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そら豆のフリッターエビ塩掛け
そら豆のフリッターエビ塩掛け4
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土瓶をカゴに受け取りながら「察しが良くて話が早いな」とレオ。土瓶の重さにカゴが抜けないかアリシャはハラハラしていたが、リリーは少しも気に留めていないようだ。
「マーニャ村の木こり一家さ。奥さんは産後の肥立ちが悪くてねぇ。二人目の子を産んで一年後に死んじまったのさ。それからは男やもめで子供を二人育てたなかなかの男だよ。今はその子達も父親を手伝って木こりをしてるんだ」
土瓶を置き終えると、吊るしてあった干し肉をナイフで薄く切って、ココに放り投げた。ココは喜び勇んで干し肉に駆け寄るが骨を咥えたまま右往左往している。
「三人で木こり稼業か。移り住みたいと言っているということで良いのか?」
レオの返しを聞きながらアリシャはしゃがんでココの口の中の骨をゆっくりと抜いてやった。信頼関係があるのでココはアリシャが骨を抜き取るのに抵抗せず、口が空になった途端に投げてもらった干し肉にかぶりつく。
「そうだよ。アリシャのパンをいつも買っていくからさ、そんなに気に入ってんなら住んじまいなよってアタシが言ってやったんだ。あっちじゃ毎日宿屋に集まってご飯を食べてるらしいって言ったら乗り気でねぇ」
レオはいつも通りあごひげをしごいて聞いていた。
「そうか。ならば屋根のない家ならあるからそこで良ければ住んで良いと伝えてくれ。ああ、食事代は一人につき二十銅貨──」
そこでしゃがんで聞いていただけのアリシャが顔を上げた。
「レオさん、食事代は十銅貨です」
レオは頷きながら微笑んだ。
「アリシャの作るものはニ十銅貨でやっと見合うかどうかだ。高いという輩など居らぬよ。その代わり食事代を出した者にはベリーパイなんかの甘い物をリリーに下ろす半値で売ってあげなさい」
「ニ十銅貨貰うならベリーパイを付け──」
「ああ、お嬢ちゃん! そんなの良くないよ。サービスし過ぎるとそれはいつの間にか当たり前だと思われるようになるからね。何事もほどほどに」
大人二人に言い負かされてアリシャは黙ったが、そんなに貰えるほどの食事を作れているのか不安でならなかった。さっきエドにもぼったくりだと言われたばかりなのだから。
「こんな感じだと先方に話してくれるとありがたい。金を払うから薪を安定供給して欲しい」
「いつ移住しても構わないのかい?」
「明日からでも構わん」
満足そうに頷いたリリーが斜めがけした豚革製の財布から金を掴んで数え始めた。今日の買い取り分を払ってくれるらしい。リリーは毎回その場で精算してくれるありがたい存在だ。
吊るされているニンニクや玉ねぎ。土瓶入の薬や酒類。衣服もあれば生地もある。アリシャはリリーの店にあるシーツを指さし「シーツを一枚ください」と告げた。
リリーが数えるのを止めてそれならアリシャから六十銅貨貰わなきゃと言った。もちろんアリシャもそのつもりで、今度はアリシャが下げていた袋から銅貨を数えて渡す。一枚で十銅貨の価値がある大銅貨を六枚だ。
「確かに。シーツは残り一枚か」
「また買いたいと思っていますが入荷しますか?」
リリーはシーツを二枚とも引っ張り出してアリシャに渡した。
「そんなら二枚渡しておくよ。そうだねぇ、言っとくよ。あとどれ位欲しいんだい?」
「十枚くらいでしょうか……」
「そりゃかなりの量だ。少し時間が掛かると思う」
「かえってゆっくり入荷した方が助かります。支払いに備えてお金を貯めなきゃなりませんから」
宿屋用だねと言いながら今度はレオに支払うための金を数え始めた。
「はい、これはレオさん。じゃ、アリシャ。もう一枚のお金は明日貰うとするから菓子でもたんまり作っといで」
「ジャムは置いてもらえますか?」
「ああ、試しに二つ持っといでよ」
暇さえあれば近くの森に出掛けてベリーを摘んでいたから、ジャムもかなり蓄えてあった。
話がまとまりレオとアリシャはリリーに別れを告げて村に引き返していった。ココは返してもらった骨を再び咥えて走っていく。
そんなやりとりがあってから数日後、本当に木こりのナジ一家が荷車を引いてやって来た。赤毛にそばかすのあるのは共通していて、父親はナジ、長男ルク、次男はユーリと名乗った。
三人の容姿がソックリなことも驚きだったが、その荷車の荷物の多さにも度肝を抜かれた。よく車輪がもった物だと感心してしまう程なのだ。
出迎えたレゼナとリアナが驚きを通り越して笑っていたし、そんな二人に感化されてナジ一家も「すごいだろ?」と笑っていた。
「ああ、アリシャ! あなたもいらっしゃい。噂の木こりさんたちよ。ナジにルクにユーリ」
三人が並んでいるとまるでナジの育ってきた過程をみるような面白さだ。ナジからシワをとり少し痩せさせて、ほんのちょっぴり身長を低くしたのがルク。ルクを子供にしてひょろっとさせたのがユーリだ。
アリシャは一人一人と握手を交わし「宿屋に住んでいます。アリシャです」と自己紹介をした。
「ああ、美味いパイを焼くのは君なんだね。美味すぎて幾ら金があっても足らないよ」
ナジが褒めてくれたのでアリシャは薄く頬を染めて「ありがとう」と小声で礼を言った。
荷車を引いていたルクが半分振り返って荷を見て言う。
「お父さんがありったけの資材を持っていこうって。それって言うのは資材の代わりにパイをたらふく食いたいからだってきかなくて困ったよ」
「マーニャ村の木こり一家さ。奥さんは産後の肥立ちが悪くてねぇ。二人目の子を産んで一年後に死んじまったのさ。それからは男やもめで子供を二人育てたなかなかの男だよ。今はその子達も父親を手伝って木こりをしてるんだ」
土瓶を置き終えると、吊るしてあった干し肉をナイフで薄く切って、ココに放り投げた。ココは喜び勇んで干し肉に駆け寄るが骨を咥えたまま右往左往している。
「三人で木こり稼業か。移り住みたいと言っているということで良いのか?」
レオの返しを聞きながらアリシャはしゃがんでココの口の中の骨をゆっくりと抜いてやった。信頼関係があるのでココはアリシャが骨を抜き取るのに抵抗せず、口が空になった途端に投げてもらった干し肉にかぶりつく。
「そうだよ。アリシャのパンをいつも買っていくからさ、そんなに気に入ってんなら住んじまいなよってアタシが言ってやったんだ。あっちじゃ毎日宿屋に集まってご飯を食べてるらしいって言ったら乗り気でねぇ」
レオはいつも通りあごひげをしごいて聞いていた。
「そうか。ならば屋根のない家ならあるからそこで良ければ住んで良いと伝えてくれ。ああ、食事代は一人につき二十銅貨──」
そこでしゃがんで聞いていただけのアリシャが顔を上げた。
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レオは頷きながら微笑んだ。
「アリシャの作るものはニ十銅貨でやっと見合うかどうかだ。高いという輩など居らぬよ。その代わり食事代を出した者にはベリーパイなんかの甘い物をリリーに下ろす半値で売ってあげなさい」
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「ああ、お嬢ちゃん! そんなの良くないよ。サービスし過ぎるとそれはいつの間にか当たり前だと思われるようになるからね。何事もほどほどに」
大人二人に言い負かされてアリシャは黙ったが、そんなに貰えるほどの食事を作れているのか不安でならなかった。さっきエドにもぼったくりだと言われたばかりなのだから。
「こんな感じだと先方に話してくれるとありがたい。金を払うから薪を安定供給して欲しい」
「いつ移住しても構わないのかい?」
「明日からでも構わん」
満足そうに頷いたリリーが斜めがけした豚革製の財布から金を掴んで数え始めた。今日の買い取り分を払ってくれるらしい。リリーは毎回その場で精算してくれるありがたい存在だ。
吊るされているニンニクや玉ねぎ。土瓶入の薬や酒類。衣服もあれば生地もある。アリシャはリリーの店にあるシーツを指さし「シーツを一枚ください」と告げた。
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「確かに。シーツは残り一枚か」
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「そんなら二枚渡しておくよ。そうだねぇ、言っとくよ。あとどれ位欲しいんだい?」
「十枚くらいでしょうか……」
「そりゃかなりの量だ。少し時間が掛かると思う」
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「ジャムは置いてもらえますか?」
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