愚者の恋

橋本かおす

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変化

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 僕と春は晴れて大学生になった。僕は第一志望の大学に合格した。春は同じ大学にとは行かなかったけど同じ京都の大学に行くことになった。同じ京都の大学に行くことになって二人揃って喜んだ。


 大学はじめはお互い忙しかったのだけれど、二週間ほど経った後はお互い大学にも慣れてきて時間に余裕が出るようになった。週末はお互いの家に行ってともに時を過ごした。


 大学生といえばバイトやサークルに明け暮れるという人もいるかもしれないが、僕と春はバイトもサークルも入らなかった。二人の時間を過ごしたいという春の提案だった。


 おかげで大学では友達は一人もいなかった。授業で会う友達なんてそんなに仲良くなれないし、僕の唯一の心の拠り所は春しかいなかった。このころの私は完全に彼女に依存してしまっていた。もう彼女なしの人生なんて考えられなかった。


 そのまま一年ほどの歳月が流れた。相変わらず毎日lineをしているし関係も良好だ。お互いに目立った変化はないのだが、私は言い知れぬ不安を感じていた。


 まず彼女はバイトをし始めた。そろそろ自分で自由に使えるお金が欲しいとのことだった。特に止める理由なんてないのだが、私は彼女が変わってしまったような気がして少し寂しく感じた。私はバイトなどやる気が起きなかった。


 そのころから彼女が変わったような気がした。人間的序列が春の方が上になった感覚が。私はバイトすらできない臆病者だと言われている気がした。


 それから彼女は友達と頻繁に遊ぶようになった。大学の友達だけでなく高校の頃の友達ともよく遊ぶようになった。高校の頃は脇目もふらず私だけを見ていたというのに。私に友達と遊ぶなと強要していたくせに。


 私は彼女に友達と遊んでほしくないと思っていたが、それを口に出すことはできなかった。なんでだろう。重くなりたくなかったから。友達がいないみじめな自分を認めたくなかったから。たぶん両方だ。


 だんだん私は不安を感じていった。彼女は私の前では笑顔でいい子ぶっているが、裏では私の悪口を言っているのではないかとさえ思うようになっていた。一種の被害妄想だ。


 そんな私はついにやってはいけないことをしてしまった。これをやってしまってはもう信頼など得られないだろう。二人の間に亀裂が入ることは明白だった。しかし、私はそれをやってしまった。


 決行したのは二人で家に泊まった時だった。春がお風呂に入ったタイミングで私は彼女にスマホに手を付けた。暗証番号は日頃から後ろでチェックしていたのですぐにわかった。


 彼女のlineを見ると直近で知らない男とlineをしていた。ダメだと思いながらもトーク履歴を見てみた。


『私の彼氏ってなんか男っぽくないんだよね(笑)』


『なんか頼りないっていうかさー』


『こんな人なら付き合わなかったらよかった(笑)』


 私はその場から消えたくなった。
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