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優しくて真面目な先生だって私にかかれば
生きることのジレンマ
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04
曇って月の見えない夜。
パトリシアはまた龍帝を伴って、里山の害獣駆除に出ていた。
当然地元の青年団や猟友会の者たちも一緒だ。
「行くよ、シーザー」
パトリシアが奏獣剣の演奏を始める。
今夜の駆除対象はミネザル。
やはり特定外来生物だ。
動物園で飼育されていたり、猿回しの猿だったものが逃げ出して野生化した。
雑食であり、大きいものでは直立すると130センチにもなる。
霊長類らしく知能が高く、おまけに集団性がある。極めつけに、手先が器用で力が強く、半端な罠や防備は通用しないと来ている。
(ある意味、今までの害獣で一番厄介か)
果実が大好物で、付近の果樹園がほとんど根こそぎやられてしまっている。
(イチジクがみんなやられてしまったら、高級な豚を育てられなくなる)
乾燥イチジクで育てた豚が大好きなパトリシアにとっても、対岸の火事ではない問題だった。
「シーザー。頼むよ。
約束通り高級な豚二頭食べさせてあげるからさ」
パトリシアは必死でシーザーを説得する。
ミネザルはシーザーの口に合わないらしく、気乗りしなさそうなのだ。
「イチジクで育てた豚は美味しいよ。お好きでしょ?」
だが、イチジクで育てた豚を久々に頂けると聞いて、やる気になったらしい。
シーザーは軽く上昇すると大きく息を吸い込む。
そして里山に向けて、身の毛がよだつような雄叫びをあげる。
「いつもながらすごいな…」
パトリシアは、自分も足がすくみそうになるのを必死で堪える。
音が乱れそうになるのに注意して、奏獣剣を演奏し続ける。
いかなる動物も、この雄叫びには内耳を麻痺させられ、なにより恐怖によって無力化されてしまう。
シーザーは、ネコがネズミを穴からほじくり出すがごとく、動けなくなったミネザルを茂みや木立の下からつまみ上げ、頑丈な顎と鋭利な爪で始末していく。
よほど味が気に入らないらしく、かみ殺すだけで呑み込もうとは決してしない。
瞬く間に、血みどろのミネザルの死体が累々と横たわっていく。
「味方だからいいけど…敵だったらと思うとちょっと怖いな…」
「あの龍帝を自在に操れるんだから、パトリシア様はすごいべなあ」
猟友会のハンターたちが思い思いの感想を述べる。
(操っているわけじゃなく、取引して信頼関係を結んでるんだけどね)
パトリシアは思うが、めんどうなので説明はしないでおくことにする。
ミネザルの群れは、確実に殲滅されつつあった。
「シーザーご苦労様。
はい、約束の豚だよ」
パトリシアは約束通り、高級な豚を馬車に乗った檻から離す。
ターニャの実家である牧場から買い入れたものだ。去勢もしておらず、動物質のエサを一切与えていないため、身が締まっている。
(高級な豚二頭はけっこうな出費だけど、仕方ないね)
パトリシアはこれも必要な投資だと割り切ることにする。
果樹園がミネザルにみんなやられてしまえば、その経済的損失は豚二頭どころの話ではなくなる。
商家である実家にとってもそれは非常にまずい事態なのだ。
龍帝は、二頭の豚をていねいにかみ砕いて咀嚼し、呑み込む。もちろん生きたまま。
(これは何度見ても馴れないな…)
パトリシアはそんなことを思う。
自分たちも牛や豚を食っている。それはわかる。食われるがわからすれば、痛くて苦しいのは変わりない。それもわかる。
だが、動物が生きたままばりばりと食われていく有様は、理屈でなくグロテスクなのだ。
「はい、デザートだよ」
パトリシアは、豚を味わって呑み込んだ龍帝に柿を投げてやる。
龍帝は器用にそれを口でキャッチする。
(これからの季節が問題だな)
パトリシアは思う。
冬が来れば、龍帝に上げられる果物がなくなってしまう。
ドライフルーツや干し杏、干し柿の類いで代用することになるかも知れない。
「パトリシアさん、また害獣駆除?」
後ろからかけられた声に振り向くと、そこにアリサが立っていた。
ダークエルフはかくれんぼやゲリラ戦を得意とするというが、気配さえ感じさせないのは見事と言えた。
「ああ、アリサ先生こんばんは。
ご覧の通り、今夜はミネザルの駆除です」
無残な亡骸になったミネザルの群れを、一カ所に集めていく青年団を指さす。腐敗して病原菌の元にならないよう、埋めてしまうためだ。
「残酷な話ね」
「まあ、我々も生活がかってますから。
ていうか先生、良くここがわかりましたね?」
パトリシアは、アリサがここまでたどり着いたのが不思議だった。
ミネザルは一応定住するが、一カ所に長くはとどまらない。
その習性のお陰で、猟犬を何匹も動員してようやく今夜彼らの拠点を突き止めたところだったのだ。
アリサがこの場所を知っているはずがない。
「エルフには、森や野の声が聞こえるの。
森の悲鳴が聞こえた。
あなたとお友達が駆除しているミネザルも、また森や野の一部なの」
アリサは言外に、害獣か益獣かなど人間のエゴだと付け加えていた。
「しかし…」
パトリシアもアリサの言っていることはわかる。
それだけに、どう抗弁したものかわからなかった。
「わかっています。
あたしも果物を食べている。彼らを駆除しなければ、果樹園の主たちは夜逃げをするしかなくなる。
あたしたちも果物にありつけなくなる。
ただ…悲しいのよ。ミネザルたちが悲鳴を上げているのが」
ダークエルフのなかでも美貌と評判のアリサが、本当に悲しそうな顔をしている。
美しい顔を悲しみで曇らせている。
パトリシアも、胸に応えないでもなかった。
ミネザルとて好きでこんなところにいるわけではない。
彼らをこの地に連れてきたのは、他ならぬ人間なのだ。
(勝手に連れてきておいて、手に負えなくなったら殺すか。
まあ、神様気取りの身勝手な理屈ではある)
そんなことを思わずにはいられなかった。
「まあ、言っていても始まらないわね。
ところで、その剣…奏獣剣と言ったかしら?
どういう原理でドラゴンに言うことを聞かせているの?」
愚痴は終わりだとばかりに、アリサが話題を変える。
(別に大したことではないけど…この際だからはったりをかましておくか)
パトリシアはそう考えて、言葉を選びながら話す。
「この奏獣剣そのものは、ただの楽器です。
ドラゴンを操る方法は…ある人物に教わりました。失伝させるのはもったいないからと。
その代わりこう言われました。
門外不出として、他人に教えることはならないし、文書にすることも禁ずる、と」
パトリシアはわざと大げさなうそをつく。
(まあ、本当のところは面白みもなにもない話だしね)
言葉を交わし、ご褒美としてエサをあげて信頼関係を築いている。
という話よりは、なにか特別な力で龍帝を従えているという方が面白いし、はったりが効いている。
「そうなの…すごいのね」
アリサは、パトリシアの言葉を信じたらしい。
(この人、頭はいいのにけっこうお人好しで乗せられやすいからなあ…)
まあその結果、パトリシアの口車に乗せられてゲームを受けてしまった。
そして淫欲に抗えず、奴隷となることを誓ってしまったのだが。
「ねえ、パトリシアさん。
あなたはすごい力を持ってる。
その力の使い方、よく考えて。あなたには、多くの人間を幸せにする力がある。
一方で、使い方を謝れば、多くの人間を不幸にしてしまう」
そう言ったアリサの表情は真剣そのものだった。
(骨の髄から教師なんだな)
パトリシアはそんなことを思う。
アリサはパトリシアの奴隷になることを誓った。が、それは性的なことだけだ。
パトリシアに抱かれ、責められている時以外は、依然としてしっかりとして信念深い人物だ。
そして、かなり頑固でもある。
「わかりました。誘惑や感情に負けないように頑張ります」
そう答える。
パトリシアは、アリサがまた好きになったのだった。
曇って月の見えない夜。
パトリシアはまた龍帝を伴って、里山の害獣駆除に出ていた。
当然地元の青年団や猟友会の者たちも一緒だ。
「行くよ、シーザー」
パトリシアが奏獣剣の演奏を始める。
今夜の駆除対象はミネザル。
やはり特定外来生物だ。
動物園で飼育されていたり、猿回しの猿だったものが逃げ出して野生化した。
雑食であり、大きいものでは直立すると130センチにもなる。
霊長類らしく知能が高く、おまけに集団性がある。極めつけに、手先が器用で力が強く、半端な罠や防備は通用しないと来ている。
(ある意味、今までの害獣で一番厄介か)
果実が大好物で、付近の果樹園がほとんど根こそぎやられてしまっている。
(イチジクがみんなやられてしまったら、高級な豚を育てられなくなる)
乾燥イチジクで育てた豚が大好きなパトリシアにとっても、対岸の火事ではない問題だった。
「シーザー。頼むよ。
約束通り高級な豚二頭食べさせてあげるからさ」
パトリシアは必死でシーザーを説得する。
ミネザルはシーザーの口に合わないらしく、気乗りしなさそうなのだ。
「イチジクで育てた豚は美味しいよ。お好きでしょ?」
だが、イチジクで育てた豚を久々に頂けると聞いて、やる気になったらしい。
シーザーは軽く上昇すると大きく息を吸い込む。
そして里山に向けて、身の毛がよだつような雄叫びをあげる。
「いつもながらすごいな…」
パトリシアは、自分も足がすくみそうになるのを必死で堪える。
音が乱れそうになるのに注意して、奏獣剣を演奏し続ける。
いかなる動物も、この雄叫びには内耳を麻痺させられ、なにより恐怖によって無力化されてしまう。
シーザーは、ネコがネズミを穴からほじくり出すがごとく、動けなくなったミネザルを茂みや木立の下からつまみ上げ、頑丈な顎と鋭利な爪で始末していく。
よほど味が気に入らないらしく、かみ殺すだけで呑み込もうとは決してしない。
瞬く間に、血みどろのミネザルの死体が累々と横たわっていく。
「味方だからいいけど…敵だったらと思うとちょっと怖いな…」
「あの龍帝を自在に操れるんだから、パトリシア様はすごいべなあ」
猟友会のハンターたちが思い思いの感想を述べる。
(操っているわけじゃなく、取引して信頼関係を結んでるんだけどね)
パトリシアは思うが、めんどうなので説明はしないでおくことにする。
ミネザルの群れは、確実に殲滅されつつあった。
「シーザーご苦労様。
はい、約束の豚だよ」
パトリシアは約束通り、高級な豚を馬車に乗った檻から離す。
ターニャの実家である牧場から買い入れたものだ。去勢もしておらず、動物質のエサを一切与えていないため、身が締まっている。
(高級な豚二頭はけっこうな出費だけど、仕方ないね)
パトリシアはこれも必要な投資だと割り切ることにする。
果樹園がミネザルにみんなやられてしまえば、その経済的損失は豚二頭どころの話ではなくなる。
商家である実家にとってもそれは非常にまずい事態なのだ。
龍帝は、二頭の豚をていねいにかみ砕いて咀嚼し、呑み込む。もちろん生きたまま。
(これは何度見ても馴れないな…)
パトリシアはそんなことを思う。
自分たちも牛や豚を食っている。それはわかる。食われるがわからすれば、痛くて苦しいのは変わりない。それもわかる。
だが、動物が生きたままばりばりと食われていく有様は、理屈でなくグロテスクなのだ。
「はい、デザートだよ」
パトリシアは、豚を味わって呑み込んだ龍帝に柿を投げてやる。
龍帝は器用にそれを口でキャッチする。
(これからの季節が問題だな)
パトリシアは思う。
冬が来れば、龍帝に上げられる果物がなくなってしまう。
ドライフルーツや干し杏、干し柿の類いで代用することになるかも知れない。
「パトリシアさん、また害獣駆除?」
後ろからかけられた声に振り向くと、そこにアリサが立っていた。
ダークエルフはかくれんぼやゲリラ戦を得意とするというが、気配さえ感じさせないのは見事と言えた。
「ああ、アリサ先生こんばんは。
ご覧の通り、今夜はミネザルの駆除です」
無残な亡骸になったミネザルの群れを、一カ所に集めていく青年団を指さす。腐敗して病原菌の元にならないよう、埋めてしまうためだ。
「残酷な話ね」
「まあ、我々も生活がかってますから。
ていうか先生、良くここがわかりましたね?」
パトリシアは、アリサがここまでたどり着いたのが不思議だった。
ミネザルは一応定住するが、一カ所に長くはとどまらない。
その習性のお陰で、猟犬を何匹も動員してようやく今夜彼らの拠点を突き止めたところだったのだ。
アリサがこの場所を知っているはずがない。
「エルフには、森や野の声が聞こえるの。
森の悲鳴が聞こえた。
あなたとお友達が駆除しているミネザルも、また森や野の一部なの」
アリサは言外に、害獣か益獣かなど人間のエゴだと付け加えていた。
「しかし…」
パトリシアもアリサの言っていることはわかる。
それだけに、どう抗弁したものかわからなかった。
「わかっています。
あたしも果物を食べている。彼らを駆除しなければ、果樹園の主たちは夜逃げをするしかなくなる。
あたしたちも果物にありつけなくなる。
ただ…悲しいのよ。ミネザルたちが悲鳴を上げているのが」
ダークエルフのなかでも美貌と評判のアリサが、本当に悲しそうな顔をしている。
美しい顔を悲しみで曇らせている。
パトリシアも、胸に応えないでもなかった。
ミネザルとて好きでこんなところにいるわけではない。
彼らをこの地に連れてきたのは、他ならぬ人間なのだ。
(勝手に連れてきておいて、手に負えなくなったら殺すか。
まあ、神様気取りの身勝手な理屈ではある)
そんなことを思わずにはいられなかった。
「まあ、言っていても始まらないわね。
ところで、その剣…奏獣剣と言ったかしら?
どういう原理でドラゴンに言うことを聞かせているの?」
愚痴は終わりだとばかりに、アリサが話題を変える。
(別に大したことではないけど…この際だからはったりをかましておくか)
パトリシアはそう考えて、言葉を選びながら話す。
「この奏獣剣そのものは、ただの楽器です。
ドラゴンを操る方法は…ある人物に教わりました。失伝させるのはもったいないからと。
その代わりこう言われました。
門外不出として、他人に教えることはならないし、文書にすることも禁ずる、と」
パトリシアはわざと大げさなうそをつく。
(まあ、本当のところは面白みもなにもない話だしね)
言葉を交わし、ご褒美としてエサをあげて信頼関係を築いている。
という話よりは、なにか特別な力で龍帝を従えているという方が面白いし、はったりが効いている。
「そうなの…すごいのね」
アリサは、パトリシアの言葉を信じたらしい。
(この人、頭はいいのにけっこうお人好しで乗せられやすいからなあ…)
まあその結果、パトリシアの口車に乗せられてゲームを受けてしまった。
そして淫欲に抗えず、奴隷となることを誓ってしまったのだが。
「ねえ、パトリシアさん。
あなたはすごい力を持ってる。
その力の使い方、よく考えて。あなたには、多くの人間を幸せにする力がある。
一方で、使い方を謝れば、多くの人間を不幸にしてしまう」
そう言ったアリサの表情は真剣そのものだった。
(骨の髄から教師なんだな)
パトリシアはそんなことを思う。
アリサはパトリシアの奴隷になることを誓った。が、それは性的なことだけだ。
パトリシアに抱かれ、責められている時以外は、依然としてしっかりとして信念深い人物だ。
そして、かなり頑固でもある。
「わかりました。誘惑や感情に負けないように頑張ります」
そう答える。
パトリシアは、アリサがまた好きになったのだった。
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