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七将編(剛腕将軍グラドン)
第36話 絶対防壁を破る勇者
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坑道の空気は、鉛のように重く張り詰めていた。
先程の攻撃でひび割れた大盾を副官は睨みつけ、震えるほどの怒気を込める。
「……貴様……よくも……!」
低く唸る声は、岩盤そのものを震わせるかのようだった。
副官の全身に漆黒の魔力が噴き出す。足元に罅割れが走り、礫がぱらぱらと落ちていく。
悠は大きな欠伸をかみ殺し、片手をポケットに突っ込んだままぼそりと呟く。
「……怒られても困るんだけどな。俺、寝たいだけなんだよ」
副官の眼光が閃いた瞬間、槍が閃光となる。
ガガガガガッ――!
怒り狂った副官の連撃が坑道を切り裂いた。
石壁が穴だらけになり、火花が散り、粉塵が巻き上がる。
至近距離にいた兵士たちが悲鳴を上げ、転がるように退避した。
「ひっ……! 速すぎる!」
「壁が……崩れるぞ!」
リオネルがとっさに剣を掲げ、部下たちを庇うように叫ぶ。
「退け! 勇者様の戦いに巻き込まれるな!」
その声に応じ、兵士たちは必死に後方へ下がっていく。
だが、その中心に立つ悠だけは――まるで退屈そうに、片手で槍を受け流し続けていた。
火花が散り、岩盤を貫く音が連続する。
副官の突きは鋼鉄をも穿つ一撃だが、悠の掌に触れた瞬間、その勢いはことごとく逸らされていく。
「……やっぱりさ」
悠は、面倒くさそうに頭を掻いた。
「時間かかるのが一番だるいんだよな」
その言葉に副官の怒気がさらに膨れ上がる。
「貴様ごときが、我が主グラドン様の力を――舐めるなああああッ!」
絶叫と共に、岩盤を割る突きが放たれた。
槍先が坑道を抉り、破片が雨のように降り注ぐ。
兵士たちが声を上げて身を伏せ、粉塵で視界が真っ白に閉ざされた。
そんな中で悠は肩をすくめた。
「はいはい、分かったよ……すげぇな。だから?」
粉塵の向こうから、悠の拳が淡く閃いた。
軽く、まるで手を払うような一撃――。
ガキィィィン!
副官の盾が鳴動し、さらに深いひびが走る。
その音に副官自身が最も驚愕した。
「な、に……!?」
ひび割れは瞬く間に広がり、蜘蛛の巣のように盾全体を覆う。
悠は欠伸を噛み殺しながら小さく息を吐いた。
「――壊れるもんは壊れるんだよ」
次の瞬間。
拳が再び振るわれる。
ドゴォォンッ!
盾は粉々に砕け散り、破片が坑道を飛び散った。岩壁に突き刺さり、火花が散る。
兵士たちが目を丸くして立ち尽くす。
リオネルでさえも唖然とし、声を失っていた。
副官はよろめき、盾の残骸を見下ろす。
「ば……馬鹿な……! 大地の加護を宿した我が盾が……」
膝を折りかけたその巨体を見下ろしながら、悠は鬱陶しそうに指先を振った。
「まだやるの? ほんと、しぶといのが一番面倒」
吐き捨てるような言葉は、まるで敵の存在そのものを否定するように響く。
リオネルはようやく声を絞り出した。
「……これが……勇者様……」
その瞳には驚愕と畏怖が混ざっていた。
兵士たちもまた、信じられないものを見たように、ただ勇者の背中を凝視していた。
副官は後退しながらも、憎悪の炎を消すことはなかった。
その唇が低く呟く。
「……この男……必ず、我が主に伝えねば……」
悠は深くため息をついた。
「報告だの忠義だの……お前らほんと面倒ばっか増やすよな」
それでも彼は一歩前へ踏み出す。
だるげな姿勢のまま、坑道全体を支配するような圧を纏って――。
先程の攻撃でひび割れた大盾を副官は睨みつけ、震えるほどの怒気を込める。
「……貴様……よくも……!」
低く唸る声は、岩盤そのものを震わせるかのようだった。
副官の全身に漆黒の魔力が噴き出す。足元に罅割れが走り、礫がぱらぱらと落ちていく。
悠は大きな欠伸をかみ殺し、片手をポケットに突っ込んだままぼそりと呟く。
「……怒られても困るんだけどな。俺、寝たいだけなんだよ」
副官の眼光が閃いた瞬間、槍が閃光となる。
ガガガガガッ――!
怒り狂った副官の連撃が坑道を切り裂いた。
石壁が穴だらけになり、火花が散り、粉塵が巻き上がる。
至近距離にいた兵士たちが悲鳴を上げ、転がるように退避した。
「ひっ……! 速すぎる!」
「壁が……崩れるぞ!」
リオネルがとっさに剣を掲げ、部下たちを庇うように叫ぶ。
「退け! 勇者様の戦いに巻き込まれるな!」
その声に応じ、兵士たちは必死に後方へ下がっていく。
だが、その中心に立つ悠だけは――まるで退屈そうに、片手で槍を受け流し続けていた。
火花が散り、岩盤を貫く音が連続する。
副官の突きは鋼鉄をも穿つ一撃だが、悠の掌に触れた瞬間、その勢いはことごとく逸らされていく。
「……やっぱりさ」
悠は、面倒くさそうに頭を掻いた。
「時間かかるのが一番だるいんだよな」
その言葉に副官の怒気がさらに膨れ上がる。
「貴様ごときが、我が主グラドン様の力を――舐めるなああああッ!」
絶叫と共に、岩盤を割る突きが放たれた。
槍先が坑道を抉り、破片が雨のように降り注ぐ。
兵士たちが声を上げて身を伏せ、粉塵で視界が真っ白に閉ざされた。
そんな中で悠は肩をすくめた。
「はいはい、分かったよ……すげぇな。だから?」
粉塵の向こうから、悠の拳が淡く閃いた。
軽く、まるで手を払うような一撃――。
ガキィィィン!
副官の盾が鳴動し、さらに深いひびが走る。
その音に副官自身が最も驚愕した。
「な、に……!?」
ひび割れは瞬く間に広がり、蜘蛛の巣のように盾全体を覆う。
悠は欠伸を噛み殺しながら小さく息を吐いた。
「――壊れるもんは壊れるんだよ」
次の瞬間。
拳が再び振るわれる。
ドゴォォンッ!
盾は粉々に砕け散り、破片が坑道を飛び散った。岩壁に突き刺さり、火花が散る。
兵士たちが目を丸くして立ち尽くす。
リオネルでさえも唖然とし、声を失っていた。
副官はよろめき、盾の残骸を見下ろす。
「ば……馬鹿な……! 大地の加護を宿した我が盾が……」
膝を折りかけたその巨体を見下ろしながら、悠は鬱陶しそうに指先を振った。
「まだやるの? ほんと、しぶといのが一番面倒」
吐き捨てるような言葉は、まるで敵の存在そのものを否定するように響く。
リオネルはようやく声を絞り出した。
「……これが……勇者様……」
その瞳には驚愕と畏怖が混ざっていた。
兵士たちもまた、信じられないものを見たように、ただ勇者の背中を凝視していた。
副官は後退しながらも、憎悪の炎を消すことはなかった。
その唇が低く呟く。
「……この男……必ず、我が主に伝えねば……」
悠は深くため息をついた。
「報告だの忠義だの……お前らほんと面倒ばっか増やすよな」
それでも彼は一歩前へ踏み出す。
だるげな姿勢のまま、坑道全体を支配するような圧を纏って――。
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