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モノグサ彼氏とラブラブ大作戦っ!
Chapter 26
しおりを挟むあまり食欲はなかったものの、あれだけいろんな乗り物に乗って叫んでいた俺だから、お腹はそれなりに空いていたらしい。
天馬が俺のために買ってくれたナゲットとポテト、それと、そんなに大きくないグラタンの入ったパイを食べた俺は、ようやく椅子に座ってのんびりできたこともあって、多少は体力も回復した――のも束の間。
「うぅ……嫌だ。入りたくない……」
フードコートを出て、一直線に向かったお化け屋敷の前に立つと、せっかく回復した体力も根こそぎ搾り取られてしまいそうなテンションになった。
「何? 智加ちゃんってお化け屋敷ダメなの?」
「う……うん……」
「そうなんだ。可愛い~」
「~……」
どうせ隠したところですぐにバレてしまうからと、俺と一緒にお化け屋敷に入ることになった安西さんには、俺が怖がりだということを隠す気はなかった。
安西さんは見るからにお化け屋敷にビビっている様子の俺に嬉しそうである。
だけど、俺的には
(そんなところで喜ばれてもね……)
って感じだった。
まあ、いきなり引かれるよりはマシなのかもしれないけどさ。
「安心して。私、怖いの全然平気だから。私がしっかり智加ちゃんのこと守ってあげるね」
「え……いや、あの……」
自分と一緒にお化け屋敷に入る人間が「怖いの全然平気」は心強いけれど、女の子に「守ってあげるね」と言われてしまっては手放しで喜べない。
しかしながら、お化け屋敷だけはどうしても強がることができない俺は、情けないながらも
「よ……よろしくお願いします……」
と、安西さんに向かって頭を下げてしまうのであった。
なんか今日の俺、何一ついいとこなしって感じだよね。言っても、俺に女の子の前で格好をつけるつもりは毛頭ないんだけれど。
(っていうかさぁ……)
これ、本当にお化け屋敷なの? お化け屋敷だとは思えないほどに建物が立派で大き過ぎるんだけど。
この大きさはちょっとした大病院だよ。外観もなんとなく病院っぽい造りになってるし。
「へー。今年のコンセプトは病院なんだ。なんか怖そうでいいじゃん。去年は学校だったよね」
「去年は来てないからわかんない。一昨年が廃工場だったのは覚えてるけど」
「……………………」
しかも、このお化け屋敷って毎年コンセプトが変わるらしい。普通、お化け屋敷にそこまで力なんて入れないよね?
絶叫系が売りらしいこの遊園地では、恐怖の叫びも売りである絶叫系に入るのだろうか。そこは違う絶叫ものとして分けて考えて欲しいものである。
「どのペアから行く?」
「はいはーいっ! 私っ! 私と天馬がトップバッターっ!」
できるだけ建物から離れていたい俺は、数メートル先の入り口の前で一塊になっている集団の最後尾にいるわけだけど、天馬とペアを組めた水嶋さんは、一刻も早く天馬と二人っきりになれる空間に入りたくてうずうずしているようだった。
ここにいる四人の女の子達は“絶叫系”というものにとことん強いらしい。絶叫系の乗り物も平気なら、お化け屋敷も全く問題がないだなんて……。
随分と逞しい女の子が揃ったものだ。今回もまた、ビビっているのは俺一人という、情けない結果になってしまっている。
それにしても、男女で作る必要はなかったけれど、事前に二人一組のペアになっていて正解だったのかも。だって、ここのお化け屋敷って一度に入れる人数は二人までみたいなんだもん。
更に、前の組が入場してから十分経過しないと、次の組は入れないみたい。
多分、お化け屋敷に入る間隔が詰まってしまうと、どこに仕掛けがあるのかがわかってしまって面白くないからだろうな。そこまで徹底しなくても……と思ってしまう。
もっと言わせてもらえば、このお化け屋敷、スタートからゴールまでの所要時間が約二十分って……。なんでそんなに時間が掛かるの? 俺、二十分間もの間、大嫌いなお化け屋敷の中で恐怖に打ち震えていなくちゃいけないの? 一体どんな苦行だよ。
いや。これはもう苦行を通り越して拷問みたいなものだよ。お化け屋敷に二十分なんてどう考えても長過ぎる。絶対におかしいよ。
あー……本当に入らなきゃダメかな。心の底から足を踏み入れたくない場所なんだけど。
「じゃあ、トップバッターは高杉・水嶋ペアね。その次は私達が行くよ。いいでしょ? 高城」
「ご自由に」
「それなら、殿は僕達が務めるよ。智加も知らない人間が後ろから来ているより、知っている人間の間に挟まれている方がいいでしょ?」
「あぅ……うー……うん……」
確かに、俺が死ぬほど嫌いなお化け屋敷の中で、後ろから来ている人間が全く知らない人間よりも、知っている人間である方がいくらか安心はする。安心はするけれど……。
(怖いなら入らなくてもいいよ、とはならないんだ……)
そこですよ。光稀の心遣いは嬉しいんだけれど、逆を言ってしまえば、みんなの目を盗んで逃げだすことができないってことだよね。俺がお化け屋敷に入るところを、次に入る光稀達に見られなくちゃいけないわけだから。
それならば、せめて天馬の後に入りたかった気もするけれど、そこのポジションは後藤さんに取られてしまった。
もしかして後藤さん、見るからにお化け屋敷を怖がっていそうな俺が、お化け屋敷に入ったと同時に猛ダッシュして、水嶋さんと天馬の邪魔をするとでも思っているのかな。だから、俺が天馬に近付けないよう、俺と天馬の間に自分を割り込ませたんだろうか。
後藤さんがそこまで考えているとは思えないけれど、もしそうだったとしたら、俺に「怖いなら入らなくてもいいよ」って一言言ってくれれば事足りるのに。俺が今まさに求めているのは、誰かからのその一言なんだけどな。
「大丈夫、智加。なるべく早く追いついてあげるから。それまでちょっと頑張って」
「光稀~……」
一緒にお化け屋敷に入ったことはないけれど、光稀も俺が怖がりであることは知っている。
『怖いなら入らなくてもいいよ』
とは言ってくれなかったものの、みんなに聞こえない小さな声で俺に囁いてくれた光稀に、俺は今すぐ抱き付いてしまいたい気分だった。
でも、そうなると俺がお化け屋敷に入ってから、光稀がお化け屋敷に入るまでの十分間が途轍もなく長く感じちゃうな。せめてもう少し間隔が狭い、半分の五分だったら良かったのに。
俺は元々ちょっとのんびりしているから、中に入ってぐずぐずしている間に五分なんてあっという間に過ぎちゃって、光稀もすぐに追いついて来られそうだもん。
だけど、十分はなぁ……。安西さんも一緒にいるから、俺がぐずぐずするのにも限界があるよね。
「じゃあ行ってくるね~」
もともと俺達の前には二人組の女の子達しか並んでいなかったから、その子達がお化け屋敷の中に入って行ってからちょうど十分後。俺のことが気掛かりな様子の天馬を連れ、水嶋さんがお化け屋敷の中に入って行ってしまった。ので、俺がお化け屋敷の中に入るまで、残り二十分となってしまった。
その二十分間の間に建物内でちょっとしたハプニングが起こって、お化け屋敷自体が中止とかになってくれないかな。もちろん、誰も怪我をしないハプニングで。
「ねぇ、みんなはここのお化け屋敷に入ったことがあるの?」
今にもここから逃げ出したくて堪らない俺は、二十分間の待ち時間をただ黙って待っているのも落ち着かないから、せめて中がどうなっているのかを事前に知ろうと思った。
八人から六人に減った顔ぶれに恐る恐る聞いてみれば
「もちろん。ここの遊園地には毎年来てるもん。ここに来た回数と同じ数だけ、ここのお化け屋敷にも入ってるよ」
そう答えたのは後藤さんだった。
後藤さんが何歳の時からここの遊園地に毎年来ているのかは知らないけれど、後藤さんの全力の遊びっぷりを見ればそれも納得。かなり遊びに来慣れてる感があるもんね。
そんなに来ているのに、今日のお昼に食べたラーメンは初めてだったのは意外だけれど、毎年お化け屋敷のコンセプトを変えるくらいの遊園地だから、フードコートに入るお店も定期的に変わっていたりしてね。
「俺と光稀、天馬も一回は入ってるよ。中学の時にクラスの男子全員でここの遊園地に来たことがあるんだ。その時にね」
「そ……そうなんだ……天馬も……」
なんだ。天馬、一臣、光稀の三人も、ここの遊園地には来たことがあるんだ。だったら絶叫系の乗り物もお化け屋敷も怖がらなくて当然なのかな。
「私はここの遊園地は初めてよ」
「え?」
ついに俺の仲間発見か? と思いきや
「でも私、ホラーって大好きだし、お化け屋敷も大好きだから入るのが楽しみ」
おとなしそうな見た目に反し、恐ろしいことを言う白石さんにがっかりした。
(ホラーが大好きってなんだよ……)
俺としては本当に謎で仕方がないんだけれど、ホラーが大好きってどういう心理? ホラー映画が公開されると欠かさずに見に行く人とかいるけど、他にも面白そうな映画が沢山あるのに、あえてホラー映画をチョイスする行動原理とは?
おそらく怖いもの見たさだったり、スリルを味わいたいって感じなんだろうけれど、人の日常は平和で平凡なのが一番幸せだと俺は思う。
「へー、意外。白石さんってホラー好きなんだ。気が合うね。私もホラー大好き」
「あら、そうなの? だったら今度公開されるホラー映画、一緒に見に行く? 前評判で凄く怖いって言われているの。麻美はホラー映画には興味がないって言うから」
「行く行く! 私も見たいと思ってたんだけど、一緒に見に行ってくれる子がいなくてつまらないと思ってたんだよね」
おっと……。ここで意外な二人が意気投合。いつも水嶋さんと頗る険悪な白石さんだけど、水嶋さんの友達である安西さんのことは嫌いでもなんでもないんだ。
安西さんも安西さんで、水嶋さんと不仲な白石さんに対してマイナスな感情は一切持っていない様子。
本当、女の子ってよくわからない不思議な生き物だな。
「まあ、そんなわけだから、ホラー好きな私もここのお化け屋敷には過去に二回入ったことがあるよ。今日が三回目。ここのお化け屋敷って結構本気で怖がらせてくるから、他とは違ってて面白いよ」
「へ……へぇ……そうなんだ……」
うぅ……それは知りたくなかった情報だよ。本気で怖がらせてくるって何? そんなところで遊園地側も本気を出さなくてもいいよ。
(アトラクションなんだからさ。もっと楽しく平和に行こうよ。子供だっているんだから)
と思ったら、入り口横の案内板に《中学生以下は入場不可》と赤い太字で書いてあった。
俺、年齢制限のあるお化け屋敷なんて初めて見たんだけど。年齢制限を設けなければいけないほど、ここのお化け屋敷は残酷で、グロテスクな描写があったりするの?
嫌だ。益々入りたくないし、むしろ今すぐ帰りたい。
大体、《中学生以下は入場不可》ってなんだよ。そんなに怖いなら《ホラー好き以外は入場不可》にしてよ。そしたら俺も入らなくて済むのに。
「二回入ったことがある内の一回は亜美と一緒だったんだけどさ。あの子、あんなに元気良くお化け屋敷に入って行ったけど、実はホラーとかお化けとかめちゃくちゃ嫌いでダメなんだよね」
「え……」
どうやら俺の仲間は水嶋さんだったらしい。でも水嶋さん、お化け屋敷が怖いなんて素振りは全然見せなかったじゃん。本当にお化け屋敷がダメなの?
「とにかく、ちょっと物音がしただけでも悲鳴を上げてしがみ付いてくるレベルよ。ま、今日は天馬君と一緒だから、怖がるついでに抱き付き放題だから浮かれていたんだろうけどね」
「う……」
しまった。水嶋さんにそういう狙いがあったなら、水嶋さんと天馬をペアにするんじゃなかった。そこは白石さんを推せば良かったよ。ホラーやお化けがダメだっていう水嶋さんに比べたら、ホラーが大好きだっていう白石さんの方が俺も安心できたのに。
まあ、白石さんも天馬と一緒に入るのであれば、本当は全然怖くない癖に怖がる振りをして、天馬の腕くらいには抱き付いていたかもしれないけどさ。水嶋さんと白石さんとでは、元々の積極的具合に大きな差があるから
『天馬と二人っきりになられて嫌な方は?』
って聞かれたら、俺は迷わず
『水嶋さん』
って答えちゃうよね。
「そう……。水嶋さんってお化け屋敷がダメなんだ。それはあまり聞きたくなかった情報ね」
安西さんに悪気はなかったんだろうけれど、水嶋さんがホラーやお化けが嫌いという話を聞いた白石さんは苦々し気な顔になった。
その気持ちは俺も物凄くよくわかる。今頃恐怖心に託けて、水嶋さんが天馬に抱き付き放題をしているのかと思うと気が気じゃないし、今すぐ二人の邪魔をしに行きたい気分だもん。
「平気平気。心配しなくても大丈夫だと思うよ」
「え?」
不満そうな顔になる白石さんと、不安そうな顔になる俺が、能天気に言い放つ安西さんの言葉に驚いたタイミングは全く一緒だった。
「だって、天馬君って全然亜美のことが好きじゃなさそうじゃん。亜美には申し訳ないけど、私、亜美と天馬君が上手く行くとは思っていないんだよね」
「……………………」
一体どういうことだろう……と、次なる安西さんの発言に注目していたら、その安西さんが自分の友達の片想いに全く協力的じゃない発言をしたものだから、俺も白石さんもすっかり面食らってしまった。
後藤さんもそうだけど、女の子ってあんまり友達の恋を応援するつもりがないのかな。それとも、応援するつもりがないわけじゃないけれど、望みのない片想いなら早めに諦めさせた方がいいと思うものなんだろうか。
どっちだろうと俺には関係がないけれど、後藤さんと安西さんには白石さんや水嶋さんの恋を応援するつもりは更々ないみたいだった。
「お待たせしました~。お次でお待ちのお客様。どうぞ中へ~」
そうこうしているうちにあっという間に十分が過ぎ
「じゃあ行ってくるね~」
「出口の先で待ってるからな」
二組目のペア、高城・後藤ペアがお化け屋敷の中へと消えて行ってしまった。
(いよいよ十分後には俺があの中に……)
あぁっ! 本当に入らなくちゃダメなの? どうにか入らなくて済む方法ってないのかな?
気持ちは焦るけど解決策が思い付かない俺は、六人から更に二人減って四人になった顔ぶれと惰性的に会話は続けたけれど、そわそわと気持ちは落ち着かず、会話のほとんどを聞いていない状態だった。
そして、この時ばかりは異常に短く感じた十分が過ぎてしまうと
「お待たせしました~。お次でお待ちのお客様。どうぞ中へ~」
こっちは全然待っていないのに、無駄に明るくてにこやかな係員に呼ばれてしまい
「行こ。智加ちゃん」
「ぁっ……うぅ~っ……」
足取り軽やかな安西さんに手を引かれ、お化け屋敷の中へと連れて入られてしまったのである。
「っ……寒っ……」
中に入ってみると、建物全体に強めの冷房でも入っているのか、薄手の長袖パーカーを羽織っていても身震いしてしまうほどに寒かった。
最初に後藤さんも言っていたけれど、今日は梅雨入り前の最後の快晴と言ってもいいほどに天気がいい。気温も高くて、今日の来園者の半数以上は半袖で来ているくらいだ。
だから、いつもより少し強めに冷房を……ってことではないんだろうな。ほんと、こういう演出はいらないよ、って感じ。
お化け屋敷に一歩足を踏み入れた瞬間からビビりモード全開な俺は、意図的にそうしようと思っているわけでもないのに、足が全く進まず、予定通りぐずぐずしてしまっているわけだけど――。
「さ。中に入っちゃったなら早く先に進もうよ。じゃないと後から入って来る二人に追いつかれちゃうよ」
俺と違って先に進みたくてうずうずしている様子の安西さんに手を引かれてしまい、否が応でも先に進むことに……。
うぅ……。俺としては、その後ろから来る二人に追いつかれたくてしょうがないところなんだけど。
っていうか、そんなことを言うなら、同じホラー好きの白石さんと一緒に入れば良かったのでは?
お化け屋敷に入るまでの待ち時間の間ですっかり意気投合した二人なら、怖いと有名なお化け屋敷に一緒に入ればさぞかし楽しかったんじゃないかと思うんだけど。
それに、白石さんだって相手が天馬じゃないのであれば、異性と一緒にお化け屋敷に入る必要もなかったと思う。
白石さんと安西さんの二人でペアを組み直してくれていれば、俺は自動的に光稀とペアが組めて、光稀とペアを組み直していれば、先にお化け屋敷に入る順番を二人に譲った後
『智加が怖いなら入るのやめとこうね』
って、光稀なら言ってくれていたはずなのに。
あぁ……俺はなんて馬鹿なんだろう。順番待ちをしている間、ホラー話で盛り上がっていた二人に
『せっかく同じホラー好きで気が合うなら、お化け屋敷も一緒に入ったら?』
って言えば良かったじゃん。お化け屋敷に入りたくないという気持ちが強過ぎて、放心状態になっている場合じゃなかったよね。
「ふふふ。智加ちゃんって本当にお化け屋敷が怖いんだね。ぷるぷる震える姿がチワワみたいで可愛い~」
「チ……チワワ……」
お化け屋敷に足を踏み入れた直後は、尻込みして足が前に進まなかった俺の手を引いて歩き始めた安西さんだったけれど、最初の角を曲がった後は手を離してくれていた。
その後は胸の前でしっかりと両手を握り合わせ、一歩先を歩く安西さんの後ろを恐る恐るついて歩いていた俺は、今にも消えてしまいそうな頼りない電球の下、薄暗くて気味の悪い雰囲気を醸し出す建物内にも全く動じず、楽しそうな声で話し掛けてくる安西さんにさえもビクッとなってしまった。
どうやらこのお化け屋敷、入ってすぐにお化けが出てくるわけじゃないらしい。
お化けが出てこないのはありがたい話だけれど、かれこれ二分くらいは歩いているのに何も起こらないと、いつ、どのタイミングで何が起こるのかが全く予想できなくて、緊張感も恐怖心も無駄に募っていくばかりだから落ち着かない。
「そんなに怖かったら私の腕にしがみついていてもいいよ。私、そういうの全然平気だから」
「えっと……そういうわけには……」
本当はお言葉に甘えて安西さんの腕にしがみつかせてもらいたいところではあるけれど、怯える姿を「チワワみたいで可愛い~」と言われ、女の子の方から「腕にしがみついていてもいいよ」と言われてしまっては、素直にその通りにしてしまうと男が廃ると言いますか……。
だから、まだどうにか一人で歩ける状態の俺は、頼りないながらにも強がり、身体を縮めることで猫背になっていた背中をピンと伸ばしてみたりした。
しかしながら、俺の風前の灯火のような強がりも長くは続かなかった。
本物の病院の中を歩いているような気分にさせられるこのお化け屋敷は、廊下の壁に並ぶ窓から見える景色が何故か夜で、その時点で既に恐怖心を煽られてしまうのに、歩き始めて三分が過ぎても全く人の気配というものを感じられなかった。
それも充分に不気味だと思っていたら、突然数歩先の部屋のドアが音もなく廊下に向かって開いたものだから、俺はもう……。
「ひっ……! なっ……何⁈」
自分の意思とは関係なく、反射的に安西さんの腕にしがみついてしまい、完全に怯えきった顔で後退りをした。
ドアが開いたからには、いよいよお化けが出てくるの? と構えたけれど、開いたドアからは何かが飛び出してくる気配はない。
「な……何? なんなの? どうして急にドアが開いたの?」
「さあ? なんでだろうね~?」
こっちは本気で怖がっているっていうのに、安西さんの方は随分と余裕だ。余裕だし、ビビっている俺の姿が面白そうに笑っている。
「でも、ほら。ただドアが開いただけで、お化けなんて出てきそうにないから先に進も」
「う……うん……」
お化け屋敷に入ってからずっとビビりっぱなしだった俺は、最初のトラップに遭遇したことで早くも平常心というものを失いかけている。
自分が安西さんの腕にしがみついたままであることにも気が付かず、安西さんにぴったりとくっついたまま先へと進む俺は、開いたままになっているドアの前を通り過ぎる時は、なるべくそっちを見ないようにと目を閉じさえもした。
(こういう時は絶対に開いたドアの向こうを見ちゃダメなんだ……)
それがお化け屋敷の常識だと思った俺が、いよいよ開いたままのドアの前を通り過ぎようとした時である。何やら嫌な気配がドアの向こうからではなく、すぐ足元に感じてしまったから、俺は思わず自分の足元を見てしまった。
そう。見てしまったのだ。見なければ良かったものを……。
「わっ! ゃっ……やだぁ~っ! 血っ! 血が流れてるぅっ!」
相変わらず誰もいないどころか、何もないところから突如として流れ出してくるどす黒い血の色に、俺は半泣き状態になりながら安西さんにしがみつく。
最早、男の面目丸潰れではあるが、そんなものはもうどうでもいいよ。
っていうか、どうして誰もいなくて何もないところから血が勝手に流れ出てくるの? 一体どういう仕組み? 演出凝り過ぎじゃない?
「大丈夫大丈夫。本物の血じゃないから」
「わ……わかってるけどぉ~……」
本物の血だったら大問題だよ。だから、そんなことは俺もわかっちゃいるけれど……。
こういう演出をしてくるお化け屋敷は初めてで、普通にめちゃくちゃ怖いよ。なんかここのお化け屋敷って、俺が今まで無理矢理お兄ちゃんに連れて入られていたお化け屋敷と全然違う。
俺が知っているお化け屋敷も怖いは怖いんだけど、ここみたいにリアリティー溢れる恐怖を与えてくるというよりは、半分驚かせて怖がらせるみたいなところがあったからさ。こっちもお化けがどのタイミングで出てくるかだけを構えていればいいって感じだった。
大声出して逃げ回っているうちに、あっという間にお化け屋敷から出ていたりもしたし。
でも、ここのお化け屋敷はなんて言うか、お化け屋敷に入っているというよりも、自分がホラー映画の登場人物になってしまったかのような怖さがある。
どっちがより怖いのかっていうと、俺は間違いなくこっちの方が断然怖い。こんな恐怖に包まれた空間に約二十分間も閉じ込められていて、俺は正気を保っていられるのだろうか。もういっそのこと、恐怖で気を失ってしまいたいくらいだよ。
血が流れ出すドアを通り過ぎてしばらく歩くと、これまた曲がり角があったから曲がってみると、少しだけ開けた場所に出て、病院の受付らしいものがあった。そして、その受付の先には階段があった。
まさかとは思うけど、この建物って建物全体がお化け屋敷なの? だとしたら、スタートからゴールまでが約二十分も頷ける。
俺はこういうタイプのお化け屋敷は初めてだし、こんなに大きなお化け屋敷も初めてだよ。もうほんと……泣きたい。受付に座っている看護婦さんっぽい人の様子も明らかに普通の人間って感じじゃないし。
「大丈夫? 智加ちゃん。って、大丈夫じゃなさそうだね。安心して。ここのお化け屋敷、前半はお化けが襲ってくるようなことはないから。あそこに座っているお化けもただ座っているだけで、何かしてくることはないと思うから」
再び足が竦んで動けなくなりそうな俺を、安西さんはそんな言葉で元気づけようとしてくれたけど、俺はその言葉を聞いて余計に怖気づきそうになる。
前半は? ってことは、後半になったらお化けが襲ってきたりもするの? それ、絶対に無理なやつじゃん。
「それに、どんなに智加ちゃんが怖くても、私がちゃんと智加ちゃんを守ってゴールまで連れて行ってあげるから」
「お願いしますぅ~……」
お化け屋敷に入った直後は、後から来る光稀が追い付いて来てくれることを期待していたけれど、俺達がお化け屋敷内に足を踏み入れてからまだ五分も経っていない。俺が今頼れる相手は安西さんしかいなかった。
その安西さんにぴったりくっついて二階へと上がると、二階の廊下に出た瞬間、七、八メートルくらい先に入院着を着て車椅子に乗ってる人影があって
「~っ⁈」
俺は声も出せないほどの恐怖を味わった。
いきなりお化けに出てこられるのも怖いけど、最初からいられるのも怖いよ。なんでいるの? ってなるじゃん。
もう嫌だ、ここ。今すぐここから出して欲しい。
しかもあの車椅子、そんなに幅があるわけでもない廊下のド真ん中に……。
俺達、今からこの廊下の向こうに進まなくちゃいけないんだよね? ってことはつまり…。
(アレと擦れ違えってこと?)
勘弁してよ。下手に脅かされるより、こういうのの方がずっと怖いよ。だって、ずっといるじゃん。ずっと見えてるじゃん。瞬間的に怖いとかじゃないじゃん。
ここのお化け屋敷を考え出した人ってホラー映画の監督か何か?
「智加ちゃん。怖かったら私の背中に顔くっつけときなよ。そしたら怖いものを見なくて済むから安心でしょ?」
「じゃ……じゃあ……お言葉に甘えて……」
お化け屋敷に入った瞬間から情けない姿ばかりを晒している俺は、今更安西さんの前で強がる気力も意思もない。勧められるままに、俺より少し背が高い安西さんの背中に遠慮がちに顔を埋めると、行き場のない手は安西さんの上着の裾を握ることで落ち着いた。
安西さんがゆっくり歩き始めると、俺もその歩幅に合わせて付いて行く。前から車椅子が軋む音が聞こえてきたということは、俺達が進み始めると向こうも進むことになっているのかな。
とにかく、今度こそ絶対に……意地でも車椅子の方を見ないようにしなくちゃ。
だって、二階の廊下に出た瞬間、一瞬見えてしまった車椅子に乗ったお化けが着ている入院着、首から下が血塗れだったんだもん。顔は俯いていたから見てないけど、絶対凄いことになってるよ。そんなものを見てしまったら、俺はしばらくの間、毎晩悪夢に魘されることになりそう。
「っ……~っ……」
廊下に響く俺達の足音と車椅子の軋む音が交差する刹那、安西さんの背中に顔を埋める俺に向けられる視線を物凄く感じたけれど、今度こそ俺は頑として見なかった。
「智加ちゃん。次の三階が中間地点だよ」
「中間地点……」
嘘。これでまだ半分しか来てないの? 俺の中ではもう三十分以上はお化け屋敷の苦痛を味わわされているような気がするんだけど。
どうやらこのお化け屋敷は階を上がるごとに仕掛けも怖さも増していく作りになっているらしい。
車椅子のお化けをやり過ごした後、少しだけ気が弛んでしまったのだろう。直後のトラップはモロに直視してしまったし、悲鳴を上げて逃げ出しそうになった俺は、突然廊下に這い出してきたお化けを踏んづけてしまい、その感触に一瞬意識が飛びそうになった。
『わぁぁぁ~っ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃ~っ!』
俺は半ベソ状態で自分が踏みつけたお化けに謝ると、慌てて逃げ出そうとした際に離してしまった安西さんの腕に再び絡みついた。
きっと女の子を置いて一人で逃げようとした俺に罰が下ったんだ。
その一件で一気に気力と体力を失ってしまった俺は、今でまだ半分と聞くと、遣る瀬無い気持ちになってしまった。
(今で何分経ったんだろう……)
俺達の十分後にお化け屋敷に入ってくる光稀が気になっているのに、時間を確認する余裕なんて全然なかった。
このお化け屋敷は階段を昇っている最中が一番安全だとわかったから、俺は初めてズボンのポケットからスマホを取り出して時間を確認してみた。
今でちょうど十分。ってことは、光稀と白石さんはたった今お化け屋敷に入ったところなのか。
なるほど。前の組がちょうど中間地点に差し掛かるあたりで次の組がスタートする運びになっているのか。よく計算されているものである。
「ねぇ、智加ちゃん。ちょっと変な話してもいい?」
「へ?」
三階に上がる階段の途中でいきなりそう言われた俺は、一瞬、恐怖心を忘れてきょとんとなってしまった。
なんだろう、変な話って。本人が“変な話”って言うならあまり聞きたくないような気もするけれど、俺の恐怖心が少しでも薄れてくれるなら、今はどんな話にだって付き合いたい気分だ。
「えっと……どうぞ」
安西さんとはあまり話したことがないから、話の内容が全く想像もつかないけれど、とりあえず安西さんの話を聞く姿勢を俺が見せると
「実は私、Sなんだよね」
と、いきなりのカミングアウト。
(え……だ……だから?)
俺の頭の中でいくつかのクエスチョンマークが飛び交う。
何故今ここで「私、Sなんだよね」宣言?
正直、俺としては安西さんがSだろうとMだろうと「どうぞご自由に」って感じだし、それについて何も口出しするつもりはない。そこは個人の自由だって思うけど……。
「だからね、智加ちゃんみたいに可愛い子が恐怖に駆られて恐れ戦く姿とか見てるとね、こう……ぞくぞくしてきちゃうんだよね」
「え……」
ヤバい。俺に全く関係ない話じゃなかった。
え? 待って? お化け屋敷に恐れ戦く俺の姿にぞくぞくするって何? そんな話は俺の中でお化け屋敷同様に恐ろしい話なんですけど。
「私さ、天馬君とか高城君みたいに如何にも“男”って感じの人には興味がなくて、智加ちゃんみたいに虐め甲斐のありそうな可愛い男の子が好きなんだよね」
「へ……へぇ~……」
嘘でしょ。水嶋さんが言ってた、安西さんは格好いいより可愛い系が好き、って、そういう意味だったの? 果たして水嶋さんは安西さんのそういう一面を知ったうえで、俺にその話をしてきたんだろうか。
俺の勘では、多分水嶋さんは安西さんの本性を知らないままに、俺にその話をしてきたような気がする。
「そういう可愛い子を彼氏……いや、彼女にして、ベッドの上で思う存分泣かせたいのよね」
「かっ……彼女っ⁈」
今安西さん、彼女って言った? え? どうしてそうなるの? だって安西さんって女の子だよね? 女の子ならナニが付いてないじゃん。それなのに、どうして男相手に彼氏役を引き受けようってなっちゃうの?
「智加ちゃんのことは初めて見た時から私のSアンテナがビビッと反応してたんだよね。だから、私の想像通りの子かどうかってずっと気になってたんだ」
「そ……それで?」
ど……どうしよう……。これでもし、俺が安西さんの想像通りの男だったら、俺は安西さんからベッドの上で思う存分泣かせたい対象として見られちゃうの?
それは困る。そんな目で見られても、俺には既に天馬という大好きで大事な恋人がいるんだから、ベッドの上で思う存分泣かされるなら天馬がいいよ。
「想像以上って感じかな。智加ちゃんって私の中のS魂をダイレクトに刺激してくるっていうか。とにかく私を興奮させてくれるみたい」
「ああ、そう……そうなんだ……」
やめてやめて。俺にそんなつもりなんて微塵もないから。それなのに、勝手に興奮されても迷惑だよ。
「智加ちゃんってさ、Mでしょ」
「は⁈ なっ! いやっ! そんなことないよっ!」
でもって、俺を勝手にMになんかしないで。第一俺、SMの世界にはこれっぽっちも興味なんてないから。
それに、これだけおばけ屋敷を心の底から怖がり、全力で嫌がっている俺が、苦痛を与えられることに快感を覚えるマゾヒストなわけがないじゃんか。俺の中で肉体的苦痛や精神的苦痛は最も避けて通りたい道なんだから。
「いいや。智加ちゃんは絶対にM。だから、Sの私とは相性がいいと思うよ」
「そっ……そんなことわからないよっ! そもそも俺はMじゃないもんっ! 安西さんとの相性だって良くないかもしれないよ?」
ちょっと変な話、が、蓋を開けてみればとんでもない話に発展してしまっている。しかも、俺的にはそんな話をしている場合でもないお化け屋敷の中で。
今日は天馬が水嶋さんと白石さんの二人に自分のことを諦めさせることが目的だったんじゃないの? なのに、どうして俺が安西さんから迫られるようなことに?
こんな想定外な展開が起こられても、天馬と違ってなんの心の準備もできていない俺は、ただただ戸惑うことしかできないよ。
更に言ってしまえば、迫られているといっても男女の立場が逆転した状態で迫られているようなものだから、俺としては益々勝手がわからない。
どうして人が全力で怖がっているお化け屋敷の中でこういうことに? 本当、今日一番の災難に見舞われているのって俺だよね?
「そう? でも、こうして一緒にお化け屋敷に入った感じでは、私と智加ちゃんって付き合っても上手くやっていけそうじゃない?」
「申し訳ないけど、俺に安西さんと付き合うつもりは……ひゃっ!」
いつの間にか階段を昇りきり、三階の廊下に出ていた。
このまま安西さんのペースに呑まれてなるものか、と、毅然とした態度で安西さんと対峙するつもりの俺だったけれど、安西さんの手が突然俺のお尻をなぞるように撫でてきたから、その不意打ちに俺は飛び上がりそうなくらいに驚いてしまった。
「私と付き合ったら普通の恋愛なんてできなくなっちゃうくらいに刺激的な体験をさせてあげるよ。お尻でいっぱい気持ち良くなる身体にしてあげる」
「ひっ……」
今日日の女の子とは随分と積極的で大胆なものだ。それとも、水嶋さんや安西さんみたいに派手なモデル業界に一度入ってしまうと、積極的にも大胆にもならざるを得ないものなの?
でも俺、安西さんにカスタマイズされなくても、もう天馬に充分開発してもらっているから。今更お尻で気持ち良くなる身体にしてもらわなくても、もう充分そういう身体になっちゃってるから。
「だからさ、私と付き合ってみない?」
水嶋さんほどの強引さはないけれど、完全に獲物を狙っている肉食獣のような目をした安西さんに、俺は初めて身の危険を感じた。
「俺っ……」
いっそのこと、天馬と付き合っていることを言ってしまおうかと思った時だった。
安西さんのすぐ後ろに、とても人間とは思えないくらいに大きくて、おまけにやたらとグロテスクな物体が現れたものだから
「いぃやぁぁぁぁぁ~っ‼」
俺は声の限りに悲鳴を上げた。そして――。
「あっ……智加ちゃんっ! そっちに行ったら……」
今度こそお化けからも安西さんからも脱兎の如く逃げ出した俺は、昇ってきたばかりの三階の廊下を全力で駆け出した。
俺が走り始めたのと同時に、俺を止めようとする安西さんの声が聞こえてきた気もするけれど、今の俺には安西さんも怖い。
だから、一刻も早く出口へと近づきたいのに……。
「ぅっ……わわぁぁぁぁ~っ‼」
廊下の真ん中に辿り着くあたりで前方から大量のお化け……というより、ゾンビの群れが現れたから、俺はそれ以上前に進めなくなってしまった。
「智加ちゃんっ! 後ろに下がって! 下がってそこの部屋に入るのっ!」
「あ……うぅ……」
下がれって言われても……。俺が勢いよく突っ込んで行っちゃったから、あっという間にゾンビの群れに囲まれちゃったんだけど……。
ゾンビ達は俺の怖がる姿に満足したのか、俺をもっと怖がらせようと、取り囲んだ俺との距離をじわじわと縮めてくる。
全方向をゾンビの群れに取り囲まれてしまった俺は逃げる術もなく、そのリアルなメイクや衣装、おまけに、雰囲気を出すためなのか妙な異臭に目眩がして――。
「智加ちゃんっ!」
恐怖もピークに達したらしく、そのまま意識を失った。
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