『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

日常編

第18話「騎士たちの宴支度」

　カラン。

　深夜0時すぎのミッドナイトマートに、にぎやかな笑い声とともに数人の若い騎士たちが入ってきた。

　「うぉーっ、ここが噂の“異界の物資庫”か！」

　「すげぇ、まじで揃ってんじゃん！ うわ、お菓子めっちゃ種類ある！」

　「酒もあるぞ！ 酒もーっ！」

　店内の雰囲気は一気に熱気を帯びた。
　みな、軽装の鎧を着け、戦場帰りらしき埃をわずかにまとっている。どうやら任務が一区切りついたらしい。

　レジから顔を出したレンが、少し驚きながらも苦笑する。

　「いらっしゃいませ。……今日はにぎやかですね」

　「すまん、兄ちゃん！ 今夜は祝勝会だ！」

　「朝まで飲むから、たっぷり仕入れんとな！」

　彼らは次々と冷蔵ケースの酒を取り出していく。
　缶ビール風の異世界麦酒、魔法発酵酒、季節限定の果実酒。
　さらにつまみとして、ジャーキー、チーズ、スナック菓子、焼き鳥串の真空パックまで。まさに“宴セット”。

　「これ全部でいくらだ!?」

　「合計で……ちょうど1850ストーです」

　「よっしゃ、割り勘な！ ナイポ持ってるやつ、出せ！」

　「俺がポイントつける！ お前は前回カップ麺で特典もらったろ！」

　レジ前でわいわいと盛り上がる彼らに、ニナも思わず笑みをこぼす。

　「にぎやかですねぇ……」

　「うん、でもなんか、いいよな。任務終わりの解放感ってやつだな、きっと」

　会計が済むと、レジ袋を何袋にも分けて抱えた騎士たちは、元気に店を後にする。

　「じゃあな！ また来るぜー！」

　「今度は唐揚げおにぎりも試す！」

　霧の中へと消えていく若者たちの笑い声を背に、レンとニナは声をそろえて言う。

　「ありがとうございました。またお越し下さいませ」