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アイスグラスのリンゴ酒
アイスグラスのリンゴ酒5
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二人がコソコソ話していると、アヴリルを手伝っていた兵士が声を掛けてきた。
「リンゴ酒の樽はあそこでいいのか? 暖炉に近すぎる気がするのだが……」
リンゴ酒の発酵が進むと酢になってしまうので、アリシャは二階はどうかと兵に提案する。
「二階に半分運んでおこう。残りの半分はカウンター付近に移動させておく」
「ありがとうございます。お願いします」
二人が話を終えるとリアナが我慢出来ないとばかりに兵士に質問を投げ掛ける。
「エクトル様って優しいですか?」
ギョッとするアリシャをよそに、リアナは好奇心のままさらに問う。
「王子様なんですよね! 私、本物の王族の人って初めて見るんです。時々怖いと思ったり──」
「リアナ、リアナ。あんまりお仕事の邪魔をしてはよくないから」
どうにかして口を噤んで欲しいアリシャに若い兵は気持ちが伝わったようで大丈夫だと言った。
「エクトル様は本物の王子だし、怖いと思ったというのもわかる。ただ、無闇に人を罰したりするような理不尽な行いはしないから心配無用だ。頻繁にお忍びで旅をされているから、下々の暮らしも理解してくださっているし理解があるお人だ」
「頻繁にお忍びで旅を?」
ほんのちょっと前は質問するリアナに慌てていたのに、ついアリシャも聞き返してしまった。
「ああ、ずっと防御の主を探しておられた。最近はエドワード王子の噂を掴んでエドワード王子を探していたがな。旅の目的はそれだけに限らない。国民の大多数は兵ではなく庶民であるから、それらの気持ちを理解しておくのは大事だと暮らしぶりを見て体験もしておるのだ」
兵の語り口からして誇らしいと感じているのが伝わってきた。エクトルはきっと良き統治者なのだろう。
「あの、どうして王族の人は皆さん美しいのかしら? 王様も美しいんですか?」
「リアナっば!」
「え、そうじゃない? エドも王子様を辞めたみたいだけど美しいわ」
確かにそうなのだが、そんな事を聞かれても困るだろうと思って止めたアリシャだったが、話が聞こえたのかアヴリルが加わってきた。
「私はわかるわよ。王族の方々は選り取りみどりだからだわ。国中から健康で美しく魅力的な相手を選べるのよ」
アヴリルの答えにあろうことか兵士の方が納得し話を繋いでいく。
「なるほど。それは面白い。確かに一理ありそうだ。美しいだけ、健康的なだけ、そういう人間は星の数ほど居るが、両方兼ね揃えたとなると数は一気に減るしな。王族ともなればそういった相手が勝手に寄ってくるだろうし」
そこで全員の視線がアリシャに向かう。
「え?」
アリシャが戸惑うと兵士が笑って言う。
「確かに美しいが、怒らんで貰いたいがもっと美しい人間はいる。とはいえ、そこに加えて健康そうで生き生きとしているな」
「ええ、アリシャは可愛らしい女のコだと会った時から感じていたもの」
「しかも防御の主! あ、言っちゃマズかった?」
リアナが叫んだ後に口を押さえ、兵士の方を見た。兵士の方も皆の様子を窺いながら口を開く。
「いや、知っているから問題ないが……隠しているらしいじゃないか。これからは言わない方がいい」
アリシャも「知られるとまたほら……」と言葉を濁すと「ジョゼフね」と、アヴリルが言い、悪いことをしたわと謝ってくれた。
「エクトル様の事も王子であることは内密に。御本人は然程気にしていらっしゃらないが、やはり身分が露呈するのは危険を伴う」
ほうっと恍惚の表情でリアナがため息をついた。
「なんだかおとぎ話の中に迷い込んだみたいだわ。王子様と王子様と魔法使いと魔法使い」
羨ましそうに言うが、実際はそこまで良いものではないとアリシャは言いたくなるのを我慢した。特にエドの苦しみを考えると、なんでもない一生を送る方が幸せなはずだ。
さて、片付けてくると樽の方へと兵士が歩いていったので、アヴリルもカウンターの周りを整理しに戻っていった。
アリシャとリアナは料理部屋に行き、運んでもらった食材の整理をしながら傍らでパンを焼いていた。
「この壺はなに?」
リアナが生姜をツルで括り吊り下げられるようにしながら床に置かれた壺を見下ろしていた。
「それはね、キャベツの塩漬け。ほんと、置く場所がなくて困るわ」
一つのツルに四から五個の生姜をつけると屋根の下の梁にある杭に紐をぶら下げていく。
「器を通路の棚に移したら?」
「リアナ! なんて名案なの! それだわ。器は凍らないしあそこでも問題ないわね」
リアナの名案に刺激され、アリシャも良いことを思いついた。
「ねえ、器に水を入れておいたら凍るわよね」
「うん。あの通路はとっても寒いから日中でも凍りそう」
アリシャは随分前に夏の山に連れて行って貰い、氷を舐めさせてもらったことがあった。暑い季節に冷たい氷はご褒美以外の何物でもなかった。
「暖かな部屋でキンと冷えた器にいれたリンゴ酒って美味しいんじゃないかしら?」
それまで下を向いて作業しながら話していたリアナが勢いよく顔を上げた。
「ぜったいにぜったいにぜったいに、美味しい! 氷を作る?」
「作る。幾らでも作れるし。リンゴ酒を恵んで貰うお礼になるかしら?」
リアナがニヤリと笑って「男の人ってお酒に目がないからなると思う。美味しく飲めると知ったら列をなすわ」と、自信満々に言ってのけた。
「リンゴ酒の樽はあそこでいいのか? 暖炉に近すぎる気がするのだが……」
リンゴ酒の発酵が進むと酢になってしまうので、アリシャは二階はどうかと兵に提案する。
「二階に半分運んでおこう。残りの半分はカウンター付近に移動させておく」
「ありがとうございます。お願いします」
二人が話を終えるとリアナが我慢出来ないとばかりに兵士に質問を投げ掛ける。
「エクトル様って優しいですか?」
ギョッとするアリシャをよそに、リアナは好奇心のままさらに問う。
「王子様なんですよね! 私、本物の王族の人って初めて見るんです。時々怖いと思ったり──」
「リアナ、リアナ。あんまりお仕事の邪魔をしてはよくないから」
どうにかして口を噤んで欲しいアリシャに若い兵は気持ちが伝わったようで大丈夫だと言った。
「エクトル様は本物の王子だし、怖いと思ったというのもわかる。ただ、無闇に人を罰したりするような理不尽な行いはしないから心配無用だ。頻繁にお忍びで旅をされているから、下々の暮らしも理解してくださっているし理解があるお人だ」
「頻繁にお忍びで旅を?」
ほんのちょっと前は質問するリアナに慌てていたのに、ついアリシャも聞き返してしまった。
「ああ、ずっと防御の主を探しておられた。最近はエドワード王子の噂を掴んでエドワード王子を探していたがな。旅の目的はそれだけに限らない。国民の大多数は兵ではなく庶民であるから、それらの気持ちを理解しておくのは大事だと暮らしぶりを見て体験もしておるのだ」
兵の語り口からして誇らしいと感じているのが伝わってきた。エクトルはきっと良き統治者なのだろう。
「あの、どうして王族の人は皆さん美しいのかしら? 王様も美しいんですか?」
「リアナっば!」
「え、そうじゃない? エドも王子様を辞めたみたいだけど美しいわ」
確かにそうなのだが、そんな事を聞かれても困るだろうと思って止めたアリシャだったが、話が聞こえたのかアヴリルが加わってきた。
「私はわかるわよ。王族の方々は選り取りみどりだからだわ。国中から健康で美しく魅力的な相手を選べるのよ」
アヴリルの答えにあろうことか兵士の方が納得し話を繋いでいく。
「なるほど。それは面白い。確かに一理ありそうだ。美しいだけ、健康的なだけ、そういう人間は星の数ほど居るが、両方兼ね揃えたとなると数は一気に減るしな。王族ともなればそういった相手が勝手に寄ってくるだろうし」
そこで全員の視線がアリシャに向かう。
「え?」
アリシャが戸惑うと兵士が笑って言う。
「確かに美しいが、怒らんで貰いたいがもっと美しい人間はいる。とはいえ、そこに加えて健康そうで生き生きとしているな」
「ええ、アリシャは可愛らしい女のコだと会った時から感じていたもの」
「しかも防御の主! あ、言っちゃマズかった?」
リアナが叫んだ後に口を押さえ、兵士の方を見た。兵士の方も皆の様子を窺いながら口を開く。
「いや、知っているから問題ないが……隠しているらしいじゃないか。これからは言わない方がいい」
アリシャも「知られるとまたほら……」と言葉を濁すと「ジョゼフね」と、アヴリルが言い、悪いことをしたわと謝ってくれた。
「エクトル様の事も王子であることは内密に。御本人は然程気にしていらっしゃらないが、やはり身分が露呈するのは危険を伴う」
ほうっと恍惚の表情でリアナがため息をついた。
「なんだかおとぎ話の中に迷い込んだみたいだわ。王子様と王子様と魔法使いと魔法使い」
羨ましそうに言うが、実際はそこまで良いものではないとアリシャは言いたくなるのを我慢した。特にエドの苦しみを考えると、なんでもない一生を送る方が幸せなはずだ。
さて、片付けてくると樽の方へと兵士が歩いていったので、アヴリルもカウンターの周りを整理しに戻っていった。
アリシャとリアナは料理部屋に行き、運んでもらった食材の整理をしながら傍らでパンを焼いていた。
「この壺はなに?」
リアナが生姜をツルで括り吊り下げられるようにしながら床に置かれた壺を見下ろしていた。
「それはね、キャベツの塩漬け。ほんと、置く場所がなくて困るわ」
一つのツルに四から五個の生姜をつけると屋根の下の梁にある杭に紐をぶら下げていく。
「器を通路の棚に移したら?」
「リアナ! なんて名案なの! それだわ。器は凍らないしあそこでも問題ないわね」
リアナの名案に刺激され、アリシャも良いことを思いついた。
「ねえ、器に水を入れておいたら凍るわよね」
「うん。あの通路はとっても寒いから日中でも凍りそう」
アリシャは随分前に夏の山に連れて行って貰い、氷を舐めさせてもらったことがあった。暑い季節に冷たい氷はご褒美以外の何物でもなかった。
「暖かな部屋でキンと冷えた器にいれたリンゴ酒って美味しいんじゃないかしら?」
それまで下を向いて作業しながら話していたリアナが勢いよく顔を上げた。
「ぜったいにぜったいにぜったいに、美味しい! 氷を作る?」
「作る。幾らでも作れるし。リンゴ酒を恵んで貰うお礼になるかしら?」
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