美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます

今野綾

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キャベツの塩漬け入りマスのほかほかシチュー

キャベツの塩漬け入りマスのほかほかシチュー7

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 アリシャも本当はその部屋に合流したかったのでアヴリル同様肩を落としていた。

(エドが隣の部屋に居る……変な寝言言ったりしたらどうしよう)

 想像しただけで少し緊張してしまうアリシャに気がついたレゼナとアヴリル。二人がこっそり顔を見合わせてウィンクしていたことなどアリシャは気が付きもしなかった。

 食事の片付けまで終えると翌日のフロランタンの準備をするのが日課になっていた。

 ココはギリギリまで炉の前で丸まって寝そべっている。キティーは暖炉の前と決まっているからあちらの方がずっと暖かいはずだ。

「本当にエドは来るのかしら?」

 火の番をしている二人の兵を残し、男たちも皆、引き上げていた。けれど今のところエドはやって来ていない。

 話しかけてもココは顔を尻尾で隠してノーリアクションだ。

 アリシャは炉の前でエドが夜を明かすなら、何か敷くものを用意すべきなのではないかと思案していた。椅子もなければ何もないのだ。あるのは樽と樽と樽。おまけにカゴくらいなものだった。

(椅子を持ってくるのかしら?)

 そこに一晩中座っているのは苦行なのではないかとソワソワしてしまう。

(レゼナの気持は嬉しいけど断るのが一番良さそうね)

 炉の前で、時の流れを気にせず二人で話していたり火を眺めていることが出来たら幸せなのにと名残惜しい気持ちもあるが、断らなければならないと思った。

 なかなか来ないエドを待つのは諦めて炉の火に蓋を被せた。こうしておけば完全には消えず、しかも火事の心配もない。

「アリシャ」

 名前を呼んでからノック。エドのやり方だ。思わずシャキッと立ち上がって、戸のところに飛んでいった。

「来ないのかと思ったわ」

 エドを中に通すと戸を閉めた。するとエドが中からかんぬきをかけたので、アリシャは目をパチクリさせた。

「閉めるの?」

「閉めるだろ」

 エドが居るなら閉めなくても安心な気がするが、そう断言されるとそうなのかと納得した。いや、アリシャは火の番をしてもらうのは申し訳ないと思って断るつもりなのだから……。

 アリシャの部屋の扉は開いていた。もちろん炉からの熱を少しでも部屋に入れるためだった。

 エドは今しがた閉じた火用の蓋をあげて、枝を割って火を大きくする。

「あのエド? やっぱり火をつけてて貰うのって申し訳ないわ」

 フゥっと息を吹きかけ炎が上がると、エドは枝の上に薪を置いた。

「火をつけておかなきゃ寒いだろ? あっちに行くぞ」

「え?」

 アリシャは手を引かれて何故かエドに部屋へと連れて行かれた。

「一人で行けるのに……」

 ベッドの前まで来るとエドは振り返りアリシャの方に体を向けた。

「レオにも話した。もう、何も我慢する必要はなくなった」

「え……?」

 暗い部屋でもエドの瞳がアリシャを見ているのがわかる。冷たい手がアリシャの唇をなぞった。

 急展開にアリシャの脳は考えることを放棄して真っ白になっていた。ボンと心臓が破裂したみたいになって、どこもかしこも脈を打っている。

「赤いぞ」

「く、暗くて……見えないでしょう」

「……確かに」

 暗いと言ったのはアリシャだったが、アリシャもエドが笑ったのを見た気がした。

 エドはアリシャの唇を指でなぞってから体を落としていく。重なった唇が僅かに動く。

「俺はお前のものだ」

 二人の唇が同じように揺れるからそれはまるでアリシャの言葉のようでもあった。

(エドは私の……)

 抱き上げられベッドに下ろされると、エドの手がアリシャの服を脱がそうとする。

「あのあの……待って皆、宿屋にいるのよ?」

 エドの行動にアリシャは慌て、小声で囁いた。
 
「知ってる」

 エドはサラリと言って返し、アリシャの服を留めている紐を解いていく。

める気はない。めるなんてムリだし」

 アリシャの鎖骨に唇を押し当てて「皆に知られたって構わない」と自分のチェニックを一気に脱いだ。

「え、それは……」

「困る? じゃあ──」

 これまでとは比べ物にならないようなキスを浴びせられアリシャはくぐもった声を漏らす。呼吸が出来なくて必死にエドの手を掴んでいた。

「これなら声も出せない」

 ハァハァと息が上がるアリシャの耳元でそっと囁く。

「アリシャが欲しい。この先もずっと」

 ゴクリと唾を飲み込んだアリシャが答えた。

「私も」

 琥珀の瞳がアリシャを見た時から、アリシャはこの時を待ち望んでいたのだとエドのキスに応えていくのだった。

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