
「ゆけ、魔を討つ稲妻」
それにより極大の稲妻が現れると、前方から発射された魔法目指して、現状の俺でもどうにか目で追えるといった速度で進んでいくと、魔法の弾幕のうちの1つの攻撃魔法に命中する。
すると次の瞬間、オークの村を守る結界に飛んできていた全ての魔法が一瞬のうちに雷撃に貫かれ、その場で小さな爆発を起こす。
そうして、全ての攻撃魔法を喰らい尽くした稲妻は、満足したかのように役目を終えて消滅した。
今のは数日前に得た、所持している経験値の総量に応じて様々な魔法が覚えられる『魔術師』のスキルによって獲得した、魔を討つ稲妻。
周囲にある攻撃性能を持つ魔法に寄っていく性質を持っている、対魔法のための魔法だ。
一応だが、この魔法に対抗する手段は存在する。
それは単純にこれよりも強い威力の魔法をぶつければいいというだけだ。
「今のはなんだ、突然現れたあいつがやったのか!?」
「おい、あいつの横で捕まっているやつって、反対側を担当してた勇者じゃあ……」
森の切れ目に集結していた冒険者たちは、自分たちの放った魔法が全て消し去られた事に驚いたような声を上げ、それぞれのつぶやきの声に、周囲がざわついた。
その間に視覚情報の隠蔽という魔法で、ここに来る前から姿を隠していたクロエが動き出す。
ちなみに、事前に解析室から調べた結果で今回は透明化を見破れる参加者はいない事を確認済み。
魔王城に来ていた該当の冒険者もパーティーの再編成に手間取っているのか、姿は見ていない。
そのクロエだが、持ち主本人がクロエノートなんて呼んでいる冊子を広げて、そこに書かれた内容と冒険者の顔を、情報開示の魔法を通して交互に見て回っている。
前に見せてもらったが、ノートには各冒険者の見た目の特徴に、所持しているスキルと、普段の行いについて記されていたはずだ。
今はあれが終わるまでの時間稼ぎをしないといけない。
そう考えていると聞き覚えのある、ざわめきに対して大きめの声が聞こえてきた。
「あ、あ、あいつはまさか!」
……やっぱりこっちにいたか。
事の発端となるブレブとオークの村を見つけた、これからの計画に利用させてもらう冒険者よ。
「知っているのか?」
「何言ってんだ。転移が出来て、あの仮面に黒衣といえば、魔王城で勇者と聖女を消したやつ以外にいるかよ!」
そうして、ざわめきと俺たちを見てくる視線がさらに強まる。
さて、いい感じにこちらに注目が集まった事だし、始めるとするか。
「フハハッ、フゥーハッハッハッハァー!」
高らかに笑いを上げて周りに声を響かせると、多くの冒険者が一瞬だが体をビクリとさせるのが見えた。
そこで笑うのをやめると、辺りに静寂が訪れる。
これで冒険者たちに声が届くだろう。
「初めまして諸君! ……まあ、そうではない者もいるかもしれないが。どちらにしても、私がどういった存在であるかは、今そこの冒険者君が話してくれた通りなのだが」
そうして計画に組み込んだ冒険者……クラウンとでも呼ぼうか。
クラウンに視線を送った後、捕まえている冒険者と共に転移でそいつの目の前に飛んでみせる。
「うげっ」
「あらかじめ言っておくが、このように逃亡は不可能だと思ってもらいたい。そして先程、諸君らの魔法を一掃した上で、私が勇者を語る冒険者をこの通りに扱える力を持つのは分かってもらえたと思う。その上でかかってくるようであれば何人でも相手になろう」
そうして冒険者たちに戦力差を思い知らせた後、俺は元の位置へと転移で戻る。
「さて、そこでだ。ここにその勇者と名乗る冒険者がいるわけだが」
俺は捕まえていた金色の鎧を着た冒険者の腕を引っ張り、眼前に移動させてから、膝の裏を軽く蹴り上げて地面に膝をつかせる。
そうして眼下に見えた、鎧の背面部分の首に近い場所に指をかけ、立つ事ができないように押さえつける。
突然の事に驚いただろう目の前の冒険者は、こちらに振り向くと、怯えた目でこちらを見てきた。
だがそれだけで、俺とした約束を忘れていないのか、声は出さないでいる。
「この者は必要以上に亜人や魔物といった者たちを痛めつけ、屠ってきた」
それから鎧を押さえつけたまま、空いている方の手で目の前にある冒険者の後頭部を鷲掴みにする。
「そして、それら同胞たちの怨嗟の声から生まれたのが私という存在である。そんな私の存在意義はただ1つ。そのような不届き者共をこの世界から消滅させる事にある! ……このようにな」
直後に異世界送還を発動させることで、ここにいる冒険者たちにそれを見せつける。
すぐに白の魔法陣が浮かび上がると、ようやく自分に何が起こるのか理解したらしい冒険者が焦りだした。
「おい、約束が違うじゃないか! 言うことを聞けば俺を逃してくれるって!」
「約束は守るぞ? きちんとこの世界から逃してやろうとしているではないか」
俺が手を離すと、直後に異世界送還が発動した。
「そんなーー」
そうして目の前から冒険者が消える。
すると同じタイミングでクロエが準備を終えたらしく、こちらに戻って来る。
これで時間稼ぎは終わりで、ようやく始められる訳だ。
そんなタイミングで俺たちは村の反対側へとやってきたらしいが、なんとかギリギリ間に合ったようだな。
「んっ!」
すると、連れてきた冒険者がそう声を漏らしてきたので、睨んで黙らせた後で俺は魔法を発動させる。
「ゆけ、魔を討つ稲妻」
それにより極大の稲妻が現れると、前方から発射された魔法目指して、現状の俺でもどうにか目で追えるといった速度で進んでいくと、魔法の弾幕のうちの1つの攻撃魔法に命中する。
すると次の瞬間、オークの村を守る結界に飛んできていた全ての魔法が一瞬のうちに雷撃に貫かれ、その場で小さな爆発を起こす。
そうして、全ての攻撃魔法を喰らい尽くした稲妻は、満足したかのように役目を終えて消滅した。
今のは数日前に得た、所持している経験値の総量に応じて様々な魔法が覚えられる『魔術師』のスキルによって獲得した、魔を討つ稲妻。
周囲にある攻撃性能を持つ魔法に寄っていく性質を持っている、対魔法のための魔法だ。
一応だが、この魔法に対抗する手段は存在する。
それは単純にこれよりも強い威力の魔法をぶつければいいというだけだ。
「今のはなんだ、突然現れたあいつがやったのか!?」
「おい、あいつの横で捕まっているやつって、反対側を担当してた勇者じゃあ……」
森の切れ目に集結していた冒険者たちは、自分たちの放った魔法が全て消し去られた事に驚いたような声を上げ、それぞれのつぶやきの声に、周囲がざわついた。
その間に視覚情報の隠蔽という魔法で、ここに来る前から姿を隠していたクロエが動き出す。
ちなみに、事前に解析室から調べた結果で今回は透明化を見破れる参加者はいない事を確認済み。
魔王城に来ていた該当の冒険者もパーティーの再編成に手間取っているのか、姿は見ていない。
そのクロエだが、持ち主本人がクロエノートなんて呼んでいる冊子を広げて、そこに書かれた内容と冒険者の顔を、情報開示の魔法を通して交互に見て回っている。
前に見せてもらったが、ノートには各冒険者の見た目の特徴に、所持しているスキルと、普段の行いについて記されていたはずだ。
今はあれが終わるまでの時間稼ぎをしないといけない。
そう考えていると聞き覚えのある、ざわめきに対して大きめの声が聞こえてきた。
「あ、あ、あいつはまさか!」
……やっぱりこっちにいたか。
事の発端となるブレブとオークの村を見つけた、これからの計画に利用させてもらう冒険者よ。
「知っているのか?」
「何言ってんだ。転移が出来て、あの仮面に黒衣といえば、魔王城で勇者と聖女を消したやつ以外にいるかよ!」
そうして、ざわめきと俺たちを見てくる視線がさらに強まる。
さて、いい感じにこちらに注目が集まった事だし、始めるとするか。
「フハハッ、フゥーハッハッハッハァー!」
高らかに笑いを上げて周りに声を響かせると、多くの冒険者が一瞬だが体をビクリとさせるのが見えた。
そこで笑うのをやめると、辺りに静寂が訪れる。
これで冒険者たちに声が届くだろう。
「初めまして諸君! ……まあ、そうではない者もいるかもしれないが。どちらにしても、私がどういった存在であるかは、今そこの冒険者君が話してくれた通りなのだが」
そうして計画に組み込んだ冒険者……クラウンとでも呼ぼうか。
クラウンに視線を送った後、捕まえている冒険者と共に転移でそいつの目の前に飛んでみせる。
「うげっ」
「あらかじめ言っておくが、このように逃亡は不可能だと思ってもらいたい。そして先程、諸君らの魔法を一掃した上で、私が勇者を語る冒険者をこの通りに扱える力を持つのは分かってもらえたと思う。その上でかかってくるようであれば何人でも相手になろう」
そうして冒険者たちに戦力差を思い知らせた後、俺は元の位置へと転移で戻る。
「さて、そこでだ。ここにその勇者と名乗る冒険者がいるわけだが」
俺は捕まえていた金色の鎧を着た冒険者の腕を引っ張り、眼前に移動させてから、膝の裏を軽く蹴り上げて地面に膝をつかせる。
そうして眼下に見えた、鎧の背面部分の首に近い場所に指をかけ、立つ事ができないように押さえつける。
突然の事に驚いただろう目の前の冒険者は、こちらに振り向くと、怯えた目でこちらを見てきた。
だがそれだけで、俺とした約束を忘れていないのか、声は出さないでいる。
「この者は必要以上に亜人や魔物といった者たちを痛めつけ、屠ってきた」
それから鎧を押さえつけたまま、空いている方の手で目の前にある冒険者の後頭部を鷲掴みにする。
「そして、それら同胞たちの怨嗟の声から生まれたのが私という存在である。そんな私の存在意義はただ1つ。そのような不届き者共をこの世界から消滅させる事にある! ……このようにな」
直後に異世界送還を発動させることで、ここにいる冒険者たちにそれを見せつける。
すぐに白の魔法陣が浮かび上がると、ようやく自分に何が起こるのか理解したらしい冒険者が焦りだした。
「おい、約束が違うじゃないか! 言うことを聞けば俺を逃してくれるって!」
「約束は守るぞ? きちんとこの世界から逃してやろうとしているではないか」
俺が手を離すと、直後に異世界送還が発動した。
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