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眼鏡の優等生の苦しみを救え
作品への半端ない熱情
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07
その日、パトリシアはリディアの住まいを訪れていた。
リディアは地方の地主であり知事でもある人物の娘だ。実家は遠いため、学院の寮で生活している。
「リディアー。パトリシアだよ。いる?」
「はーい…」
ドアをノックすると返事があるが、妙に気が抜けた調子だった。
「わ…」
ドアを開けて自分を迎えたリディアを見て、パトリシアは二歩も三歩も引いてしまう。
いつも品行方正で、身だしなみにも気を遣っているリディアとは別人の姿だったのだ。
くたびれた小豆色のジャージを身につけ、髪はばさばさ。おでこに貼り付けた冷湿布が非常に野暮ったく見える。
眠いのか、まぶたはいつもより二割ほど下がっている。
「ねえ、リディア。
リディアは可愛いしファンも多いんだよ。その姿で外に出るのはやめようね」
「も…もちろん…。
締め切りが近いからやむを得ずだよ。
着替えるからちょっと待っててね」
パトリシアの言葉に、さすがにリディアも女としてこれではだめだと思ったらしい。
ドアを閉めてしばし。
髪を整えて、私服を着こなした姿で改めて出迎える。
(以外にボーイッシュなかっこうが好みなのかな?)
パンツルックとだぼっとしたブラウスというチョイスは、女の子らしいリディアにはややミスマッチに思える。
まあ、胸が苦しくない服装を選んでいると考えれば得心がいくが。
「もしかして徹夜?」
「いや、寝たことは寝たけどね。
ただ、締め切り近いと眠りが浅くなって…」
リディアの部屋の中、パトリシアが入れた茶を口に含みつつリディアが応じる。
(まあ、いつもちゃんとしてるリディアのだらしない面を見られたのはいいことだったか)
そんなことを思いながら、パトリシアは自分も茶を飲んでいく。
「ねえ、新作の原稿もうできてるの?」
「できてるけど、ごめん。
朝早くに編集さんが取りに来て、もう渡しちゃったの」
(残念)
売れっ子官能小説家、アレクス・レインの新作を原稿の段階で読めると期待していたパトリシアは落胆する。
まあものは考えようだ。刊行されるまで楽しみが増えたと思えばいい。
パトリシアはそう思うことにした。
「それで、パトリシアの方はできたの?原稿」
「ああ…書いてみたよ。
プロに見てもらうには恥ずかしいけど」
パトリシアはそう言って手書きの原稿用紙の束をリディアに渡す。
こちらの世界では、執筆はタイプライターか手書きのどちらかだ。
いずれにせよワープロに比べればつぶしが効かないのは変わりない。
手書きの方が手軽なのだ。
ことの始まりは、先だってのお泊まりで、パトリシアとリディアが官能小説の話で盛り上がっていたときだ。
前世で男だった記憶が蘇って以来、フランク書院の官能小説を愛読しているパトリシアは、リディアと大いに話が弾んだ。
「あの作家さんはちょっとこだわりがあり過ぎる」
とか、
「あの作風、テンポはいいけど濡れ場が物足りない」
とか。
茶と菓子をつまみながら夜遅くまで論評会は続いたのだった。
「パトリシアは読んでるだけじゃなくて、良く見てるよね」
いろいろな作品の長所短所、美点や問題点を独自の視点から鋭く考察するパトリシアに、リディアは舌を巻いていた。
「ねえ、パトリシアも書いてみない?」
そして、そう切り出したのである。
パトリシアのセンスなら、ただなにも創作せず消費するだけなのはもったいないと思ったようだった。
「私に書けるかな?」
「わたしがアドバイスしてあげる。プロであるわたしの目利きを信じなさい。
パトリシアならできる!」
息がかかるほど顔を近づけて、鼻息荒く言うリディア。
その本気な表情を見ていると、パトリシアも是非書いてみたいと思わずにはいられなかったのである。
かくして、パトリシアは書き上がった原稿を持ってリディアを訪ねたのだった。
「どれ拝見」
リディアはパトリシアの原稿に目を通していく。
内容は、人妻の不倫ものだ。
アラフォーの芸能プロダクションの既婚の女性社長がヒロインで、事務所所属のプロデューサーが主人公。
あくまで所属のアイドルたちにのびのびとやらせたいプロデューサーに対し、社長はあくまで利益率優先の方針を命じる。
次第に二人は対立していく。
「芸能界で活躍できるのは若い内だけなの。
先のことを早くに考えておく必要がある。わかって」
そしてついに、サブヒロインのアイドルである、社長の妹と娘に芸能界から離れるよう説得するようにプロデューサーに迫る。
自分が必死でプロデュースしてきた成果を否定されたと感じたプロデューサーは、とうとう堪忍袋の緒が切れる。
社長をずっと女として見て憧れていたこともあった。
プロデューサーは社長を強引に男女の関係になってしまう。
「クビでも告訴でもどうにでもなれ」
と考えていたのだが、最近旦那とセックスレスが続いていた上に、プロデューサーが自分を女として扱ってくれたことで、社長はめろめろになってしまう。
欲求不満を解消し、女である自分を改めて意識させてくれるのはプロデューサーだけだと気づいたのだ。
「一回りも年下の男に夢中になってしまうなんて…」
そのまま、プロデューサーとの不倫セックスにはまっていく。
そして、実はプロデューサーが好きで、社長に嫉妬した妹と娘も、強引に関係を結んでしまう。
三人で愛してもらうことがなによりの悦びになっていく。
「うん。すごいよ。
濡れ場もエロいし、キャラもしっかり作られてる。
それに、アラフォーのバリキャリの人妻が実は乙女で可愛いっていうのも、萌えポイントだね」
リディアが感想を述べていく。
「さすがはプロだね」
パトリシアは素直に感心する。
リディアによれば、フランク書院の購買層は40代以上のアダルト。
受けがいいのは熟女なのだそうだ。
しかも、義母、兄嫁、上司、あるいは元カノなど、背徳的な関係にあればもっとうける。
加えて、純粋な陵辱ものと違い、ソフトな調教、愛ゆえに奴隷とする、という筋書きは書ける作家が少ないのだそうだ。
「実はわたしが売れているのも、“調教ものは好きだけど残酷な陵辱はちょっと”、ていう人たちに受けてるからみたい」
もしパトリシアが、同じようにソフトな調教ものを書けるなら、売れる可能性は高いという。
「わたしをいつも責めてるから、調教するがわの気持ちはよくわかってるってところかしら?」
「かもね」
妖艶に笑うリディアに、パトリシアもにやりとしながら応じる。
「ただ、改善点はいくつかあるね。
それも教えてあげる。
パトリシアには、今度のフランク書院新人賞になんとしても入選してもらいますからね」
「はは…お手柔らかに」
鼻息の荒いリディアにパトリシアは思わず気圧されてしまう。
(リディアは変わったのかな?)
パトリシアはふと思う。
リディアには徹底して調教を繰り返し、奴隷に堕とした。
鞭で打ち、縄で縛り、蝋をたらし、浣腸で女の子の秘密まで管理する。
それを繰り返されて、今やパトリシアに責められなければ満足できないまでに堕落した。
もちろん正気は保たせてある。
社会生活はふつうに送れているし、成績は相変わらずトップクラスだ。
学院では相変わらずおしとやかで控えめな女の子という印象だ。
だが、パトリシアや官能小説のことになると、人が変わったように情熱を燃やすようになった。
以前の控えめなイメージからは想像もつかないほどに。
「パトリシアは本当にすごいね」
「そうかなあ?」
小説の改稿が一段落したところで、リディアがふとそんなことを言う。
その目には星が輝いているように見えた。
「わたしをいじめから救ってくれて、あいつらを懲らしめくれて、すごいと思ってた。
そしたら、今度はこんな面白いお話しが書けるんだもん。
わたし、読んでて感動しちゃった」
「はは…照れるな…」
いじめを解決して以来、リディアが自分に心酔していることは知っていたが、さすがに褒めすぎと思える。
ともあれ、リディアの気持ちは素直に嬉しいと思う。
「パトリシアは、わたしの英雄だよ」
「もちろんじゃない」
リディアが笑うと、パトリシアも自然に笑顔になる。
(リディアは本当に可愛い。ずっと私の嫁で恋人で、そして奴隷だよ)
パトリシアは、リディアと一緒にいる幸せを噛みしめるのだった。
その日、パトリシアはリディアの住まいを訪れていた。
リディアは地方の地主であり知事でもある人物の娘だ。実家は遠いため、学院の寮で生活している。
「リディアー。パトリシアだよ。いる?」
「はーい…」
ドアをノックすると返事があるが、妙に気が抜けた調子だった。
「わ…」
ドアを開けて自分を迎えたリディアを見て、パトリシアは二歩も三歩も引いてしまう。
いつも品行方正で、身だしなみにも気を遣っているリディアとは別人の姿だったのだ。
くたびれた小豆色のジャージを身につけ、髪はばさばさ。おでこに貼り付けた冷湿布が非常に野暮ったく見える。
眠いのか、まぶたはいつもより二割ほど下がっている。
「ねえ、リディア。
リディアは可愛いしファンも多いんだよ。その姿で外に出るのはやめようね」
「も…もちろん…。
締め切りが近いからやむを得ずだよ。
着替えるからちょっと待っててね」
パトリシアの言葉に、さすがにリディアも女としてこれではだめだと思ったらしい。
ドアを閉めてしばし。
髪を整えて、私服を着こなした姿で改めて出迎える。
(以外にボーイッシュなかっこうが好みなのかな?)
パンツルックとだぼっとしたブラウスというチョイスは、女の子らしいリディアにはややミスマッチに思える。
まあ、胸が苦しくない服装を選んでいると考えれば得心がいくが。
「もしかして徹夜?」
「いや、寝たことは寝たけどね。
ただ、締め切り近いと眠りが浅くなって…」
リディアの部屋の中、パトリシアが入れた茶を口に含みつつリディアが応じる。
(まあ、いつもちゃんとしてるリディアのだらしない面を見られたのはいいことだったか)
そんなことを思いながら、パトリシアは自分も茶を飲んでいく。
「ねえ、新作の原稿もうできてるの?」
「できてるけど、ごめん。
朝早くに編集さんが取りに来て、もう渡しちゃったの」
(残念)
売れっ子官能小説家、アレクス・レインの新作を原稿の段階で読めると期待していたパトリシアは落胆する。
まあものは考えようだ。刊行されるまで楽しみが増えたと思えばいい。
パトリシアはそう思うことにした。
「それで、パトリシアの方はできたの?原稿」
「ああ…書いてみたよ。
プロに見てもらうには恥ずかしいけど」
パトリシアはそう言って手書きの原稿用紙の束をリディアに渡す。
こちらの世界では、執筆はタイプライターか手書きのどちらかだ。
いずれにせよワープロに比べればつぶしが効かないのは変わりない。
手書きの方が手軽なのだ。
ことの始まりは、先だってのお泊まりで、パトリシアとリディアが官能小説の話で盛り上がっていたときだ。
前世で男だった記憶が蘇って以来、フランク書院の官能小説を愛読しているパトリシアは、リディアと大いに話が弾んだ。
「あの作家さんはちょっとこだわりがあり過ぎる」
とか、
「あの作風、テンポはいいけど濡れ場が物足りない」
とか。
茶と菓子をつまみながら夜遅くまで論評会は続いたのだった。
「パトリシアは読んでるだけじゃなくて、良く見てるよね」
いろいろな作品の長所短所、美点や問題点を独自の視点から鋭く考察するパトリシアに、リディアは舌を巻いていた。
「ねえ、パトリシアも書いてみない?」
そして、そう切り出したのである。
パトリシアのセンスなら、ただなにも創作せず消費するだけなのはもったいないと思ったようだった。
「私に書けるかな?」
「わたしがアドバイスしてあげる。プロであるわたしの目利きを信じなさい。
パトリシアならできる!」
息がかかるほど顔を近づけて、鼻息荒く言うリディア。
その本気な表情を見ていると、パトリシアも是非書いてみたいと思わずにはいられなかったのである。
かくして、パトリシアは書き上がった原稿を持ってリディアを訪ねたのだった。
「どれ拝見」
リディアはパトリシアの原稿に目を通していく。
内容は、人妻の不倫ものだ。
アラフォーの芸能プロダクションの既婚の女性社長がヒロインで、事務所所属のプロデューサーが主人公。
あくまで所属のアイドルたちにのびのびとやらせたいプロデューサーに対し、社長はあくまで利益率優先の方針を命じる。
次第に二人は対立していく。
「芸能界で活躍できるのは若い内だけなの。
先のことを早くに考えておく必要がある。わかって」
そしてついに、サブヒロインのアイドルである、社長の妹と娘に芸能界から離れるよう説得するようにプロデューサーに迫る。
自分が必死でプロデュースしてきた成果を否定されたと感じたプロデューサーは、とうとう堪忍袋の緒が切れる。
社長をずっと女として見て憧れていたこともあった。
プロデューサーは社長を強引に男女の関係になってしまう。
「クビでも告訴でもどうにでもなれ」
と考えていたのだが、最近旦那とセックスレスが続いていた上に、プロデューサーが自分を女として扱ってくれたことで、社長はめろめろになってしまう。
欲求不満を解消し、女である自分を改めて意識させてくれるのはプロデューサーだけだと気づいたのだ。
「一回りも年下の男に夢中になってしまうなんて…」
そのまま、プロデューサーとの不倫セックスにはまっていく。
そして、実はプロデューサーが好きで、社長に嫉妬した妹と娘も、強引に関係を結んでしまう。
三人で愛してもらうことがなによりの悦びになっていく。
「うん。すごいよ。
濡れ場もエロいし、キャラもしっかり作られてる。
それに、アラフォーのバリキャリの人妻が実は乙女で可愛いっていうのも、萌えポイントだね」
リディアが感想を述べていく。
「さすがはプロだね」
パトリシアは素直に感心する。
リディアによれば、フランク書院の購買層は40代以上のアダルト。
受けがいいのは熟女なのだそうだ。
しかも、義母、兄嫁、上司、あるいは元カノなど、背徳的な関係にあればもっとうける。
加えて、純粋な陵辱ものと違い、ソフトな調教、愛ゆえに奴隷とする、という筋書きは書ける作家が少ないのだそうだ。
「実はわたしが売れているのも、“調教ものは好きだけど残酷な陵辱はちょっと”、ていう人たちに受けてるからみたい」
もしパトリシアが、同じようにソフトな調教ものを書けるなら、売れる可能性は高いという。
「わたしをいつも責めてるから、調教するがわの気持ちはよくわかってるってところかしら?」
「かもね」
妖艶に笑うリディアに、パトリシアもにやりとしながら応じる。
「ただ、改善点はいくつかあるね。
それも教えてあげる。
パトリシアには、今度のフランク書院新人賞になんとしても入選してもらいますからね」
「はは…お手柔らかに」
鼻息の荒いリディアにパトリシアは思わず気圧されてしまう。
(リディアは変わったのかな?)
パトリシアはふと思う。
リディアには徹底して調教を繰り返し、奴隷に堕とした。
鞭で打ち、縄で縛り、蝋をたらし、浣腸で女の子の秘密まで管理する。
それを繰り返されて、今やパトリシアに責められなければ満足できないまでに堕落した。
もちろん正気は保たせてある。
社会生活はふつうに送れているし、成績は相変わらずトップクラスだ。
学院では相変わらずおしとやかで控えめな女の子という印象だ。
だが、パトリシアや官能小説のことになると、人が変わったように情熱を燃やすようになった。
以前の控えめなイメージからは想像もつかないほどに。
「パトリシアは本当にすごいね」
「そうかなあ?」
小説の改稿が一段落したところで、リディアがふとそんなことを言う。
その目には星が輝いているように見えた。
「わたしをいじめから救ってくれて、あいつらを懲らしめくれて、すごいと思ってた。
そしたら、今度はこんな面白いお話しが書けるんだもん。
わたし、読んでて感動しちゃった」
「はは…照れるな…」
いじめを解決して以来、リディアが自分に心酔していることは知っていたが、さすがに褒めすぎと思える。
ともあれ、リディアの気持ちは素直に嬉しいと思う。
「パトリシアは、わたしの英雄だよ」
「もちろんじゃない」
リディアが笑うと、パトリシアも自然に笑顔になる。
(リディアは本当に可愛い。ずっと私の嫁で恋人で、そして奴隷だよ)
パトリシアは、リディアと一緒にいる幸せを噛みしめるのだった。
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