転移無法の育成者 〜勇者パーティーを追放された転移能力者、異世界人を元の世界に戻すことで力を奪い、魔王軍を育てながら最強に至る〜

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第2章 始めての育成を経て、危険人物として知れ渡る

57話 裏・オークの村防衛戦6

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「ただし、この契約についての口外は許されない。それだけは肝に銘じておけ。もし破った場合は……」

 言葉の途中でクラウンの心臓部分を人差し指で指し示す。
 まるで、契約を破れば悪魔に心臓を持っていかれるとでも言うように。

「どうなるかは理解しているだろう?」

 そして実際に俺が異世界人を目の前で消し去っているために、信じざるを得ないのだろう。
 クラウンが後ずさりをしつつ、言葉を放つ。

「わかった、わかったから。もう勘弁してくれ! その程度でこれだけの金を貰えるなら喜んでやるから!」

 まあ実際のところ、契約について口が滑って話してしまったところで、クラウンをどうにかするつもりはないし、契約について知られたところで痛くも痒くもない。

 大事なのは、嘘である契約を本当だと信じ込ませるため。
 そのうち、つい口を滑らせて嘘だとバレるかもしれないが、しばらくは注意して話すだろうから、その間に話が広まってしまえば何も問題はない。

「……よろしい。では契約は現時点を持って成立となる」

 そうして言質を取った所で、指をクラウンの心臓の側から遠ざける。

「なっ、騙したのか!?」

「騙してなどいないさ、報酬を渡した時点では済んだと言ったのだ」

「だが契約の代金も含まれていると、あ……」

 そこでクラウンが苦虫を噛み潰したような表情へと変わる。
 どうやら回復薬が体内を巡り、少し考える事が出来る程度には回復してきたらしい。

「フハハ、気づいたか? 次に交わす契約の代金を先払いしただけに過ぎない、ということに」

「やっぱ悪魔だろあんた……」

 まあ、さっきの金は今回の計画に巻き込んでしまった詫びの金でもあるから、それで勘弁してもらうとしよう。

「ではそういうことで捕まえた冒険者共を5分後に解放し、ここに送り届けるとしよう。貴様は圧死したくないのであれば、その間はそこで静かに待っている事をおすすめする」

 約束通り5分後に冒険者たちを森の外へと送り届けると、助かった冒険者たちが俺の事を気にしつつもクラウンに声をかけ、助け起こしていた。
 そこで、冒険者たちに最後の忠告をする。

「貴様らがこれに懲りて弱き者を見逃すのであれば、もう私と出逢う事もないだろう。ではな」

 そうして俺はオークの村へと戻る。
 それから集会所の扉をくぐると、スノーと先に戻っていたクロエに迎え入れられる。

「戻ったぞ」

「リア、おかえりなさい」

「おかえりー。最後のやり取り、凄かったよ!」

「そうですね。少しやりすぎな気もしますが」

 スノーにクラウンとのやり取りをそう咎められたが、今回ばかりは仕方ない。

「失敗するわけには行かないからな。あのぐらいはやらないと」

「「「オオオー!」」」

 すると、そこにいたオークたちから歓声を浴びる事になり、会話が中断される。
 それが収まると、村長がここにいる面々に聞こえるように声高々に告げる。

「さて、御三方と我らオークの精鋭たちの手によって無事に村は守られた。そこで、感謝と労をねぎらう意味で宴を開きたいのですがよろしいですか?」

 俺たちは顔を見合わせ、頷きあう。

「ああ、断る理由はないな」

 そうして宴が開かれる事になった。
 宴で俺たちはそれぞれオークたちに囲まれ、オークの村防衛戦の出来事についてなど色々な話をした。

 スノーもブレブと今回の件で村のオークたちにすっかり受け入れられたようで、楽しげに過ごせているようだ。
 この調子なら、魔王軍の他の人たちにスノーが認められて行くのもすぐなんだろうな。

 それから時間も経って、各々の腹が膨れたところで宴は終了。
 あとはオークたち各自に任せて、村を後にし魔王城へと戻ることになった。

 ちなみに人間たちに住処が見つかったオークたちだが、しばらくはこのままで、いい場所が見つかれば移動するという話だ。
 まあ、あれだけ手痛い目に遭った事だし、冒険者たちもしばらくは攻めてこないだろう。
 大きな動きがあればクロエ経由で伝わるだろうしな。

 あとは、デュオだけではなく世界全土に今日の話が広まるのを待つだけだ。
 クラウンが旅商人の1人にでも話してしまえば、後は爆発的に他の場所へと伝わっていくだろうからな。

 それを経て、俺という存在が魔王軍を襲うことに対する抑止力として認識されれば、この計画は完遂となる。

 こうしてオークの村防衛戦は、その規模の割にオークたちが誰一人犠牲になる事なく終わったのだった。
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