『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI

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忍び寄る影編

第56話「町中の警備強化」

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深夜――。
ミッドナイトマートの外から、不意に重い音が響いてきた。
ガシャン、ガシャン……規則的な金属の擦れる音。甲冑を着込んだ兵士の行軍だとすぐにわかった。

レンとニナが同時に顔を上げる。
窓越しに見えたのは、松明を掲げて通りを進む大勢の兵士たちだった。燃え盛る炎に照らされた影は壁に長く伸び、馬上の兵と徒歩の兵が入り混じり、慌ただしく指示を飛ばしている。

「門を閉めろ!」
誰かの怒号が夜気を震わせ、店内にまで届く。
その声と共に、足音は一層速まった。

ニナはカーテンを少しだけ持ち上げ、目を凝らす。
「……こんな時間に、こんなに大勢……」
驚きと不安が入り混じった声が、吐息のように漏れた。

レンはレジ横に手を置いたまま、兵士たちの影をじっと追っていた。
普段なら酔客や子供たちの笑い声が響く夜の通り。
しかし今は、軍靴の音と甲冑のきしみだけが町を支配していた。

兵士たちの顔には笑みひとつなく、険しい影が浮かんでいた。
――あの声は本当に「門を閉めろ」と言ったのか。
それは外敵を防ぐためか、それとも……。

胸の奥にざわつきが広がる。レンはそれを打ち消すように深く息を吸った。

やがて行軍の列は遠ざかり、通りには再び静寂が戻った。
だが、ガラスに映った松明の赤が消えてもなお、不穏な残光が心に焼き付いて離れない。

「ありがとうございました。またお越し下さいませ」
レンの声が夜の店内に響いた。
それは客のいない空間に向けられたものだったが、彼自身の胸の中へと跳ね返り、妙に虚しく響いた。

ニナはレンの横顔をちらりと見やり、小さく息を呑んだ。
――この町は、もう以前の静かな夜には戻れないのかもしれない。
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