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乱戦の中
集合
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ランツェが空を向いたときには、キメラはほんの数メートル先まで迫ってきていた。
「チッ!『フレイム・ボールバリア』」
ランツェはそう唱えた。魔法の効果としては、半径2メートルの炎の膜を自身を中心に張り、敵の攻撃を無効化したり、軽減することができる。
「えっ!」
だが、キメラはその膜を突き抜けて、そのままランツェに向かって、一直線に急降下してきた。
その直後に、ランツェが「うっ、痛い!」といううめき声が聞こえた。よく見ると、ランツェの横腹が少しだけ削れている。
降りてきているギガントは、そのままランツェを回収し、蒼とサンダーのところまで飛んだ。そして、ランツェを地面に寝かせた。
「大丈夫か、ランツェ」
3人が心配そうに見下ろす。
「はぁはぁ、何とか大丈夫です。炎の膜を張っていたことで、致命傷を免れることはできたみたいです。」
よく見ると、キメラの体、特にくちばしが黒く焼け付いているのが分かる。それによって、威力が大幅に落ちたようだ。
ランツェが立ち上がろうとするが・・
「今から8分間だけは、一人で戦う!蒼とサンダーは、この薬(ポーション)でランツェを回復させといてくれ!」
そう言うと、青い液体がプラスチック製の瓶に入っている瓶をポイッと投げた。
「えっ、でも・・。せめて、オレだけでも!」
「駄目だ!それに、もし・・。いや、とにかく駄目だ!」
蒼を止めると、ギガントは一人で敵に向かって突っ走って行った。
「ちょっ!」と言い、続こうとする蒼の手をサンダーが掴み、止めた。
「ギガントさんのことだ。なにか考えがあるはずだ。今はそれに従うべきだ!」
サンダーの言葉を聞いた蒼は黙ってその場に座り込み、ランツェの方を向いた。
「さて、1体3か・・。少し分が悪いかな。(ま!一人で倒すことが目的じゃないからな。最低あと7分か)」
ギガントが槍を構えて、その場に立ち止まっている。2体の内どちらから仕掛けるべきかを考えていると予測できる。
「行け!」
先に動いたのは、リリアとケルベロスだ。
ギガントはそんなことは予測済みであり、容易に飛んで避けた。が、その避けた先にキメラが迫ってきている。
「飛ぶことぐらい予測済みよ!」
やはり、リリアが全て操作し、操っているようだ。
しかし、キメラがぶつかりそうだというのに、ギガントの顔には一切の焦りは見られない。
「ギガントさん!」
「焦らない、焦らない!」
ギガントがヒュイッと人差し指と中指を立てる。すると、地面から岩の柱が生え出してきた。
リリアは「チッ」と言い、キメラを下がらせようとしている。だが、間に合わなかったようで、岩はキメラの羽を貫いた。
「そのまま、刺さってろ!」
ギガントはそう言うと、指パッチンをした。
すると、キメラの真下から3本の尖った岩が生えてきた。そのまま、キメラは3箇所を串刺しにされ、戦闘不能状態になったようだ。
「よし、あと2体。ここでキメラを倒せたのはでかいね」
そう誇らしげに言うギガントだが・・。
「ほんとにそうかしら?」
リリアがそう言うと、ギガントは後ろに寒気を感じた。振り向くと、キメラが爪を立てて、攻撃してきている。
ギガントは避ける間もなく、攻撃に当たり吹き飛ばされ、木に打ち付けられた。
「ほら油断してるから、そうなるのよ」
「確かに油断してたかもな。じゃあ、ここからは舐めは一切無しでいかせてもらおう」
そう言うと、ギガントから溢れ出る覇気がより一層強まったような気がした。その覇気により、蒼とサンダーは喉が少しつっかえた気がした。
「うっ、少しはやるみたいね。」
リリアは再び2体を操り動かし始めた。
ケルベロスは炎と水を同時に前に吐きながら、突っ込んできている。キメラは、空から地面へと風を送り込み、ギガントを高く飛べないようにしているようだ。
「そっちも少しはやるな。マリオネッターの才も策士としての才もだが・・。策士と戦士としての才はこっちが勝っているようだ」
ギガントは槍を振り上げ、目の前にかなり大きな岩の壁を作り出した。高さ15~20メートル、横も長くて回ってくるのに数秒の猶予はありそうだ。
「壊せるものなら壊してみな。(多分、持って2分かな。破壊はされるだろうな)・・さて、どちらから来る右か左か?!」と言い、どっちから来ても対応できるような体勢に立った。右、左と目をキョロキョロさせる。
だが、数秒待ってもどちらからも来ない。
「待てよ・・。(来ないだと・・上か!・・ないな。上から来るとしたら、キメラが運んで落とす以外に方法がないはず・・。だとしたら・・)」
そんな思考を巡らせていると、ギガントの足元がドッと揺れる。
ギガントは直感で、すぐさま後ろにのけぞった。その1秒後、地面が割れ、水の光線と炎のブレスが飛び出してきた。
勘で横に避けたが、その判断が間違っていたことにすぐに気づいた。
「まずい!後ろには・・」
そう、ギガントの数メートル後ろにはランツェ達3にんがいる。蒼とサンダーなら避けられても、今のランツェには困難なのは確実。
「どうすれば・・とりあえず、動け!」
ギガントは、ケルベロスの後ろを追いかけた。
「チッ!『フレイム・ボールバリア』」
ランツェはそう唱えた。魔法の効果としては、半径2メートルの炎の膜を自身を中心に張り、敵の攻撃を無効化したり、軽減することができる。
「えっ!」
だが、キメラはその膜を突き抜けて、そのままランツェに向かって、一直線に急降下してきた。
その直後に、ランツェが「うっ、痛い!」といううめき声が聞こえた。よく見ると、ランツェの横腹が少しだけ削れている。
降りてきているギガントは、そのままランツェを回収し、蒼とサンダーのところまで飛んだ。そして、ランツェを地面に寝かせた。
「大丈夫か、ランツェ」
3人が心配そうに見下ろす。
「はぁはぁ、何とか大丈夫です。炎の膜を張っていたことで、致命傷を免れることはできたみたいです。」
よく見ると、キメラの体、特にくちばしが黒く焼け付いているのが分かる。それによって、威力が大幅に落ちたようだ。
ランツェが立ち上がろうとするが・・
「今から8分間だけは、一人で戦う!蒼とサンダーは、この薬(ポーション)でランツェを回復させといてくれ!」
そう言うと、青い液体がプラスチック製の瓶に入っている瓶をポイッと投げた。
「えっ、でも・・。せめて、オレだけでも!」
「駄目だ!それに、もし・・。いや、とにかく駄目だ!」
蒼を止めると、ギガントは一人で敵に向かって突っ走って行った。
「ちょっ!」と言い、続こうとする蒼の手をサンダーが掴み、止めた。
「ギガントさんのことだ。なにか考えがあるはずだ。今はそれに従うべきだ!」
サンダーの言葉を聞いた蒼は黙ってその場に座り込み、ランツェの方を向いた。
「さて、1体3か・・。少し分が悪いかな。(ま!一人で倒すことが目的じゃないからな。最低あと7分か)」
ギガントが槍を構えて、その場に立ち止まっている。2体の内どちらから仕掛けるべきかを考えていると予測できる。
「行け!」
先に動いたのは、リリアとケルベロスだ。
ギガントはそんなことは予測済みであり、容易に飛んで避けた。が、その避けた先にキメラが迫ってきている。
「飛ぶことぐらい予測済みよ!」
やはり、リリアが全て操作し、操っているようだ。
しかし、キメラがぶつかりそうだというのに、ギガントの顔には一切の焦りは見られない。
「ギガントさん!」
「焦らない、焦らない!」
ギガントがヒュイッと人差し指と中指を立てる。すると、地面から岩の柱が生え出してきた。
リリアは「チッ」と言い、キメラを下がらせようとしている。だが、間に合わなかったようで、岩はキメラの羽を貫いた。
「そのまま、刺さってろ!」
ギガントはそう言うと、指パッチンをした。
すると、キメラの真下から3本の尖った岩が生えてきた。そのまま、キメラは3箇所を串刺しにされ、戦闘不能状態になったようだ。
「よし、あと2体。ここでキメラを倒せたのはでかいね」
そう誇らしげに言うギガントだが・・。
「ほんとにそうかしら?」
リリアがそう言うと、ギガントは後ろに寒気を感じた。振り向くと、キメラが爪を立てて、攻撃してきている。
ギガントは避ける間もなく、攻撃に当たり吹き飛ばされ、木に打ち付けられた。
「ほら油断してるから、そうなるのよ」
「確かに油断してたかもな。じゃあ、ここからは舐めは一切無しでいかせてもらおう」
そう言うと、ギガントから溢れ出る覇気がより一層強まったような気がした。その覇気により、蒼とサンダーは喉が少しつっかえた気がした。
「うっ、少しはやるみたいね。」
リリアは再び2体を操り動かし始めた。
ケルベロスは炎と水を同時に前に吐きながら、突っ込んできている。キメラは、空から地面へと風を送り込み、ギガントを高く飛べないようにしているようだ。
「そっちも少しはやるな。マリオネッターの才も策士としての才もだが・・。策士と戦士としての才はこっちが勝っているようだ」
ギガントは槍を振り上げ、目の前にかなり大きな岩の壁を作り出した。高さ15~20メートル、横も長くて回ってくるのに数秒の猶予はありそうだ。
「壊せるものなら壊してみな。(多分、持って2分かな。破壊はされるだろうな)・・さて、どちらから来る右か左か?!」と言い、どっちから来ても対応できるような体勢に立った。右、左と目をキョロキョロさせる。
だが、数秒待ってもどちらからも来ない。
「待てよ・・。(来ないだと・・上か!・・ないな。上から来るとしたら、キメラが運んで落とす以外に方法がないはず・・。だとしたら・・)」
そんな思考を巡らせていると、ギガントの足元がドッと揺れる。
ギガントは直感で、すぐさま後ろにのけぞった。その1秒後、地面が割れ、水の光線と炎のブレスが飛び出してきた。
勘で横に避けたが、その判断が間違っていたことにすぐに気づいた。
「まずい!後ろには・・」
そう、ギガントの数メートル後ろにはランツェ達3にんがいる。蒼とサンダーなら避けられても、今のランツェには困難なのは確実。
「どうすれば・・とりあえず、動け!」
ギガントは、ケルベロスの後ろを追いかけた。
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