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第37話 すれ違う再会
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馬車に揺られること、一週間。
長い旅路の果て、
ようやく視界の向こうに王都の城壁が見えた。
「……着いた」
ミアは窓に張りつくようにして、
目を輝かせている。
「おっき……!」
「……ひと、多い」
ルークは、素直な感想を口にした。
石畳の道。
高く連なる建物。
行き交う人々の数は、村とは比べものにならない。
二人は馬車を降り、
事前に予約してあった宿へと向かった。
*
「お部屋は、二部屋ですね」
受付の言葉に、
ルークは頷き、鍵を受け取る。
「……じゃあ、いこう」
そう言って歩き出そうとした瞬間――
「……ちょっと待って」
ミアが、ぴたりと足を止めた。
「別々は、嫌」
「……え?」
ルークが振り返る。
「なんで?」
「だって……」
ミアは、少しだけ視線を逸らす。
「知らない街だし……」
「……一人、やだ」
ルークは、困ったように頭を掻いた。
「……でもなぁ」
言葉を選んでいると、
ミアが、じっとこちらを見つめてくる。
「……私と同じ部屋、嫌なの?」
「……嫌じゃない」
即答だった。
それを聞いた瞬間、
ミアの顔が、ぱっと明るくなる。
「じゃあ、一緒でいいよね?」
「……決定?」
「決定」
満面の笑み。
ルークは、小さくため息をついた。
「……はぁ」
こうして、
二人は同じ部屋へ向かうことになった。
*
部屋の扉を開けると、
中は思っていたよりも簡素だった。
机。
椅子。
そして――
「……ベッド、ひとつ」
ルークが、呟く。
「……やっぱり、もう一部屋……」
受付へ戻ろうとした、その時。
ミアが、ルークの手を掴んだ。
「一緒でいいって、言ったじゃん」
(……言ってない)
心の中でそう突っ込みながら、
ルークはミアを見る。
「……ほんとに、いいの?」
「うん」
即答。
揺るぎない。
ルークは、観念したように肩を落とした。
「……明日の試験の準備しよっか」
「ふふ、真面目」
こうして、
二人は翌日の試験に備えて準備を進めた。
*
一方、その頃――
王立魔法学園。
セシリアは、自室で外出の準備をしていた。
「……そろそろ、着いた頃かな」
鏡の前で身なりを整えながら、
自然と笑みが浮かぶ。
ようやく弟が、王都に来る日。
「……迎えに行かないと」
そう思った瞬間。
――コンコン。
ノックの音が響いた。
「どうぞ」
扉が開き、
一人の女子生徒が顔を出す。
「会長、どちらへ行かれるんですか?」
「……なんだ、エミリか」
セシリアは、気を抜いた笑顔を向けた。
「今から、弟のところ」
「ようやく来たの」
その言葉に、
エミリは少し驚いたように目を瞬かせる。
「弟さん、来られるんですね?」
「ええ!」
セシリアは、嬉しそうに頷く。
「五年ぶりだから、楽しみで……」
言いかけたところで、
エミリが、セシリアの肩に手を置いた。
「……会長」
「今日、会議があるの、
お忘れですか?」
「……え?」
セシリアは、一瞬きょとんとする。
「……そんな予定、あったかな?」
とぼけた声。
「ありました」
即答だった。
エミリは、ぐっとセシリアの手を掴む。
「さ、行きましょう」
「ちょ、ちょっと……!」
ずるずると引きずられながら、
セシリアは必死に抵抗する。
「今から、弟のところ……!」
「会議、優先です」
「うぅ……!」
廊下を引きずられながら、
セシリアは叫んだ。
「ルークー!!」
「待ってるぞー!!」
*
その頃。
宿の前を歩いていたルークは、
ふと立ち止まった。
「……?」
「どうしたの?」
ミアが、不思議そうに尋ねる。
「……今誰かに、呼ばれた気が……」
「気のせいじゃない?」
「……そう、かな」
ルークは、肩をすくめた。
だが、
なぜか背中に、
ぞわりとした感覚が残る。
「……さむ」
「え? 暑いよ?」
「……きのせい」
二人は、再び試験準備をする。
*
王都の夜は、
にぎやかで、広くて、少し落ち着かない。
すぐ近くにいるはずなのに、
まだ会えない。
だが――
すれ違いの先に、再会は待っている。
それぞれの場所で、
同じ名前を胸に浮かべながら。
王都の灯りは、
その小さな奇跡の瞬間を、
静かに照らしていた。
長い旅路の果て、
ようやく視界の向こうに王都の城壁が見えた。
「……着いた」
ミアは窓に張りつくようにして、
目を輝かせている。
「おっき……!」
「……ひと、多い」
ルークは、素直な感想を口にした。
石畳の道。
高く連なる建物。
行き交う人々の数は、村とは比べものにならない。
二人は馬車を降り、
事前に予約してあった宿へと向かった。
*
「お部屋は、二部屋ですね」
受付の言葉に、
ルークは頷き、鍵を受け取る。
「……じゃあ、いこう」
そう言って歩き出そうとした瞬間――
「……ちょっと待って」
ミアが、ぴたりと足を止めた。
「別々は、嫌」
「……え?」
ルークが振り返る。
「なんで?」
「だって……」
ミアは、少しだけ視線を逸らす。
「知らない街だし……」
「……一人、やだ」
ルークは、困ったように頭を掻いた。
「……でもなぁ」
言葉を選んでいると、
ミアが、じっとこちらを見つめてくる。
「……私と同じ部屋、嫌なの?」
「……嫌じゃない」
即答だった。
それを聞いた瞬間、
ミアの顔が、ぱっと明るくなる。
「じゃあ、一緒でいいよね?」
「……決定?」
「決定」
満面の笑み。
ルークは、小さくため息をついた。
「……はぁ」
こうして、
二人は同じ部屋へ向かうことになった。
*
部屋の扉を開けると、
中は思っていたよりも簡素だった。
机。
椅子。
そして――
「……ベッド、ひとつ」
ルークが、呟く。
「……やっぱり、もう一部屋……」
受付へ戻ろうとした、その時。
ミアが、ルークの手を掴んだ。
「一緒でいいって、言ったじゃん」
(……言ってない)
心の中でそう突っ込みながら、
ルークはミアを見る。
「……ほんとに、いいの?」
「うん」
即答。
揺るぎない。
ルークは、観念したように肩を落とした。
「……明日の試験の準備しよっか」
「ふふ、真面目」
こうして、
二人は翌日の試験に備えて準備を進めた。
*
一方、その頃――
王立魔法学園。
セシリアは、自室で外出の準備をしていた。
「……そろそろ、着いた頃かな」
鏡の前で身なりを整えながら、
自然と笑みが浮かぶ。
ようやく弟が、王都に来る日。
「……迎えに行かないと」
そう思った瞬間。
――コンコン。
ノックの音が響いた。
「どうぞ」
扉が開き、
一人の女子生徒が顔を出す。
「会長、どちらへ行かれるんですか?」
「……なんだ、エミリか」
セシリアは、気を抜いた笑顔を向けた。
「今から、弟のところ」
「ようやく来たの」
その言葉に、
エミリは少し驚いたように目を瞬かせる。
「弟さん、来られるんですね?」
「ええ!」
セシリアは、嬉しそうに頷く。
「五年ぶりだから、楽しみで……」
言いかけたところで、
エミリが、セシリアの肩に手を置いた。
「……会長」
「今日、会議があるの、
お忘れですか?」
「……え?」
セシリアは、一瞬きょとんとする。
「……そんな予定、あったかな?」
とぼけた声。
「ありました」
即答だった。
エミリは、ぐっとセシリアの手を掴む。
「さ、行きましょう」
「ちょ、ちょっと……!」
ずるずると引きずられながら、
セシリアは必死に抵抗する。
「今から、弟のところ……!」
「会議、優先です」
「うぅ……!」
廊下を引きずられながら、
セシリアは叫んだ。
「ルークー!!」
「待ってるぞー!!」
*
その頃。
宿の前を歩いていたルークは、
ふと立ち止まった。
「……?」
「どうしたの?」
ミアが、不思議そうに尋ねる。
「……今誰かに、呼ばれた気が……」
「気のせいじゃない?」
「……そう、かな」
ルークは、肩をすくめた。
だが、
なぜか背中に、
ぞわりとした感覚が残る。
「……さむ」
「え? 暑いよ?」
「……きのせい」
二人は、再び試験準備をする。
*
王都の夜は、
にぎやかで、広くて、少し落ち着かない。
すぐ近くにいるはずなのに、
まだ会えない。
だが――
すれ違いの先に、再会は待っている。
それぞれの場所で、
同じ名前を胸に浮かべながら。
王都の灯りは、
その小さな奇跡の瞬間を、
静かに照らしていた。
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