『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI

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日常編

第57話「乾燥は敵? 命の水」

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カラン――。

 ミッドナイトマートの扉が開いた瞬間、レンとニナは思わず視線を向けた。
 そこに現れたのは……スライム。
 しかし以前見たときの、あの透き通るようなみずみずしい姿ではない。
 表面はくすみ、ところどころひび割れのような筋が走り、動きもどこか鈍い。

 「……あれ? 元気ないですね」
 レンが声をかけると、スライムは弱々しくぷるんと身体を震わせた。
 「最近、この辺りじゃ雨が全然降らないんだ……。井戸の水も底をつきかけてて、もう身体がカラカラでさ」
 ニナが目を丸くする。
 「水がないと、スライムさんは……」
 「干からびる」短く、そして重くそう答えるスライム。

 店内をふらつくように進むと、真っ先に向かったのは飲料コーナーだった。
 並ぶ透明なペットボトルをじっと見つめ、やがて1リットル入りの水を2本、カゴへ。
 レジに持ってきたスライムは、会計を済ませるとすぐにキャップを外し、ゴクゴクと吸い込み始めた。

 ――ゴク、ゴク、ゴク。

 すると、見る間にひびは消え、表面が透明感を取り戻していく。
 つややかに光を反射し、ぷるん、と弾む音まで戻った。
 「……はぁ、生き返った。やっぱり水は命だな」
 スライムは深く息をつくように身体全体を膨らませる。

 レンが補充していた棚から、500mlのボトルを取り出して差し出す。
 「持ち歩きやすい小さいのもありますよ。乾燥が続くなら、いくつか持っていたほうがいいです」
 スライムは目のような部分を細めて笑い、追加で数本購入した。

 「この辺りじゃ、もう何日も雨が降っていないんだ。川の水も減ってるし、人間も困ってるらしい」
 スライムはそんな話をぽつぽつと語る。どうやら水不足は相当深刻らしい。
 「……でも、こうして元気になれたし、明日からまた仲間と水を探しに行けそうだ」

 買った水のボトルは、すべて自分の身体の中にすっぽりと収まった。
 満足そうに尻尾のような部分を揺らし、スライムは扉の外へ。
 その姿は、来たときとはまるで別人――いや別スライムのように、張りと艶を取り戻していた。

 「ありがとうございました。またお越し下さいませ」

 扉のベルが鳴き止むと、ニナがそっと呟いた。
 「水って、人もスライムも生きるために欠かせないんですね……」
 レンは頷きながら、再び飲料棚に新しい水を並べた。
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