異世界帰還書紀<1>

空花 ハルル

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間章

狭き永年の業火

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戦いというものは、必ず起こる
人はなぜ争うの?
なぜか・・上に立つ為?力でねじ伏せるため?・・否、根本は違う!新しさを進化を求めているからだ

そう彼女は先代から教わった。

ーテネレ王都ー
目の前では、2人の戦いが繰り広げられていた。
お互いの剣(片方は槍だが)がぶつかり合い、金属音を立てる。
その音が響き渡る度に歓声が広がる。
「やっぱり、いいよね。こうやって、試合を見るのは」
戦いの一番上から、赤い髪をした25歳くらいの女性が高貴な椅子に座っている。
「でも、実際に戦うほうが楽しくないですか」
ヴィトンがその女性の隣に立ち、そう言った。
「今までは戦う側だったから、見る側に立つ楽しさを楽しんでるのよ。それと、非公開の場では、敬語はよしてよね」
「そうでs・・そうだったね。レイラ!」
女性の名は、レイラ。テネレ王国の3代目王だ。王になってからまだ1年しか経っていないものの、市民からの支持率はかなり厚い凄腕だ。
「そういえば、大会まであと1ヶ月くらいだったかしら」
ヴィトンが頷く。新しい側近が入ってくる。この国で、選抜試験方式をとって、初めて受かったのが、私達(ヴィトンとリオネのこと)であった。正直、人手不足で困っていたところだ。
「だね。どのチームが側近になるか、楽しみだね」
その時、カンカーンとゴングの音が闘技場内に響き渡った。


夜も遅く、外では野鳥の鳴き声さえも聞こえない。聞こえるのは、紙に文字を書くサラサラ音だけだ。
「はぁ。疲れる」
そんな愚痴をこぼしながら、窓の外を眺める。別に星が出ているわけでもないのに。
そんな時、コンコンと・・
扉を叩く音がした。
慌てて机と再び目を合わせる。
「どうぞ!」
入ってきたのは、資料の束を抱えたメイドだった。
「ノクス様、資料をお持ちしました。それと・・」
「はぁ・・もう資料は懲り懲りだ。前に置いといてくれ」
怠そうに机にへばっているノクスを叩き起こす声が響く。
「だったら、もう資料は持ってきませんが・・いいのですか?」
その声の正体は、リオネだった。
「そ、そんな事あるわけ無いだろう」
慌てて、ペンを持ち、資料の確認と整理を進める。
「なら、いいのですが・・。それで、どうします。あのような感じで決まってしまいましたが・・」
リオネは、メイドが用意した椅子に座り、会話を続ける。
「どうします。こちらで対処しても良いのですが」
「その件なら、別にいいだろう。それに、リオネ殿なら、とっくに手を打っているんでしょう」
「フンッ!」と鼻を鳴らし、椅子から立ち上がると、「その資料の件は頼みましたよ。それでは、大会観戦でまたお会いしましょう」と言い残し、部屋を去っていった。
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