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七将編(剛腕将軍グラドン)
第60話 しぶとき巨影と立ち向かう勇者
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蒼い光を帯びた悠の拳と、赤黒い魔力を宿したグラドンの大斧が、再び正面から激突した。
――轟ッ!
爆ぜるような衝撃と共に、祭壇の床がひび割れ、積み上がっていた岩塊や装飾が四方へ飛び散る。天井を走る亀裂はさらに広がり、崩落した岩が雨のように降り注いだ。
その破壊音は坑道を抜け、地上にまで届く。
街の広場に集まっていた市民は不安げに空を仰ぎ、領主は歯を噛み締めて拳を握った。
「勇者殿……無事でいてくれ……」
祭壇の広間の手前まで退避していた兵士たちが、衝撃と振動に思わず足を止める。
土煙の中から轟音が響くたび、壁が震え、床石が粉を吹いた。
「いまの衝撃は……」
「まさか……勇者様が……!」
焦燥を抑えきれず、数名の兵が前へと駆け出した。
その先頭に立っていたのはリオネルだ。
「勇者様!」
叫びながら祭壇の間へ踏み込もうとしたその腕を、がっしりと仲間の兵士が掴んだ。
「危険です! まだ決着はついていない!」
リオネルは唇を噛み、奥を見据える。
轟々と渦巻く土煙の奥では、何かがぶつかり合う鈍い衝撃音だけが鳴り続けていた。
やがて、少しずつ視界が晴れていく。
瓦礫を押しのけるようにして、一人の男がゆっくりと姿を現した。
肩にうっすらと土埃をかぶり、腕を軽く回しながら、不満げにため息を吐く。
「……ったく、後始末が面倒になる一方だな」
勇者・悠。
その姿を見て、兵士たちは安堵の息を吐いた。
だが次の瞬間、彼らの瞳が再び見開かれる。
――ズズンッ。
瓦礫の山を割って、なお立ち上がる巨躯があった。
満身創痍、体中に裂傷を負いながらも、剛腕将軍グラドンは倒れていなかった。
血に濡れた巨腕がだらりと下がるが、その眼光はまだ闘志を宿している。
口の端からは赤い血が滴り、獰猛な笑みが崩れていない。
「……人間……まだだ……まだ、終わらん……」
その低い咆哮が広間に響いた瞬間、周囲の岩がまたも細かく崩れ落ちた。
悠はその姿を見据え、眉をひそめる。
額に手をやり、深い溜息を吐いた。
「しぶてぇな……もう寝かせてくれよ」
蒼い拳を下ろすことなく、悠は土煙の中をゆっくりと歩み出る。
広間の奥ではなお赤黒い瘴気が漂い、崩れた祭壇の柱が傾いだままきしむ音を立てていた。
リオネルはその背中を見つめながら、再び前へ出ようとした。
だが土煙の向こうから聞こえた悠の声が、それを制した。
「下がってろ。ここから先は邪魔になる」
リオネルは拳を握りしめたまま、仲間の兵士たちと共に動きを止める。
信じるしかない――そう悟ったのだ。
地上の街では、また新たな揺れが走り、広場に集まった人々がざわめき立った。
領主は険しい顔で南の坑道の方角を見やり、老いた神官は震える手で祈りを捧げる。
「勇者殿……どうかこの地をお救いください……」
祈る市民の間にも、不安と期待が入り混じった沈黙が広がった。
崩れかけた祭壇の間。
悠とグラドンは、再び対峙する。
互いに満身創痍。
だが、まだ終わらない。
悠は肩を回しながら、ぼそりと呟いた。
「……この戦い、長引くのは一番面倒なんだがな」
その声に、グラドンが牙を剥き、さらに一歩踏み込む。
地面が沈み込み、砂塵が舞い上がった。
戦いは、ここから次の段階へ突入する。
その光景を目の当たりにした兵士たちの息は詰まり、地上の人々はただ報せを待つしかなかった。
誰もが祈りながら、遠くの地下で続く激闘に耳を澄ませていた。
――轟ッ!
爆ぜるような衝撃と共に、祭壇の床がひび割れ、積み上がっていた岩塊や装飾が四方へ飛び散る。天井を走る亀裂はさらに広がり、崩落した岩が雨のように降り注いだ。
その破壊音は坑道を抜け、地上にまで届く。
街の広場に集まっていた市民は不安げに空を仰ぎ、領主は歯を噛み締めて拳を握った。
「勇者殿……無事でいてくれ……」
祭壇の広間の手前まで退避していた兵士たちが、衝撃と振動に思わず足を止める。
土煙の中から轟音が響くたび、壁が震え、床石が粉を吹いた。
「いまの衝撃は……」
「まさか……勇者様が……!」
焦燥を抑えきれず、数名の兵が前へと駆け出した。
その先頭に立っていたのはリオネルだ。
「勇者様!」
叫びながら祭壇の間へ踏み込もうとしたその腕を、がっしりと仲間の兵士が掴んだ。
「危険です! まだ決着はついていない!」
リオネルは唇を噛み、奥を見据える。
轟々と渦巻く土煙の奥では、何かがぶつかり合う鈍い衝撃音だけが鳴り続けていた。
やがて、少しずつ視界が晴れていく。
瓦礫を押しのけるようにして、一人の男がゆっくりと姿を現した。
肩にうっすらと土埃をかぶり、腕を軽く回しながら、不満げにため息を吐く。
「……ったく、後始末が面倒になる一方だな」
勇者・悠。
その姿を見て、兵士たちは安堵の息を吐いた。
だが次の瞬間、彼らの瞳が再び見開かれる。
――ズズンッ。
瓦礫の山を割って、なお立ち上がる巨躯があった。
満身創痍、体中に裂傷を負いながらも、剛腕将軍グラドンは倒れていなかった。
血に濡れた巨腕がだらりと下がるが、その眼光はまだ闘志を宿している。
口の端からは赤い血が滴り、獰猛な笑みが崩れていない。
「……人間……まだだ……まだ、終わらん……」
その低い咆哮が広間に響いた瞬間、周囲の岩がまたも細かく崩れ落ちた。
悠はその姿を見据え、眉をひそめる。
額に手をやり、深い溜息を吐いた。
「しぶてぇな……もう寝かせてくれよ」
蒼い拳を下ろすことなく、悠は土煙の中をゆっくりと歩み出る。
広間の奥ではなお赤黒い瘴気が漂い、崩れた祭壇の柱が傾いだままきしむ音を立てていた。
リオネルはその背中を見つめながら、再び前へ出ようとした。
だが土煙の向こうから聞こえた悠の声が、それを制した。
「下がってろ。ここから先は邪魔になる」
リオネルは拳を握りしめたまま、仲間の兵士たちと共に動きを止める。
信じるしかない――そう悟ったのだ。
地上の街では、また新たな揺れが走り、広場に集まった人々がざわめき立った。
領主は険しい顔で南の坑道の方角を見やり、老いた神官は震える手で祈りを捧げる。
「勇者殿……どうかこの地をお救いください……」
祈る市民の間にも、不安と期待が入り混じった沈黙が広がった。
崩れかけた祭壇の間。
悠とグラドンは、再び対峙する。
互いに満身創痍。
だが、まだ終わらない。
悠は肩を回しながら、ぼそりと呟いた。
「……この戦い、長引くのは一番面倒なんだがな」
その声に、グラドンが牙を剥き、さらに一歩踏み込む。
地面が沈み込み、砂塵が舞い上がった。
戦いは、ここから次の段階へ突入する。
その光景を目の当たりにした兵士たちの息は詰まり、地上の人々はただ報せを待つしかなかった。
誰もが祈りながら、遠くの地下で続く激闘に耳を澄ませていた。
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