13 / 64
初任務
道中
しおりを挟む
ドンドン、とドアを叩く音が聞こえた。
「おい、蒼!もう、6時45分だぞ!開けろ!」
再び部屋の外でサンダーが、扉を叩き出した。
蒼は背伸びをし、ベッドから出ると、寝ぼけながらも扉を開けた。
扉を開けると、すでに着替えてバッグも着用しているサンダーとランツェの姿があった。
「今何時だ?」
「もう6時45分だ。昨日、ランツェが言ってたこと覚えているのか。7時には、ここを出るって」
サンダーがそう言うと、蒼は、はっとすると部屋の扉をバンと閉めた。
「やばいやばい!まずは、着替えないと」
扉の外では、蒼が走り回る音や焦ってハンガー(木製の)を落とす音やらが4,5分聞こえ続けた。サンダーとランツェは近所迷惑(別室の人たちの)になってないかな、と思いながらも待ち続けた。
再び扉が開くと、キッチリ和服を着て、髪の毛も整えられた準備万端の蒼が出てきた。
「準備完了!(部屋は少し散らかっちゃったけど、帰ってからでいいか)」
「それじゃ、行くよ、蒼!もう、馬車の準備も整ってるからね。」
協会の外に出ると、一台の馬車が準備されてあった。馬車の荷台部分には、白い屋根もついている。
馬車の荷台には、5日分の食料と寝巻き3人分などがきちんと置かれてあり、座れる場所までも確保されてある。
「どう?かなり整えられた馬車でしょ!私が頑張って貯めた任務費用で中古で買ったのを(馬も前の持ち主からの引き継ぎである)修理したのよ。」
「すごいと思うな。・・早速出発しようか」
サンダーは、ヒョイッと馬車の後ろに飛び乗った。蒼は、それに続いて、荷台によじ登った。
「まあ、私以外が操縦してもいいんだけどね。」
「えっ。なら私が操縦してみたいな!」
サンダーがそう言うと、ランツェは、操縦席から飛び降りて、
「どうぞ!私、今まで荷台からの景色見たことなかったから」
、と言った。
「いいのか!」
サンダーは、さっそうと荷台から操縦席に乗り移った。
「サンダー、できるの?」
蒼が心配そうに操縦席を覗き込んだ。
「大丈夫だ!一応、馬上経験はある!」
サンダーはそう言い、手綱を握り、ウェーブさせた。
すると、馬車がゆっくりと動き出した。
「そのままのペースで。サンダー」
ランツェは安心したのか、荷台に寝っ転がりだした。屋根がついているので、結構涼しい。
「そういえば、目的地まで何日かかるの。この食料を見る限り、一日じゃ着かないと思うけど」
「片道2日だよ。だから、早めに起きてもらったけど、今寝ててもいいよ。」
「そう、なら遠慮なく」
そう言うと、蒼も横になった。
「もう寝ちゃったみたいね。」
「蒼は、いつも寝るのが早いんだ。眠たいと特にな。」
サンダーは、楽しそうに馬車を操縦している。
その5分後・・
もう少しで王城の門に着きそうであった。門の前に付くと、騎士が一礼をして、門を開けてくれた。
「ありがとね」
ランツェは、騎士に手を振った。
「こんな簡単に通していいのか?」
「総合学校のトップ10、もしくは、協会で名を売っている者だけの特権みたいなものなんだよね。」
ランツェは、少し得意げにドヤ顔をしている。
「ランツェって、総合学校で一番だったんでしょ。すごいな」
「いやー。7割方は、運だよ。私に宿っているものが、強かっただけだよ」
「へぇー、何を宿しているので?」
サンダーがそう聞くと、ランツェの顔が少しだけうつむいた。そして、再び話し始めるまで、5秒ほどの間があった。
「・・吸血鬼だよ・・」
ランツェは、少し小さな声でそう答えた。
「・・ごめん。聞いちゃまずかったかな」
「そんなことないよ。そういえば、あと45分ほど移動した先にキャンプ自由地があるから、そこでご飯にしようよ」
ランツェは話を切り替えると、笑顔でそう言った。
それから、しばらくの間(約30分)会話は無く、風の音や鳥の声などだけが聞こえる時間が続いた。ランツェは、荷台にもたれながら、目をつむっている。
王都の門を出た先には、大きな街はほとんど見えず、草原や山などの緑が沢山だった。
「このテネレ王都以外には、大きな街は無いのか?」
「少なくとも、国内には王都レベルの都市はないよ。あとは、小規模の集落や街があるくらいかな。あとは・・」
ランツェの話によると、テネレの他にも4つの大国と4,5個の小国があるらしい。他の4つもテネレ並、またはそれ以上の街が存在しているみたいだ。
「なるほどな・・」
「サンダーと蒼は、こことは違う場所から来たんでしょ。ヴィトン先生が言ってた。」
サンダーは、荷台の方に振り向いて頷いた。
「他の国に入ると、とても面倒くさいことだらけなんだよ。そこで役立つのが側近の権力って訳なんだよ。二人は、中々に強さを秘めていそうだし。そういう理由も含めた上で、ヴィトン先生は、推薦したのかもね」
「そうか・・。私なんか全然だぞ。」
「そんなことないって。模擬戦の時のスピードなんか、凄かったよ。余裕で私超えだよ」
ランツェにそう言われたサンダーは、少し嬉しそうに顔を隠した。
「あっ!もうそろそろ自由地に着きそうだね。蒼を起こすね」
「あっ。蒼は寝起きはいいが、少し揺らしたくらいじゃ起きない。着いたら、私が起こす!」
「おい、蒼!もう、6時45分だぞ!開けろ!」
再び部屋の外でサンダーが、扉を叩き出した。
蒼は背伸びをし、ベッドから出ると、寝ぼけながらも扉を開けた。
扉を開けると、すでに着替えてバッグも着用しているサンダーとランツェの姿があった。
「今何時だ?」
「もう6時45分だ。昨日、ランツェが言ってたこと覚えているのか。7時には、ここを出るって」
サンダーがそう言うと、蒼は、はっとすると部屋の扉をバンと閉めた。
「やばいやばい!まずは、着替えないと」
扉の外では、蒼が走り回る音や焦ってハンガー(木製の)を落とす音やらが4,5分聞こえ続けた。サンダーとランツェは近所迷惑(別室の人たちの)になってないかな、と思いながらも待ち続けた。
再び扉が開くと、キッチリ和服を着て、髪の毛も整えられた準備万端の蒼が出てきた。
「準備完了!(部屋は少し散らかっちゃったけど、帰ってからでいいか)」
「それじゃ、行くよ、蒼!もう、馬車の準備も整ってるからね。」
協会の外に出ると、一台の馬車が準備されてあった。馬車の荷台部分には、白い屋根もついている。
馬車の荷台には、5日分の食料と寝巻き3人分などがきちんと置かれてあり、座れる場所までも確保されてある。
「どう?かなり整えられた馬車でしょ!私が頑張って貯めた任務費用で中古で買ったのを(馬も前の持ち主からの引き継ぎである)修理したのよ。」
「すごいと思うな。・・早速出発しようか」
サンダーは、ヒョイッと馬車の後ろに飛び乗った。蒼は、それに続いて、荷台によじ登った。
「まあ、私以外が操縦してもいいんだけどね。」
「えっ。なら私が操縦してみたいな!」
サンダーがそう言うと、ランツェは、操縦席から飛び降りて、
「どうぞ!私、今まで荷台からの景色見たことなかったから」
、と言った。
「いいのか!」
サンダーは、さっそうと荷台から操縦席に乗り移った。
「サンダー、できるの?」
蒼が心配そうに操縦席を覗き込んだ。
「大丈夫だ!一応、馬上経験はある!」
サンダーはそう言い、手綱を握り、ウェーブさせた。
すると、馬車がゆっくりと動き出した。
「そのままのペースで。サンダー」
ランツェは安心したのか、荷台に寝っ転がりだした。屋根がついているので、結構涼しい。
「そういえば、目的地まで何日かかるの。この食料を見る限り、一日じゃ着かないと思うけど」
「片道2日だよ。だから、早めに起きてもらったけど、今寝ててもいいよ。」
「そう、なら遠慮なく」
そう言うと、蒼も横になった。
「もう寝ちゃったみたいね。」
「蒼は、いつも寝るのが早いんだ。眠たいと特にな。」
サンダーは、楽しそうに馬車を操縦している。
その5分後・・
もう少しで王城の門に着きそうであった。門の前に付くと、騎士が一礼をして、門を開けてくれた。
「ありがとね」
ランツェは、騎士に手を振った。
「こんな簡単に通していいのか?」
「総合学校のトップ10、もしくは、協会で名を売っている者だけの特権みたいなものなんだよね。」
ランツェは、少し得意げにドヤ顔をしている。
「ランツェって、総合学校で一番だったんでしょ。すごいな」
「いやー。7割方は、運だよ。私に宿っているものが、強かっただけだよ」
「へぇー、何を宿しているので?」
サンダーがそう聞くと、ランツェの顔が少しだけうつむいた。そして、再び話し始めるまで、5秒ほどの間があった。
「・・吸血鬼だよ・・」
ランツェは、少し小さな声でそう答えた。
「・・ごめん。聞いちゃまずかったかな」
「そんなことないよ。そういえば、あと45分ほど移動した先にキャンプ自由地があるから、そこでご飯にしようよ」
ランツェは話を切り替えると、笑顔でそう言った。
それから、しばらくの間(約30分)会話は無く、風の音や鳥の声などだけが聞こえる時間が続いた。ランツェは、荷台にもたれながら、目をつむっている。
王都の門を出た先には、大きな街はほとんど見えず、草原や山などの緑が沢山だった。
「このテネレ王都以外には、大きな街は無いのか?」
「少なくとも、国内には王都レベルの都市はないよ。あとは、小規模の集落や街があるくらいかな。あとは・・」
ランツェの話によると、テネレの他にも4つの大国と4,5個の小国があるらしい。他の4つもテネレ並、またはそれ以上の街が存在しているみたいだ。
「なるほどな・・」
「サンダーと蒼は、こことは違う場所から来たんでしょ。ヴィトン先生が言ってた。」
サンダーは、荷台の方に振り向いて頷いた。
「他の国に入ると、とても面倒くさいことだらけなんだよ。そこで役立つのが側近の権力って訳なんだよ。二人は、中々に強さを秘めていそうだし。そういう理由も含めた上で、ヴィトン先生は、推薦したのかもね」
「そうか・・。私なんか全然だぞ。」
「そんなことないって。模擬戦の時のスピードなんか、凄かったよ。余裕で私超えだよ」
ランツェにそう言われたサンダーは、少し嬉しそうに顔を隠した。
「あっ!もうそろそろ自由地に着きそうだね。蒼を起こすね」
「あっ。蒼は寝起きはいいが、少し揺らしたくらいじゃ起きない。着いたら、私が起こす!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる