57 / 63
第2章 始めての育成を経て、危険人物として知れ渡る
57話 裏・オークの村防衛戦6
しおりを挟む
「ただし、この契約についての口外は許されない。それだけは肝に銘じておけ。もし破った場合は……」
言葉の途中でクラウンの心臓部分を人差し指で指し示す。
まるで、契約を破れば悪魔に心臓を持っていかれるとでも言うように。
「どうなるかは理解しているだろう?」
そして実際に俺が異世界人を目の前で消し去っているために、信じざるを得ないのだろう。
クラウンが後ずさりをしつつ、言葉を放つ。
「わかった、わかったから。もう勘弁してくれ! その程度でこれだけの金を貰えるなら喜んでやるから!」
まあ実際のところ、契約について口が滑って話してしまったところで、クラウンをどうにかするつもりはないし、契約について知られたところで痛くも痒くもない。
大事なのは、嘘である契約を本当だと信じ込ませるため。
そのうち、つい口を滑らせて嘘だとバレるかもしれないが、しばらくは注意して話すだろうから、その間に話が広まってしまえば何も問題はない。
「……よろしい。では契約は現時点を持って成立となる」
そうして言質を取った所で、指をクラウンの心臓の側から遠ざける。
「なっ、騙したのか!?」
「騙してなどいないさ、報酬を渡した時点で勝負の契約は済んだと言ったのだ」
「だが契約の代金も含まれていると、あ……」
そこでクラウンが苦虫を噛み潰したような表情へと変わる。
どうやら回復薬が体内を巡り、少し考える事が出来る程度には回復してきたらしい。
「フハハ、気づいたか? 次に交わす契約の代金を先払いしただけに過ぎない、ということに」
「やっぱ悪魔だろあんた……」
まあ、さっきの金は今回の計画に巻き込んでしまった詫びの金でもあるから、それで勘弁してもらうとしよう。
「ではそういうことで捕まえた冒険者共を5分後に解放し、ここに送り届けるとしよう。貴様は圧死したくないのであれば、その間はそこで静かに待っている事をおすすめする」
約束通り5分後に冒険者たちを森の外へと送り届けると、助かった冒険者たちが俺の事を気にしつつもクラウンに声をかけ、助け起こしていた。
そこで、冒険者たちに最後の忠告をする。
「貴様らがこれに懲りて弱き者を見逃すのであれば、もう私と出逢う事もないだろう。ではな」
そうして俺はオークの村へと戻る。
それから集会所の扉をくぐると、スノーと先に戻っていたクロエに迎え入れられる。
「戻ったぞ」
「リア、おかえりなさい」
「おかえりー。最後のやり取り、凄かったよ!」
「そうですね。少しやりすぎな気もしますが」
スノーにクラウンとのやり取りをそう咎められたが、今回ばかりは仕方ない。
「失敗するわけには行かないからな。あのぐらいはやらないと」
「「「オオオー!」」」
すると、そこにいたオークたちから歓声を浴びる事になり、会話が中断される。
それが収まると、村長がここにいる面々に聞こえるように声高々に告げる。
「さて、御三方と我らオークの精鋭たちの手によって無事に村は守られた。そこで、感謝と労をねぎらう意味で宴を開きたいのですがよろしいですか?」
俺たちは顔を見合わせ、頷きあう。
「ああ、断る理由はないな」
そうして宴が開かれる事になった。
宴で俺たちはそれぞれオークたちに囲まれ、オークの村防衛戦の出来事についてなど色々な話をした。
スノーもブレブと今回の件で村のオークたちにすっかり受け入れられたようで、楽しげに過ごせているようだ。
この調子なら、魔王軍の他の人たちにスノーが認められて行くのもすぐなんだろうな。
それから時間も経って、各々の腹が膨れたところで宴は終了。
あとはオークたち各自に任せて、村を後にし魔王城へと戻ることになった。
ちなみに人間たちに住処が見つかったオークたちだが、しばらくはこのままで、いい場所が見つかれば移動するという話だ。
まあ、あれだけ手痛い目に遭った事だし、冒険者たちもしばらくは攻めてこないだろう。
大きな動きがあればクロエ経由で伝わるだろうしな。
あとは、デュオだけではなく世界全土に今日の話が広まるのを待つだけだ。
クラウンが旅商人の1人にでも話してしまえば、後は爆発的に他の場所へと伝わっていくだろうからな。
それを経て、俺という存在が魔王軍を襲うことに対する抑止力として認識されれば、この計画は完遂となる。
こうしてオークの村防衛戦は、その規模の割にオークたちが誰一人犠牲になる事なく終わったのだった。
言葉の途中でクラウンの心臓部分を人差し指で指し示す。
まるで、契約を破れば悪魔に心臓を持っていかれるとでも言うように。
「どうなるかは理解しているだろう?」
そして実際に俺が異世界人を目の前で消し去っているために、信じざるを得ないのだろう。
クラウンが後ずさりをしつつ、言葉を放つ。
「わかった、わかったから。もう勘弁してくれ! その程度でこれだけの金を貰えるなら喜んでやるから!」
まあ実際のところ、契約について口が滑って話してしまったところで、クラウンをどうにかするつもりはないし、契約について知られたところで痛くも痒くもない。
大事なのは、嘘である契約を本当だと信じ込ませるため。
そのうち、つい口を滑らせて嘘だとバレるかもしれないが、しばらくは注意して話すだろうから、その間に話が広まってしまえば何も問題はない。
「……よろしい。では契約は現時点を持って成立となる」
そうして言質を取った所で、指をクラウンの心臓の側から遠ざける。
「なっ、騙したのか!?」
「騙してなどいないさ、報酬を渡した時点で勝負の契約は済んだと言ったのだ」
「だが契約の代金も含まれていると、あ……」
そこでクラウンが苦虫を噛み潰したような表情へと変わる。
どうやら回復薬が体内を巡り、少し考える事が出来る程度には回復してきたらしい。
「フハハ、気づいたか? 次に交わす契約の代金を先払いしただけに過ぎない、ということに」
「やっぱ悪魔だろあんた……」
まあ、さっきの金は今回の計画に巻き込んでしまった詫びの金でもあるから、それで勘弁してもらうとしよう。
「ではそういうことで捕まえた冒険者共を5分後に解放し、ここに送り届けるとしよう。貴様は圧死したくないのであれば、その間はそこで静かに待っている事をおすすめする」
約束通り5分後に冒険者たちを森の外へと送り届けると、助かった冒険者たちが俺の事を気にしつつもクラウンに声をかけ、助け起こしていた。
そこで、冒険者たちに最後の忠告をする。
「貴様らがこれに懲りて弱き者を見逃すのであれば、もう私と出逢う事もないだろう。ではな」
そうして俺はオークの村へと戻る。
それから集会所の扉をくぐると、スノーと先に戻っていたクロエに迎え入れられる。
「戻ったぞ」
「リア、おかえりなさい」
「おかえりー。最後のやり取り、凄かったよ!」
「そうですね。少しやりすぎな気もしますが」
スノーにクラウンとのやり取りをそう咎められたが、今回ばかりは仕方ない。
「失敗するわけには行かないからな。あのぐらいはやらないと」
「「「オオオー!」」」
すると、そこにいたオークたちから歓声を浴びる事になり、会話が中断される。
それが収まると、村長がここにいる面々に聞こえるように声高々に告げる。
「さて、御三方と我らオークの精鋭たちの手によって無事に村は守られた。そこで、感謝と労をねぎらう意味で宴を開きたいのですがよろしいですか?」
俺たちは顔を見合わせ、頷きあう。
「ああ、断る理由はないな」
そうして宴が開かれる事になった。
宴で俺たちはそれぞれオークたちに囲まれ、オークの村防衛戦の出来事についてなど色々な話をした。
スノーもブレブと今回の件で村のオークたちにすっかり受け入れられたようで、楽しげに過ごせているようだ。
この調子なら、魔王軍の他の人たちにスノーが認められて行くのもすぐなんだろうな。
それから時間も経って、各々の腹が膨れたところで宴は終了。
あとはオークたち各自に任せて、村を後にし魔王城へと戻ることになった。
ちなみに人間たちに住処が見つかったオークたちだが、しばらくはこのままで、いい場所が見つかれば移動するという話だ。
まあ、あれだけ手痛い目に遭った事だし、冒険者たちもしばらくは攻めてこないだろう。
大きな動きがあればクロエ経由で伝わるだろうしな。
あとは、デュオだけではなく世界全土に今日の話が広まるのを待つだけだ。
クラウンが旅商人の1人にでも話してしまえば、後は爆発的に他の場所へと伝わっていくだろうからな。
それを経て、俺という存在が魔王軍を襲うことに対する抑止力として認識されれば、この計画は完遂となる。
こうしてオークの村防衛戦は、その規模の割にオークたちが誰一人犠牲になる事なく終わったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました
山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。
生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる