『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI

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第128章鉄の防壁を築く者

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二郎は機銃の設置に取り掛かった

一箇所目:ハーモンド辺境伯領

まずは領都にある本拠に設置された。ここでは狙撃部隊に機銃の管理・運用を兼任させることになり、隊長のキースが呼び出される。

「副長を決めてくれ。その者に機銃の指揮を頼む」

「……分かりました。信頼できる者を選びます」

設置後、試射を終えると、兵士たちは目を見張った。

「……こんな武器が、この世に……」

「間違っても味方に向けるなよ」と二郎が笑いながら言うと、場が少し和んだ。

出発の朝、レンが二郎を呼び止めた。

「……必ず帰って来て」

揺れる声に、二郎は頭を撫でながら微笑んだ。

「約束するよ。絶対に」



二箇所目:ケニス伯爵領

ケニス領は帝国との国境に接しており、防衛上も重要拠点だった。

「辺境伯殿よりの書状、確かに受け取りました」と騎士隊長は書状に目を通すと、顔を引き締める。

「こんな兵器が……これで、帝国の突撃も止められるかもしれません」

二郎は設置場所を指さしながら説明する。

「射線を遮らない場所、そして整備性も考慮してください。弾詰まりした時は……」

「はい! 何としても使いこなしてみせます!」

数日後、隊長は敬礼しながら言った。

「佐々木殿。この武器、我々の誇りにいたします」



三箇所目:モーガン子爵領

「ほう、これが“機銃”か。実に面白い……」

内政家で知られるモーガン子爵は、防衛強化にも熱心だった。

「この配置図を元に、街道にも監視拠点を設けるべきですな。火点の交差を考えて……」

「子爵様の理解が早くて助かります」と二郎は頭を下げた。

訓練を終える頃、子爵は笑いながら言った。

「あなたが次に向かう先でも、この鉄の牙が民を守るでしょう。どうかご無事で」



四箇所目:公都

城門前で、近衛騎士長が二郎を迎えた。

「辺境伯殿のご命令は、既に陛下より通達を受けております。設置場所はこちらへ」

設置と指導を終えると、若き近衛が口を開く。

「これが本当に人が作ったものなのか……まるで神の業だ」

「神様じゃないさ。ただの“知恵”だよ」と二郎は微笑んだ。

設置完了を報告すると、近衛騎士長が礼を述べた。

「ご尽力に感謝します。これで公都も一層、守りが堅くなりました」


四拠点への機銃設置を終えたその夜、二郎は公都の王城に招かれた。

玉座の間ではなく、政務用の小部屋――過剰な装飾を廃した、静かで実務的な空間に通された二郎は、公王クレイと二人きりで対面する。

クレイは地図の広げられた机に向かい、目を上げると静かに言った。

「佐々木殿……機銃の設置、感謝する。近衛たちからも高く評価する声が届いている」

「それは良かったです。ですが……本題はそこではありません」

二郎は腰に佩いていた報告書を差し出した。

「……これは、辺境伯領で我々が討伐した“オークキング変異種”の詳細。そして、壊滅させられた村の惨状です」

クレイは報告書に目を通しながら、眉間に皺を寄せていった。

「……子どもまで……惨たらしいな」

「ええ。“奴ら”はただ戦っているんじゃない。民を、意図的に苦しめている。あれは“見せしめ”です」

「……“誰か”に見せつけるための虐殺、か」

二郎は静かに頷く。

「その“誰か”が、間違いなく我々だと示す証拠があります。討伐したオークキングの体から、“魔道具”が見つかりました。あれは、意図的に変異を促す装置でした」

クレイの目が鋭くなる。

「……ユリウスか」

「ええ。やつが動いています。ルーノ聖国が持つ“神の権威”の名の下に、帝国を操り、民を蹂躙している。あの村は“実験”に過ぎなかった可能性すらある」

クレイは報告書を閉じ、静かに息を吐いた。

「つまり……帝国とルーノ聖国は、また攻めてくる。そして、次はオークキングなど比にならぬ戦力を用意して」

「はい。次は“戦争”では済まない。“侵略”です。公国全土が戦場になるかもしれません」

しばしの沈黙が流れたあと、公王クレイはまっすぐに二郎を見つめて言った。

「……その時、お前はまた、剣を取るつもりか?」

二郎は迷いなく答える。

「俺は……“守る”と決めたんです。レンを。クレアを。あの子(ミーナ)を。仲間たちを。そして、この国を」

クレイの目が柔らかくなる。

「……“公国の盾”になってくれるか。佐々木二郎」

「ええ。そのつもりです」

クレイは静かに頷き、窓の外――夜の帳が下り始めた公都の空を見上げた。

「……ならば、我らも覚悟を決めねばなるまい。王家も、公国も。守るために、戦うしかない」

その声には、決意と重責が宿っていた。


だが、誰もまだ知らなかった。

公国全土を震撼させる“黒き嵐”が、同時多発的に襲いかかることを――。
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