8 / 64
別の異世界
ランツェ
しおりを挟む
蒼とサンダーがたどり着いた建物の前の看板には(冒険者協会)と書かれていた。
「冒険者協会?何だそれ?」
蒼は、首を傾げながら、看板に書かれてある内容を読んでいる。
「そんなの読まなくても、中に入れば分かると思うが・・。」
「そ、そうだな。ヴィトンさんを待たせてるかもだし・・」
蒼とサンダーが協会に入ると、ヴィトンがすぐ近くで座って待っていた。そして、二人に気づいたヴィトンは、ニッコリして、手を振り出した。
「やぁ、二人とも!待っていたよ。早速だけど、ついてきて!案内するから。」
「はい」
ヴィトンは、少し急いでるようだった。蒼が、不思議に思い、協会内の時計を見ると、11時45分を指していた。
「そんなに時間使ったか?」
「ああ!蒼くん、ロートンくんのバーの時計だけど・・あれ、進むスピードが少し遅くなってきてるんだよね。多分、ロートンくんの伝え忘れだと思うけど。」
ヴィトンが、振り返って、そう言うと、再び前を向いて歩き出した。
・・ヴィトンが二人を連れて行ったのは、1階の隅の方にある客室だった。(部屋の家具と構造は、少しだけロートンのバーの客室に似ている。一つのテーブルとその両端にソファーが置かれている。)
部屋に入ると、黒の服に紫色髪をして、目に眼帯をつけた20歳くらいの女性が座っている。
「やっ、ランツェちゃん!連れてきたよ。待たせちゃったかな?」
「大丈夫ですよ。3分ほど前に着いたばっかりなので。」
ランツェは、ヴィトンの方(正式には、蒼とサンダーのことかもしれない)をチラっと見た後、落ち着いた声でそう言った。
「そう。ならいいか!それじゃあ、紹介しようか!こっちは・・」
そう言い、ヴィトンが、まず、蒼のことを紹介しようとすると、ランツェが口を挟んだ。
「紹介は、必要ないですよ。今日の朝、寮のポストに二人の詳細について書かれた紙が送りつけられてあったので。」
「そういえば、そういえばそうだった。忘れてたよ。」
ヴィトンは、そう言い、ランツェの横に座った。そして、蒼とサンダーは、その向かいの席に座った。
「それじゃあ、本題に入ろうか。まずは・・・」
ヴィトンは、ソファーにもたれながら、そう言った。その体制を、ランツェは、相変わらずだな、とでも言いたそうな表情で見ている。そして、また、ヴィトンが話し出すと、口を挟んだ。
「私の自己紹介ですよね、ヴィトン先生。わかってますよ!」
ヴィトンは、話を遮られたのか、少しだけ落ち込んだ表情をしている。
「私の名前は、ランツェ。以後、よろしく・・・と言いたいのだけど、私があなた達と組むかは、実力次第ね」
「やっぱりか!ランツェちゃん!」
蒼とサンダーは、何のことか分からず、黙って聞いている。
「いい!蒼とサンダー!二人には、今から、私と模擬試合をしてもらうよ!ついて来て!」
ランツェは、席から立ち上がり、部屋から出ていこうとしている。蒼とサンダーは、何も言わずに、その後ろをついて行った。最後に、ヴィトンも呆れながらも、席を立ち、3人の後ろを歩いた。
ー冒険者協会(修行場)ー
ランツェが連れて行ったところは、客室を出て、すぐ正面の部屋に入ったところだった。
「さてと、各自、好きな模造武器をあそこから取ってきて!さっそく、始めるよ。」
「は、はい!」「あ、あぁ」
蒼とサンダーは、言われるがままに、部屋の隅の武器置き場に向かった。そして、二人とも模造剣を手に取った。
「取ったね。それじゃあ、ルールを説明するよ。まずは・・」
ランツェが言うには・・・
1,模造武器で相手に3回攻撃をヒットできれば、勝利。
2,魔法、宿っているものの使用は、禁止。
「そして、2人で私にかかってくること。これは、言ってしまえば、ハンデよ。」
ランツェは、余裕そうな表情(少しだけ戦うのを楽しみにしていそうな表情ともとれる)をして、槍を両手で持っている。
「戦う前に一つ!ランツェちゃん。」
「・・・何ですか?(どうせ、あの件のことでしょ。わかってるのに!)」
蒼とサンダーも剣を構えるのをやめて、二人の話を聞くことにした。ヴィトンの話は、大体重要なことであると、思っているからである。
「本気、出しすぎないでよ!前の二人なんか・・・」
「前の二人って、誰のことですか?ヴィトンさん。」
二人の近くまで来た蒼は、興味本位で聞いてみた。
「気になっちゃった?・・・教えてもいいけど、それで、戦う気を失っても知らないからね。」
蒼とサンダーは、同時に頷き、「気になります!」と答えた。その横で、ランツェは腕組みしながら、3人から目線を反らしている。
「1年くらい前の話なんだけどね。蒼くんとサンダーちゃんみたいに、ランツェちゃんと組む二人を、私が推薦したんだけど。この模擬戦で、ランツェちゃんがやり過ぎちゃったみたいでね。二人とも、腕の骨が折れるや内出血やらで大変な怪我を負ったんだって。後から聞いたんだけど、退院するまで、2ヶ月くらいかかったみたいだよ。」
この話を、チラチラとランツェの方を見ながら、話した。
「冒険者協会?何だそれ?」
蒼は、首を傾げながら、看板に書かれてある内容を読んでいる。
「そんなの読まなくても、中に入れば分かると思うが・・。」
「そ、そうだな。ヴィトンさんを待たせてるかもだし・・」
蒼とサンダーが協会に入ると、ヴィトンがすぐ近くで座って待っていた。そして、二人に気づいたヴィトンは、ニッコリして、手を振り出した。
「やぁ、二人とも!待っていたよ。早速だけど、ついてきて!案内するから。」
「はい」
ヴィトンは、少し急いでるようだった。蒼が、不思議に思い、協会内の時計を見ると、11時45分を指していた。
「そんなに時間使ったか?」
「ああ!蒼くん、ロートンくんのバーの時計だけど・・あれ、進むスピードが少し遅くなってきてるんだよね。多分、ロートンくんの伝え忘れだと思うけど。」
ヴィトンが、振り返って、そう言うと、再び前を向いて歩き出した。
・・ヴィトンが二人を連れて行ったのは、1階の隅の方にある客室だった。(部屋の家具と構造は、少しだけロートンのバーの客室に似ている。一つのテーブルとその両端にソファーが置かれている。)
部屋に入ると、黒の服に紫色髪をして、目に眼帯をつけた20歳くらいの女性が座っている。
「やっ、ランツェちゃん!連れてきたよ。待たせちゃったかな?」
「大丈夫ですよ。3分ほど前に着いたばっかりなので。」
ランツェは、ヴィトンの方(正式には、蒼とサンダーのことかもしれない)をチラっと見た後、落ち着いた声でそう言った。
「そう。ならいいか!それじゃあ、紹介しようか!こっちは・・」
そう言い、ヴィトンが、まず、蒼のことを紹介しようとすると、ランツェが口を挟んだ。
「紹介は、必要ないですよ。今日の朝、寮のポストに二人の詳細について書かれた紙が送りつけられてあったので。」
「そういえば、そういえばそうだった。忘れてたよ。」
ヴィトンは、そう言い、ランツェの横に座った。そして、蒼とサンダーは、その向かいの席に座った。
「それじゃあ、本題に入ろうか。まずは・・・」
ヴィトンは、ソファーにもたれながら、そう言った。その体制を、ランツェは、相変わらずだな、とでも言いたそうな表情で見ている。そして、また、ヴィトンが話し出すと、口を挟んだ。
「私の自己紹介ですよね、ヴィトン先生。わかってますよ!」
ヴィトンは、話を遮られたのか、少しだけ落ち込んだ表情をしている。
「私の名前は、ランツェ。以後、よろしく・・・と言いたいのだけど、私があなた達と組むかは、実力次第ね」
「やっぱりか!ランツェちゃん!」
蒼とサンダーは、何のことか分からず、黙って聞いている。
「いい!蒼とサンダー!二人には、今から、私と模擬試合をしてもらうよ!ついて来て!」
ランツェは、席から立ち上がり、部屋から出ていこうとしている。蒼とサンダーは、何も言わずに、その後ろをついて行った。最後に、ヴィトンも呆れながらも、席を立ち、3人の後ろを歩いた。
ー冒険者協会(修行場)ー
ランツェが連れて行ったところは、客室を出て、すぐ正面の部屋に入ったところだった。
「さてと、各自、好きな模造武器をあそこから取ってきて!さっそく、始めるよ。」
「は、はい!」「あ、あぁ」
蒼とサンダーは、言われるがままに、部屋の隅の武器置き場に向かった。そして、二人とも模造剣を手に取った。
「取ったね。それじゃあ、ルールを説明するよ。まずは・・」
ランツェが言うには・・・
1,模造武器で相手に3回攻撃をヒットできれば、勝利。
2,魔法、宿っているものの使用は、禁止。
「そして、2人で私にかかってくること。これは、言ってしまえば、ハンデよ。」
ランツェは、余裕そうな表情(少しだけ戦うのを楽しみにしていそうな表情ともとれる)をして、槍を両手で持っている。
「戦う前に一つ!ランツェちゃん。」
「・・・何ですか?(どうせ、あの件のことでしょ。わかってるのに!)」
蒼とサンダーも剣を構えるのをやめて、二人の話を聞くことにした。ヴィトンの話は、大体重要なことであると、思っているからである。
「本気、出しすぎないでよ!前の二人なんか・・・」
「前の二人って、誰のことですか?ヴィトンさん。」
二人の近くまで来た蒼は、興味本位で聞いてみた。
「気になっちゃった?・・・教えてもいいけど、それで、戦う気を失っても知らないからね。」
蒼とサンダーは、同時に頷き、「気になります!」と答えた。その横で、ランツェは腕組みしながら、3人から目線を反らしている。
「1年くらい前の話なんだけどね。蒼くんとサンダーちゃんみたいに、ランツェちゃんと組む二人を、私が推薦したんだけど。この模擬戦で、ランツェちゃんがやり過ぎちゃったみたいでね。二人とも、腕の骨が折れるや内出血やらで大変な怪我を負ったんだって。後から聞いたんだけど、退院するまで、2ヶ月くらいかかったみたいだよ。」
この話を、チラチラとランツェの方を見ながら、話した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる