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第2章 始めての育成を経て、危険人物として知れ渡る
55話 裏・オークの村防衛戦4
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それから、倒れている冒険者を全員牢屋に入れる頃には数分が経過していた。
人を運ぶのも今では楽な部類に入るため、50人程を運び入れる事も大して時間がかかることはなかった。
冒険者を牢屋に入れた時点でクロエも視覚交換の魔法を解き、さすがにあれだけの人数に魔法をかけたのは消耗が激しかったようで、魔力回復薬を口に含んでいる。
「さて、では行くとしよう」
目をつぶり追跡の魔法の反応を見る限りでは、3人がここから逃げた方向へ真っ直ぐ逃げているようだが、ほとんどの冒険者が回り込む形で、こことは村の反対側を移動している。
おそらくだが、冒険者たちがオークの村に来る際に入ってきた、森の入り口を目指すようにして逃げているのだろう。
あてもなく森の中をさまようよりは、いい選択だと思う。
さてと、まずは前方にいる3人からだ。
1人目を捕まえるにあたり、その場で高く飛び上がって上空から都合の良さそうな場所を確認。
それを経て地面に降り立った後で一度村の中に入り、そこから前方の森に向かって急加速を行う。
森に入る手前で地面を強く蹴って空に飛び上がり、木々の上を目標地点めがけて一直線に進んでいく。
次第に重力に引かれて地面が近くなり、狙い通りの場所へ着地すると、目の先に冒険者の姿を捉えた。
その着地音に前方を行く冒険者が気づいたようで、振り向いて一言。
「お、おい。う……」
そうして、続く二言目を言い終わる前に事は済んだ。
「っそだろーー」
……これで1人。
即座に次の目標へ。
それから2、3と数を増やして村へ戻る。
反対側へと回り、更に速度を増して追い立てる。
その結果、俺の背後で光の魔法陣が1人、また1人と異世界人をこの世界から消していく。
やがて終わりが見えてきて、
「くそっ、何で最初に俺のところにーー」
10人目である最後の1人が目の前で消える。
あとは仕上げだ。
俺は今も走っているだろうクラウンの前に追いつき現れる。
「げえっ!?」
「喜べ、他の10人は既にこの世から消えた。あとは最後の1人だけだ」
そうしたことで進行方向を塞がれたクラウンが方向転換をして、俺から逃げ始める。
「はっ、はっ、冗談じゃねえ! 俺が捕まったらっ、あいつら……っ、全員終わりなのかよぉ!」
「それにしても追いかける側の気分はつまらんな。全員、何かを言い終わる前に消してしまったのがいけなかっただろうか」
「この……っ、悪魔め!」
「少々疲れた事だし、最後の1人はじっくりと楽しむとしようか」
「無視かよ、くそっ……!」
まずはクラウンの会話に付き合わずに、一方的にこちらの意向だけを伝えることで会話は無駄と思わせ、逃げる事に集中させる。
それから、俺はそのクラウンの精一杯だろう走る速度に合わせて、ひたすらその背中を追い続ける。
森の外に近くなれば回り込み、反対方向に追い立てる。
やがて日が落ち始め、次第に空は橙色に染まり、ついに完全に森の中から明かりが消える。
「フハッ、フハハ。どうした、早く逃げねば捕まってしまうぞ?」
「かはっ、うる……っ、ひゅ……、せえ……」
息も絶え絶えに、暗い森の中をさまよい続けるクラウン。
俺が目の前に居るというのに、その事に気づかないぐらいに意識は朦朧としている様子。
ずいぶんと粘ったようだが、流石に限界が来たか。
「すま……ねえ、みん……な……」
口からも諦めの言葉が吐き出され、そこでクラウンがつまづき倒れる。
これでようやく計画も大詰め。
人を運ぶのも今では楽な部類に入るため、50人程を運び入れる事も大して時間がかかることはなかった。
冒険者を牢屋に入れた時点でクロエも視覚交換の魔法を解き、さすがにあれだけの人数に魔法をかけたのは消耗が激しかったようで、魔力回復薬を口に含んでいる。
「さて、では行くとしよう」
目をつぶり追跡の魔法の反応を見る限りでは、3人がここから逃げた方向へ真っ直ぐ逃げているようだが、ほとんどの冒険者が回り込む形で、こことは村の反対側を移動している。
おそらくだが、冒険者たちがオークの村に来る際に入ってきた、森の入り口を目指すようにして逃げているのだろう。
あてもなく森の中をさまようよりは、いい選択だと思う。
さてと、まずは前方にいる3人からだ。
1人目を捕まえるにあたり、その場で高く飛び上がって上空から都合の良さそうな場所を確認。
それを経て地面に降り立った後で一度村の中に入り、そこから前方の森に向かって急加速を行う。
森に入る手前で地面を強く蹴って空に飛び上がり、木々の上を目標地点めがけて一直線に進んでいく。
次第に重力に引かれて地面が近くなり、狙い通りの場所へ着地すると、目の先に冒険者の姿を捉えた。
その着地音に前方を行く冒険者が気づいたようで、振り向いて一言。
「お、おい。う……」
そうして、続く二言目を言い終わる前に事は済んだ。
「っそだろーー」
……これで1人。
即座に次の目標へ。
それから2、3と数を増やして村へ戻る。
反対側へと回り、更に速度を増して追い立てる。
その結果、俺の背後で光の魔法陣が1人、また1人と異世界人をこの世界から消していく。
やがて終わりが見えてきて、
「くそっ、何で最初に俺のところにーー」
10人目である最後の1人が目の前で消える。
あとは仕上げだ。
俺は今も走っているだろうクラウンの前に追いつき現れる。
「げえっ!?」
「喜べ、他の10人は既にこの世から消えた。あとは最後の1人だけだ」
そうしたことで進行方向を塞がれたクラウンが方向転換をして、俺から逃げ始める。
「はっ、はっ、冗談じゃねえ! 俺が捕まったらっ、あいつら……っ、全員終わりなのかよぉ!」
「それにしても追いかける側の気分はつまらんな。全員、何かを言い終わる前に消してしまったのがいけなかっただろうか」
「この……っ、悪魔め!」
「少々疲れた事だし、最後の1人はじっくりと楽しむとしようか」
「無視かよ、くそっ……!」
まずはクラウンの会話に付き合わずに、一方的にこちらの意向だけを伝えることで会話は無駄と思わせ、逃げる事に集中させる。
それから、俺はそのクラウンの精一杯だろう走る速度に合わせて、ひたすらその背中を追い続ける。
森の外に近くなれば回り込み、反対方向に追い立てる。
やがて日が落ち始め、次第に空は橙色に染まり、ついに完全に森の中から明かりが消える。
「フハッ、フハハ。どうした、早く逃げねば捕まってしまうぞ?」
「かはっ、うる……っ、ひゅ……、せえ……」
息も絶え絶えに、暗い森の中をさまよい続けるクラウン。
俺が目の前に居るというのに、その事に気づかないぐらいに意識は朦朧としている様子。
ずいぶんと粘ったようだが、流石に限界が来たか。
「すま……ねえ、みん……な……」
口からも諦めの言葉が吐き出され、そこでクラウンがつまづき倒れる。
これでようやく計画も大詰め。
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