異世界帰還書紀<1>

空花 ハルル

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乱戦の中

再び、善戦

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ギガントが追いかけるも、ギリギリ間に合いそうにない。
「クソ!魔法を使うにも、巻き込む可能性が高い!」
蒼とサンダーはランツェの目の前に立ち、立てになろうとしている。
そして、3人の目の前付近までケルベロスが近づいた時、蒼とサンダーは刀を抜く体制に入った。見切りをしようとしているようだ。
「ここは守らないとな!」
「もちろん、サンダー!」
二人の剣が抜かれようとしたとき・・・。
上から誰かが降ってきた。
「よっと!」
その人物は、ケルベロスの顔面にハンマーのようなものを振りかざした。攻撃が命中すると、ケルベロスはかなり後ろの方に吹き飛ばされていった。
「誰だ、お前は?」
蒼達の目の前には、ピンク色の髪をした少女が立っている。身長から見て、年齢は12歳ぐらいと判断ができるが。こんな少女が・・?
「来てくれたか、メイニィア・・大佐」
少女の名は、メイニィアというようだ。それに、大佐と、ギガントが言った。
「何よ、全然削れてないじゃないの」
メイニィアがプンプンと可愛らしく怒っている。こんな少女がホントに大佐なのだろうか・・。
「いや、がんばったんだけど・・」
「まぁ、いいよ。私が全員倒すから。ギガントはピンチだと思ったら岩を援護射撃してくれればいいから。必要ないと思うけど・・。そこの2人は、ランツェちゃんのことでも見てて」
どうやら、メイニィアの方がギガントより立場が上だと発言から推測できる。強さも見た目と反して、かなり強いはずだ。
「ランツェのこと、知ってるのか?」
サンダーの疑問にメイニィアは「ランツェちゃんとは、長めの付き合いだよ」とだけ言い、戦線に突っ込んでいった。

「蒼にサンダー、見てるといいよ。彼女は見て目と反して、かなり強いよ。特に体術の面は・・。」
蒼とサンダーは言われた通りに、瞬きも抑え、戦いだけを見ることにした。
早速、メイニィアはかなりのスピードでケルベロスの2属性のビームと空からのキメラの攻撃を避けながら、正面に突き進んでいる。スピードを目で追うだけでも苦労する。
「速い!」
メイニィアは走りながら、ケルベロスの目の前まで近づくと、メイニィアの持っていた武器が突然槍に変形しだした。
「何だ?あの武器は・・?」
「あれは、ブロー国の特注品の武器だよ。あれ一つしかなくて、実質扱えるのはメイニィア。ただ一人だけ。武器の性能としては・・」
ギガントの情報としては、メイニィアが所持している武器は、見た通りで他の武器に変形できるようだ。変形できるのは、ハンマー、槍、剣、斧、鎌、弓。さらに銃にも変形ができるようだ。
それだけではなく、メイニィア本人からの情報によると、存在している武器はすべて変形が可能で、可能性は未知数らしい。
「なるほど・・」
それだけの戦略性を作り出せる武器と、ギガント以上の体術。これが、テネレ軍の大佐の実力かと・・、二人は気を呑まれる始める。
そんな会話をしている中、メイニィアは・・。
「よっと!」
ちょうどケルベロスの首(右の頭)を一つ落としたところだった。武器は斧に変わっている。
「クッ!だが、少しすれば再生できる。キメラ、時間稼ぎを・・」
リリアがそう言い、キメラを移動させようとした瞬間・・、メイニィアの武器が銃のようなものに変形しだした。あれは、おそらくショットガンにらしい(ギガントが言うには)。
その銃を構えると、キメラに向かって3発撃った。その玉は、3つの頭それぞれに直撃したようだ。
「よしっ!」
キメラはそのまま焼け焦げて地面へと落ちていった。メイニィアが少し可愛らしくガッツポーズを4人の方に見せている。
そのまま、目線をケルベロスに向ける。
「あと、そいつだけね。」
メイニィアはそう言うと、その場から瞬時に移動した。速すぎて、一瞬消えたように感じるほどだった。
「速い!」
いつの間にかメイニィアはケルベロスの真上にまで攻め込んでいる。そして、武器を大きめの剣に変形させると、今度は左の頭を落とした。
「残り一つ・・ねぇ、その真ん中の頭はまだ使わないの?」
メイニィアが少し煽り気味にリリアに向かって、そう言い放つ。それを聞いたリリアは顔を赤くしながら「今から使うところよ・・とは言っても、自爆技しか持たせていないけどね」と言った。
メイニィアは、自爆技と聞いた瞬間、蒼達の元に1秒もかからずに戻ると、武器を変形させ出した。変形させたのは、大きめの盾だ。
「爆発をしのごうとしても、無駄よ。(それに私は爆発に耐えられるくらいの防御魔法は持ってるからね)」
リリアはそう言い、距離を開けた。30メートルくらいは距離があるだろう。
だが、メイニィアはそんな事を気にしてる余裕はないようだ。
そのあと数秒待っていると、水色の半透明な膜が5人を覆い出した。魔法壁のようなものらしい。

ケルベロスが自爆の準備が整ったようだ。その証拠に体が赤くなり始めている。
「爆発するよ!全員、耳を塞いで!」
みんなが耳を塞いだ瞬間・・。
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