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試験に向けて
結成パーティー 2
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頼んだサラダは、タマネギ、キュウリやトマトなどをドレッシングで味付けされたもののようだ。
「美味しいな。想像以上に口に合う」
蒼が知っているサラダとは、少し違った。だが、材料は蒼の知っているものばかりでだからか、口慣れない料理でも美味しいとより感じられたのかもしれない。
「ほら、持ってきたよ。チェス」
サンダーが寝室から、チェスを持ってきた。
蒼は、チェスに関しても、少しだけかじっているから、ルールは知っているつもりだ。
「あれ、ルークとビショップって、どっちが飛車と同じ動きをするっけ?」
蒼は、ルールを少し忘れていた。
「飛車って、何?」
ランツェは、将棋は知らないとみえる。それもそうだ。蒼達がいた場所とは、全く文化も違う。
「忘れたか、蒼。ルークと同じ扱いをするのが飛車だ。前にやらされただろ」
そういえば、そうだった。前いた場所で、飲み会みたいなものに誘われて、遊んだのだった。おそらく、酒の飲みすぎで忘れてしまったのだろう。
「まぁ・・何のことかわからないけど。飲みましょうか」
ランツェはそう言い、酒が入った瓶を手に取った。
「そういえば、ランツェは何歳なんだ?」
サンダーがその質問をした意味は、初対面の時、18歳あるかないかみたいな体つきをしていたから、お酒の年齢制限を気にしたからだろう。
「んっ?23歳だけど・・ああ、お酒のこと?大丈夫だよ、テネレでは、18歳からOKだから。問題ないよ」
「そうか。なら乾杯しようか」
サンダーも酒瓶を片手に持ち、席に座った。
「じゃあ、乾杯だ」
そして、蒼も酒瓶を片手に持った。そして、3人同時にテーブルの中央の魔上でカンッとぶつかる音を立てる。
3人共、酒と共にサラダをものの数分で平らげることができた。
「じゃあ、チェスでもするか。誰からする?」
数秒ほどの差だが、蒼は、真っ先にコマを並べて待っている。その後、ランツェにクイーンとキングの位置が逆だったのを、指摘されていたが。
「私からやらせてもらおうかな」
ランツェが先に名乗りを上げた。サンダーは初戦は観戦し、チェスに慣れているであろうランツェのやり方を見学するつもりだろう。
「じゃあ、どっちが先行で行く?蒼」
「ランツェが先行でいい」
蒼が目を閉じ、腕組みをしながらそう言った。経験者の余裕からだろうか、顔つきに覇気すら感じられる。
{(何を向きになっている。まぁ、それも見てて面白いが)}
サンダーは、少し呆れつつも、蒼が勝つことを期待してもいた。たしか、前プレイした時は、蒼の勝率が80%だった気がする。
「そうなら、お言葉に甘えて」
そう言うと、ランツェがコマを動かし始めた。
数ターンが経過し、状況だけでいえば、ランツェの方が少し押しているようにみえる。
「やるなー」
蒼は、チェスの盤面をじっくりと眺めている。
状況を簡潔に言えば、キングは下手な手を打たない限りは、決して取られない。だが、クイーンが次のターンで取られそうである。
「(さて。どう来るのかな?)かなり考えるね」
「(うーん。クイーンの犠牲だけは避けたいな)じゃあ・・はい!」
蒼がようやくコマを動かした。
あまりの夢中さからか、その間に、アウムがメインの肉料理を運んできてくれていることに気づいていない。アウムは、二人の試合の邪魔しないようにコッソリ、サンダーに渡していた。
「そろそろ、メインの料理を食べないか。冷めてしまうぞ」
「んっ、そうね。じゃあ、続きは蒼のターンからね」
サンダーが今の状況と盤面を見るにどちらかといえば、蒼の方が有利だと感じていた。その根拠として、盤面だけ見れば、若干ランツェが勝っているのだが。
次が、蒼から開始できるとなると、食事中に次の一手を考えることができるからだ。ランツェがそのことを理解した上で、蒼に譲ったとなると、かなり自身があると考えられる。
アウムが運んできてくれてから、何分かは経過している。だから、できたての熱々ではなくなっていたが、少し冷めたくらいじゃ味は全然落ちていないところも、ロートンさんの料理の腕がすごいことが分かる。
そして、40分間・・
チェスのことなんか忘れてしまうくらい楽しく会話をしながら、食事を楽しんだ。
「アウムにデザートを頼んでくる!」
サンダーはそう言うと、階段を降り、アウムに注文を伝えに行った。
「・・じゃあ、蒼からね」
「そういえば、そうだった。じゃあ・・・はい!」
たった数秒の思考でコマをポンッと動かす。
「早いね。それもそうよね。食事の間、考えようと思ったらできるものね」
「えっ、全然そんなことない。今ぱっと見て考えただけだ」
ランツェが蒼の顔を見る限りは、嘘はついていないようだ。逆にランツェは食事中、頭の片隅ではチェスの次の蒼の一手について考えていた。
理由は単純で、ランツェは、チェス界の中級者の中では上位に立てるレベルがある。そのため、初心者に負けるわけにはにかないというプライドからだろう。
蒼の一手は、ランツェの中では予想の範疇にはあるものだった。そして、それに対しての一手までも考えていた。
ランツェは、考えた一手の中で最も攻めた一手で返す決断をした。
「こうね!」
「なら・・」
3ターン後・・。
「はい、チェック!」
蒼はランツェに追い詰められていた。
「なぁ、チェックって何だっけ?」
横でジュースを片手に持っているサンダーに小声で聞いた。
「将棋でいうと、王手ってことだ。それに、この状況見れば、分かるだろう!」
「なるほど・・。うーん?」
じっくりと盤面を見つめる。
どう考えても1通りしか、動かす方法がない。そして、その動かし方をしたら・・。
「はぁ。参りました」
あの場面で蒼が動かしたとこで、相手の駒にさらに追い込まれ、チェックメイトされるだけだった。
ランツェの勝利が決定した。
「美味しいな。想像以上に口に合う」
蒼が知っているサラダとは、少し違った。だが、材料は蒼の知っているものばかりでだからか、口慣れない料理でも美味しいとより感じられたのかもしれない。
「ほら、持ってきたよ。チェス」
サンダーが寝室から、チェスを持ってきた。
蒼は、チェスに関しても、少しだけかじっているから、ルールは知っているつもりだ。
「あれ、ルークとビショップって、どっちが飛車と同じ動きをするっけ?」
蒼は、ルールを少し忘れていた。
「飛車って、何?」
ランツェは、将棋は知らないとみえる。それもそうだ。蒼達がいた場所とは、全く文化も違う。
「忘れたか、蒼。ルークと同じ扱いをするのが飛車だ。前にやらされただろ」
そういえば、そうだった。前いた場所で、飲み会みたいなものに誘われて、遊んだのだった。おそらく、酒の飲みすぎで忘れてしまったのだろう。
「まぁ・・何のことかわからないけど。飲みましょうか」
ランツェはそう言い、酒が入った瓶を手に取った。
「そういえば、ランツェは何歳なんだ?」
サンダーがその質問をした意味は、初対面の時、18歳あるかないかみたいな体つきをしていたから、お酒の年齢制限を気にしたからだろう。
「んっ?23歳だけど・・ああ、お酒のこと?大丈夫だよ、テネレでは、18歳からOKだから。問題ないよ」
「そうか。なら乾杯しようか」
サンダーも酒瓶を片手に持ち、席に座った。
「じゃあ、乾杯だ」
そして、蒼も酒瓶を片手に持った。そして、3人同時にテーブルの中央の魔上でカンッとぶつかる音を立てる。
3人共、酒と共にサラダをものの数分で平らげることができた。
「じゃあ、チェスでもするか。誰からする?」
数秒ほどの差だが、蒼は、真っ先にコマを並べて待っている。その後、ランツェにクイーンとキングの位置が逆だったのを、指摘されていたが。
「私からやらせてもらおうかな」
ランツェが先に名乗りを上げた。サンダーは初戦は観戦し、チェスに慣れているであろうランツェのやり方を見学するつもりだろう。
「じゃあ、どっちが先行で行く?蒼」
「ランツェが先行でいい」
蒼が目を閉じ、腕組みをしながらそう言った。経験者の余裕からだろうか、顔つきに覇気すら感じられる。
{(何を向きになっている。まぁ、それも見てて面白いが)}
サンダーは、少し呆れつつも、蒼が勝つことを期待してもいた。たしか、前プレイした時は、蒼の勝率が80%だった気がする。
「そうなら、お言葉に甘えて」
そう言うと、ランツェがコマを動かし始めた。
数ターンが経過し、状況だけでいえば、ランツェの方が少し押しているようにみえる。
「やるなー」
蒼は、チェスの盤面をじっくりと眺めている。
状況を簡潔に言えば、キングは下手な手を打たない限りは、決して取られない。だが、クイーンが次のターンで取られそうである。
「(さて。どう来るのかな?)かなり考えるね」
「(うーん。クイーンの犠牲だけは避けたいな)じゃあ・・はい!」
蒼がようやくコマを動かした。
あまりの夢中さからか、その間に、アウムがメインの肉料理を運んできてくれていることに気づいていない。アウムは、二人の試合の邪魔しないようにコッソリ、サンダーに渡していた。
「そろそろ、メインの料理を食べないか。冷めてしまうぞ」
「んっ、そうね。じゃあ、続きは蒼のターンからね」
サンダーが今の状況と盤面を見るにどちらかといえば、蒼の方が有利だと感じていた。その根拠として、盤面だけ見れば、若干ランツェが勝っているのだが。
次が、蒼から開始できるとなると、食事中に次の一手を考えることができるからだ。ランツェがそのことを理解した上で、蒼に譲ったとなると、かなり自身があると考えられる。
アウムが運んできてくれてから、何分かは経過している。だから、できたての熱々ではなくなっていたが、少し冷めたくらいじゃ味は全然落ちていないところも、ロートンさんの料理の腕がすごいことが分かる。
そして、40分間・・
チェスのことなんか忘れてしまうくらい楽しく会話をしながら、食事を楽しんだ。
「アウムにデザートを頼んでくる!」
サンダーはそう言うと、階段を降り、アウムに注文を伝えに行った。
「・・じゃあ、蒼からね」
「そういえば、そうだった。じゃあ・・・はい!」
たった数秒の思考でコマをポンッと動かす。
「早いね。それもそうよね。食事の間、考えようと思ったらできるものね」
「えっ、全然そんなことない。今ぱっと見て考えただけだ」
ランツェが蒼の顔を見る限りは、嘘はついていないようだ。逆にランツェは食事中、頭の片隅ではチェスの次の蒼の一手について考えていた。
理由は単純で、ランツェは、チェス界の中級者の中では上位に立てるレベルがある。そのため、初心者に負けるわけにはにかないというプライドからだろう。
蒼の一手は、ランツェの中では予想の範疇にはあるものだった。そして、それに対しての一手までも考えていた。
ランツェは、考えた一手の中で最も攻めた一手で返す決断をした。
「こうね!」
「なら・・」
3ターン後・・。
「はい、チェック!」
蒼はランツェに追い詰められていた。
「なぁ、チェックって何だっけ?」
横でジュースを片手に持っているサンダーに小声で聞いた。
「将棋でいうと、王手ってことだ。それに、この状況見れば、分かるだろう!」
「なるほど・・。うーん?」
じっくりと盤面を見つめる。
どう考えても1通りしか、動かす方法がない。そして、その動かし方をしたら・・。
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