異世界帰還書紀<1>

空花 ハルル

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別の異世界

冒険者協会

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「部屋の中を簡単に紹介するわね。」

ー寮エリア(051号室)ー
広さは4畳半くらいだった。部屋には、収納クローゼット、デスク、ベット、小さな保存箱(冷蔵庫のようなもの)と壁に時計が一つずつ置かれてあった。
外側の部屋のため、窓から外の街並みがよく見える。
「最初から最低限のものは置かれているからね。それと、何か追加したいものがあったら自由にしていいからね。当たり前だけど、壁を壊したりして改造するのはだめだからね。」
「うん」
ランツェは、蒼とサンダーが理解を確認すると、部屋の左隅の方のドアを指さして言った。
「あそこは、トイレだよ。お風呂はついてないからね。」
「じゃあ、お風呂はどこにあるんだ?」
サンダーがランツェに質問を投げかける。蒼は、クローゼットの中やトイレを確認したり、窓を開けて換気をしたりしている。
「蒼も重要だから聞いておいてね。お風呂は、一階の大浴場で入れるよ。夜の6時から11時までだったらいつでもあいてるから・・」
ランツェがそう言うと、ポケットから2つの鍵を取り出した。それぞれの鍵には、051,052、と書かれてある。
「はい、これ!部屋の鍵だよ。失くさないようにね。」
と言い、蒼とサンダーに丁寧に鍵を手渡した。
「部屋紹介はこのくらいかな・・。それじゃあ、私は部屋に戻るわね。」
ランツェがそう言うと、サンダーは「んっ?チーム結成パーティでもしないか、ランツェ。良い店(ロートンの店)を知ってる」と笑顔で誘った。
「私もそうしたいのだけど、明日からは、私達としての初任務が早速あるのよ。それも、朝の7時には出発しなくちゃいけないんだよ。だから、蒼とサンダーも早く寝といたほうがいいよ・・また明日ね。」
ランツェは手を振りながら、ウィンクをすると、部屋から出て行った。

蒼が壁の時計を見ると、まだ3時だった。
「どうする?まだ、3時だ・・蒼。」
「ランツェの言う通りに、今から飯を食べて、寝よう」
蒼は、ベッドに座りながらそう言った。
「じゃあ、今から買いに行くか。」
「いや・・ジャンケンをして、負けた方が買いに行くってのは、どう。」
サンダーは、蒼の提案に「いいが・・。」と言い、乗った。
蒼がジャンケンの最初の言葉を言うと、チョキを出した。それに対してサンダーは、グーを出していた。
「私の勝ちだな!」
サンダーは、思わずガッツポーズをした。
「はぁ、行ってくるよ。何が食べたい?」
蒼はベッドから立ち上がり、肩がけバッグを手に取った。
「んー。何でもいいが・・できれば、あまりカロリーが高くないものでお願いしたい」
そう言うと、サンダーは靴を脱いで、ベッドに寝っ転がった。
蒼は、バッグを肩にかけ、自分の部屋の鍵(052号室の鍵)を手に取ると、部屋から出た。

「どこで買えばいいんだ?まあ、どこでもいいや。」
蒼はそう言うと、街の中を適当に歩き出した。


ー???(とある北の国)ー
会議室のような場所に、老若男女の人間あるいはそうでない者9名が全員フードを被り、集まっていた。
「3人を除いて、この場に集まったようだな」
ボロボロのフードを被った片目に青い目を持つ男性がそう言った。
「そのようです、主神殿。この度は、何用でしょうか?」
白いローブを着た白髪の男性が片膝を付き、敬礼をしている。他の7名も同様に。
「とりあえず全員、席に着け!長話になるからな。」
男がそう言うと、全員一礼をし、席に腰を下ろした。
「早速本題に入るが、カラスの報告によると、彼女に出向いてもらっている場所に総合軍の一人が、2日前に派遣されたようだ。」
「なるほどー。その派遣されたヤツの階級にもよると思いますが、彼女ならば問題ないのでは?」
銀髪のツインテールの少女がそう発言をした。
「中佐だそうだ。だが、明日その場所に向かう一つのチームが存在するそうだ。その者ども、それぞれが中々厄介そうなものでな。一人は特にな。」
「そのことを彼女にはお伝えになられたのですか?」
次に発言をしだしたのは、オレンジ髪の女性(見た目からして、20歳だろう)だった。フードの上から、狼の耳と後ろから尻尾がはみ出している。彼女は、人間ではない。
「今、もう一匹のカラスが伝達をしに行っているところだ。だが、彼女にもしものことがあった場合だが・・」
「その時は、私が出向いてもよろしいでしょうか!私であれば、テレポートですぐに向かえます。それに気になることもありますので」
名乗りを上げたのは、白髪の男性だった。
「いいだろう。もしもの場合は、お前が出向け。」
「はい、かしこまりました」
白髪の男性が一礼をする。
「それにしても。あの男・・フッ」
「彼を警戒した方が良いということですか?私には、彼が強いとは到底思えませんが・・」
狼族の女性が小笑いして、言う。
「そう見えても仕方がない・・この話はここまでにしよう。次だ。」
「はい、こちらが例の書類と定期連絡です。」
メイド服を着た金髪の女性が紙の束を持ってきて、テーブルの上に広げた。
「私の目標は順調に進みつつあるが、良くも悪くもある誤算も生まれた。なんとかせねばな。今後とも頼むぞ、お前たち!」
「もちろんです!」
この場にいる8名が立ち上がり、青目の男性に向けて、深く礼をした。
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