時空を駆ける荒鷲 F-15J未智の空へ

ブラックウォーター

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第四章

発動!グルトップ半島奪還作戦

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 理非無きときは鼓を鳴らし攻めて可なり

 孔子 論語より

 01
 激しい空戦が展開されている。ここ異世界には、衛星も大規模な地上レーダー基地も、高度な電子的な妨害のための装備や設備もない。戦闘機の索敵能力とロックオン性能、命中精度は60年代のベトナム戦争の時代に逆戻りしていた。ファーストルック・ファーストショット・ファーストキルの3つのFなどこちらではナンセンス。敵機を目視で確認し、近づいて後ろを取ってから攻撃。外した場合、回避行動をとりつつ新たな攻撃のポジションを取って再度攻撃する。ようするにドッグファイトが定石だった。
 機体やミサイルの性能差は戦力の決定的な違いにはならない。勝負を決めるのは純粋にパイロットの技量のみ。そのはずだった...。
 「ほらどうした!ロックオンしちまうぞ!」
 ダッソー ラファール戦闘機が放った対空ミサイルをやすやすと回避したFA-18E戦闘攻撃機が、お返しとばかりにラファールをセンターに捕らえ、サイドワインダー対空ミサイルを発射する。攻撃にこだわって回避行動が一瞬遅れたラファールは逃げきれず、炎に包まれる。
 いい調子じゃないか。ドゥベ公国海兵隊第2航空師団第8飛行隊、通常フロージ隊所属の義勇兵、ドミニク・レッドフィールド大尉は思う。長年使い慣れたFA-18Eの性能もそうだが、なんといってもメグレス連合から亡命した軍人たちによってもたらされたサイコドライブの力は素晴らしい。テレパシーに近い能力を持つこの世界の野生動物、海竜の脳幹から取った生体組織を用いた有機コンピューターによる自動回避、操縦システム。敵機の殺気や敵意を感知すると、自動的に最適な機動を選択して回避を行い、新たな攻撃のポジションを取る。ミドル、ショートレンジでの有視界戦闘が主であり、一瞬の反応の早さ、攻撃のタイミングの選択が勝負を決めるこちらの世界での空戦では正に値千金だった。
 従来は空気中の水分が多い環境、要するに雨の中でしか機能せず、しかもかなり大きくかさばるという欠点があった。だが、公国の技術によってシステムの改良が進み、晴れていても問題なく使えるようになり、サイズと大きさも戦闘機の兵装ステーションに外付けできる程度にはコンパクトかつ軽量に仕上がっている。
 「全機、このまま予定通りヴァーラスキャールヴへの攻撃を支援する!」
 12機の内7機を落とされ、形勢不利と見たラファールの飛行隊は撤退していく。ミザール同盟の首都、メッサーティーガーから南西500キロにある町。ミザール同盟の軍勢が集結している城塞都市、ミザールの臨時政府が置かれている場所でもあるヴァーラスキャールヴに対する、地上部隊による攻撃の航空支援は、予定通りに行えそうだった。が...。
 『み...ミサイルアラート...!うわあっ!』
 無線から素っ頓狂な声が響き、レッドフィールドの右後方にいたはずの僚機を示す光点が、コンソールから消失する。なんだ?と思う間に、レーダーに新たな対空ミサイルの反応が現れ、かと思うとさらに1機の僚機の反応が消えていた。
 「長射程ミサイル?サイコドライブの索敵範囲外だったか?全機ブレイク散開!新たな敵だ!」
 レッドフィールドはとりあえずの命令を下しながら、どうなっている?と思考をめぐらせる。サイコドライブの欠点として、至近距離でしか敵の殺気を察知できないことがある。一定以上離れられると、思念波が届かず、機能しないのだ。だがそれを割り引いても、これは解せない。この世界で長射程ミサイルを当てられる程のFCS火器管制システムの精度もそうだが、まったくレーダーに戦闘機らしい反応がないのはどう考えてもおかしい。これが機械の故障でないとしたら、敵機は第5世代戦闘機なみのステルス性能を持っていることになる。しかも、こちらにステルス機能や、エンジンの放熱パターンのデータがない機体ということだ。
 だとすればなんだ?ミザール軍所属のF-35ならデータは知り尽くしているから見つけられないはずがない。アリオト軍のJ-20ならこんなステルス性能はないはずだ。メグレス軍所属のPAK-FAが、ナゴワンド大陸のこんな南にいるという話は聞かない。
 そんな思考を巡らせているうちに、また2機のFA-18Eがなすすべもなく撃墜されていた。
 『イーグルヴィジョンよりフロージ。レーダーに感!放熱パターン分析開始。敵はF-15系統の機体の模様』
 上空の早期警戒管制機E-3からの通信は、レッドフィールドにとって二重の意味でバッドニュースだった。F-15系統の機体でステルス性能を持つもののデータは十分ではない。本国ではF-15ベースの発展型、F-15SEの開発が暗礁に乗り上げているからだ。そして、最近、ミザールに侵攻したドゥベ軍航空隊に対して大立ち回りを演じ、撃墜スコアを稼ぎまくっている”荒鷲”とあだ名されるF-15の噂は聞いているからだ。噂どまりなのは、そのF-15と遭遇して無事に帰って来たものがいないからとされる。今の今まで与太話と流していたが、ここまで一方的にやられると、いやでも現実と認めざるを得なくなる。
 「き...来た...!」
 遅ればせながらレーダーに反応が現れ、遠目だが目視で敵の姿が確認できた。機体両側面のコンフォーマルウエポンベイに加え、期待下面中央にも、バカでかいサーフボードケースといった形のコンフォーマルウエポンベイを装備している。数は2機。レーダーの反応では後ろにもう4機いるが、そっちは後方支援らしく前に出てくる気配がない。
 「4.5世代戦闘機...。サムライイーグルの改良型か?」
 2機の敵機はアフターバーナーを吹かして、回避行動を取ろうとするフロージ隊に急速接近し、すれ違いざまにミサイルを放つ。素直に回避行動に入った者はともかく、欲を出して回避より迎撃を優先しようとした者たちの選択は命取りになった。自分たちになにが起きたか理解する暇もないまま、4機のFA-18Eが火の玉と化して落ちていく。
 『ガッデム!なんてやつらだ!』
 「落着け、敵はたった2機だ!2対1の戦いに持ち込むんだ!」
 レッドフィールドはそう指示を出すが、それで勝てる相手か?と内心自問していた。今の機動を見る限り、敵はサイコドライブの弱点を知っている。敵の殺気を感知してから、最適な機動をいくつかのパターンの中から選択、回避行動に入る。というプロセスには、どうしたって一瞬のタイムラグが生じる。現代戦ではありえないほどの至近距離に接近されてからミサイルを撃たれた場合、サイコドライブの反応が間に合わず、回避行動が遅れてしまうのだ。近すぎても遠すぎても機能しないサイコドライブの弱点を突いた戦いはさすがと言えた。
 『くそったれバスタード!』
 『淫売の息子野郎め!待ちやがれ!』
 熱くなった2機のFA-18Eがアフターバーナーを全開にして敵機に追いすがろうとする。だが、敵機の1機があざ笑うように急旋回から背面飛行に入り、FA-18Eのすぐ上に遷移、そのままミサイル2発を発射、その後でロックオンする。対空ミサイルは見事なU字型の機動を描いて、加速がかかっているために舵の効きが悪くなった2機のFA-18Eに食らいつき、爆散させる。
 「ちくしょう!舐めるな!」
 レッドフィールドは高度を上げて視界を確保しようとする敵機に向けてサイドワインダー2発を放つ。だが、敵機が大胆にもこちらに機首を向けて、フレアを放ちながらバレルロールをすると、サイドワインダーは目標を見失ってしまい、フレアを追いかけて明後日の方向に飛んでいく。敵機のステルス性能が正面方向に限定されているのが功を奏したのか?とレッドフィールドは思う。ミサイルにして見れば、目標が自分の方向を向いたとたんレーダーの反射率が激減したのだから、突然敵が消えたようにしか見えなかったのだろう。
 「いかん!後ろを取られる!」
 すれ違いざまに撃たれることはなんとか回避できたが、敵機に後ろを取られてしまうことまでは避けられなかった。レッドフィールドはフレアを発射し、急旋回しながら高度を下げるが、敵を振り切ることができない。それどころか、”その程度か?捕まえちまうぞ?”とあざ笑うように、余裕のある動きで、敵はこちらを追尾して来る。
 こんな理不尽があっていいのか?レッドフィールドは思う。FA-18Eは空母艦載機として設計されている上に、マルチロールファイターでもある。戦闘機として、空戦性能は純然たる空戦戦闘機であるF-15系統の機体に比べれば、いろいろと妥協がされているのだ。だがしかし、ここまでの性能差があるはずがなかった。しかも、敵はまるで予知能力でもあるか、こちらの思考が読めるかのようにこちらが舵を切る先についてくる。今までパイロットとして積み上げて、培ってきたものが全否定されたような状況に、レッドフィールドは腹の中であらゆる罵倒と憤りの言葉を発する。
 「ああ、くそお...!」
 HMDのディスプレイの隅っこ、後方確認用映像の中で、敵機の左側のウエポンベイのハッチが開き、04式空対空誘導弾が発射されるのが見える。ミサイルアラートがコックピットに鳴り響いたのと、レッドフィールドが射出座席のレバーを引いたのはほぼ同時だった。空中に打ち上げられる刹那、愛機がエンジンにミサイルの直撃を受けて爆発四散し、ついでに最後に残った僚機ももう1機の敵に落とされるのが見えた。
 「全滅...?12機のFA-18Eが.。。3分と持たずに...?」
 パラシュートに吊り下げられながら、悠々と飛び去って行く2機の敵機を呆然と見送るレッドフィールドに他の感想はなかった。
 「ええい、ジャパンのイーグルはバケモノか...!?」
 ここまで徹底的に足蹴にされると、もはや怒りも悔しさも感じない。レッドフィールドはただ、何もできなかったという無力感と挫折感を噛みしめていた。

 「こちらオーディン1。ドゥベ軍航空隊の全滅を確認。ミッションコンプリート。帰還する」
 『了解、後はわれわれの出番だ。露払い、感謝する!』
  ベネトナーシュ王国王立軍、第1航空師団、第168制空隊。通称オーディン隊隊長、オーディン1こと潮崎隆善一等空尉 TACネーム”セイバー”の連絡に、ミザール軍所属の航空隊が応じる。帰還する6機のF-15JSと入れ替わりに、8機のF-16D戦闘機が飛んでいき、プレゼントとばかりにドゥベ軍の地上部隊にクラスタ―爆弾や燃料気化爆弾、対戦車自己鍛造弾をお見舞いしていく。上空のFA-18Eが全滅し、エアカバーのないドゥベ軍はひとたまりもなく、ちりじりに遁走していく。
 『妙な気分だな。アメリカ製の兵器同士の戦闘っていうのも』
 潮崎のバディである、オーディン2こと及川志郎二等空尉 TACネーム”プリーチャー”が素直な感想を述べる。確かに、F-16Dが攻撃しているのはM1A1エイブラムス戦車や、LAV-25系統の装甲車だ。小さいがかろうじて見える歩兵たちは、デザートピクセル迷彩に身を包み、M16A4突撃銃やミニミ分隊支援火器で武装している。
 「戦争ってのはそんな奇妙なもんさ」
 潮崎はそれだけ応じる。兵器を売ることで食っている死の商人にとっては、その兵器が誰に向けられるかなど一斉関係はないものだ。ユーザーが神様を撃とうが悪魔を撃とうが、儲かればそれでいいと考える人間はどこにでもいる。
 そもそも、自分たちが乗っているF-15JSにしたって、血脈をたどればアメリカに行きつく。まあ、こちらの世界の技術とマテリアルまで用いた魔改造が行き過ぎて、すでに原型をとどめていないが。
 ともかく、自分たちの任務は終わりだ。不謹慎かもしれないが、生身の人間を相手にするミッションを担当しなくて済むことに、潮崎は内心ほっとしていた。エアカバーもなく、逃げ場を失った生身の歩兵相手に爆弾を落とす作戦は、できれば御免こうむりたい。ドゥベ軍の義勇兵たちは、元は自分たちの同盟国の将兵で、知り合いもいる。戦えと言われれば戦うのが自分の任務だと心得ているが、知り合いに向けて爆弾を落とすのは気分のいいものでは決してない。潮崎はそう思ったのだった。

 とにもかくにも、ドゥベ公国軍のヴァーラスキャールヴへの攻勢は失敗に終わった。これにより、海峡を越えてグルトップ半島に侵攻し、電撃的な作戦でミザール同盟首都、メッサーティーガーを占領した、ドゥベ軍の進行速度には大きくブレーキがかかることになる。それはつまり、ミザール同盟とその友好国の軍で構成される多国籍軍が、軍事拠点の防衛を強化し、またドゥベ軍に対する反抗作戦の準備を行う余裕を得たことを意味していた。

 新暦102年射手月1日。後に”ヴァーラスキャールヴ防衛線”と呼ばれる戦いは、こうして終結したのである。


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