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モノグサ彼氏とラブラブ大作戦っ!
Chapter 12
しおりを挟む俺が懸念していた憂鬱はゴールデンウィークが終わった直後から始まった。
その日は朝から後藤さんと白石さんの二人に捕まった俺達。
おそらく、ゴールデンウィーク中に会えなかった天馬に一分一秒でも早く会いたいと、俺達が来るのを今か今かと待ち構えていたに違いない。“二人が”と言うより“白石さん”が。
三日振りに天馬に会えた白石さんのテンションはいつもより少しだけ高く、二人に捕まった俺達は一、二限とも被っている講義を一緒に受け、当然お昼も一緒に食べることになってしまったわけだけど……。
「天馬ーっ!」
そこに合流してきたのが昨日初めて会ったばかりの水嶋さんだった。
(出た……)
まさか恐れていた事態がこんなにも早く実現してしまうなんて。神様というやつはとことん俺に意地悪らしい。
まあ、正直これまでに神のご加護というものをあまり受けた実感がない俺は、言うほど神様を信じているわけでもないのだけれど。
でも、天馬と恋人同士になれたことや、今天馬と一緒に暮らせていることなんかは“神様が俺の願いを叶えてくれたのかな?”と思わないでもないから、全く信じていないわけではないし、それなりに感謝もしているわけだけど。
だがしかし、それ以外であまりいい思いをしたことがない俺は、次から次へと降って湧いてくる新しい問題に
(どうしてもっと平和な毎日を送らせてくれないの⁈)
と、神様というやつを恨みたくもなるのだった。
「なんだ。亜美か」
「そうよ。天馬の愛しい亜美ちゃんよ」
「愛しくない」
「またまた~。照れちゃって」
「照れてない」
昨日振りに会う水嶋さんは相変わらずな感じで、一見口喧嘩をしていたようにも見えた天馬との昨日のやり取りも、半日経った今日はもう全く気にしていない様子だった。
やっぱりあのやり取りはこの二人にとって当たり前のやり取りだったんだ。天馬の水嶋さんに対する態度も昨日と全く変わってないし。
「っていうか、わざわざ声を掛けて来なくてもいいだろ。しかも、あんな大声で」
「あら? 私的には虫除けしてあげたつもりなんだけど?」
「虫除け?」
「そうよ。あんた、この学食内の女の子の何人があんたのことチラチラと盗み見してるかわかってないでしょ。ま、そんな視線に全く気付かないあんたにはどうでもいい話だろうけど、私としては鬱陶しいと思うから、あえてあんたに女がいるってアピールをしてみたってところかな。顔もスタイルも抜群な私が天馬の彼女だとわかれば、冴えない女の半分以上はおとなしく諦めてくれるでしょ」
「誰が彼女だ。俺はお前と付き合った覚えなんてないぞ」
「いいのいいの。そのうちそうなるんだから」
「はあ?」
のっけから絶好調と言うか、飛ばし過ぎと言うか……。水嶋さんのこのテンションに初対面でついていける人間もそういないと思う。かく言う俺も、昨日は水嶋さんのこのテンションに圧倒されて、ロクに口が利けないままに終わっちゃったし。
なんて言うかさ、個性が強いよね。自信満々なところはちょっと羨ましいとは思うけど、やや自意識過剰が酷いような気もする。
まあ、実際に水嶋さんは可愛いしスタイルもいいから、「私なんて……」って謙遜された方が逆に嫌味に聞こえちゃうかもしれない。
人って不思議なもので、誰もが認める美男美女が自分の容姿を卑下するような発言をすると「何言ってんの?」って反感を覚えたりするもんね。
それっていうのも、自分の容姿が優れているとわかっている人は、言動の節々にそれが滲み出てしまうから、「本当は自信満々な癖に」って思われるからなのかもしれない。
これが天馬のように本当に自分の魅力がわかっていなくて、自分を良く見せようともしないとなると、反感を覚えることもほとんどなく、むしろ「どうしてそうなの?」と不思議にしかならないけれど。
だけど、謙遜されるのも嫌だけど、逆に自信満々になられるのもどうだろう。
男の俺からしてみれば、本当に可愛い子が自分の容姿に自信たっぷりでも、「うん。そうだね。君、可愛いもんね」ってなるけれど――本来、男という生き物は可愛い子には弱いものなのだ――、同じ女の子からしてみれば、それはそれで顰蹙ものなんじゃないだろうか。
案の定――。
「もっとも、既に虫がついちゃってるみたいだけどね」
と、やや馬鹿にするような意地悪な顔で水嶋さんから見下ろされた白石さんは、色白の顔を真っ赤にして怒った様子だった。
ここであえて水嶋さんが白石さんだけにターゲットを絞ったのは、水嶋さんが現れてからずっと不愉快そうな顔をしていた白石さんに気付いたからなのかな。後藤さんの方は突然現れて自意識過剰発言ばかりする水嶋さんに、何が起こっているのかわからない、と言った顔でポカンとした間抜け面をしているだけだから。
もしくは、天馬や一臣と同じミックスフライ定食をご飯大盛りにしてもらって食べている後藤さんのことを、女の子として認定しなかったからなのかもしれない。
もしそうだとしたら、昨日水嶋さんから男子認定されなかったんじゃないか疑惑がある俺は、後藤さんに少し親近感が湧いてしまう。後藤さんのことがちょっと好きになれそうな気がするよ。
実際、昨日俺の前に水嶋さんが現れてからというもの、俺の苦手な女の子の一位二位から後藤さんは転落している。それどころか、水嶋さんと白石さんが一位争いを始めてしまったことにより、後藤さんが苦手であることを忘れてしまいそうな勢いだった。
果たして俺は水嶋さんと白石さんのどちらをより苦手だと思うのだろうか……。
今の時点ではなんとも言えない。
水嶋さんは白石さんと違って俺を直接敵対視してくることはなさそうだけど――勢いで攻撃してきそうなことはありそうだけど――、天馬とは幼馴染みだから天馬のことを良く知っている感じだし、天馬との心の距離も近い気がする。そこはちょっと不安になるし、俺の中で苦手意識を強く感じることにもなりそう。俺と違って水嶋さんは積極的だから、そこも俺が引け目や敗北感を感じて自己嫌悪に陥る原因になりそうだし。
それに比べて、白石さんの方は天馬との親密度はまだまだこれから上げて行く段階って感じ。積極性もあまり感じられないから、天馬と白石さんの仲が急速に発展することはなさそうで安心はできる。白石さん的には頑張っているつもりなんだろうけれど、鈍い天馬は白石さんからの好意に一切気付いていないし。
ただね……白石さんはやっぱりアレですよ。俺を見る目、俺に対する態度が怖い。水嶋さんと違って俺に直接的なプレッシャーを与えてくるところがどうしても苦手なんだよね。ああ、俺って嫌われてるんだな……って思うし。
でも、結局あの二人の何がどう苦手と俺が思っていようと、一番の決め手になるのは天馬からの好感度。ってことにはなるよね。
今のところ、天馬に恋愛的な意味で二人を好きだという感情はないみたいだけれど、今後の展開次第ではどう転ぶかわからないもん。そうなった時、天馬は自分の好感度がより高い子の方を意識するようになるだろうから、俺にとっては天馬の好感度が高い子の方が脅威になる。
もっとも――。
「何? 天馬。あんたってばこんな地味な子とつるんでるの? こういう子があんたの趣味だとは思わなかったんだけど?」
「あら。天馬君はあなたみたいに口喧しくて高飛車な女の子は好きじゃないと思うけど?」
「なんですって⁈」
この二人にとって俺はなんの脅威でもなく、恋敵であるとも思ってもらえていないみたいだけどさ。
その方が俺にとっては好都合。だって――。
「おとなしそうな顔をしているから性格もさぞ控えめかと思ったら、どうやらそういうわけでもないみたいね」
「先に喧嘩を吹っ掛けてきたのはそっちでしょ? 私、人と争うのは好きじゃないけど、嫌なことを言われておとなしく黙っているほどお人好しでもないわ」
こんな恐ろしい争いごとに巻き込まれたくないもん。
「へー。そうなんだぁ~。でも私、別に喧嘩を売ったわけじゃないのよ? ただ本当のことを言っただけだもん」
「ごめんなさい。全然そんな風に聞こえなかった。なんだかとても不快な気分になることを言われたと思ったわ。だけど、私だって本当のことを言っただけよ。なのに、どうしてあなたはそんなに怒るのかしら?」
「やーね。私は怒ってなんかないわよ? 全っっっ然。あなたの方こそ怒ってるじゃない」
「私だって怒ってないわ。全っっっ然」
何これ。ほんと怖い。女の子同士の喧嘩ってこんなのなの? 聞いているだけでも胃が痛くなっちゃいそう。
っていうか、なんで急に喧嘩とか始めるの? せっかくみんなでお昼ご飯を食べてる最中だっていうのに、ご飯が不味くなっちゃうじゃん。ただでさえ特別美味しいご飯っていうわけでもないのに。
こういう場合、一番頼りになりそうなのは同じ女の子の後藤さんって気もするんだけれど……。
「……………………」
俺がこっそり盗み見るように視線を走らせた先の後藤さんは、お昼を口いっぱいに頬張ったまま、黙々と口を動かしながら二人――特に水嶋さんをガン見しながら食事に夢中って感じだった。
(えー……食べるの優先?)
そこは止めないんだ。後藤さんと白石さんって仲がいいんじゃないの? それとも、たまたま大学が一緒になったから、知った顔同士でつるんでいるだけなの?
どちらにせよ、後藤さんに二人を止めるつもりはなさそうである。友達(白石さん)のピンチを助けてあげないって……女の子ってよくわからないな。
「あー……あのさ、二人とももうそのへんにしといた方がいいんじゃないかな? 食事中だし。食事中にいきなり険悪になられてもさ。ちょっとこっちも困っちゃうんだよねぇ~」
放っておいたらどんどん険悪になりそうな二人に青褪めていると、二人の仲裁に入ったのは意外にも一臣だった。
俺はてっきり、そろそろ痺れを切らすであろう天馬が二人を止めてくれると思っていたのに。
その天馬は二人の言い合いが始まってからは眉間に皺を寄せ、不満そうな顔でお箸を進めていた。
でも、そろそろ止めようとは思っていたのか、一臣が口を挟んだ瞬間、ホッとしたような顔になった。
ちなみに光稀は我関せず。涼しい顔でこれまた静かにお箸を進めていた。
その顔は
『僕は下々のくだらない争いになんて興味ないから』
とでも書いてあるようだった。
そして俺は、どんどん険悪になっていく二人に気が気じゃなくて、おろおろおどおどして食事もままならない状態だった。
「っていうかさ、君、誰?」
二人を刺激しないような柔らかな口調で仲裁に入った一臣だけど、水嶋さんとは今が初対面になるわけだから、そこは聞いておきたいという気持ちもあったのだと思う。
そもそも、ここにいる六人の中で水嶋さんのことを知っているのは俺と天馬だけだから、いきなり乱入してきた水嶋さんのことは、みんな「誰?」と思っていたに違いない。
その誰だかわからない相手にいきなり喧嘩を吹っ掛けられた白石さんは、ある意味この中で一番の被害者だったとも言える。
「あ、そっか。私ってばまだ自己紹介もしてなかったね」
これは昨日も俺が感じたことではあるけれど、水嶋さんの怒りの沸点は低い。故に、その怒りが収まるのも比較的早い……のではないだろうか。怒りの対象から意識を逸らせるものがあれば、水嶋さんはすぐに怒りを忘れてしまう傾向にあるように思う。
今も一臣が口を挟んできたことにより、水嶋さんの意識はあっさり白石さんから一臣へと移ってしまったように見えた。
いつまでもねちねちと怒って機嫌を損ねられるよりはマシだけど、だったら最初からそんなに怒らなければ良いのでは? と思ってしまう。水嶋さんってキレキャラなのかな? キレるのが癖、みたいな。実際はそんなに怒ってもいなくて、だから怒りが収まるのも早かったりして。
だったら益々最初から怒らなければいいのに。その場の空気が悪くなるだけなのに。
「私、水嶋亜美。天馬とは幼稚園の頃からの幼馴染みで、将来を誓った仲でもあるの」
「だから、誓ってないだろ」
さっきの白石さんとの険悪なムードが嘘のような明るい自己紹介をする水嶋さんに、“将来を誓った仲”と言われた天馬はうんざりした顔になった。
昨日、約八年振りに再会したという天馬に対し、水嶋さんはやたらと自分と天馬の仲を主張してくる。
天馬はそのたびに呆れたような、うんざりしたような顔と声で否定をしてくるけれど、実は天馬が覚えていないだけで、水嶋さんと何か将来の約束的なものをしたんじゃないだろうか。そうじゃないと、水嶋さんがここまで天馬との仲を主張してくるのって変だし。
まあ、水嶋さんの思い込みって可能性もあるけれど。水嶋さんって思い込みも激しそうだもんね。
「へー。天馬の幼馴染みなのか。天馬に女の幼馴染みがいたとは思わなかったな。しかも、こんな……活発で可愛い子がね」
あ。今一瞬、遣う言葉に迷ったな。
一臣が本当はどんな言葉を遣おうとしたのかは定かではないけれど、直接自分が水嶋さんと会話をしてみなくても、今の水嶋さんと白石さんとのやり取りで水嶋さんの大体の性格は把握できただろう。迂闊なことを言ったら不味い相手だということくらいは一臣もわかっただろうから、彼女を表現する言葉に慎重になる気持ちはよくわかる。
もっとも、一臣は水嶋さんのことを“活発な子だ”とは思ったかもしれないけれど、“可愛い”はお世辞だろうな。
そりゃまあ、水嶋さんは一般的な男目線から見れば“可愛い”になるとは思うけど、一臣って光稀以外の人間には全く興味なんてないし。水嶋さんに対して“可愛い”という表現を遣ったのも一般論としてだろう。
ひょっとしたら、これ以上目の前で揉め事を起こされたくないから、あえて水嶋さんの機嫌を取るような言葉を選んだのかもしれない。
一臣は高城グループ社長の三人目の末息子として、家族や使用人から散々甘やかされて育ってきた身ではあるけれど、子供の頃からいろんな大人の人に囲まれて育ってきたせいか、社交的で世渡り上手なところもある。
中学時代、最初はクラスで浮いていた一臣らしいけど、浮いていたからといって嫌われていたわけではないみたいだし。そのうちクラスの中にもすんなり溶け込んでしまったらしいから、もともとの対人スキルも高いんだと思う。一臣自身も基本的には平和主義で穏やかな人間だし。
そんな一臣だから、水嶋さんと白石さんの言い合いも放っておけず、仲裁役を買って出てくれたのかもしれないよね。一臣が見境をなくしたり、空気も読まずに暴走することがあるとすれば、それは全部光稀に関係する時だけだもん。
「まあ、小学校五年生の時に引っ越しちゃったから、そこから昨日までは天馬と会うこともなかったんだけどさ。でもま、こうして大学でまた一緒になれたことといい、たまたま選んだバイト先が天馬と一緒だったことといい、やっぱ運命なのかな? って思っちゃうよね~。私と天馬って」
自分と天馬の話をするのが好きなのか、わりと長い自己紹介だった。またしても、水嶋さんに“運命”なんて言葉を遣われた天馬は不満そうな溜息を吐き、頭が痛そうに額を押さえたりなんかしている。
「ところで、あなた達こそ天馬とはどういう関係? 天馬の友達だってことはわかるけど。天馬とはいつからの付き合いなわけ?」
自分の自己紹介が済んだら今度は俺達のことを聞いてくる水嶋さん。
まあ、普通はそういう流れになるよね。
「ああ。ここにいる六人は全員同じ高校出身なんだ。まあ、俺とこの光稀は天馬とは中学からの付き合いだけどね」
「へー。高校の同級生なんだ」
「俺は高城一臣」
「高城? 高城ってまさか、高城グループの関係者じゃないわよね? 高城グループ社長の息子とか……」
「そのまさかではあるんだけど……」
「嘘っ! 凄っ! 天馬、あんたそんな人とお付き合いしてるんだ。やるじゃん」
「やるじゃんって……。俺は別に一臣の家柄を知って一臣に近付いたわけじゃない。一臣の親がどこの誰だろうと関係ない。家柄で一臣とつるんでるわけじゃないんだからな」
一臣の出自を知った水嶋さんは普通に驚いたし、物凄い食いつきっぷりも見せたけれど、そんなものは当たり前になっている天馬は素っ気無かった。
普通はそうなるんだけどね。俺だって一臣があの高城グループ社長の息子だって聞いた時は物凄く驚いたし、俺みたいな一般庶民が付き合っても大丈夫な人? って恐縮しちゃったもん。それくらい、国内における高城グループの存在や知名度は高くて凄いんだから。
でも、一臣の方はあまりそういう目で周りから見られることを好まない傾向にあるから、最初は萎縮してしまっていた俺も、少しずつ一臣の家柄を意識しないような言動を取るようにと変えていった。
おかげで今は一臣とも普通の友達って感じになれたけど、最初から一臣の家柄に驚きもビビりもしなかったのは天馬と光稀くらいだと思う。
「まあ俺のことはいいとして。こっちは藤岡光稀。現在俺とはルームシェア中。いわゆるルームメイトってやつかな」
本当は自分の恋人として光稀を紹介したかったのだろうけれど、そういうわけにもいかない一臣の顔はちょっと残念そうだった。
もちろん
「どうも」
涼しい顔で水嶋さんに会釈する光稀の顔は、残念そうでもなんでもなかったけれど。
「はあ……びっくりするくらいに綺麗な顔をしている子ね。天馬。あんたって友達の趣味はかなりイケてるじゃん」
「まるで他の趣味がイケてないみたいな言い方だな」
「あら。何かイケてる趣味をお持ちだったかしら? 私、天馬に趣味と呼べるものがあるなんて知らないんだけど?」
「俺にだって趣味くらいある」
「何?」
「言わない」
「ケチ」
どうやら水嶋さんはことあるごとに天馬に話を振らないと気が済まないらしい。
天馬はそれが面倒臭そうではあるのだけれど、言われたことにはちゃんと返事を返していた。
っていうか、俺も天馬の趣味なんて知らないな。天馬の趣味ってなんだろう。水嶋さんに聞かれても言いたがらないってことは、あまり人に言いたくない趣味だったりするのかな。
(気になる……)
今度聞いてみようかな。俺が聞いたら天馬は自分の趣味とやらを俺に教えてくれるのかな?
一緒に住んでいる癖に、恋人の趣味にも気付かない俺もどうかと思うけど。
でも、天馬って家にいる時は基本的に俺と一緒の空間にいてくれるし、趣味らしきものに没頭している姿も見掛けたことがないんだよね。俺が天馬の趣味に気付けなくても無理はないって気もする。
「で、天馬の隣りに座ってる奴が……」
「あ。いいのいいの。智加ちゃんのことは天馬から聞いて知ってるから。昨日会ったもんね。ね、智加ちゃん」
「へ? あ……ぅ、うん……」
社交的な一臣は俺や光稀に代わって俺達の紹介までしてくれるわけだけど、既に俺のことは天馬から聞き知っている水嶋さんは、一臣がしてくれようとした俺の紹介は遮った。
昨日に引き続き、また“智加ちゃん”呼び? 俺は水嶋さんの中で“智加ちゃん”呼びが決定しちゃっているんだろうか。
そんなに親しい間柄でもないって感じだし、女の子からちゃん付けで呼ばれることには抵抗もあるんだけれど……。
それに、俺に対してはやけにフレンドリーな感じを出してくるのもちょっと気になる。
(俺が天馬と一緒に住んでいるからかなぁ……)
天馬と一緒に暮らしているうえ、天馬からは気に入られている様子の俺に嫌われてしまったら、自分の立場が悪くなると思っているのかも。だから、味方に付けたら強そうな俺にはフレンドリーに接してくるのかも。
(早い話、水嶋さんにとって俺は利用価値があるってことか)
まさか俺が天馬の恋人だとは思っていない水嶋さんからしてみれば、俺と仲良くしておけば俺が天馬との仲を取り持ってくれる……という期待があるのかもしれない。
自然の流れでそうなるのではなく、最初からそこを期待して態度を変えられるのもあまりいい気はしないし、打算的に思える水嶋さんの行動には閉口したくもなるけれど、世の中を少しでも上手に渡っていくためには、そういう損得勘定も必要ってことなのかな。
特に、天馬みたいにライバルが多い相手を物にするためには、“利用できるものは全部利用してやろう”って気持ちがないと無理なのかもしれないし。俺がちょっとお人好しなのだろう。
だけど、実際にはそのお人好しの俺が天馬のハートを射止め、今こうして恋人同士として一緒に生活もしているわけだから、世の中ってよくわからないものだよね。
「なんだ。智加は彼女と面識があったのか」
「うん。昨日バイト先で会ったから……」
「ってことは、天馬と智加と水嶋さんの三人は同じバイト先のバイト仲間ってことなんだね」
「そう……なるかな……あはは……」
同じバイト先はバイト先でも、俺だけ二人とは持ち場が違うわけだから、あまり同じバイト先の仲間という感覚はなかった。
せめて水嶋さんが天馬ではなく、俺と同じ日用品売り場担当なら良かったのに。こういうところは上手く行ってくれないんだよね。神様の意地悪。
「ところでさ、君、天馬とは将来を誓った仲だとか、運命だとか言っていたけど、天馬とは過去にそういう関係か何かだったの?」
おっと……。ここで毒舌と塩対応の達人、光稀女王陛下のご介入?
ちょうどお昼を食べ終わった光稀は、お茶で口の中をサッパリさせると、やや好戦的にも見える瞳で水嶋さんを仰ぎ見た。
薄く微笑む光稀の顔を正面から見た水嶋さんは、本能的に逆らえない何かを感じたのか、ちょっとだけ怯んだようにも見えた。
「え? えっと……まあ……なんて言うか……。これと言って決定的な何かがあったわけではないんだけどね。でもまあ、子供の頃に何度か一緒にお風呂に入ったこととかあるから、裸の付き合いなんかはしてるわけですよ。はい」
うぅ……。昨日天馬本人からも聞かされている話ではあるけれど、改めて聞くとダメージが大きいな。あの可愛い天馬と一緒にお風呂とか羨まし過ぎる。
「一緒にお風呂……」
この事実には白石さんもショックを受けたのか、ぽそりと小さく呟く白石さんの声は低く、震えてもいた。
その気持ち、すっごくよくわかる。今だけは白石さんと手を取り合って慰め合えそうな気分になるよ。それだけ協力で破壊的なパワーワードだもんね。“一緒にお風呂”って。
「へー。子供の頃に天馬と裸の付き合いを……ね。それを言ったら、僕や一臣は中学と高校で天馬と裸の付き合いをしていることになるね。修学旅行で天馬と一緒にお風呂に入ってるから。智加も高校ではしてるよね。天馬と裸の付き合い」
「あ……」
そっか。あれをカウントしていいんだったら、俺も天馬と一緒にお風呂に入ったことがあるんだ。
(もしかして光稀、俺にそれを気付かせようと思ってわざと……)
水嶋さんに「天馬と一緒にお風呂に入った」とマウントを取られ、あからさまに凹んでいる俺を見た光稀は
『天馬と一緒にお風呂に入ったことなら智加もあるでしょ?』
と、遠回しに俺に教えてくれようとしたんだ。
全然二人っきりとかじゃなかったし、そもそも修学旅行でクラスメートと一緒にお風呂に入るなんて当たり前過ぎて、「天馬と一緒にお風呂に入った」と俺が浮かれるようなこともなかったけれど――天馬と一緒にお風呂に入れたこと自体にはテンションが上がったが――、そうだよね。子供の頃に一緒に入ったお風呂なんて、修学旅行でクラスメートと一緒にお風呂に入ることとそんなに大差ないのかも。
だってほら。子供の頃って性別なんてあってないようなものだから。
「いやいや。修学旅行に男同士で一緒にお風呂に入るのは当然でしょ。そりゃ裸の付き合いって言ったらそうなるけど」
「そうだね。それはそうだと思うよ。でも、子供の頃に幼馴染みと一緒にお風呂もよく聞く話って感じだけど?」
「そ……そうかしら? 男の子同士ならわかるけど、男女で一緒にって話はあんまり聞いたことがないって気もするかな? 私は」
こ……これって、さっきみたいな言い合いをしているのかな? 光稀が始終穏やかな笑顔を浮かべていることと、水嶋さんが白石さんの時とは違って感情的になっていないから、言い合いをしている風にも見えないんだけれど。
「ああ。それはさ、普通の親なら“いくら子供同士でも男の子と女の子を一緒にお風呂に入れるのは……”って躊躇いがあるからじゃない? 男の子と比べて女の子は親の貞操観念が強かったりするからさ。だから君、いくら子供の頃の話だからって、あんまり人前で子供の頃に異性とお風呂に入ったって話をしない方がいいと思うよ? 人前で裸になることに抵抗がない節操無しだと思われちゃうから」
「なっ……」
さ……さすが光稀。見事な毒の吐きっぷり。これを爽やかな笑顔でさらりと言っちゃうから怖いよね。
でも、さすがに今の発言には水嶋さんもキレちゃったのでは? もしかして、また激しいバトルが始まっちゃう?
今回は相手が光稀なものだから、一臣も仲裁に入るべきかどうかを迷っているみたいだし、天馬も“どうしたものか”って顔をしている。俺は一人おろおろしているだけだし、後藤さんは最早空気。
唯一、白石さんだけが頼もしそうな顔で光稀を見ているけれど、この状況は白石さん的には仇を討ってもらっているようなものだから、白石さんに光稀を止める気なんて更々ないんだろうな。
「ごっ……ご心配なくっ。これでも私、身持ちは固いから。それに、うちの親は私と天馬が将来結婚してもいいと思っていたから、“一緒にお風呂くらい別にいい”って思っていたのよ。私と天馬って親公認だったからっ」
いやもう、ほんと、水嶋さんってめげないよね。そのメンタルの強さは感心するし、敬意に値するよ。俺ならそもそも光稀とやり合おうなんて思わないもん。五秒で言い負かされる自信があるもん。
「それに、私も天馬もファーストキスはお互いなのよね~。一緒にお風呂に入って、キスもしてってなると、本人達に自覚はなくても付き合っていたみたいなものでしょ。うん。そうよ。私と天馬ってあの頃付き合っていたのよ。天馬は私の元カレってやつね」
強引ーっ! こじつけが酷いんだけどっ! しかも、最後の方は俺達に向かって言っているというより、自分に言い聞かせてるって感じだったよね? 何? そうやって自己暗示でも掛けてるの? 自己暗示ってそんな人前で堂々と掛けるもの? 嘘ってことがバレバレじゃん。
(ああ……でも……)
やっぱりシてたんだ。ファーストキス。俺はそれが一番ショックだよ。
昨日、天馬の話を聞いた時から“シてるんだろうな”とは思ったけどさ。本当にそうだったと知った時に受けるダメージは“一緒にお風呂”以上のものがあるよ。
「ちょっと待て。俺、亜美とキスなんかしてないぞ?」
もっとも、天馬の方にはその記憶が全くないようだけれども。
「は? シたわよ。シたじゃない。天馬からだってシてくれたのよ?」
「い……いつの話だ? いつのなんの時だ?」
「幼稚園の芋掘り大会の時よ」
「芋掘り大会…………ああっ!」
記憶にあるのかよっ!
なんだよもうっ! 天馬が「してない」って言うから期待したのにっ! 忘れてただけとかどうなんだよっ!
「ね? 思い出したでしょ?」
「いや……思い出したっちゃ思い出したけど……」
ちょっと待ってよ。まさか今から二人のファーストキスの思い出話を聞かされてしまうんじゃ……。
(無理無理無理っ! 聞きたくないっ! 絶対に嫌っ!)
俺が天馬とのファーストキスがまだだってことで、どれだけ思い悩んでいると思っているんだよ。そんな時に天馬と水嶋さんの、あはは、うふふ、なファーストキス話なんか聞きたくないよ。
「でもあれ、ファーストキスって言えるのか? だってあれ……」
「あぁーっ! ねぇっ! その話やめない? 今ほら、食事中だしっ!」
「え? 食事中って……」
「っていうか、お昼食べ終わっていないの智加だけなんだけどね」
「へ?」
食事中を理由に天馬と水嶋さんの会話を中断させようと思った俺は、天馬に驚かれ、一臣にそう言われたことで、この中でお昼を食べ終わっていないのは自分だけだということを初めて知った。
(嘘……。一体みんないつの間に……)
というか、みんなよくこの状況下でご飯なんか食べられたものだよね。俺はご飯どころじゃなかったのに。
「智加って今日のお昼はお蕎麦にしてなかった? まだ食べ終わっていないんだとしたら、もう伸びちゃってるんじゃない? お蕎麦」
「あぁっ!」
なんてことだ。光稀に言われて覗き込んだ器の中のお蕎麦は光稀の言う通り、完全に伸びきってしまっている。それどころか、器の中の汁を吸ってぶよぶよに膨れ上がってもいる。最早蕎麦とは言い難い代物に……。
これ、絶対に美味しくないやつじゃん。
「あぅー……」
「全く。何をやっているんだか。それ、食べられるか? 無理なら俺が食べてやるから、代わりに新しいの買って来るか?」
「天馬……」
天馬……優しい。でも、俺の不注意でこんなことになってしまったお蕎麦を天馬に食べさせるなんてできない。
それに、小さい頃から「食べ物を粗末にしちゃダメ!」と口煩く両親に躾られてきた俺は、余程の理由がない限りは食べ物を残す習慣がない。
「ううん。大丈夫。自分でちゃんと食べる。ありがと、天馬」
天馬の優しさが身に沁みながらも、のろのろとした動きで口に運んだぶよぶよに膨らんだお蕎麦は美味しくなかった。が、食べられないほどでもなかった。
「で、話を戻すけど……」
今や俺の最優先事項はお昼ご飯を食べ終わることになってしまったわけだけど、俺がみんなに遅れてお昼を口に運び始めると、会話はあっという間に元の場所に戻ってしまった。
一度制止に失敗してしまった以上、俺にこの話題を逸らす術はない。
(聞きたくないのに……)
なんでご飯を……それも、こんなに伸びきって美味しくなくなったお蕎麦を食べながら、聞きたくもない話を聞かされなくちゃいけないんだろう。ただでさえ、今日は朝からずっと白石さん達と一緒で憂鬱だっていうのに。
(はあ……)
俺が心の中で遣る瀬ない溜息を吐いた時だった。
「ちょっと、亜美? “知り合い見つけたから行ってくる”って言ってから何分経ってると思ってるの? もうお昼終わっちゃうじゃん」
またしても新しい人物の登場に、俺はうんざりするやらホッとするやら……だ。
(水嶋さんの友達かな?)
ピンポイントで水嶋さんに声を掛けてきたところを見ると、それは間違いないのだろう。それにしても……。
(この子もまた随分と可愛いうえにスタイル抜群だな)
やっぱり可愛い子は可愛い子同士で仲良くなるものなのだろうか。類は友を呼ぶ、的な。
でも、水嶋さんと初めて会った時も同じように感じたけれど、この子もどこかで見たことがあるような、ないような……。
学生生活を通じて女の子との交流なんてほとんどなかった俺だから、女の子の記憶は同じクラスの子であっても曖昧なことが多い。
それにしても、水嶋さんにもちゃんと友達がいたんだ。なんか申し訳ないけれど、勝手に友達がいなさそうだと思ってしまっていた自分に反省する。
彼女は水嶋さんに声を掛けた直後、水嶋さんのすぐ隣りにいる天馬――水嶋さんは椅子に座る天馬のすぐ隣りに立っている――に視線を移し――。
「お。イケメン。亜美の知り合いって彼のこと?」
と水嶋さんに尋ねた。
水嶋さんは
「そっ。知り合いっていうか、元カレ? まあそんな感じ」
なんて答え、早速天馬が水嶋さんの元カレになっていることを知った。
でもまあ、あながち間違ってもいないのかもしれないよね。天馬と水嶋さんがお互いにファーストキスをし合った仲だって聞いた後だとさ。
「へー。いい男じゃん。どこで知り合ったの? もしかして、モデル時代に知り合ったモデル仲間? 彼、背が高くてスタイルもいいし」
…………ん? 今なんか……“モデル”って聞こえた気がするんだけど?
「違う違う。天馬は私の幼馴染み兼元カレ」
「なんだ。幼馴染みで元カレか」
「そうよ。イケてるでしょ」
「うん。イケてる」
いやいや。ちょっと待とうよ。なんか今、さらりと聞き捨てならない会話をしていなかった? モデル時代って何? 俺の聞き間違いではないと思うんだけど……。
「モデル時代? 亜美。お前、モデルなんかやってたのか?」
俺が引っ掛かったところは天馬も気になったらしく、やや驚いた顔で水嶋さんに聞いてみれば、水嶋さんからは
「え⁈ 知らなかったの⁈」
の返事。
やっぱり聞き間違いではなかったんだ。っていうか、モデルって……。だから、顔が可愛いだけでなく、スタイルも抜群だったんだ。
「知らない」
「嘘でしょ⁈ 信じられないっ! 十代の女の子向けの雑誌で専属モデルやってたのにっ!」
「俺が女の子向けの雑誌を読むと思うか?」
「思わないけど……一度くらいはクラスの女の子との会話で耳にしたこともあるかと思ってたのに」
「いや。全然知らなかった。そんなに有名だったのか? お前」
「結構有名だったわよっ! 雑誌の表紙を飾ったことだって何度もあるんだからねっ!」
「へー……。そうなのか」
モデル……モデルかぁ……。なるほどね。そりゃ水嶋さんも自分で自分のことを「可愛い」って言うよ。だってモデルだもん。モデルなんかやっていたんだから可愛くてスタイルがいいのなんて当たり前だよね。
でも、“モデル時代に”って言われてたってことは、今はもうモデルをやっていないのかな?
多分そうなんだろう。だって、今でもモデルの仕事を続けていたのだとしたら、水嶋さんがスーパーなんかでバイトをするわけがないもん。
(どうしてやめちゃったんだろう?)
余計なお世話かもしれないけれど、ちょっともったいないなって気もする。ほんと、余計なお世話だとは思うけど。
水嶋さんの元モデル話に驚いた俺は、その驚きのせい(おかげ?)で天馬と水嶋さんのファーストキス話なんてすっかり頭から飛んで行ってしまったわけだけど……。
水嶋さんの元モデル話に俺と同じくらい衝撃を受けた人間がもう一人いた。
「あーっ! そうっ! そうだよっ! 思い出したっ! モデルの水嶋亜美だよっ!」
急に「思い出した」と言わんばかりに大声を上げたのは、最早空気と化していた後藤さんだった。
そんな後藤さんの姿にも驚いた俺は、水嶋さんが現れて以降、何故後藤さんが空気と化し、水嶋さんのことをガン見していたのかをようやく理解した。
後藤さんは思い出そうとしていたのだ。見覚えのあるこの顔を一体どこで見たのか……と。
水嶋さんを初めて見た時、どこかで見たことがある顔だと思いながらも、その記憶を深く追究しなかった俺は、後藤さんに比べてなんて浅はかだったんだろう。
まあ、思い出そうとしてみても、自分一人では思い出せなかった気もするけどね。
「ほらね、天馬。私がモデルだったことを知っている人はちゃんといるでしょ?」
後藤さんの記憶を蘇らせることに成功した(?)水嶋さんは、興味なさそうな顔をしている天馬に向かって、酷く得意そうな顔であった。
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